起きたら『グルド』になったので、取り敢えず歯を磨く事から始めようと思う   作:ヘルメット助教授

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誤字脱字ありましたらスイマセン


16話、バイオレットとカリン様

散々に暴れ、散々に喰らい、満足したバーダック達と別れると天下一武道会の開催まで、ラディッツとの修行を再開する

 

たった1日だけだったが、瀕死になったら治療を繰り返したラディッツの戦闘力は、俺のフルパワーと同じ2万に到達したと思う

 

スカウターは全部壊れてしまったが、俺のフルパワーが2万だとトーマが言ってたし

 

なにより、ラディッツを含めた1人1人が俺と互角になっていた

 

最終的にはバトルセンスの違いか、やはりバーダックが俺達の中で抜きん出ていた印象を受ける

 

それにしても、やはりサイヤ人は羨ましい

 

激戦を潜り抜け、死にかける度に強化されるなんてさ

 

ただ、無い物ねだりしても仕方がない

俺には俺の鍛え方があるのだから

 

 

 

「よし、今日もやるか」

 

「おう」

 

バーダック達と別れても、俺達のすることは何も変わらない

 

朝起きて飯を食い、宇宙船の一階、重力トレーニングの部屋で修行をする

 

全身に負荷を感じる前に、各々で準備運動とストレッチで体をほぐし、整ったら重力を増加させた状態でバチバチに殴り合う

 

重力は『50倍』に設定、気弾等の遠距離技は無し、超能力無し、インターバル無し、負けた方が2人分の飯を調達し、勝った方は休んでて良し

 

使い走りは御免だと、俺達はマジで殴り合う

 

因みに蓄えていた食料は、残らずバーダック達(主にトテッポ)に食われ、食料庫は空にされた

 

無いなら買えば良いと思うが、サイヤ人の胃袋を考えると一束のゼニーだけでは心許ない

 

だがサイヤ人ラディッツの性格上、バイトは不向きだ

 

賞金稼ぎも考えたが、島の回りは海しかないわ、そもそも街やら人やら賞金首を探すのが面倒だわで、結局は頓挫した

 

仕方なく調達と言う名の狩りで、巨大な魚や野獣を仕留める毎日である

 

 

 

そんな事を繰り返し、半月が経過

 

日に日に重力を上げ、強くなっていく俺達

 

強者とのバトルでトラウマが完全に克服され、戦士として生まれ変わっただけでなく、戦闘力はベジータをも超えたラディッツは、サイヤ人の特殊能力で俺やドドリアを上回る日が割りと早く訪れるだろう

 

ラディッツを幼い頃、何故バーダックはボコボコにしたのか、その理由はバーダック達との打ち上げで判明した

 

酔いが回り、いつもより口が軽くなったトーマにそれとなく聞いてみれば、彼曰く、単純にラディッツの母親が息子の身を案じ

 

その妻の心配する姿を見たバーダックが、ラディッツを強化する目的でボコボコにしたらしい

つまり、俺の見立ては正しかった訳だ

 

まぁ、そこからラディッツがバーダックに、そういった事は口で言え口でと怒り

 

バーダックも、うるせぇクソガキとラディッツの顔面にワンパン

 

それがゴングとなり、宴の上空で2人は本日最後の親子喧嘩を展開、地上の俺達を楽しませてくれたっけ

 

占い婆に連れられ、あの世に向かう寸前まで2人は闘ってたな

 

あれも一種の親子関係の現れ、なのかもしれん

殺気は感じられなかったし

 

『死んだら、あの世でも闘おうぜ』

 

そう言ってバーダック達は魂となって消えれば、何処と無く寂しげなラディッツの横顔が残った

 

あいつは結局、最後まで親父から名前を呼んで貰えなかったな……

 

 

 

 

だが、それはそれ

 

俺は残り少ない滞在期間に、戦闘力をジース達と同じ5万に上げねばならず、誰かの過去を省みる余裕は無い

 

