正義を背負いし者   作:corin7121

12 / 16
~前回のあらすじ~


トラウマ爆弾二発目大爆発


第十二話

「指揮官って撃たれても死なないって本当かっ!?」

 

「誰から聞いたんだよ。さすがにケガするって」

 

 その日、普通に執務室で書類を捌いていたら夕立が部屋に突撃してきた。この娘犬っぽいというか犬なんだよな。忠犬というか。戦場に出たら狂犬の如く暴れるからどっちかっつうと軍用犬か。

 

「でも撃たれたことあるんだろ?」

 

「まあ、うん」

 

 当たり所がよかったから死ななかっただけだからな。脳天とか心臓をぶち抜かれたら流石に死ぬからな。

 

「つまり指揮官は不死身か!?」

 

「そんなわけあるか」

 

 なんでそんな結論にたどり着くんだよ。

 

「ええ~。綾波が言うには指揮官って斬っても撃たれても死なないって言っていたのに。嘘ついたのか?」

 

「綾波には後で説教をするとして、正確には斬られたことも撃たれたこともある。ただそれで死ななかったってだけの話だ」

 

「………?」

 

「無意識のうちに致命傷は避けていたんだよ」

 

 そうでもなきゃとっくに殉職していた。昔イナリから「人間意外としぶといからそう簡単には死なないよ」とか言われたことあったけれど、死にかけた原因作ったのお前も含まれているからね?

 

「ふーん。じゃあじゃあ!指揮官は強いのか!?」

 

「弱いよ?」

 

 本部付の少佐ではあったけれど周りがバケモノだらけだったから、あの人たちと比べるとそりゃあ弱いよ。六式を覚えてようやくこのレベルだからな。

 

「その『六式』って綾波達が毎日練習している()()のことか?」

 

「それのこと」

 

 『剃』はみんな出来るようになったみたいだけれど次の『月歩』に苦戦している。コツを聞かれたときに「空気を掴む感じ」と言ったら酷い目で見られたな。あれは絶対頭大丈夫?って顔をしていた。

 

「そういえば夕立は『六式』の訓練をしたことがなかったか」

 

「うん!あ、でもさ。夕立はもっと攻撃的なものを教えてほしいぜ!」

 

「攻撃的ね……」

 

 六式で攻撃用となると『嵐脚』か『指銃』の二択なんだよな。それに『嵐脚』をしたければまずは『剃』、『指銃』なら『鉄塊』を習得しないとできない。いや、やろうとしたら出来るかもしれないよ?でも物事には順番というものがある。それを無視していきなりやろうとすると大ケガに繋がることも。

 

 とか言ってもこいつは理解しないだろうな。となると体に直接わからせた方がいいか。

 

「わかった。それじゃあ食堂行くか」

 

「わん!」

 

 うん。やっぱりこの娘犬だわ。

 

 

 

 

 

 

 

「?そういえばなんで食堂なんだ?メシでも食うのか!?」

 

「違うよ。六式の一つ、指銃の練習に必要なものを取りに来ただけだよ」

 

 さっきも言ったけど指銃は鉄塊を覚えていることが大前提の技。それなしで指銃をやろうとするとどうなるか、身をもって知ってもらうほかないだろう。

 

「というわけで、指揮官の六式講座。本当ならこれ最後に教えるやつなんだけれど」

 

「そういうのいいからどんな技なんだ!?」

 

 夕立めちゃくちゃ目を輝かせている。これから悪いことさせるのにちょっと罪悪感が。ま、いっか。犬の躾けって多少のムチは必要だよね?

 

「『指銃』は文字通り、指で人体を撃ち抜く体術だ。その気になれば筋肉どころか骨まで貫通させることもできる」

 

 俺はそこまでできないけれど。

 

「というわけで一度実践するぞ」

 

 そう言って俺は冷蔵庫に保管していた鶏肉を取り出した。もも肉だから多分唐揚げに使うんだろうな。後で買い足しておかないと。

 

「今からコレ(鶏肉)に指銃をするからよく見ておけよ」

 

 軽く鶏肉を放り投げてから右の人差し指に神経を集中させる。で一息に真っ直ぐ貫く!人差し指は鶏肉に完全に埋まってしまったが、もしこれが人間だったら心臓まで届いているだろうね。

 

「どうだ?これが『指銃』だ」

 

「え?なんか……地味…………」

 

 まあ傍目に見たら地味かもな。でもこれ極めると結構面白いんだけれどな。『撥』って云って離れた相手に叩き込めたり、『斑』だと連打でハチの巣にすることもできる。

 

「まあ一度やってみな。コツは突くときに腕をブラすな。真っ直ぐ一直線に突くことを意識しろ」

 

「わ、わかった!」

 

 一回やってみろと言ったら夕立は気合を入れ直してくれた。夕立の目の前にさっきの鶏肉を放り投げてやると、

 

「わぅっ!!」

 

「なんで食い付くんだよ」

 

「あうっ!?」

 

 突けと言ったのになんで噛んだ。というかそれ生だから早くペッしなさい。

 

 気を取り直して再度挑戦。今度は食い付いたりするんじゃないぞ。

 

「おりゃあ!!」

 

 ゴキッ

 

 ちょっ今やばい音聞こえたけど大丈夫か!?

 

「…………指揮官」

 

 涙目になった夕立が俺を見る。俺が投げた鶏肉に見事夕立は指銃を決めていた。でも指が紫色になって腫れているからこれは折ったな、骨。

 

「痛いか」

 

 コクリ。と夕立は頷いた。必死に泣くのを我慢しているんだろうけれど、鶏肉をぶっ刺したまんまじゃシュールすぎるわ。

 

「とりあえず、明石の所に行くか」

 

「……うん」

 

 その後、明石の所でちゃんと診てもらって治してもらった。

 

 

 

 

 

 

 

「だから牛乳飲めばこれぐらい治るって!!」

 

「医学にゃめるにゃ!!そんな民間療法で治るの指揮官だけにゃ!!」




次回予告

「加賀も将棋ができるのか?」 

「重桜の者であればそれなりに打てると思います。それに加賀さんのお師匠さんはとても強い方でした」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。