起きたら『グルド』になったので、取り敢えず歯を磨く事から始めようと思う   作:ヘルメット助教授

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誤字脱字ありましたらスイマセン


14話、拳骨

 

「…そういう過去があったのか」

 

「笑いたければ笑え

過去の恐怖に囚われた、この憐れなサイヤ人を」

 

笑えない、全くもって笑えない

 

5才児の子供が父親に訳も分からずボコボコにされて、トラウマにならない奴なんているかよ

 

しかし…

 

「サイヤ人云々より、死の局面で怖じ気付くのは戦士として致命的だな」

 

「……くっ!」

 

う~ん…しかし考えようではラディッツの父親、バーダックはおそらく息子の生存率を上げる為にと、わざとボコボコにした可能性がある

 

惑星を制圧した時も、かなり楽勝だったと本人も言っていたが、ボコボコにされる前の戦闘力で星に送られてたら最悪の場合…

 

だがそれを俺が言っても、コイツは聞く耳を持たないだろう

 

サイヤ人は頑固だからな…

 

「参ったな…戦闘力の底上げや尻尾を鍛える前に、その致命的な癖を直さねばナッパに復讐なんて夢のまた夢になるぞ」

 

フリーザ軍の全員から白い目で見られ、ナッパに殺されかけ、それでも恥を忍んで俺に修行のやり方を乞い、そこから過去のトラウマを話したラディッツ

 

決して順風満帆な人生じゃなく、むしろ落ちこぼれで、今や要らないモノ扱い

 

ただ底辺で生きてきたのはグルドも、中の俺も同じ

 

なんとか協力してやりたい気持ちになったのだが、どうしたもんか

 

第三者の俺の言い分で、コイツが長年こじらせたトラウマは簡単に払拭されないだろう

 

「けっ…では、どうすれば良い?

死んで親父に聞きにでも行くのか?

ナッパに殺されて?

成る程、それは名案だ」

 

……ん?

 

「おいラディッツ、今なんて言った?」

 

 

 

 

 

「オッス、売れないババア

先日ぶりだな」

 

「何度も間違えおって

ワシは占いババじゃ!」

 

またも来ました砂漠の真ん中にあります、占いババの宮殿

 

「おいグルド、本当にここで俺の癖が直るのか?」

 

「直る直る、ついでに戦闘力も上がるしで、一石二鳥だぞ~」

 

ラディッツを占いババの所に連れてきたのは、癖の矯正の為である

 

因みに俺は事前にここに来て婆さんに、ある人物を闘士として呼んで欲しいと頼んである

 

 

 

「……と言った具合じゃ、分かったかの?」

 

「5人の闘士とバトルとは、サイヤ人の俺の敵じゃないな」

 

不遜な笑みを浮かべるラディッツは、次々と出てくる闘士を簡単に蹴散らしていく

 

ドラキュラマン、スケさん、ミイラくん、アックマン

 

分かってはいたが、一撃でKOだ

 

「なんだ、ここの連中は

肩慣らしにもならんぞ?」

 

移動するのが面倒だと、最初の舞台で迎え撃ったラディッツが汗一つかかずに仁王立ちしている

 

占いババも、半ばヤケクソ気味で闘士を呼んでたもんな

 

「はぁ…では最後の闘士じゃ

……出てくるがよい!」

 

「ふん、やっと最後か」

 

来るか……?

 

『…カツーン…』

 

『…カツーン…』

 

宮殿の奥から俺達のいる外に 、誰かが歩いてくる音が響いてくる

 

ゆっくりと、まるで確かめるかのように歩いているようだ

 

「ちっ……」

 

ラディッツの舌打ちが聞こえる

 

「もたもたしやがって…」

 

あ、これはヤバい

 

「さっさと出て来い!

俺を待たせるな!」

 

短気なサイヤ人らしく、ラディッツは強力なエネルギー弾を1発、宮殿の内部に向けて発射

 

『ドゴォォォォン!』

 

爆風と爆音が、宮殿の内部から土煙と共に吹き出て来た

 

「ひぇぇぇぇ!」

「お助けーーー!」

 

占いババも、ピンクの幽霊も悲鳴を上げて逃げ回る

 

宮殿はガラガラと崩れだし、あっという間に半壊してしまった

 

「おいラディッツ!

