起きたら『グルド』になったので、取り敢えず歯を磨く事から始めようと思う 作:ヘルメット助教授
桃白白との激闘を制したジャッキー・チュンの優勝で今回の天下一武道会は幕を閉じ、俺達はそれぞれの生活に戻った
俺とラディッツは地球滞在期間が迫る中、重力トレーニング室で地球での最後の追い込みをかけ
バイオレットはカリン様のテレパシーに呼ばれ、独り聖地カリンに戻った
悟空は未だ見ぬ強敵を求めながら、形見である四星球を探す旅に出立
亀仙人、クリリン、ランチさんはカメハウスに
ブルマ、ヤムチャ、プーアル、ウーロンは西の都に帰っていった
因みに満月が浮かぶ決勝戦は悟空も観戦しており、その尻尾の付け根には今でも、 ブルマに作らせたサイヤ人の『大猿化』を防ぐリングが嵌められている
決勝戦をどうしても見たいと言って曲げない悟空に、仕方なく俺はブルーツ波やら大猿化のメカニズムをラディッツと共にブルマに説明、ピラフの一件でトラウマを植え付けられた彼女はブリーフ博士と2人でリングを制作したのだ
渋るラディッツにもリングを装着させたが、元からアイツは観戦するつもりがないので、宇宙船でトレーニングと言う名の監禁をしておいたから地球は無事である
最悪、悟空のリングが効果が無かった場合を考え、俺が大猿悟空を黙らせる算段だったが杞憂に終わっている
うむ、上手くいってなにより
悟空はともかく、ラディッツの戦闘力が10倍になり、かつ理性が無い状態になったらフリーザ様しか止められないからな
それにしても口頭の説明だけで、即日こんなもん作ってしまう親娘って一体…
簡単だが大会の模様を説明しよう
亀仙人と桃白白の闘いは亀仙流と鶴仙流、その達人同士の技と技、プライドとプライドを掛けた激戦となり、会場を大いに盛り上げた
あまりにシリアスな展開の中でも俺は、まさか桃白白も『排球拳』を使うのか?と内心で冷々してたのは内緒だ
亀仙人が優勢で試合を進めていたのだが、原作では大猿悟空を止めるためMAXパワーかめはめ波で、月を消滅させた亀仙人はエネルギーがスカンピンの状態で悟空を相手にしている
それが起きなかった今回の流れを考えれば、武術の達人と称される武天老師、脱サラして殺し屋さん19年目の桃白白に負ける筈もなかった
ただ亀仙人は次回で天津飯には圧倒されてたけど…、まぁ彼はあの時のラスボス扱いだし、太陽拳からの後頭部に膝蹴りは確実に殺しにきてるよな…
準決勝のクリリンは敗れはしたが、原作よりは遥かに接戦していた印象が残る
ジャッキー・チュンの中身が助平爺だと見抜き、油断を誘う『ギャルのパンチィ』は登場しなかったし
横一文字の口元、引き締まった眼差し、体から溢れる気迫を放って舞台上に歩を進めた姿は、一廉の武道家のそれ
試合中にも悟空、バイオレット、ブルマ、ヤムチャ、ランチさん(狂暴)、ウーロン、プーアルの声援に後押しされ、圧倒的な強さを誇るジャッキー・チュン相手に何度も何度も立ち上がって見せた
原作と同じく一瞬にして背後に回られ、首筋へのキツい手刀の一撃を食らっても、ダウンカウントのギリギリで立ってきた姿は思わず拳を握った程だ
しかしクリリンの精神もそこが限界で、立っているのもやっとの状態になる
亀仙人は弟子の成長に一瞬だけ喜んだが直ぐに表情を戻すと、動けないクリリンはあの『萬國驚天掌』を喰らい、涙のギブアップをした
しかし仲間とは良いもので、真っ先に悟空が弾けんばかりの笑顔で出迎え、クリリンは持ち直した
