起きたら『グルド』になったので、取り敢えず歯を磨く事から始めようと思う   作:ヘルメット助教授

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誤字脱字ありましたらスイマセン


21話、復讐者達

(待ってて下さい、悟空さん!)

 

筋斗雲に乗ったウパが、西の都を目指している

 

ピラフに囚われたウパだったが、己が所持していた干し肉を悟空に食べ与えると、僅かに体力を取り戻した悟空が牢の天井に全身全霊の、かめはめ波を放つ

 

かつて捕まった時の煉瓦の壁よりも強固な鉄製の壁で出来ていたが、傷付いたとて亀仙人の元での修行や、天下一武道会でラディッツに倒された事でパワーアップした悟空を留めておく事は無理だったようだ

 

天井が吹き抜けになると最後の力で筋斗雲を呼び、二人揃って脱出する前に大量のバイオマンが来襲

 

体調が万全なら問題なく撃退できたが、今は立ち上がる事も出来ない

 

ピラフの狙いは自分だと、悟空は自らを囮にするとウパを無理やり筋斗雲に乗せてブルマの元へ送り出す

 

振り返ったウパが最後に見たものは、バイオマンに群がられた悟空の姿だったと言う

 

ブルマの元に到着したウパは直ぐに状況を説明

 

驚き、怒り、心配し、様々な感情を見せたブルマだったが、それらを出しきると冷静さを取り戻す

 

グルドの宇宙船に緊急メッセージを飛ばし、自らは最新のジェット機でウパを乗せた筋斗雲と共にカメハウスに向かう

 

カメハウス到着後、事情を聞いたクリリンは直ぐに亀仙人に出発を促す

 

弟子の危機を見過ごせんと亀仙人は立ち上がり、亀仙流に弟子入りしたヤムチャ、ウーロンとプーアルを連れ、一向は悟空救出に『ツルマイツブリ山』に飛ぶのであった

 

 

 

その頃、ブルマから緊急メッセージを受けとる筈のグルドは今、なぜかバイオレットと共に高級ホテルのレストランに居た

 

「落ち着かないな…」

 

「ね…」

 

ドレスコードであるのでグルドは緑色のタキシード、バイオレットは紫色のドレスを着ている

 

着なれない服装、踏み込んだ事もない高級ホテル、食い慣れないコース料理、オーケストラのBGM、そして何故か客は自分達だけ

 

『高級ホテル1泊2日ディナー付、2名様1組ご招待』

 

くじ引きの特賞を当てたバイオレットがグルドを誘ったのだが、くじ引き屋の店員はどう見てもピラフ一味の変装で、グルドがその場にいたら即座に見破っただろう

 

ところで聖地カリンに向かったバイオレットはカリンに何やら話を聞いたようで、ここまで思い詰めた表情をし続けていたが、BGMが静かな曲調になると口を開いた

 

質問の内容は『グルドは巨悪の下で働き、星を侵略する立場なのか』である

 

 

 

「…本当だったんだ」

 

「あぁ」

 

グルドはバイオレットの問いに背くことなく、やや淀みながらも答えた

 

「グルドは地球を侵略しにきた訳じゃない、だけどフリーザって人の命令を受けたら、別の星に住む人を殺しにいくんだね…」

 

「反抗するは死、それがフリーザ軍の掟だ」

 

「……勝てないの?」

 

「倒せる相手じゃない、フリーザ様は、はっきり言って強い

前に俺が話した、宇宙を震撼される連中の事を覚えているか?」

 

「一億、とかって話だよね?」

 

「そう、そしてその一人が他ならぬフリーザ様なんだ

優秀…といっても本人からしてみればカスみたいな戦闘力の持ち主は手元に置いて、星の運営をさせたり配下にしたりするので器量はあるし、人の話は聞いてくれる、なんなら名誉挽回の機会だってくれる

ただ目指すは力による宇宙統一、それを阻害する者は一瞬で蒸発されてしまう

場合によっては星ごとな」

 

「…そんな」

 