やり過ぎだぞ!婆さん達を巻き込む気か!?」

 

「けっ、ちんたら歩いて来る奴が悪い

それに、もう終わったろ?」

 

悪びれる様子もなく、ラディッツは崩れかけの宮殿を見て勝ち誇った

 

最後の闘士が歩いて来る筈の廊下が、完全に瓦礫に埋もれている

 

これでは、普通の闘士なら死んだと思うだろう

 

そう…普通の闘士なら

 

 

 

『何が、終わったって?』

 

とてつもなくドスの効いた声が、崩れかけの宮殿の中から確かに聞こえてきた

 

「ぬ、ぐっ!?

な、なん……なんだ、この悪寒は……!?」

 

おお……瓦礫が、簡単に吹き飛んでいく

 

そして粉塵の向こうに揺らめく影は……!

 

『てめぇ…誰に喧嘩売ったのか、分かってねぇな』

 

「ま、まさか……この声は」

 

おお…おお…

 

「荒めの折檻が必要だな、糞ガキめ…」

 

「お、親父!?」

 

たった1人でフリーザに闘いを挑んだサイヤ人、ラディッツと悟空の父親『バーダック』が、宮殿の中から出てきた

 

あかん…もう泣きそう

 

バーダックだよ

 

悟空と瓜二つの黒髪つんつんヘア、頬には十字傷、タンクトップのような緑色の戦闘ジャケット、腕と脛には赤いサポーター

 

仲間の血で染まった鉢巻はしてないが、確かにあのバーダックが目の前に居る

 

「親父ぃ?……俺にはテメーみたいな、腑抜けた攻撃するガキはいねぇな」

 

「腑抜け……だと?

……『ダブルサンデー!』」

 

『ドゴォォォォン!』

 

「ぎゃああああ!」

 

先程よりも更に激しいエネルギー波によって、完全に占いババの宮殿は吹き飛んだ

 

くそ!巻き添えを食らった婆さん達にバリアを張って保護をする、こっちの身にもなりやがれ!

 

「へ、へへっ…ざまあ見やがれ」

 

「誰がだ?」

 

「な……ぐおっ!」

 

いつの間に背後に居たバーダックが、ラディッツの背中に強烈な蹴りを入れて吹っ飛ばす

 

今度はラディッツが宮殿の瓦礫に埋もれる番だ

 

「お前…てんで弱いな

サイヤ人の面汚しめ…その尻尾は飾りか?」

 

ガラガラと音を立て、ラディッツが瓦礫から這い出てくる

 

「サイヤ人の面汚し…、弱い…、うるせぇ…うるせえぞ!クソ親父がぁぁぁぁぁ!」

 

激昂と共に飛び出したラディッツ

 

それを迎え撃つバーダックはラディッツの攻撃を易々と避けると、がら空きの腹に高速の膝蹴りを入れ、無防備な顔面を掴んで上空へとジャンプ、もがくラディッツをそのままに、円形の舞台に叩き付けた

 

豪快に割れた舞台

 

頭から血が出ても、まだだとラディッツは立ち上がり、バーダックにラッシュを打ち込む

 

怒りが恐怖を忘れさせているのか……それとも

 

ラッシュの合間、拳を引くタイミング、その僅かな一瞬をバーダックは見逃さずに重い一撃を当て、ラディッツの攻撃を封殺した

 

「おら来いよ、なんせ久々の娑婆での戦闘なんだ

もっと俺を楽しませろ、この弱虫小僧」

 

「……っ!?

くそっ、くそっ…!

くそぉぉぉぉ!」

 

煽られたラディッツが悔し涙を流し、泣きながらバーダックに立ち向かう

 

それでもラッシュを繋げ、そこからバーダックを強打で上空に打ち上げると、片手にエネルギーを溜め

 

「『サタデークラッシュ!』」

 

上空のバーダックは避けもせずに、それを受けきった

 

直撃し、そして煙が晴れると

 

無傷のバーダックがいた

 

「今のがテメーの全力か?

