~前回のあらすじ
赤城復活!加賀さん焼きもち!長良は空気!
「なるほど。運営早々に心が折れかけたと」
「まさか自分のトラウマにドストライクかましてくるのが最初に来るなんて想像できませんよ」
「そいつは気の毒だったな……」
あの騒ぎの翌日。俺は重桜の海軍本部、通称『大本営』に来ていた。理由は現在の母港の報告と鏡面海域でセイレーンと遭遇した報告。
まあ前者のドタバタ劇を語ったら九山大将に呆れられたけど。問題はそれよりもセイレーンの方だろう。
「話を聞く限りだと、奴さんはお前さんを意図的にこっちの世界に連れてきたみたいだな」
「交戦もした。戦った感じだと苦戦はしなさそうに感じましたが」
未熟な俺の嵐脚でも通用したんだ。もしウチの大将どころか大佐が出張ったとしたら、あっという間に殲滅することも不可能じゃないのだろうか。
「本当に君、物騒な世界に住んでいたんだな」
「海賊王がお宝隠したなんて言いやがったせいで世界中で海賊フィーバーさ」
海軍に入隊した直後ぐらいだったはず。まさか処刑される寸前に宝を見つけたらくれてやるなんて言い出すんだからな。それのせいで訓練が前倒しになって前線に出るようになったんだよ。
で、まだ一兵卒だった俺は先に昇進したあいつから招集されて本部付に。栄転だって言ってくれた同期もいたけど、結局あいつの下で働かされるだけだったのよ。おかげで六式習得させられたわけなんだけれどさ。
「前から気になっていたのだが、その六式とやらは誰でも習得することは可能なのかい?」
「不可能じゃない。とだけ言っておきますよ」
無理ではないと思う。赤城とか俺の剃以上のスピード出せるし。剃ができるようになれば月歩や嵐脚もその内できるようになってくるはず。鉄塊も習得は難しいけどそれができりゃあ指銃もできるようになる。鉄塊掛けたまま指で突けばいいんだし。紙絵は感覚と気合で避ける感じかな。
「そうか」
「先に言っておきますけれど、生半可な覚悟で訓練すると大怪我しますよ?」
実際六式の研修には同期とか含めて数千人はいたけど、最後まで残ったのは十人いたかいないか。過酷ってレベルじゃなかったね。この世の地獄でしたよ。まあ私は実力で残りましたが?
「う~ん。来季から特別講習枠を組むのに丁度良いかと思ったが」
「死人が出ても責任取れませんからね」
「そんなレベルなのかい」
「まあ習得できたからこそ少佐にまでなれたとも言えますが」
六式ができなきゃ俺弱いからね。悪魔の実の能力者と互角以上に渡り合うにはこれが最低レベルでもある。海楼石でもあれば話は別だけれど。
「この件は少し棚上げだな。訓練のリスクがでか過ぎる」
賢明な判断だと思います。それに忘れそうになるけど六式って暗殺術だからね。武道とは違うから。
「さて、これからのことだが今はとにかく戦力が欲しい。艦隊の強化を中心に運営してくれ」
「承りました。母港のメンバーも少なく暫くは出撃は難しいと思っていましたので」
最悪俺が出張るのも考えたが、そこまで逼迫していないようだしここはお言葉に甘えよう。
しかし今いるメンバーか。明石は除くとして
そうと決まれば帰ったら建造祭りだな。誰が来るかはわからんがまた狐娘が来るなんてことにはならないだろう。もし来たら?そりゃあ逃げるさ。全力で。
「というわけで早速で悪いが建造しまくろうと思う」
「何があったのかはわからないけど、まいどありだにゃ」
そういうわけで、母校に帰ってそのまま明石の元へ。四人で艦隊を組もうと思えば組めるらしいが、一艦隊だけ。もう少し人数を増やしてバリエーションが増えればそのまま戦術とかにも活かせそうだ。
「一度に建造できるのは十人までにゃ。割合はどうするかにゃ?」
そうだな。前衛も欲しいけれど後衛になる戦艦も幾らか欲しいところ。
「いっそのこと半々でどうかにゃ?」
「じゃあそれで」
「了解にゃ!」
そう言って明石は機械にキューブを放り込み始めた。とりあえずこれで合計十四人になるわけか。誰が来てくれるのか今から楽しみで仕方がない。
「ところで指揮官。お支払いは現金にゃ?それともカードにゃ?」
……は?
「忘れたとは言わせないにゃ。前の建造の時にも言ったはずにゃ。あ。これが今回の見積書にゃ」
おいおい、なんだこの丸の数は。ボッタクリもいいところじゃねーか。
「明石金融は安心安全の『カモメ銭』だにゃ」
なんだよカモメ銭って。
「利子が一日で
「違法じゃねーか!!」
この国の法律は知らないが暴利にも程があるだろ!雪だるまもビックリの膨れ方だぞ!?
「借金地獄に陥りたくなかったら今の内に全額返済することをおすすめするにゃ」
そうか。だったら今ここで地獄ってもんを見せてやろうか?
「ちょっと手を出せ」
「にゃ?」
袖を強引にまくり上げて明石の右手を机の上に出させた。動くと危ないから手首のあたりを押さえておきます。
「これは海軍に伝わる度胸試しでな?」
「も…もしかして『
そんなものは知らないな。ただここにはペンもナイフもないが---
「よっ」
「に゛ゃっ!?」
---
デモンストレーションで机に指で穴を開けたら明石は一瞬で顔を真っ青にした。ダイジョウブダイジョウブ。
「ま、待つにゃ!タイム!ウェイト!ジャスタモーメントにゃ!!」
トントントントントン。
「えーと明石金融はカモメ銭って話しだったが俺はこの国の法律にはまだ疎くてな。利子何%なんだ?」
「きゅ…九割…」
「よく聞こえんなー」
はいスピードアップ♪
トトトトトトトトトト。
「九分!九分にゃ!!一年で元本の利子九分でお支払いいただくにゃ!」
「……」
「これ以上は明石も商売している身にゃ!これが最大にゃ!」
そうか。これ以上は無理か。ならトドメさしてあげるか。
「お願いだからもう止まってにゃ!い、今ちょっと掠ったにゃ!傷害で訴え…」
トン。
「!!?」
最後に明石の甲を軽く突いてやった。
「交渉成立だな」
「は…はひ…」
ずっと抑えっぱなしだった右手を解放してあげると、明石は涙目のまま腰を抜かしてしまっていた。
まったく。良心的な設定にしておかないからこうなるんだよ。まあ今回は資金を九山大将からある程度融通してもらったが、借金は借金だ。借りたもんはちゃんと返さないとな。
次回予告
「もし見たくなったら私がいつでも見せてあげますからね?」
「だからわざとじゃねーっての!」