今はカメハウスで更なる強さを追及し、技と精神を鍛えている事だろう
悟空がドラゴンボール探しで不在でも、多分ヤムチャが亀仙人に弟子入りするからスパーリング相手も事足りるしな。多分…
思えば俺の影響か、準優勝の桃白白が出場して原作と違ってしまった
他にも、ヤムチャやギランやランファンが本選トーナメントに出ない展開が生じたが別段、大した問題じゃない
どいつも実力はまだまだだし、揃って大して重要性のあるキャラクターじゃない
少なくともこれでギランは、タンバリンに殺されるフラグが無くなった訳だ
ナムさんは…うん、南無南無
変更された中で唯一気になると言えば、ピッコロ大魔王の手先のタンバリンが桃白白と戦ったらどちらが強いか。ぐらいだ
どっちが強いんだろ。まぁいっか
「ぬぐぐぐぐっ!」
『ピピピッ…ビーッ!』
「戦闘力…3万2千か」
今、俺はフルパワーの状態の戦闘力をラディッツに計測して貰っている
激しいトレーニングのお陰でラディッツは4万一歩手前に、俺は上記の通りに成長した
(ふぅ…これで戦闘力は変身ザーボンさんを上回った訳だ、もう少しだぜ
…しかし、ラディッツは4万一歩手前か)
小型で超能力を得意とするグルドの種族と、バトルセンス全振りの戦闘民族サイヤ人の根本的な違いが、はっきりと数字に現われる
分かっちゃいたが、差を開けられる事は素直に悔しい
最初は俺の1割弱しか戦闘力がなかったのにな、ラディッツ
「そろそろ滞在期間も終わるな」
重力を戻して整理運動を終え、タオルで汗を拭いながら俺はなんとなく口に出した
俺の独り言にラディッツは、そうだなと返す
俺は続ける
「あと…一月
地球を出て、通達のあった惑星に到着するまでの時間が約一年
移動中は外には出れないから退屈だけど、自主トレをするだけなら問題ない
一年だ、一年全てをトレーニングに費やせばジース達に匹敵するどころか、上回る事だって夢じゃないな」
そう、地球での滞在が終わってもナメック星に向かう原作の悟空のように、宇宙船の中でトレーニングを積めばフリーザ様との最低限の約束が果たせるどころか、それ以上の成果を見せられそうなのだ
ただ底抜けに明るい修行好きの悟空と違い、短気なサイヤ人ラディッツなら、退屈で窮屈な宇宙船生活はしないだろう
コールドスリープに入るだろうから、スパーリング相手がいなくなって張り合いが…
「おい、まるで一人でトレーニングするみたいな口振りだが、俺は移動中にコールドスリープをするつもりは無いぞ
貴様同様に、到着ギリギリまでトレーニングをする」
「え?そうなの?」
まさかの発言に俺は驚く
「眠っている間に、貴様に追い越されるのは我慢ならんからな」
(ふ~ん、プライドの高いこった)
「そっか、ありがとよ
一年間トレーニングをすればサイヤ人のバトルセンスと合わせりゃ、もしかしたらギニュー隊長とタメ張る位になれるかもな」
「ギニューか
おい、奴の戦闘力は幾つだ?」
「隊長?
確か…12万だか、そんなだったな」
「ぬぅ…奴で10万超えか」
唸るラディッツ、まさかお前ギニュー隊長をも超えるつもりか?
それは辞めといた方が良いぞ。主にボディチェンジ的な意味で
原作で隊長は『界王拳』を発動させた悟空の戦闘力18万に魅入り、ボディチェンジして自ら墓穴を掘ったけど、ラディッツがもし界王拳無しの地力で隊長の戦闘力を上回ったら、果たしてどうなる事やら…
スペシャルファイティングポーズを決めるラディッツを今後、俺は隊長と呼ぶのか…?