驚いたな、『あの頃』から大して変わってねぇ……」

 

『ギロリ』

 

浮上した状態で見下ろすバーダックの眼力が、いや気配が変わった

 

来る…終わらせる気だ

 

「泣き虫で、」

 

高速で距離を詰め、ラディッツの顔面に右ストレート

 

「弱くて、」

 

あまりの威力に、後ろに下がったラディッツを空中に蹴り飛ばし

 

「チョロチョロと鬱陶しい、」

 

吹き飛ぶラディッツに一瞬で追い付くと、更に重いアッパーで高々と打ち上げる

 

「アイツも、どうしてこんなガキを産みたかったんだか」

 

またも一瞬で後ろに回り、ラディッツの首に腕を回してのスリーパーホールド、ギリギリと締め上げる

 

「死んでアイツに詫びて来やがれ」

 

既に意識のないラディッツから離れ、ダブルスレッジハンマーで叩き落とす

 

真下は砕けた舞台

 

そのまま墜落したら、いかに頑丈な戦闘民族サイヤ人でも死は免れない

 

「よっと!」

 

俺は勢いよく落下するラディッツを抱き止め、地面に下ろす

 

意識のないラディッツ、死んでないよな

 

息は……ある

 

とりあえず、仙豆を食わすか?

 

いや、まだ仙豆の存在がフリーザ様に知られるのは不味い

 

となれば、やはりメディカルカプセルに

 

「テメーのその外見、確かギニュー特戦隊のグルドだな」

 

うおっ、後ろから声を掛けてくる猛獣の圧がヤバい…

 

「フリーザのクソ野郎の下で働く野郎は、どいつもこいつも俺の…サイヤ人の敵だ」

 

『ブォン!』

 

「うっ!」

 

打ち下ろしの右を何とか回避し、バックステップで距離を取るが

 

「逃がすか!」

 

速い!

そして、重い!

これがバーダックか!

 

「この、負けるかっ」

 

やってやる!

闘いの最中に気を高めるのは難しいが、出来ない芸当じゃない

 

「うおおおお!」

 

「くっ、この野郎、段々、打ち込みが強く……」

 

元々の戦闘力は五分、しかし地球で修行を積み重ね、気を高められる俺は、バーダックをじわりじわりと圧倒しだす

 

「調子に、乗るな!」

 

でかい顔を両手で捕まれ、顔中に怒濤の膝蹴りを浴びる

 

「くぅ!」

 

「ここだ、おら!」

 

顔の痛みで眼を瞑った俺にエネルギー波が来たのを、眼ではなく本能が悟る

 

「っ!」

 

「なっ!?あれを避けただと!? 」

 

亀仙人の下で、くる日も目隠しをしていた甲斐があった

 

「眼は見えなくても、俺はやってけるだけの修行を積んだ

このまま行くぜ!」

 

4つの眼に頼らず、相手の気配を読みながら闘う

 

とてつもなく集中力が必要となる技法だが、サイコキネシスや金縛りなどでエネルギーを消費しない分、そっちにエネルギーを回せる

 

この闘いで超能力は使わない

 

理由?知るか!

 

バーダックとは、拳でやり合いたいんだよ!

 

『ドゴォ!』

「くぬぅ!」

 

俺の手足の短さは、超接近戦には有利

 

頬に一撃を貰いながらも体を滑らせてバーダックの懐に入ると、そのボディにピストンパンチ

 

バーダックの戦闘ジャケットにヒビが入り、砕けていく感触が打撃を通して伝わる

 

「ぬぐぐっ!うぉら!」

 

調子にのって引き際を逃した為に、俺は膝と肘のサンドイッチを食らうと意識が軽く飛んだ

 

あ、ヤバい

 

気配を読めなくなった瞬間、頭に強烈な一撃を貰った

 

落ち、落ちてる!

 

何とか空中でブレーキを掛けるが、今度は腹部にスピードと体重の乗った蹴りを食らい、その体勢のまま俺は地面に激突

 

「ぷるへぇ!」

 

腹を蹴ったままの脚が槍のように突き刺さった感じと、魂が口から出るような衝撃

 

は、早く立たないと、次の攻撃が……

 

あっ、空にヤバい気の塊が

 

「吹っ飛ばしてやるぜ…

これで、最後だぁぁぁぁ!」

 

俺は体の痛みも忘れて立ち上がると、両手でソレを受け止めたが

 

つ、潰れ、る……

 

腹を蹴られた事で、全身に力が入らない

 

このままじゃ、マジで、死ぬ

 

あっ……

 

『ドン!』

 

押し切られると思った瞬間、真横から誰かに勢いよく押され、俺は砂漠に突っ込んだ

 

「ぺっ……ぺっ

一体、何が……」

 

眼を開けて見ると、俺が居たであろう場所にはポッカリと、デカいクレーターが出来ていた

 

あそこに居たら、間違いなく死んでたな……

 

ん?バーダックは?

