正義を背負いし者   作:corin7121

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第三話

 前回のあらすじをおさらいしようか。

 

 工廠で新艦建造したらトラウマスイッチONした指揮官大脱走!それに追いつく赤城さん!空に逃げても追いかけてくるよ!

 

 

 

 

 

「畜生め!なんで俺はこうも女運が無いんだ!」

 

 またしても俺は逃げてます。鬼ごっこ継続中ですよ。海の上を月歩で疾走中ですよ。達人になれば月歩と剃を併用できたりするけど、未熟な俺にはまだ無理です。

 

 さて、それなりに距離を取れたはず。ちょっと後方確認をば。

 

「指揮官様ー!」

 

 まだいたよ!というか海上を走ってますやん!なんで走ってんの!?海の上だよ!?俺も他人のこと言えないけど!

 

 しっかし思い出すな~訓練時代。六式習得のために研修に行ったんだよな。鉄塊とか指銃は苦労したけど、とにかく剃と月歩だけは覚えないとって必死で練習したんだよな。理由?狐から逃げる為に決まってんだろ。まあ先に習得したあいつに昼夜問わず追い掛け回されて気づいたらできるようになっていたんだけどさ。

 

 そんな思い出にふけっていると周囲に霧が立ち込めていた。チャンス到来!この霧に紛れて脱走してやるわ!

 

 

 

 

 

「で?こいつらを潰すのが今の俺たちの仕事と?」

 

「そうです。セイレーンの技術で作られた紛い物です」

 

 沈みかけた船の艦首に座っている俺の質問に、後から合流した綾波が答えてくれた。

 

 どうやら海上を逃げ続けていた俺は知らないうちに鏡面海域とか呼ばれるセイレーンの支配する海域に侵入していたらしい。で、見境なく砲撃してきたこいつを嵐脚でぶった斬った。小型の艦船みたいだが、人が乗っている気配はない。どうやって動いていたのか。

 

「仕様です」

 

 それなら仕方ないな。

 

 ところで、綾波さんや。

 

「俺を追いかけていたあいつは何処に?」

 

 おそらく赤城もこの鏡面海域に踏み込んだと思うんだが。

 

「はぐれました」

 

 迷子属性まで似らなくてもいいじゃんか。

 

 まいったな。霧もまだ完全に晴れてはいないし、下手に動くのも危険だったりするんだが。

 

「行くか」

 

 まだ正式に俺の部下になったわけじゃないと思いたいが、見殺しにもできない。

 

 こういう時にこそ見聞色の覇気が使えたら便利なんだろうが、俺覇気使えないんだよな。もっと訓練しておけばよかったな。

 

 

 

 

「はあ…はあ…本当に…しつこい『ゴミ』ね…!」

 

 キビを追いかけて鏡面海域に突入した赤城だったが、途中でセイレーンの部隊と交戦を余儀なくされた。自慢の艦載機で潰しても潰しても後から後から湧いて出てくる敵に、流石の赤城も体力が底をつきかけていた。

 

 もう何度目かわからない敵の攻勢に、もうはやここまでかと思われた。その時、先頭を往く駆逐艦が轟音と共に巨大な水柱を上げた。

 

 

 

「鬼神の力、味わうがいい…」

 

 綾波が繰り出した魚雷が直撃したのだ。

 

「援軍…ですか」

 

「遅くなりました。ここは退きましょう」

 

 雷撃による足止めでは一時的なものにしかならない。その上こちらは戦える人数が少なすぎた。

 

「ですが…」

 

「殿なら俺がやる」

 

 月歩によるホバリングをしながらキビは言った。しかし指揮官自ら戦場で囮になるなど。

 

「部下の命、護るのが上司の仕事だ」

 

 ここだけは譲るつもりはない。部下の為に命の一つも賭けれずして海軍少佐を名乗れるものか!

