起きたら『グルド』になったので、取り敢えず歯を磨く事から始めようと思う 作:ヘルメット助教授
『皆さーーーん!お待たせしました!
只今より、天下一武道会の本選を開催致しまーーす!』
金髪のオールバック、黒のグラサンに黒のスーツを着た、実況・解説・呼び出しを全て1人でこなす天下一武道会の名物ナレーターが高々に宣言
爆発的な盛り上がりを見せる客席から、俺はウーロン達と本選を待っている状況だ
俺達の位置は言わずもがな、最前線
ナレーターがルールの説明をしているが、俺はランチさん(凶暴)が銃を上空に撃ちまくり、モーセの杖のように人込みが開いてた時に、警察は何で来ないんだろうと不思議に思っていた
あと何でブルマが、俺達と一緒に居ないんだ?
もう本選が始まっちまうのに
『早速参りましょう!
第一試合!クリリン選手対バクテリアン選手!』
うおっと、始まるらしい
何してんだよブルマ、早く来ないとクリリンの勝ちを見れないぞ
寺院を改造した本殿から、剃髪の少年が舞台に出て来る
亀仙流の道着を身に纏う、クリリン
……うん、クリリンだ
そして……うっぐ!
く、臭ええええ!
バクテリアン、まじバクテリアン!
『勝者!クリリン選手!』
「いいぞぉ!クリリン!」
原作同様に『他人の屁は臭かった』で勝利したクリリンの試合内容は、俺の記憶通りの展開だったので特に驚きは無いので省く
これでクリリンは準決勝で、亀仙人が扮するジャッキー・チュンに
『第二試合!
ナム選手対、ジャッキー・チュン選手!』
……あれ?
ヤムチャは?
万年一回戦負けのヤムチャは?
んんん???
長身の男が本殿から出てきた
インドの苦行僧のような衣装に、頭にはターバンを巻いた褐色肌の、ナムさん
うん、ナムさんだ
悟空相手に接戦した、ナムさんだ
いや、いやいや!
ナムさんの出番はこの後で、お色気担当のランファンにタジタジ、いや…そんな事はどうでもいい
これは一体どうなってやがる!
「おいウーロン、ヤムチャは来てないのか?」
俺は同じく最前線で本選を見る豚の妖怪に、ヤムチャの所在を尋ねる
カプセルコーポレーションで居候をするウーロンなら、ヤムチャの事を知ってる筈だ
「は?知らねぇの?
ヤムチャのヤツは予選で敗退したってよ」
「予選で、敗退?」
「しかも結構な怪我して、ちょっと遠くのデカい病院に入院したって
そんでブルマは彼氏のヤムチャが、看護婦さんに浮気しないか不安だから付いてってる」
「へ~……」
「ま、おめーは本選開始の時間ギリギリに来たからな
知らないのも無理はねーか」
「……」
入院は次回の天下一武道会で、天津飯に脚を折られた時じゃ…
まてよ…ナムさんがヤムチャの本来のエントリー枠で出るのなら、ナムさんがボコボコにした相手って事になるんじゃないか?
……まさかヤムチャよ、お前は天津飯の時みたいに、初対面のナムさんに中指を立てたんじゃあるまいな?
…ヤムチャしやがって…
『勝者!ジャッキー・チュン選手!』
ありゃ、終わってしまったか
気付いたら第二試合は終了しており、ナムさんが場外に出ていた
彼は心底悔しそうだが、まぁ…ナムさんは勝とうが負けようが結果は変わらない
早くホイポイカプセルに水を沢山入れて、村に持って帰ってやりなさいな
それにしても変だぞ
ヤムチャが本選に出てなかったり、ナムさんが第二試合に出てたり
これは、もしやバイオレットとアイツが
『第三試合!
バイオレット選手対、桃白白選手!』
……何?桃白白だと?
今、コールされた桃白白は、あの桃白白か?
ーーえっ!?
ーーた、桃白白だって!?
ーーあの世界一の殺し屋が天下一武道会に!?
俺と同様に回りの客も、桃白白の名前に驚いている
それもその筈、なにせ世界一の殺し屋の名は、原作ではどんな辺境の村にも轟いていたのだ
1人殺すのには法外なゼニーが必要だが、その実力は地球人の中では確かで、少年時代の悟空を一度は倒している強豪
ーーうわっ!出てきたぞ!
