エロ本はキチンと管理しましょう。
ウチにはいくつかの倶楽部というものが存在する。体を動かすような体育系のものもあれば読書をしたり音楽を奏でたりといった文化系もある。誰がどのクラブを運営していようと然したる支障はない。赤城が俺のファンクラブを作って物品販売を企てたり、大鳳が俺のファンクラブを作って写真集をばら撒こうと画策したり、愛宕が俺のファンクラブを作って俺を攻略するゲームを販促しようとしたりと害があると判断した部活動は即座に潰したが。
そう実害があればそれは部として認可はしない。じゃあ無害だったら?それも内容によるだろうね。
「zzz……」
「信濃。まーたそこで寝ているんか」
俺の執務室のソファーに丸まって寝ている信濃に呆れながら声をかけた。
ここのソファは日当たりがいいから昼寝にはちょうどいいのかもしれないが、こうも堂々と寝られると困る。
それに問題はこれだけじゃなかったりするんだよな………。
「くー…」
「むにゃむにゃ……」
睦月型の子たちも最近一緒になってお昼寝しているんだよな。それも信濃の尻尾を気持ちよさそうに枕にして。
最近信濃が興した通称『昼寝部』。お昼寝に丁度よさそうな場所を探してはそこで日がな一日のんびりとお昼寝をするというだけの部活だ。いや、こんなのが部活動でいいのか?せめて前述のあいつらみたいなことをしていたら取り締まりも楽なんだけれど、ただただ昼寝をするだけだからな。
「さて、どうしたもんか」
邪魔しているわけじゃないから強引に起こすわけにもいかないし。というかそれをすると睦月達がぐずりそうなんだよな。だからといってこのままにしておいて風邪でもひかれると困るし。何か妙手はないものか。
「………とりあえず、毛布でもかけてやるか」
陽が当たって暖かいとはいえ体調を崩されるわけにもいかないしな。今日の担当の秘書に持ってきてもらうか。……そういえば今日の担当って誰だったか?
「貴方の赤城ですわ~~~~!」
「しーっ!」
「あら、失礼」
そうだった。
「今日は仕事少ないみたいだし、いつもより早く終われそうだな」
「その後は赤城と二人っきり……」
残念ながらそんな展開にはなりません。
「はい、終~了~」
「お疲れさまでした指揮官様。一服どうですか?」
疲れた体に温かいお茶が染み渡る。とでも思ったか?
「…………」
「どうかしましたか?」
「赤城」
「はい」
「
「何のことでしょう?」
「微かにだが、いつもの茶の匂いと違う匂いが混ざっている」
「気のせいですよ」
そんなわけあるか。しかしどうしたもんか。この臭い、前に大鳳が盛った薬と酷似しているんだよな。あの時は睡眠薬の類だった。これもその可能性が高い。なんとかして、これを回避したいんだが。
よし。昔イナリにやられたあの手を使ってみるか。
「毒見をしたら飲んでやる」
「そんな疑り深いことをしなくても赤城はそんな卑怯なマネはしませんわ」
「毒見をすれば自然と関節キスに」
「いただきます!」
即行で飲み干しやがったよ、この娘。うん?飲み干した?毒見なのに?
「…………」
「…………おい、赤城どうした?」
口いっぱいにお茶を溜めて何するつもりだ、コラ。何だその挑発的な目は、コラ。嫌な予感しかしないからコッチに来るんじゃないよ、コラ!
「んんんっんんんーんんっ!」
「何言ってるかわかんねーよコラ!!」
「ん?どこだ、ここ?」
気が付くと俺は知らない空間にいた。周りはどこまでも真っ暗な空間が続いていて自分が立っているのか寝ているのかすら判然としない。なんで俺、こんなとこにいるんだ?
「汝、どうして此処に?」
「信濃?」
声がした方へ振り向くとそこには信濃がいた。一緒に寝ていた睦月たちはいないようだがどこかに行ってしまったのだろうか。
「此処は夢と現の狭間なれば。常人には立ち入る事すら叶わぬ地」
夢と現の間?ってことは現実世界じゃ俺は寝ているわけか?
「ざんねーん。寝落ちってわけじゃないんだよねー」
「あん?お前は確か……」
また誰かの声がしたから振り返るとどっかで会ったことのある半裸の姉ちゃんがいた。
「知り合い?」
「知らん人だな」
「テスターだよ!ちょっと前に鏡面海域で会ったばっかじゃねーか!!」
鏡面海域…鏡面海域……ああ!思い出したわ!
「あの時の半裸か!」
「半裸じゃ、イヤ半裸だけど!」
「で?セイレーンのお前さんがなんでここに?」
「ああ。ちょっと話したいことがあったもんでね」
なにやら真剣な話みたいだな。
「まあ立ち話もなんだし、コタツに入らないか?」
「どっから出したコレ!?」
気が付けば目の前にはコタツとミカン。そしてもう即行でコタツムリと化した信濃がいた。
「いや~今年の冬は何たら現象で寒い寒い」
だったら服を着ろ。風邪ひくぞ。うちにもクソ寒いのに薄着のまま海に出るのは何人かいたが。
「そんなことをしたら私のアイゼンハワーがなくなっちゃうだろうが!」
……多分それアイゼンハワーじゃなくてアイデンティティのことを言っているんか?