界王拳なしでは戦闘力を爆発的に上げる方法は無く、そこはやはり地道な修行を重ねるのみとなる

 

もし滞在リミットが来ても、ナメック星に向かう悟空のように宇宙空間を移動しながら、ギリギリまで修行をして強くなれば良い

 

重力トレーニングの最大値は200倍、その空間で自在に動けるようになれば、俺の戦闘力はどこまで上がるのか楽しみだ

 

ギニューに匹敵する程になってれば、フリーザ様も満足だろう

 

そしてもう1つの楽しみは、バイオレット

 

彼女は今、何をしているだろう

 

あと1ヶ月と半分で天下一武道会だが、もう超聖水を飲んでいるのか?

 

 

 

 

 

 

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視点切り替え≪定点カメラ≫

 

 

 

 

 

「……ックシュン!」

 

カリン塔の頂きにて、バイオレットは調理をしながらくしゃみをするが、直ぐに気を取り直して包丁を動かす

 

まな板から発せられる規則正しい音と、味噌汁の鍋と釜が煮立つ音がカリンの調理場に響く

 

 

 

「さて……と

カリン様~、朝御飯が出来ましたよ~」

 

バイオレットがそう言うと、上の階層で地上を眺めていた仙猫カリンが下層に降りてきた

 

「にゃほほ~、飯じゃ飯じゃ

ほぅ…今朝はサンマのフライか」

 

「つまみ食いは駄目ですからね、先に手を洗って来て下さい」

 

「うむうむ」

 

ちゃぶ台に用意された朝食、1人と1匹は互いに向かい合うと、声を合わせ、いただきますをした

酷くのんびりしているが、別にバイオレットは修行を放棄した訳ではない

 

既に超聖水は1ヶ月前に飲んでいるのだ

 

5ヶ月の攻防でバイオレットはカリンの手から超聖水を得て、その真意を理解している

 

師匠である亀仙人が3年、バイオレットは5ヶ月

 

グルドとの組手を重ねてきた甲斐があったと、後でバイオレットはそう漏らしているが

 

ただやはり、3日で超聖水を飲んだ悟空は流石サイヤ人と言えよう

 

 

 

バイオレットが超聖水を飲んでもカリンの元に留まっているのは、単に行く宛てが無く、もしもグルドと合流する必要が出来た場合、勝手に動けば探すのが互いに面倒だから

 

まして最近までグルドは、ラディッツやバーダック達といったサイヤ人とのバトルの真っ最中で、行けば巻き添えを食らうとカリン自身が止めており

 

宛がないなら、天下一武道会の開催までここで修行すればよかろう?と提案される

 

それもそうかと彼女は納得

 

更に食料の調達やバイトに行くのに舞空術を使わず、毎日このカリン塔を登り降りし、聖地カリンを走破し続ければ、それも修行にもなるぞとも付け足される

 

こうしてバイオレットの日常は、朝起きて料理をして飯を食い、そこからバイト先に走って移動

日当を貰うと昼過ぎに戻り、カリンとの修行に精を出し、街で買った食材を料理して食べ、寝る

 

毎日、凄い勢いで塔を登り降りし、森を爆走するバイオレットの姿を見る、守り人のボラとウパの心境はいかばかりか

 

6ヶ月半も空気の薄いカリン塔の頂きで修行や、生活してきたバイオレットからすれば、もう塔の登り降りは呼吸をする位のモノとなっていた

 

森を走破するのも、空気が濃い地上の森では、一切息を乱す事なく走り抜ける

 

 

 

彼女の修行内容は少し特殊で、カリンの首に下げた御守りを掴んだら、バイオレットはカリンを抱き枕にしても良い権利が与えられる

 

…何の事だか分からないが、とにかく動物好きな彼女はヤル気満々であり、付き合わされるカリンはカリンで逃げる気満々

 

中々に白熱した修行光景らしい

 