う~む…
顔面が男梅になる俺
「あ、因みにフリーザ様は」
「最低で53万だろ!ケッ!」
「うんうん、覚えてるなら宜しい」
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≪視点切り替え、定点カメラ≫
「星が五つ、う~ん…四星球じゃなかったか~」
一方その頃、育ての親である孫悟飯の形見を探す悟空は、ドラゴンボール探しをしつつ修行を重ねる旅を続けていた
RR軍はグルドに壊滅された事で、ドラゴンボール探しは概ね順調の一言
雪国では寒さに身震いしながら、現地の少女スノに助けられ
ゲンゴロウ島に住む、眼鏡と帽子を被った元気一杯で口癖が『うほほーい!』の少女には『博士を知らない?』と尋ねられ、知らないと答えれば暇潰しにプロレスごっこの相手にされ、体力バカの悟空もキリキリ舞に
海賊団のアジトはブルマとクリリン、なぜか宝の匂いに惹かれたランチに助けて貰ったり裏切られたりした位で、残りは自分の力でなんとかしている
これで五つ目も空振りとなった
願いに興味はないので落胆する悟空だが、聖地カリンの番人ボラが持つ四星球に出会う日も、そう遠くないだろう
「んじゃあ、次のドラゴンボールを…あり?おかし~な」
懐からドラゴンレーダーを取り出し、次の位置を知ろうとした悟空だったが、それまでに表示されなかった箇所に突如として反応が現れたのである
ドラゴンボールは全部で七つ、悟空は五つのボールを所持しているので残るボールは二つ、どちらかが四星球だ
「なんでいきなりレーダーに反応があんだ?…ま、いっか
そっちは最後にしちゃお」
深く考えない悟空は、軽い気持ちで筋斗雲を前から反応のあった地、聖地カリンに向かうとボラから念願の四星球を貰う
これで悟空は、六つのボールを所持する事になった
あと一つで神龍を呼び出せる数が揃うのだが、そこは悟空、四星球以外をブルマに預けてしまえと思っている
ところで息子ウパに懐かれた悟空を見たボラは、子供の内にウパに外を見せてやって欲しいと悟空に頼む
苦もなく四星球を貰った悟空は即決し、ウパと共に突如として反応があった地『ツルマイツブリ山』に向かうのであった
「うわ~悟空さん!アレが全部雪で、あっちが氷の山々ですか!?」
筋斗雲の眼下には雪と氷の世界が広がっており、聖地カリンを一度も離れた事がなかったウパはその景色に目を輝かせている
二人とも厚手の服を纏い、ここまで来た
スノの村で防寒対策の大切さを学んだ悟空は、この地が寒いと分かると筋斗雲をUターン、ウパに合う防寒着を貰いにブルマの居る西の都を訪れ、彼女に無心、渋りながらも防寒着の調達どころか、レーダーのメンテもしてくれたブルマは実に良い女である
都でも刺激的なモノは沢山あったが、やはり自然の中で産まれ育ったウパ、雄大な自然の方が喜ぶらしい
ウパが雪で遊ぶ間に、ドラゴンボールを探し終えた悟空
不自然な迄に放置された一星球を回収すると、そこに悟空の到着を狙ったかのように白衣の老研究員が現れたのであった
『願いは叶えてやった。さらばだ』
老研究員は『神龍』を呼び出し、氷山の氷をどかして自分の研究所を復活させて欲しいと懇願
願いに興味が無い悟空は、老人の願いを聞き入れ神龍を呼び出す
それではまたドラゴンボールが、と心配するウパに悟空は大丈夫だと告げるや
ボールが各地に飛び立つ前、四星球を目掛けて悟空は高々と跳躍、見事に形見のドラゴンボールを掴み取ったのである
「凄いです、悟空さん!
あんなに高くジャンプできるなんて!」
「ん?ウパも修行すれば、こんくらいできっぞ?」
当然のように言う悟空に、そんな自分なんてと遠慮するウパ
「おめ~も良かったな~って、あり?アイツいね~ぞ?」
悟空は老研究員に向き直すが、老人は忽然と姿を眩ましていた
不思議がる悟空とウパ、すると上空から何かが飛来した
「っ!?あぶねぇ!」
ウパを庇って悟空はソレを回避
二人の立っていた箇所に、群青色の生物と機械が混じり合った『バイオキャラメルマン6号』が強襲したのだ
『フシューー!』
「な、なんだオメー!?
