起きたら『グルド』になったので、取り敢えず歯を磨く事から始めようと思う   作:ヘルメット助教授

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誤字脱字ありましたらスイマセン


19話、戦士達の休息

夕刻、大会初日が終わり、原作最初の天下一武道会は明日、準決勝と決勝を残すのみとなる

 

俺とウーロンとランチさん(凶暴)の観客組は、大会に出場していた悟空・ラディッツ・クリリン・亀仙人・バイオレットの選手組と合流すると、タイミング良くメディカルカプセルで回復したヤムチャを連れて戻ったブルマ達と共に、仲良く飯を食いに行く事になった

 

 

 

……のだが

 

「「ガァツ!ガァツ!」」

 

『…………』

 

「「バリバリバリバリ!」」

 

『…………』

 

「「ゴクゴクゴクゴク」」

 

『…………』

 

「ソボボボボボ!」

「ガモ…」「ナポッ」

「バリバキ」「メリィ…」

「カチャカチャカチャカチャ!」

 

「うめ~、おかわりおかわり♪」

「カカロット…貴様、この兄を差し置いておかわりをするなど…」

 

「おいおいおいおい、まだまだ料理はあるんだから仲良く行って来いよ」

 

「おう!」

「ふんっ」

 

俺が言うと空の皿を幾層にも重ね、口回りが汚れた2人のサイヤ人が席から立ち上がれば、店内のスタッフや他の客は『まだ食べるのか!?』と、彼等の姿に驚愕している

 

サイヤ人の食欲を見るのは初めてか?

まぁ、力抜けよ

 

「ほんっっっっと、サイヤ人とかいう奴等は食うわね~

この調子だったら、ラディッツが本当に孫くんのお兄さんってのも頷けるわよ」

 

テーブルに頬杖を突いて呆れ口調のブルマ、ここは彼女が事前に予約していた時間制のバイキング形式の店であるが、常に用意されていく数々の料理は、2人のサイヤ人の胃袋に猛烈な勢いで呑まれていく

 

ラディッツにとって天下一武道会は予選も本選も、普段の修行に比べれば準備運動にもならない規模であったが、それでも腹は減る

 

悟空も、殆ど動けない位にラディッツにボコボコにされたと言うのに、飯を食い始めればケロリとして尻尾をフリフリしながら兄に続く

 

それにしても、店選びが成功したなブルマよ

 

なにせ原作だと決勝終わりの悟空に、亀仙人の優勝賞金がパアにされてたからな、バイキングは正解だ

 

まぁカプセルコーポレーションの御令嬢なら、それこそ屁でも無い金額かもしれんが、普通の人間にとって闘い終わりのサイヤ人を2人も連れて行くのは(財布的に)自殺行為

 

まして悟空もラディッツも、飯を味わって食うようなタマじゃないからな

 

「んなろぉ、負けてたまるか!」

 

2人に取られてなるかと、ランチさん(凶暴)を筆頭にウーロン、そして本選を終えたバイオレットもこれに続き、こっそり出場していた亀仙人も普段より摂取する量が多い気がする

 

彼等や、サイヤ人の見事な食いっぷりに触発されたのか、自然と俺も箸が進む……明日の修行はいつもよりハードにしなきゃ、また太っちまうか?

 

 

「ヤムチャ様、大丈夫ですか?

なにか柔らかいモノでも取って来ましょうか?」

 

「そんなに心配しなくても大丈夫だぜ、プーアル

メディカルなんとかって液体に浸かったら、たったの数十分で傷が完治したのは知ってるだろ?

ふふふ…これからたくさん食って、明日から特訓開始だ

あの桃白白とか言う髭ヤローに、このヤムチャ様を指一本でコテンパンにしてくれた礼をしてやるぜ!」

 

「流石ヤムチャ様!」

 

「な~はっはっは♪」

 

バカ笑いをするヤムチャだが、その相手が世界一の殺し屋だってことを忘れてないか?

 

あとルールがあったから無惨に死なずに……まぁいいか

 

「…そんなに調子に乗って、またあの病院に担ぎ込まれるのが目的なんじゃない?」

 

「んがっ!?

