起きたら『グルド』になったので、取り敢えず歯を磨く事から始めようと思う 作:ヘルメット助教授
【願いは叶えてやった、さらばだ…!】
全身を輝かせた神龍が、再び7つのドラゴンボールに戻って世界中に散らばって行った
そして夜のように暗くなっていた空は元々の時刻に、夕方に戻ったのを確認した俺は辺りを見回す
俺のダッシュに追い付けなかった悟空とヤムチャが後方に居り、ブルマとウーロンはその遥か後方にてゼェゼェと呼吸を乱していて、バイオレットはプーアルを抱き上げてご満悦
…そう言えば、バイオレットはアニメ版で動物には優しい一面があったっけ
部下にはアレだったが……
それにしてもウーロンが遥か後方にいると言う事は、『ギャルのパンティおくれ』は阻止できたに違いない、流石にあの位置から神龍には遠すぎる
つまり俺が1番に願いを言い切り、神龍に願いを叶えて貰ったって事になる
やってみるか…
もはや習慣となりつつあったマスクを外すと、懐から口臭レベルを表示する機械を出して、センサーに息を吐き掛けた
『ピピピッ…』
久しぶりの緊張の瞬間
『ビビーーーッ』
「口臭レベル、感知不能
つまり…0って事か」
やった…、遂にやった
グルドになった時は、息の臭さに絶望した
だが今はダイエットに成功し、バイオレットとも仲良くなり、そして念願の口臭改善も成し遂げた
これでベジータの野郎に、息が臭い等と言われずに済む…
「ほぇ~、あの姉ちゃんもスゲーけど、オメーもスゲーんだな
とんでもねぇ足の速さだったぞ」
感動に震えていると、悟空が話しかけてきた
記憶は失っても、やはり純粋なサイヤ人だな、強い奴が気になるんだろう
「そりゃ俺とバイオレットは亀仙人の下で厳しい修行してたからな、こんなモノは朝飯前だぜ
それにしても、いいのか?
飛んでったあのドラゴンボールの1つは、亡き爺さんの形見だったんだろ?」
「い゛っ!?ああ!
じっちゃんの形見が飛んでっちまった!」
どうしようどうしようと慌てる悟空は、後方のブルマに駆け寄り、ドラゴンレーダーで調べようとするが…無理だろうな
願いを叶えたドラゴンボールは、一年間は普通の石になったままでレーダーに反応しないのだから
やはり映らなかったらしく、なぜと聞く悟空にブルマは説明、他にも色々と知る情報を話すが、悟空の頭では半分も理解できまい
…ん?なんか忘れてるような?
「き、貴様ら~…よくもこのピラフ様の長年の願いを台無しにしてくれたな~!」
「なんだピラフか」
なんだピラフか
「もう一度、お前達を牢屋に入れてやる!
今度は簡単に脱出できないように、もっと強力な檻に入れてな!
そして明日、全員を処刑してや」
「やかましい」
『チュドーーーン!』
かなり抑え目のエネルギー波をピラフ一味の足元に当て、連中を空の彼方に吹っ飛す
殺す事も考えたが、アイツらが死ぬとピッコロ大魔王が復活できず、息子のピッコロが原作に現れなくなってしまう
俺は原作好きなので、 ピッコロと悟飯の関係を崩したくない
それに、これからの処理が面倒だからピラフに構ってはやれん
「ちょっとアンタ!私の願い事をどうしてくれんの!?
それよりも願いが、口臭を治せって何をかんがえてんの!?」
「そうだ!俺の願いを邪魔しやがって!」
ヤムチャとブルマが詰め寄ってくれる
子分のプーアルもヤムチャに参戦したいが、バイオレットの腕に抱かれているのでそれは出来ないでいる
…横でスケベな豚が、ニヤニヤとバイオレットのバティを視姦してやがるのが腹立つ
やれやれと俺は、詰め寄る2人を原作同様に意識させるべく、まんまと誘導するのであった
原作の流れもあってかブルマは素敵な恋人を、ヤムチャは彼女を手に入れた
2人は喜びのあまり、手を取って踊っているのが実に微笑ましい
…今は喜んでおけよ、ヤムチャ
「しかし、暗くなって来ましたね~」
プーアルが呑気にそう言うと、みんなが釣られて空を見る
もう夕日は地平線に隠れ、東の空には綺麗な満月が…あ
『…ドクン』
やばい!
