正義を背負いし者   作:corin7121

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前回のあらすじ

夢の内容ってあんまり覚えてないよね


第十六話

 どうも―皆さん。空母には運のない指揮官のキビでーす。なんで開幕からこんなにテンションが高いかというと。

 

 ようやく!!

 

 ようやく九尾じゃない空母が来てくれた!え?大鳳がいるじゃないかって?そうだね。正確に言い直そう。

 

 ようやく俺のトラウマに抵触しない娘が来てくれたんだよ!

 

 いやー嬉しいね!これでストレス性蕁麻疹に悩まされることもなくなるだろう。まあそんな淡い希望も簡単に打ち崩れることぐらい重々に承知しているんだけれどさ。

 

「う~ん。どうすればいいのかな~?」

 

「どうした、瑞鶴。悩みがあるなら相談に乗るぞ?」

 

()()()ってどうやれば出来ると思います?」

 

「何の話だ」

 

 六式の練習を視ていたところ、瑞鶴が加賀に相談をしていたのだが三刀流ってその発想はどっからきた。

 

「指揮官なら何かできるかもしれない」

 

「本当!?」

 

「無茶振りするんじゃない」

 

 本部にいた頃、言っては悪いが変態のような戦い方をする人たちは何人かいた。砲弾を素手でぶん投げて大砲以上の破壊力を出す人とか、剣一本で船を三枚おろしにする剣豪とかいたけどさ。そんなマネ俺ができるわけないじゃん。

 

 いや、でもな…。そういや見方を変えれば出来るかも。三刀流。

 

「え、出来るの?」

 

 瑞鶴、聞いておいてひくな。

 

 六式の修行していた時に年下の子がやっていたのを思い出した。まああの子は四刀だったけど。

 

「嵐脚込みの三刀流だな、正確には」

 

 手に持った刀と両脚で合計三刀。うん。数学的には間違っていないよ。

 

「らんきゃく?それって駆逐艦たちが練習しているあれのこと?」

 

「そう。アレ」

 

 月歩ができる娘が増えたこともあって現在駆逐艦の娘たちには嵐脚を教えているところだ。ちなみに綾波は覚えがいいのかあっという間に習得して教導役をかってでてくれている。

 

「うーん。イメージと違うなー」

 

「それじゃあ瑞鶴がイメージする三刀流ってどんな感じなんだ?」

 

「え?まず両手に一本ずつ持つでしょ?」

 

 うん。問題は三本目をどこで持つかなんだが。

 

「で三本目は口に銜える」

 

「それだけはやめとけ」

 

 歯が折れるぞ。

 

「そもそも。なぜ三刀流なぞを目指す?」

 

「一刀流よりも二刀流の方が強いでしょ?だったら二刀流よりも三刀流になったらもっと―――」

 

喝!!!!

 

「!?」

 

 うお、びっくりした!?どうした加賀、そんな大声出して。駆逐艦たちも何事かと練習そっちのけでこっち見ているし。

 

「瑞鶴。お前は勘違いをしている。一刀流だろうと二刀流だろうと、基礎もまともにできない者が強くなれるものではない。基礎という土台があってはじめて応用が出来るものだ」

 

 加賀の言う通りだな。基礎を疎かにしていては絶対に強くなれない。それは強い人ほど基礎ができているから。

 

「でもでも!先輩たちに早く追いつきたいんです!」

 

「その言葉は嬉しいが、だからこそ今はしっかりと基礎を学べ。もっと高みを翔けたいのならな」

 

「高みを…………。わかりました!」

 

 そういうと瑞鶴は離れた場所で素振りを始めた。うん。加賀の言葉をしっかりと噛みしめたようだな。しかし。

 

「ずいぶんと瑞鶴に期待を寄せているんだな」

 

「あいつは私や姉様以上の素質を持っている。いずれこの国で誇れる(つわもの)になるだろう」

 

 こいつは相当高くかっているな。

 

「それに……」

 

「ん?」

 

「昔の私によく似ている。空母になる前の私の姿とどこか重なるんだ」

 

 そういえば資料で見たな。加賀は昔は戦艦だったことがあった。その後の方針で空母に生まれ変わったそうだが、そうか。加賀も苦労していたころがあったのか。

 

「指揮官よ。何だその顔は」

 

「い~や。それよりも、お前さんは六式を覚えないのか?」

 

 駆逐艦をはじめとした前衛の娘達は訓練の傍ら六式の訓練も行っている。高雄や愛宕、長良も『剃』や『紙絵』を使うようになっているが、加賀や赤城達は相性が悪いのかあまり訓練している姿を見ない。

 

 いや、でも待てよ。あいつらが六式をマスターしたらヤバくないか?通常時でさえ俺の剃に並走してくる奴らが剃を覚えたりなんかしたら俺逃げきれないじゃん。あっという間に捕まるじゃん。

 

「習得もやぶさかではないが、私たちは後方からの支援が主な仕事だからな。興味はあるが実戦で使うことはあまりないだろう」

 

 確かに空母や戦艦の射程を考えると合性は悪いかもしれないな。まあ最悪の場合を考えて『鉄塊』か『紙絵』は覚えておいても損はしないと思うが。

 

「まあ気が向いたら訓練には参加するつもりだ。綾波達に遅れは取りたくないからな」

 

 血気盛んなことで。そういや加賀ってバリバリの戦闘狂だったな。哨戒中にセイレーンの部隊と接敵したことがあったけど、あの時は終始笑いながら艦爆・艦攻を発艦しまくって一緒に出撃した睦月を大泣きさせたんだっけ。

 

 うん。味方でもちょっと怖かったよね。執務室で戦闘状況を聞いていたけど俺ですら軽く引いたぐらいだもん。

 

「さてと。俺は俺の仕事をするとしますか」

 

見つけたぞ、指揮官!

 

「ヤベッ、見つかった」

 

 書類仕事が嫌で高雄に息抜きしてくると言って抜け出してきたんだが、もうタイムアップですか。そうですか。

 

「戻るよ、戻る!戻るからその刀は仕舞いましょうね!?」

 

「悪即斬!」

 

「何で君はそう上官に対して簡単に斬りかかってくるんだよ!?」

 

 本来なら厳罰ってレベルじゃ済まないよ?ココでの裁量は俺に一任されているけど営倉送りとかもっとヤバい処分が下されても不思議じゃないのよ?

 

「指揮官は殺しても死なないであろう?」

 

「死ぬわ!!」

 

 みんな買い被り過ぎだっちゅうの!!

 

 それからしばらく高雄の攻撃を紙絵で躱しに躱しまくって互いに息が切れたところで大人しく御用になった。

 

 それからというもの、嵐脚を教えていた駆逐艦の娘たちから次は紙絵を教えてほしいとせがまれることになるのは当然の結果と云えるだろう。




次回予告




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