 

それに、誰が俺を助けて…

 

「あっ……」

 

空中でバーダックが、その手にラディッツを掴み上げていた

 

さっきまで意識を失っていたラディッツが、まさか……俺を?

 

あのバカ野郎、テメーの方が重傷だろうに!

 

「ぬぅぅぅぅ!」

 

俺は残った力で立ち上がり、気を高めると

 

「バーダック!」

 

そう叫んだ俺は、再度バーダックに闘いを挑んだのであった

 

 

 

 

 

「おもしれぇ奴等だ、生かしといてやる

更に強くなって、また掛かってこい」

 

俺とラディッツが即席タッグで挑んでも、ボロボロな状態では到底バーダックは倒せず、彼は最後にそう言って魂となり、消えた

 

「くそぉぉぉぉぉ!

くそったれ!くそったれ!」

 

吠えるラディッツが地面を殴り続け、俺は無言

 

バーダックを占いババに呼んでもらい、ラディッツのトラウマを克服させるつもりが、俺も打ちのめされた

 

戦闘力は俺が完全に上まっていた筈なのに、バーダックの格闘センスが桁違い過ぎて…あしらわれた

 

悔しい…

 

「おい、ラディッツ」

 

「はぁはぁ……何だ」

 

「傷を治したら、バーダックにリベンジするぞ」

 

「ふんっ!当たり前だ!」

 

「その前に、じゃろうが!」

 

振り向けば、宮殿を破壊されて真っ赤な顔で怒る、占いババが居た

 

あちゃ~、忘れてた

 

その日から俺とラディッツは、6ヶ月も宮殿の復旧を手伝わされる羽目になったのである

 

 

 

そして6ヶ月後、俺達はリベンジマッチをする事になった

 

ただし、宮殿から離れた砂漠に円形の舞台を運ばされ、そこで闘えと命じられてだが

 

前回のバーダックとの闘いで戦闘力を上げたラディッツと、復旧の合間にスパークリングで実戦経験を積んだ俺

 

 

 

さあ来いとバーダックを待つ

 

しかし、その前に一応の流れとして、4人の闘士が舞台に現れたのだが…

 

「ぐふふっ、久しぶりの生身で闘えるとは、あー!たまんねぇな!」

 

「テメーの太った体でも、やはり恋しいのかよ?

はっはっは」

 

「むしゃむしゃ……」

 

「あんたバーダックの息子だってね、悪いけど手加減するなって言われてるから、遠慮なく行くよ」

 

パンブーキン、トーマ、トテッポ、セリパ

 

バーダックの仲間のサイヤ人が、今回の俺達の相手……だと?

 

マジか?




バーダックとの闘いを書いてる時は、『ソリッドステ○トスカウター』を爆音でかけてます

はい!バーダックと仲間達を出しました!

ラディッツを出す時点で、バーダックを出すのは既に確定してましたから、とても楽しく書けました

今回のバトルでは、サイヤ人の闘いが間近であるのに、宮殿が無事な訳がないと存分にぶっ壊してやりましたが、6ヶ月の復旧はやり過ぎたかな?

半年も無駄にしちゃったZE☆

因みにラディッツの戦闘力は今回バーダックにボコられて2100から、2900にアップしてます

中身がオッサンのグルドにオヤジが負ける訳がないと、かなり贔屓してみましたが…如何でしたか?

グルドがバーダックに殺されなかったのは、ラディッツがグルドを庇ったからです

殺す価値もないと思ったのか、それとも久しぶりの闘いで本能が相手を求めたのか、仲間意識を見て自分や仲間の事を思い出したのか

まだ定かではありませんが、もう少し闘えるなら生かしておいてやるか。的な考えだと思います

オヤジの性格なら、殺意はフリーザ本人に向ける筈でしょうし

ありがとうございました!

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