誰かが叫ぶと確かにピンク色の中華服に、『殺』のワンポイントをあしらった服に身を包んだ男が舞台に上がり、客席を鋭い視線で睨みつける
その気配はまるで、抜き身の日本刀のようだ
桃白白の出で立ちに客は固唾を飲むも、奴の闘いが間近で見れると期待しており、誰もその場から逃げようとしない
……こいつら
『あ、あの桃白白選手、申し訳ありませんが、ルールの再確認をさせてもよろしいですか?』
怯えながらも、ナレーターが改めて桃白白にルールの説明をする
殺しと、武器の使用は厳禁
相手をノックアウト、もしくは場外で勝ちとなる
奴も本選まで勝ち残ってきた以上、ルールは分かっている筈だが……まぁ肩書きが世界一の殺し屋だし、そこはな
「分かっておる、早く始めろ」
『と、ところで桃白白選手は、どうして天下一武道会に出場しようと思ったのですか?』
ナレーターが至極最もな質問をする
成る程、それは俺も気になる所だ
「ふん…来年の『殺し屋さん二十周年記念の半額キャンペーン』の告知だ
なにせRR軍が壊滅して顧客が減ってしまってな、天下一武道会にでも出て優勝すれば、この桃白白の名前と実力が庶民にも広まると思ったのだ」
『は、はぁ、では健闘を期待してます』
殺し屋さん二十周年キャンペーン、あ~原作でもそんな事を言ってたな、この人
「ところで……相手が居らんようだが?」
桃白白は本殿を睨む
『バイオレット選手、早く舞台に上がって下さい!
でないと棄権とみなしますよーー!』
ナレーターもバイオレットの登場を催促しだす
どうしたバイオレット、まさか君の身に何かあったのか?
「怖じ気づいて逃げか、まぁ仕方あるまい
この桃白白が相手なのだからな」
ーーざわざわ……
バイオレット、どうした
「おいおい、グルド
バイオレットの姉ちゃん、出てこないじゃねえか
俺はあのおっぱいと尻を見に、こんな大会を見に来たんだぜ!?
これ以上、むさいオッサンの闘いなんて見たくねぇぞ!」
「うるせーんだよ」
「ぐぇ!」
ランチさん (凶暴)のエルボーが、ウーロンを黙らす
「けっ、あのバイオレットって娘はブルマと一緒に、ヤムチャってヤローを担いで病院に送ってったよ
馬鹿な娘だぜ、本選に間に合わないかもしれないって分かってたらしいのによ」
そうなのかバイオレット…、君らしいな
「いつまで待たせるつもりだ?
相手が逃げたのなら、私の勝ちだろう?」
「誰が逃げたって?」
紫色のショートヘアー、バイオレットが上空から飛来した
すると男衆の視線が、一斉に彼女に降り注ぐ
スポブラに強調された豊かなバスト、ヘソだしのタンクトップから覗く引き締まった腹筋、プリンプリンのホットパンツに美しい生足
欲情に満ちた視線が、彼女の肢体を犯しているのが分かる
ウーロンも復活し、涎を垂らしてら
ん?本殿の影に涎を垂らす、ジャッキー・チュンの姿も見えるな
オーケー、後で殴る
バイオレットはどうやらカリン様の所で超聖水を飲んだみたいで、何処と無く雰囲気が違う
原作では超聖水を飲んだ悟空は桃白白を圧倒したが、それはサイヤ人の特性とカリン様の修行をした悟空だから出来た結果で、いくらカリン様の修行を受けたといっても地球人である彼女に、桃白白が倒せるのかは俺にも分からない
彼女に、やれるのか?と意思を飛ばす
気付いたのか、バイオレットは俺を見て微笑んだ
可愛い……
じゃなくて、彼女はやる気のようだ
「亀仙流、バイオレットが相手だ!」
「ほぅ……」
構えるバイオレットに対し、桃白白は後ろで手を組んで迎える
『それでは第三試合、始め!』
「はぁ!」
開始の合図と共に、バイオレットが桃白白に迫る
まずは戦闘力を上げず、ナチュラル・パワーで挑むようだ
素早い連続の突きや、相変わらず美しい蹴りが桃白白を襲うも
奴はヒョイヒョイと避ける
腕は相変わらず後ろに組んだままで、余裕の表情
「ふんっ」
今度は桃白白の番のようだ
下段蹴り、中段蹴り、上段蹴り、変則の蹴りがバイオレットに迫る
しかし彼女も顔色を変えずに、捌いたり、受け止めたりしている
普通の人間ならば文字通り、即死級の桃白白の蹴りをだ
互いに決定打を与えられず、3分ほどは拮抗状態が続く
「小娘……中々やるが、その程度の腕では私を倒すどころか、両手を使わせる事も出来ぬぞ?