「悟空!」
『ドクン』『ドクン』
俺が悟空の名を呼ぶと、全員が尻尾の生えた少年を見る
真円を描く満月をひたすら見入り、身動きしない悟空が『大猿化』した
『グルルルルルァァァァァァァァァァァ!』
「うひゃあああ!」
「何よこれぇ!?」
紫の服を破り、大猿となった悟空は胸を激しく叩いてドラミングし、天に向かって雄叫びを上げた
満月によって呼び起こされたサイヤ人の破壊の衝動に刈られたまま、大猿の悟空は手近な建造物であるピラフ城を潰しに掛かる
殴り、蹴り、突き破り、踏みつけ、噛み砕く
巨石のような大きさの破片が、俺達の周囲にも散らばってくる
「ひぃぃぃぃぃ!」
「悟空!なにやってんだよ!俺達を殺す気か!?」
「グルド!ど、どうしたらいい!?」
「……バイオレット、ちょっとばかり、アイツと闘ってみな」
俺はピラフ城で暴れる大猿を指差しながら、そう伝えると
「え!?私が…アレと闘うの!?」
「大きさに囚われるな、落ち着いてアイツの気を探ってみろ
確かに体はデカいが、気は今のお前と同じ位とみたぜ」
「…う、うん…」
言われ、バイオレットはプーアルをギュッと抱いたまま目を瞑り、意識を大猿に向けた
「……気を高めれば、やれそうだね」
「ん、じゃあプーアルを離してやりな」
バイオレットは、ぬいぐるみのように抱いていたプーアルを離す
「待ってください!
ほ、本当にあの怪物と闘うんですか!?」
「バイオレットなら大丈夫だ
お前はヤムチャとブルマ、ついでにウーロンを連れて離れていてくれ」
「は、はい!」
素早くその場を離れるプーアル
バイオレットは再び目を瞑り、両方の拳を握ると
「はぁぁぁ…!」
彼女の体内エネルギーが全身に満ちだして、力を増幅させる
まだコントロールに慣れてないが、気を高めたバイオレットの戦闘力が130なら、大猿となった悟空は原作通りなら100といった所
さて…数字は彼女の方が上だが、果たして
『ダンッ!』
少しの衝撃と共に飛翔したバイオレットは、凄いスピードで城で暴れる大猿の顔面を目掛け
「でりゃあああ!」
『ゴルガァ!?』
渾身の蹴りを見舞った
「嘘ぉ!?バイオレットさんがあの怪物を」
「け、蹴っちまったぞ
…俺、あの女にセクハラするの止めとこ……」
うむ、それが良いぞウーロン
それにしても、相変わらず美しい蹴りだ
バイオレットの強襲に仰け反る大猿、しかし次の瞬間、彼女に痛恨の平手打ちが炸裂
人間が不意に自分の目の前に虫が現れたら手で払う動きをするように、本能で動く大猿も飛んで来た虫を払ったのだ
戦闘力では勝るバイオレットだが、その体重と単純な力では流石に体格が大きい分、大猿が有利
払われた彼女は空中で急ブレーキ、揺れる意識を精神力で集中させると、再び気を高めて大猿に肉薄する
巨木のような腕を何度も避けて、大猿の顔面を打つバイオレット
敢えて顔面を狙うのは、大猿のボディは硬い獣毛が生い茂っているので、その獣毛の下にある急所を突くのが難しいと彼女は分かっているのだろう
「はぁぁぁぁぁ!」
打撃だけと思いきや、今度は少し離れると連続エネルギー弾を撃ち込む
『グギャアアア!』
不意をつく顔面への気弾の雨霰に、大猿は叫び声を上げる
このまま押し切れると、俺以外の誰もがそう思っただろう
しかしバイオレットは戦闘力とスピードは確かに勝るが、いかんせんガタイが違い過ぎる為に、次第に苦戦を強いられる
すると無我夢中に動いていたバイオレットが、偶然にも大猿の尻尾にしがみ付いた瞬間、暴れていた大猿の動きが鈍った
「見ろ!あの怪物は尻尾が弱点なんだ!」
ヤムチャが叫ぶと自分もバイオレットに加勢しようとするが、初めての実戦に体力はガス欠気味の彼女の力が僅かに緩んだ瞬間、またも大猿が暴れ、その飛んで来た破片がヤムチャに直撃した
うん、やっぱりヤムチャはヤムチャだな
尚も諦めず、ちょこまかと動くバイオレットが正面に来た瞬間、大猿は近距離から特大の雄叫びを上げる
離れていても耳をつんざく程の轟音、それを間近で聞かされたバイオレットは失神してしまう
舞空術が解け、地面に落ちていくバイオレット
地面に激突した彼女を見た大猿は助走をつけて豪快にジャンプ、両足でフットスタンプを狙う
「あ、ああああ!グルド、アンタなんとかしなさいよ!バイオレットさんが、バイオレットさんが死んじゃうじゃない!」
あわてふためくブルマが俺の首を掴んで、ガクンガクン揺らして助けを請う
「ほい来た」
入れ替えテレポート。
『ズズン!!』