 

「行け!」

 

「御武運を」

 

 赤城たちを逃すためにキビはたった一人で艦隊に立ち向かった。多少大きさに違いはあるものの、さっき相対した艦船と似たり寄ったりの外見だ。ならば。

 

「海軍本部の力、甘く見るんじゃねーぞ?」

 

 

 

 

---数分後

 

「あ゛ー疲れた」

 

 久しぶりの対艦戦闘についつい調子に乗って暴れすぎた。まあやることっていったら嵐脚で斬るか接近してから船底に指銃で穴開ける簡単なお仕事なわけだが。これだけの数を相手にするのはちょっと骨が折れる。

 

 仕様という話だが一体だれがこんなことしているのやら。

 

 さて、霧も晴れたようだし俺も撤退するとしますか。

 

「待て」

 

「ん?」

 

 呼ばれた気がして振り向いたら、ゴテゴテした機械を背負った半裸の姉ちゃんがいた。

 

 これは俺の経験から言わせてもらうと関わったらダメな奴だ。帰ろう。

 

「待てって言っただろ!何無視してやがる!」

 

「……」

 

「おい!頼むから話しぐらい聞いてけよ!」

 

「……」

 

「帰りたいんだろ!?元の世界によ!」

 

 なんだ?元の世界に帰る方法でも知っているのか?いやそれよりもだ。

 

「いーのかなー?教えてほしくないのかにゃー?」

 

 俺が反応したのをいいことに半裸は調子に乗り始めた。女性にあまり手荒なマネはしたくないんだが。

 

「そーだなー。人にモノを教えてもらうにはそれなりの態度ってもんがいるよねー」

 

「何が言いたい」

 

「教えてほしけりゃ土下座しな!」

 

 まあそうなるわな。土下座を要求するわな。でもな。

 

「別にどーでもいいから」

 

「…あ?帰りたくないのか?」

 

 帰りたいっちゃ帰りたいさ。でもな。

 

「今はまだ帰るわけにもいかないからな。あいつらを放ったままにしておけるほど俺は薄情な奴じゃないんでね」

 

 助けてもらった恩ってもんがある。それも返さずに一人だけのこのことマリンフォードに帰ってみろ。

 

「大将や中将から死ぬほど説教食らっちまうわ!!」

 

 あの人外の説教ってどんなもんかお前知っているんか!?一日だぞ?飯もトイレも無しのノンストップ24時だぞ!?

 

「そんなことよりも、なんで俺が()()()()()()()()()()だと知っていやがる」

 

 まあ大体の予想はついていたりするけどな。俺の正体を知っていて且つ異世界への移動方法を知っているとなればだ。

 

「そんなの知っているに決まっているでしょ?私たちがこっちに引きずり込んだのだから」

 

 やっぱりな。ってことはだ。

 

「お前さんがセイレーンの指揮者か」

 

指揮者(コンダクター)じゃない。テスターだ」

 

「そうか。まあどっちでもいいよ」

 

「あん?」

 

 まあこれでこの半裸が敵だってことはわかったんだし。

 

「嵐脚!」

 

 発生させた斬撃で半裸の砲台を一本斬り落としてやった。

 

「次はその胴体を断つ」

 

「あーあ。取引は破談か。まあいいさ。今回は顔見世だけのつもりだったしな」

 

 そういってテスターは音もなく消えていった。前から思うがなんで悪役って無音で立ち去るんかね。

 

「指揮官。無事でしたか?」

 

 テスターがいなくなるのと入れ替わるように綾波がやってきた。どうやら赤城を母港に連れていったあと大急ぎで戻ってきたのだろう。

 

「ああ。こっちは大丈夫だ。赤城の容体は?」

 

「明石が看ています。大事には至らないとのことです」

 

「そうか。帰ったらお見舞いぐらいにはいかないとな」

 

「そうですね」

 

 こうして初めてのセイレーンとの戦闘は終わった。なんで俺をこの世界に連れてきたのかまだまだ疑問は残るが、こっちの世界でもなんとか暮らしていけそうだ。不安材料はあるにはあるが。

 

 

 

 

 

 

 尚この後、母校に帰還後赤城の見舞いに部屋を訪れた際、()()()()()()()と鉢合わせて母港中を逃げ回ることになったと追記しておく。




次回予告

「指揮官が食われるよりも酷いことになりそうだな」

 

「冷静に分析していないでまずは赤城を止めろ!」
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