そりゃないぜブルマ」

 

「ふん…終始、美人の女医さんに鼻の下伸ばしてたくせに

アンタが立てなくなる位やられたって聞いて、私がどれだけ心配したか…」

 

「あ、あは、あはは…」

 

マジかよヤムチャ……やれやれ、この場でブルマの機嫌を損なうのは色々とよろしくない

 

 

 

仕方ないな、助けてやろう

 

(おいヤムチャ、聞こえているな

そこは謝る所だ、笑う所じゃないぞ)

 

「えっ?」

 

(俺だ、グルドだ

今、お前の心に直接語りかけてる)

 

「えっ?は?」

 

(悪いと思っているなら、直ぐにブルマに詫びを入れて、その後に感謝を言葉にするんだ

お前を心配して、大会をすっぽかしてまで病院に付いてきてくれた、ブルマの優しさに思う所があるのなら、な)

 

「……す、すまんブルマ!」

 

勢いよく頭を下げて謝るヤムチャに、キョトン顔になるブルマ

 

やれやれ、ブルマも付き合って直ぐだから病院に来てくれたのかね

 

なにせ次の天下一武道会じゃ、天津飯に脚を折られても……

 

「おいクリリン!明日はオラのかわりに頑張れよ!」

 

「……あ、ああ」

 

両手と頭と尻尾に、これでもかと料理を皿に盛った悟空が通り際に大きな声を上げれば、俺を含めた皆の視線が、自然とそちらに向く

 

公になっている選手組ではラディッツ以外で唯一、明日に駒を進めたクリリンが皆から少しだけ距離を取り、静かに食事をしている

 

辛い修行を共に乗り越えた悟空が、ラディッツの圧倒的な力の差によって敗れた。それだけでも彼の心はザワついておろうに、準決勝で当たるジャッキー・チュンがタダ者では無いのが解るのだろう

 

クリリンの回りの空気が張り詰めている

 

果てしなくポジティブで天真爛漫な悟空と違い、少しナイーブな所のあるクリリンは、口を横一文字にして黙々と食事を再開する

 

予選で多林寺時代のトラウマやらを精算したから、武道家としてレベルアップはした筈だが…

 

悟空、ランチさん、ウーロン、ブルマ

ヤムチャ、プーアル、亀仙人

バイオレット、俺

 

既に全員で賑やかにエールを送ってはいたが、彼の表情は変わらない

 

少し、良くないな

 

気負いすぎてる

 

だが、こればっかりは本人が乗り越えるモンだ

 

今も普通に食事をしているバイオレットも桃白白にヤられたが、自力で持ち直した

 

彼女は何も言わないが、翡翠色の眼は敗北を糧にした実に良い光を宿していた

 

だから俺も皆も特に何も言わず、普通に彼女と接している

 

……合流直後にキリリと表情を引き締めていた、バイオレットの顔を思い出す

 

大会のルールがあったとは言え、あの桃白白に必殺の『どどん波』まで引き摺りだした

 

ほんの一年位前まで普通の女の子だった町娘が、世界一の殺し屋に奥の手まで出させたんだ

 

これを成長と呼ばずに、何と言う

 

いやはや、彼女が桃白白にやられそうになった時、思わず声を上げてしまったが、どうにも俺の方が尻が青いようだぜ

 

思えば俺という存在がDBの世界に影響を与えた結果なのか、ヤムチャとランファンとギランは本選トーナメントに現れず、替わりにバイオレット・ラディッツ・桃白白が登場するという、原作を知る奴なら『なんじゃそりゃ?』な展開だった

 

バイオレットが出るのは8ヶ月前から知っていた

 

実弟カカロットが気になるラディッツも、途中まで行動を共にしてる俺に驚きは無い

 

しかし世界一の殺し屋の桃白白が登場するとは、実にたまげたもんだ

 

悟空や天津飯に敗れた時の様子で、いまいち強味は薄れた印象だが、いざ闘う姿を見れば世界一の殺し屋の通り名に偽り無し

 

まるで抜き身の日本刀

 

脱サラして20年の、普通の人間が放てる殺気じゃなかったが、フリーザ様の圧に比べればチワワみたいなもんだけど…

 

 

 

「じゃあ皆、おやすみ」

 

「クリリン、明日は頑張りなさいよ!」

 

店の前で挨拶をし、それぞれの組が別々の方向に歩き出す

 

亀仙人が予約していたホテルに、悟空とクリリンが追従し

 

ブルマとランチさん、バイオレットの女性陣は夜這い対策にと亀仙人とは別のホテルに向かう

 

俺、ラディッツ、ヤムチャ、プーアル、ウーロン、と言った溢れた野郎衆は、ブルマが予約してくれたホテルに行く感じだ

 

野郎同士での中身の無いバカ話で盛り上がりながら、俺は明日の事をラディッツに尋ねる

 

「あん?お前、明日は出ないのかよ?」

 

「そうだ、カカロットには会った、そして残りは雑魚

もはや俺に、あの大会に出る理由が無い」

 

「ふ~ん…まぁ、お前がそうしたいなら、そうすりゃいい

ならば明日から修行を再開するか、俺とお前には時間が無いしな」

 