本気を出すが良い」
汗1つかかずに、桃白白はそう言う
「なら、望み通り本気をみせてあげる
……はぁぁぁぁぁ!」
おっと、バイオレットが気を高めだした
どれどれ……おお……やるな、これで戦闘力は五分五分だぜ
「はっ!!」
舞台を強く蹴ったバイオレットが突進、桃白白の横っ面を殴った
「ぐむっ!?」
殴った勢いのまま体を上手く回転させ、浴びせ蹴りを放つバイオレット
しかし桃白白は片手で彼女の脚を受け止め、残る片手で体重を乗せた掌底を放ち、彼女を場外ギリギリまで吹き飛ばす
「両手、使ったね」
「ふん……」
「次は本気を出させてあげる!」
「面白い……やってみろ」
「この小娘め…手間をかけさせおって…」
「……」
気弾の嵐からの怒濤のラッシュ、そして狙い済ました『かめはめ波』を桃白白に放ったが、その前に桃白白の必殺技『どどん波』を食らっていたバイオレットに、本来の力やキレは無かった
どどん波を食らっても、バイオレットが相手なら大丈夫だと思ってか、桃白白の力の匙加減も相当なモノだ
下手したら彼女は死んで、ルール違反で桃白白の敗退が決定する
まぁ…バイオレットを殺しやがったら、俺が桃白白に地獄を見せてやるのだが……
桃白白の必殺技を食らい、頼みのかめはめ波を両手で防がれ、体力も気力も底を付いたバイオレットはキツい一撃を無防備で食らい、意識を失った
糸の切れた操り人形のように、舞台に倒れた彼女を見た俺は咄嗟に叫んだ
「立つんだバイオレット!
お前ならまだやれる!
頑張れ!桃白白を倒してみろ!」
これまで黙っていた俺が叫べば、彼女の体が強張り、何とか立ち上がろうとするが無情にもナレーターが、ダウン・カウントを数え終わってしまった
『バイオレット選手、ノックアウト!
よって勝者・桃白白選手!』
「当然だじょーー」
意気揚々と本殿に戻っていく桃白白、奴とは正反対にバイオレットは担架で運ばれていく
それでも客席からは世界一の殺し屋を相手に善戦したバイオレットに、盛大な拍手と喝采が送られる
しかし、4つの眼を持つ俺には見える
運ばれて行く彼女が悔しさのあまりに体を震わせ、涙を流しているのを……
ジャッキー・チュンこと亀仙人も、彼女が通り過ぎる間際に何か言っていた
「おいグルド、あの娘に会いに行かねーのか?
おめーの大事なスケなんだろ?」
ランチさん(凶暴)が言ってくる
今はガサツだが、意外と勘の良い所もあるんだよな
「今はそっとしておいた方が良い
人目があっては、流すものも流せまいて
どのみち次の試合が終われば、今日の試合は終わりだからな」
「ふ~ん……」
俺としては直ぐにバイオレットの所にいき、あの桃白白に肉薄して両手を使わせ、『どどん波』まで引っ張り出した事を素直に誉めてあげたい
だが、彼女は闘士だ
今回の敗戦で挫けるような、柔なハートじゃないのは俺がよく知ってる
信頼ってヤツだ
『続いて、本日最後の闘いになります!
第四試合、孫悟空選手対、ラディッツ選手!』
ラディッツは出さないと言ったな、アレは嘘だ
バイオレットVS桃白白の闘いは、もう少し掘り下げても良いかと思いましたが、この位が妥当かなと判断
クリリンとバクテリアンの闘いは概ね原作と同じ
ナムさんは亀仙人からホイポイカプセルを貰い、水を持ち帰ってます
ヤムチャを病院送りにしたのは勿論、桃白白で
流れとしましては、予選で合ったヤムチャが対戦相手の桃白白に
『あんたが世界一の殺し屋だって?
はん!消えろ!
ぶっ飛ばされん内にな』
中指を上げてポージング、からの桃白白にボコボコです
ありがとうございました!