しかしまあなんだ。こいつのボケに一々ツッコミとか入れたくない。敵意はなさそうだし話だけでも聞いてやるか。そう思ってコタツに足を入れたら
ムニュ
なんだ今の感触。信濃がいるからてっきりフワフワ狐尻尾がお出迎えかと思ったら、タコの触手のような肌触りがしたんだが。
「見~た~な~」
「うぉおおおおお!?」
何かいた!コタツ布団上げたらなんか得体の知れんもんが中にいた!!誰だよこんなドッキリ仕掛けたのは!!?
「うん。お兄さんなかなかのリアクションね」
コタツの中に喋る人間大のタコがいたら誰でも絶叫するわ。
「自己紹介が遅れたわね。私は『オブザーバー』。セイレーンよ」
まあそうだろうな。なんとなくそこの半裸と同じ雰囲気しているもん。
「しかしなかなかの男前じゃないか。無理して別次元から引っ張ってきた甲斐がある」
なんかこっちに這い寄ってきたんだけど、ちょっとあんた怖いよ!?音もなく近づくな!
「どう?辛気臭い今の基地じゃなくて私らの基地に異動してこな―――」
「そんなことさせると思いまして?」
ブシュー。
「目がー!目がー!!?」
どこからともなく現れた赤城が手にしていたミカンの皮の汁がピンポイントでタコの眼球に直撃した。うわー痛そう。
「私の目が赤いうちは指揮官様がここからいなくなるなど天地がひっくり返っても許しませんわ」
心強いのはいいんだけれどそこに下心が見え隠れしているんよ、君は。どっから持ってきたのかは知らないがそのお盆に載せているお茶には何か仕込んでいるんだろ?
「戸棚に玉露がありましたので、誠に勝手ながら使わせていただきました」
「ああいいよいいよ。それ来客用のだから」
夢の中だとはいえ勝手に他人様の戸棚を物色するんじゃない。それが許されるのはこの前綾波とやったRPGの勇者ぐらいだよ。
「って薄くないかなこのお茶!?」
見た目明らかに俺のお茶の方が濃いんだけど。相手さんのほとんど白湯じゃん。
「あらすみません」
「確信犯じゃない!淹れなおしを要求する!」
「わかりました。玉露は使い切ってしまったので、手持ちの
「白湯美味しいです!!」
体にいいからね、白湯って。……トリカブトを持ち歩いていることにはつっこまんからな。
「さて、場も和んできたことだしそろそろ本題に入ろうと思う」
ようやく本題か。
「まだ
「ユニオンに?何故指揮官様が敵対しているユニオンへ?」
そういえば重桜はユニオンと敵対関係にあるんだったか。まだ直接的な戦闘にはなっていないみたいだがそれも時間の問題か?
「それはまだ未確定。ただこれだけは伝えておかないといけない案件なの。
それは―――――
ピュリリリリリ!!ピュリリリリリ!!
何の音かと思ったらミカンの山のなかに紛れていた生首が大声で啼いていた。何だよこのアラームは。趣味悪いだろ。
「残念。もう時間切れのようね。それじゃあまた近いうちにお会いしましょう?」
ドオオオオン!!
「って爆発オチかい!!」
「ひゃあ!?し…指揮官!?」
「え?睦月?」
爆発に驚いて飛び起きたら近くで看病してくれていた睦月達を驚かせてしまったようだ。
「指揮官だいじょーぶ?いたいのいたいのとんでけーする?」
「いや、大丈夫だ。心配かけちゃったな」
なーんか夢の中で大事な話をしていたような気がするんだが、最後のインパクトがでかすぎてあまり覚えていないんだよな。
「ところで俺はなんでこんなところで気を失ったんだっけか?」
ええっと確か仕事が一段落ついて、赤城がお茶に薬を盛って、突っ込んできて、それで……。
「赤城がぶつかった勢いで頭を打ったんだにゃ。赤城も赤城でぶつかった時に睡眠薬を飲みこんでまだ気絶中にゃ」
明石も診てくれていたのか。なんだか迷惑かけてしまったか。
「気にすることないにゃ。タンコブはできていたけど指揮官は丈夫だから問題はないはずにゃ」
おおう。言ってくれるね。
「お礼なら睦月達に言うといいにゃ。工廠にみんな泣きながら突撃してきててんやわんやだったにゃ」
「そうか。ありがとうな睦月」
「にへへ」
お礼に頭をなでてあげたらはにかみながらすっごい喜んでくれた。
「き、如月も……」
「はいはい。みんなちゃんと撫でてあげるから」
「赤城もお願いします」
「だが断る」
「そんな!?」
気失った原因作った奴をなんでイイ子イイ子しないといけないのかね?
それからも赤城は粘ったが結局撫でてもらえず、信濃に慰められていた。
次回予告
「で三本目は口に銜える」
「それだけはやめとけ」