バイオレットと立ち位置を交代した俺に、いきなり大猿の全体重がのし掛かった
『…グガッ!?』
「おおっ、流石にちょっと効いた、ぜっ!」
ドン!と下から深々と獣毛のボディに体当たり、膝から崩れる大猿を両手で持ち上げ、そのままピラフ城の上空に浮上
「もう充分、暴れたろ
なら、おねんねの時間だ」
今度は大猿の足の親指を掴み、ジャイアントスイング
『ミスミスミスミス』
それそれ~、回る回る~
回されながらも最初は暴れていた大猿だったが、数分後には完全に意識を失い、それを確認した俺は大猿と共に地上に降り立つのであった
ハサミに化けたプーアルによって尻尾を切られた大猿は元の悟空の姿に戻り、今はウーロンのズボンを履いている
意識が無かった間に周辺がメチャクチャになっていて、生まれついての尻尾も無くなっていた事に流石の悟空も驚きを隠せなかったが、『ま、いっか』で納得して全員をズッコケさせた
何も覚えていなのかと、悟空にブルマ達が聞いてみれば、育ての親に『満月の夜には怪物が現れるから、見てはいかん』と聞かされた悟空は言い付けを守り、満月を見なかったと言う
しかしある夜にトイレで起きた時、偶然にも満月が窓から見え、気が付いたら育ての親である孫悟飯が巨大な怪物に踏み殺されていたと
尻尾は切れたが、悟空には絶対に満月を見せるな。それが俺達の暗黙のルールとなった
そして悟空達は二手に別れる事となった
悟空は故郷のパオズ山に帰り、亀仙人に弟子入りさせてもらって強くなると言い
ブルマは新しいボーイフレンドのヤムチャ、お供のプーアル、ついでにウーロンと共に西の都に帰ると言う
俺達?
西の都にブルマ達を送り、大猿に敗けてしまったバイオレットの傷が癒えてから、聖地カリンを目指す事にした
ブルマの護衛としてバイオレットを説得して、わざわざピラフに捕まったんだ
途中で投げ出したら、バイオレットが変な気を起こすだろ?
それに、初めての実戦を敗北してしまった彼女のメンタル回復もしなくては
「…ごめんねグルド、私…勝てなかった…」
頬のガーゼやら、腕に巻かれた包帯やらが痛々しいが、彼女が最もこたえているのは心のようだ
「な~に、聖地カリンに行けばもっともっと強くなれる
敗北を気にするなとは言わんが、前向きに考える事の方が生産的だぞ?」
「でも…私のせいで聖地に行くのが遅くなるんじゃ…」
「それなら大丈夫、前から博士に頼んでおいたアレが出来上がってる頃だし、そんな傷は直ぐに癒えるマシーンもある
聖地カリンに行くのは、それほど遅くはならないさ、っと」
俺はバイオレットを、ブルマがホイポイカプセルで出した小型の飛行機のシートに座らせ、自分も席につく
既に着座していた面々が、それぞれ騒いでいた
「ヤムチャ様!飛行機に乗れるなんて凄いですね!」
「そうだなプーアル、…この俺が西の都に…き、緊張してきたぜ」
「グヘヘ…どんだけピチピチギャルがいるのか楽しみだ
ブルマの母ちゃんは美人だったら良いなぁ~」
「皆、シートベルトした?
…じゃあ行くわよ!」
ジェットエンジンが唸りを上げると、機体が浮上、俺達は西の都に向かう
「ねぇグルド」
「ん?どうした?」
「マスク、外したんだ」
「あ、ああ、神龍に願いを叶えてもらったから、もう口臭を防ぐ必要もなくなった……変か?」
「ううん、そっちの方が私は好きだな
ちゃんと顔が見れるし」
「おっ、マジか、サンキュー」
「ふふふっ」
お互いに自然と笑みが溢れる
やっぱり堂々と誰かと話せるって、いいよね!
バイオレットも、なんか機嫌が良くなったみたいだし
さて、次は聖地カリンのカリン様に弟子入りだ
待ってろよ…超神水!
大猿悟空VSバイオレットが、本作で初めての『真面目』なバトルとなりました
せっかく亀仙人の所で鍛えて、戦闘力が100の大猿が出てくるんなら、バイオレットを闘わせてみようと考えてこんな話を作ってみました
戦闘力だけなら勝ってたけど、それだけじゃ勝てないのよバイオレットちゃん
それと、ジャイアントスイングの効果音は『ミスミスミス』ですよね♪
前回の感想に、神龍の願いで邪悪龍が、と仰る方が大勢いらっしゃったので調べてみたところ、GTの敵に邪悪龍が出てくるんですね
ゲームで超一神龍という奴がいたのは知ってましたが、他の面々や設定はサッパリでした
どうも今回の願いが原因で、邪悪龍の紅一点が生まれる事になるようですね
わりと残念系の美女らしいので、どうしよっかなぁ
GT、マジで知らないんですよね…
ありがとうございました!