 

 

「カリン様、7ヶ月もの期間、私に修行をして下さり、誠にありがとうございました」

 

「行くのか…達者での」

 

南の都での開催まで、残り半月となり

 

移動も考えれば、もうそろそろとなった頃

 

バイオレットはカリンに礼を言い、旅立ちの挨拶を済ますと、塔を降りた

 

カリンとしては、バイオレットに

『筋斗雲』を授けるつもりだった

 

良心を持つ彼女なら乗りこなせるとカリンは見たが、本人が走って行くと言うので、仕方なく仙豆を授けるのみに留め

 

筋斗雲は、次にバイオレットが来たときに授ければ良いとした

 

 

 

そうしてカリンはいつものように上の階層に上がり、下界を眺めれば、遥か彼方にある巨大な2つの気が、今日もブツかるのを肌で感じ取る

 

実はカリンは初めてグルドが地球に飛来した時から、逐一監視をしてきた

 

なにしろ戦闘力が最大で数百の世界に、1万の怪物が現れれば監視をするのは当然である

 

グルドが動く度に、カリンは冷や汗を垂らした

 

RR軍を壊滅させた時、ラディッツと邂逅した時、初めてバーダックが現れた時、5人のサイヤ人が暴れた時と、カリンはどの瞬間も見ていたが、グルドとサイヤ人が暴れた時が特にヒヤヒヤしたらしい

 

1日でグルドに匹敵する者達が次から次へと現れれば、地球の終わりだと覚悟を決めたりもした

 

ただグルドは、フリーザという巨悪の下で働く完全な悪者かと思いきや、かつての弟子である亀仙人に弟子入りしたり、バイオレットを鍛えたり、口臭を直したり、然り気無く都の危機を救ったりと、とにかく理解不能な動きもする

 

そこはグルドの体に、別の魂が憑依しているのが最大の理由だと見る

 

(奴の魂に邪念は無い……しかしその体に残る記憶を見たときの、奴の背後に居た悪の気配が恐ろしい

あれほどの悪の気配は、かつての

ピッコロ大魔王の比ではない

う~む…)

 

地球の管理者である『神様』に相談するという手もあるが、もはや神様の力を軽く超えるグルドとラディッツの存在に打つ手があるのか?という考えに至る

 

(あのグルドを導ける存在が近くに居り、そこから流れが僅かにでも変われば、もしかしたら地球や宇宙も少しは救われるかもしれん

バイオレット…あの娘ならば、あるいは)

 

だがそこで、バイオレットの過去を思い出す

 

RR軍によって故郷を破壊され、肉親や知人を苦しめられた娘が、果たして巨悪の下に向かう事が出来るのか?と

 

幾ら好意のあるグルドと行動を共にするとは言え、これは無理かもしない

 

だが、グルドをこのまま悪の下に返せば、事態が良くならぬは確実

 

ましてグルドには、本能的に長いものに巻かれる気質がある

 

「ここで悩んでいても、仕方なしか…」

 

カリンは顔を上げると、遥か上空に意識を飛ばし、神様の遣いに連絡を取るのであった

 

 

 

 




Dr.ウィローの戦闘力は2万近くなのですが…まぁアレは冷凍状態の上に、地球最強が亀仙人だと勘違いしてる変な科学者なので、別に出さなくても良いですよね?

出しても、既に戦闘力が2万を超えているグルドとラディッツに瞬殺されるでしょうし

キシーメ、ミソカッツン、エビフリャーのファンの皆様、申し訳ありません

カリン様には、バイオレットがグルドに問題なく付いて行けるように根回しをして貰おうと思います

これといって思い付いてませんが!

どなたかオラにアイディアを分けてくれぇ。切望

次は天下一武道会の予定です
グルドもラディッツも参加はしませんし、大会の流れもそんなに変わらないと思いますので、あまり期待しないで下さいませ

ありがとうございました!

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