「ああ、この星での滞在期間も残すところ4ヶ月を切った

貴様は他の特戦隊と同じ強さとなるのが条件らしいが、やれるのか?」

 

「やるさ

でなきゃ、この星もろともフリーザ様に消されちまう」

 

「……」

 

「…どうした…?」

 

「1つ聞かせろ、貴様はフリーザの元に戻った後、どうするつもりだ?」

 

「どう、とは?」

 

「俺は……親父から、サイヤ人の殆どがフリーザに殺された話を聞いた

フリーザの野郎がサイヤ人を利用するだけ利用し、都合が悪くなったら惑星ベジータもろとも消し飛ばしやがった事を」

 

「……」

 

「親父やお袋はどうでもいいが、サイヤ人をなめる奴は許せねぇ」

 

「だから、フリーザ様を倒すと?」

 

「そうだ

俺の体に流れる戦闘民族の血……闘う度、死地から蘇る度に強くなる、サイヤ人の無限の可能性があればフリーザを」

 

「53万」

 

「あ?どうした急に」

 

「53万という数値は、フリーザ様の平常時の戦闘力だ」

 

「なっ!?」

 

「因みにフリーザ様は変身型の宇宙人で、あと3回変身でき、変身をする度に戦闘力が飛躍的に跳ね上がる体質らしい

参考までに言うが、最初の変身で百万超え、その次は忘れたが、最終的に全ての変身を終えてフルパワーとなれば…あ~、ざっと1億か」

 

「1…」

 

「しかし…お前の言うとおり、その体に流れるサイヤ人の血があれば、あるいは可能か……ん?」

 

「……」

 

「……やめとくか?」

 

「だ、誰がやめるものか!

殺されたサイヤ人達の恨みを、俺が晴らしてやるのだ!

王族のベジータでも、エリートのナッパでもない、王族に匹敵する強さを持った下級戦士バーダック、その息子の俺がだ!」

 

「それを特戦隊の俺の前で話すとなれば、さっきの返答次第じゃ、俺を殺すか?」

 

「そうだ、殺す」

 

「殺した後はどうする?

俺が戻らないとなると、ギニュー隊長が直々に地球に乗り込んでくる可能性がデカいぞ?」

 

「ふん、ならばその間に強くなれば良いのだ!

カカロットを鍛え、この星の女にサイヤ人の赤ん坊を産ませ、フリーザ軍を滅ぼした後はこの俺が、全宇宙の支配者となってやるのだ!」

 

「……お前、フリーザ様に兄がいる事を知ってるか?」

 

「何?」

 

「名をクウラ、戦闘力がフルパワーで2億だか3億だかの化け物だ

クウラは弟への情愛は薄く、星の運営は下手くそだが、実力は一級品。同族が殺されたとあれば間違いなく出てくる

あと、フリーザ様の親父も

それでもやるのか?」

 

「くっ、くそ!フリーザの血族はどいつも化け物揃いなのか!」

 

「もし諦めるなら、この話は2度としないことだ

フリーザ様は優秀な部下に対しては寛大な御方だし、こんなに強くなったお前を無下に扱わないって」

 

「……俺は、諦めんぞ」

 

「なら、好きにしな

それがお前の選んだ道なら、俺は止めやしないぜ」

(悟空も鍛えるなら、可能性は0じゃないしよ)

 

ぐぐぐっと拳を強く握り、バイオレットとは違うが良い表情になるラディッツ

 

とてつもない実力差を知っても尚、強者との闘いを求めるのは純血のサイヤ人の血か、それとも性か

 

……なんか、バイオレットにしろラディッツにしろ、目的を持って生きる2人や悟空とクリリンに比べて、流されるままの俺って……嫌、今は目の前の事に集中だ

 

うん、1つ1つを消化していくスタイルは決して悪くない、悪くないぞ

 

だから、俺はラディッツに明日の助言をするのだ

 

「ラディッツ、明日は満月だから悟空共々、夜は外に出るなよ

お前ほど強くなった大猿の相手は、今の俺にはキツ過ぎる」

 

 

 




ラディッツが現在の戦闘力で大猿化した場合、その戦闘力は30万になる予定。しかも下級戦士なので理性は無い模様……そんなの、フリーザ様でなきゃ勝てませんわ

遅くなりまして、大変申し訳ありません

リハビリを兼ねて、やや短めの投稿になりました

ラディッツは悟空と闘って満足したので、大会を棄権

バイオレットは更なるステージを目指し、頑張って欲しい

次回は大会の模様をダイジェストでやり、Dr.マシリトとピラフの凸凹コンビの方を描くか、悟空のドラゴンボール探しをするかを迷ってますが……

ありがとうございました!
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