気持ちわりー面だな!」
『フ、フシャーーー!!』
気持ち悪い発言に傷付いたのか、6号が雪原を蹴って悟空に迫り連打を繰り出す
悟空も応戦する
最初は押される悟空だったが、6号の体に矢鱈滅多に取り付けた機械の部分が重心を不安定にさせるので、動きにムラが生じていることに気付くと
「ほい!てりゃ!」
『グェ…』
高速の脚払いからの顎にジャンピング・アッパーで、あっさりと勝負は決した
雪原に大の字で突っ伏す6号
「おめー見た目は気持ちわりーけど、中々強かったぞ
修行したら天下一武道会に出られっかもな」
「ご、悟空さん!」
ウパが突如として叫び、悟空が振り向くとそこには、ウパを捕らえたピラフ一味が居た
「ふふふ…久しぶりだな小僧!」
「誰だ、オメーら!」
『ずるっ!』
完全に悟空の記憶から抹消されたピラフ一味が盛大にズッこける
怒るピラフだが怒っているのは悟空も一緒 、素早くウパを取り替えそうとするが、一瞬早くピラフが悟空にヘンテコな形状の拳銃を抜き、発射
「痛てっ!……ん?
ぎっ……!?」
悟空の肉体に普通の弾丸は効果は無い。しかしピラフが発射したのは麻酔銃に使われるカプセルのような弾丸で、それが刺さると突如として悟空の動きが鈍り、その場から動けなくなる
すると、ピラフが高笑いを始めた
「はーはっはっはっ!貴様の弱点を見抜けぬピラフ様ではない!
くふふふ、どうだぁ小僧?
今の気分はー?」
「ご、悟空さん!どうしたんですか!?」
「ぬぎぎぎぎっ…」
ウパが叫べば、やっとの思いで悟空が顔を上げて口を開く
「は」
「……は?」
「腹減った~」
「………はい?」
そう、ピラフが悟空に発射したのは『食欲増進剤』
それも、食べる事が嫌いな人間だろうと、どんぶり飯を3杯は食べないと気が済まないレベルの量をだ
只でさえ大食らいのサイヤ人の悟空が、そんなものを受ければ動きが鈍るのは当然である
「んなーはっはっはっはっ!
さて、世界を手にする願いは来年に持ち越しだが、貴様を処刑すれば次に邪魔になるのはあの気持ち悪い緑の化け物のみ!
喜べ、小僧!貴様が復活させたドクターのアジトで、たっぷりと前の借りを返してやるからな!
6号、起きろ!小僧を叩きのめせ!」
一通り笑ったピラフは6号を起こし、悟空の意識が無くなるまで暴行を加えさせた
雪原に鮮血が飛び散り、悟空が身動きしなくなる
こうして泣き崩れるウパと共に悟空はピラフ一味に連れられ、神龍によって復活した老研究員のアジトに運び込まれたのであった
一方その頃、グルドの元に招待状を持ったバイオレットが訪れたのは、悟空がアジトに運び込まれた時であった
お久しぶりでございます。
忙しくなる前に、なんとか投稿できました
Dr.ウィローの手下のバイオマンの戦闘力は元々、集団でも亀仙人に負けるレベルなので、Dr.マシリトに改悪された6号が悟空に勝てる訳がありませんでした
ピラフ一味、悟空とウパを捕獲
更には千兵衛さんも捕獲してるので、果たして彼等は3人をどうするつもりなのか!?
悟空をDr.ウィロー編のピッコロみたいに洗脳してみるのも有りですが、それだと少しだけ可哀想な気分…
らしくないとか言わないで下さいね?
ありがとうございました!