「俺は戦闘力の底上げで地球に来た以上、フリーザ様の待つ星に戻り報告しなくてはならない

戻らないと反逆者として地球もろとも宇宙の塵にされちまうから、それだけは阻止するよ。俺はこの星を気に入ってるからな

ただ、地球滞在の期限はあと一月を切った。一月後に俺はラディッツと共に宇宙に飛び立つ、それは何があろうと揺るがない

バイオレット、いきなりだがこれから先は君自身が決めてくれ

俺やラディッツと共に宇宙に上がるか、それとも地球に残るのかを」

 

「そんな……いくらなんでも色々と急すぎるよ

話す機会なんて今まで幾らでもあったのに…」

 

「すまない、本当に」

 

 

 

グルメの問いにバイオレットは答えられなかった。かつて自分が住んでいた地を滅茶苦茶にしたRR軍、それ以上の規模の悪のフリーザ軍に所属する事に、抵抗を感じずにはいられないのだ

 

彼女は口を閉ざし、手を動かすのも辞めてしまう

 

グルドは気まずい沈黙の中、手早く味のしない料理を食べる

 

すると食べ終えた時、体に異変を感じたのである

 

「ぐっ!?」

 

口を抑え、テーブルに突っ伏すグルド

 

「どうし…くっ!」

 

グルドの異変に驚いたバイオレットが突然、椅子から飛ぶと、彼女の座っていた椅子が真っ二つに割れた

 

「ほう、よく避けたな、小娘」

 

「貴方…桃白白!」

 

バイオレットの前に現れたのは殺し屋、桃白白であった

 

「ぐががが!」

 

「グルド、しっかり!」

 

苦しむグルドを気遣うバイオレット、その姿を見て桃白白が鼻で嗤う

 

「ふん、今から死ぬ貴様がそいつを心配する必要はない」

 

「なんですって…!」

 

「殺し屋がただ、久しぶり!元気にしてた?なんて言いに現れると思ったのか?」

 

桃白白は先の天下一武道会で優勝を逃したのでジャッキー・チュンとバイオレット、この二人を即刻殺さねば己の商売に影響すると判断した

 

ジャッキー・チュンは亀仙人の変装であるので探すのは不可能、バイオレットも基本的に世界を奔走するので居場所の特定は難しい

 

しかし都合よくピラフのグルド捕獲の為に多額の報酬で協力要請され、やれやれと赴いてみればそこにバイオレット

 

これは上手いと桃白白は黒い笑みを浮かべた

 

ピラフの指示で料理人が最後の料理に痺れ薬を混入させ、標的のグルドは痺れさせる事は成功したが、食の進まないバイオレットは最後の料理に辿り着けず仕舞い

 

だが、バイオレットを殺す気満々な桃白白には動けようが動けまいが関係ない

 

「今度はルールに守られる事なく、あの世に送ってやるぞ。小娘」

 

桃白白が構える。最初から本気でいくつもりだ

 

バイオレットは相手の殺気を読むと、覚悟を決めた

 

「グルド…ちょっと待っててね、アイツを倒すから」

 

突っ伏したままのグルドを椅子に寄り掛からせたバイオレットは、長いドレスの裾を破り、両脚を露にして構える

 

「「ハッ!!」」

 

ほぼ同時に絨毯を蹴って、両者が接近戦を開始

 

暗殺拳らしく、貫き手、爪擊が主体の攻撃を桃白白を繰り出し

 

基本に忠実なバイオレットは、オーソドックスな戦闘スタイルで迎え撃つ

 

『ビリリッ!』

 

紙一重でバイオレットが避けると、ドレスのフリルが裂かれて空中に舞う、ただし宙を漂うフリルは両者の拳圧で巻き起こる風によって絨毯に落ちないでいる

 

『バキッ!』

 

相討ちとなり一旦、両者が離れた

 

(この小娘、前よりも確かに打ち込みが強い、あの時は手加減をしてた訳でもなさそうだったが…どういう事だ?)

 

構えたままの桃白白が、バイオレットの強さに違いがある事に気付く

 

それもその筈、前回の闘いの直前にバイオレットはヤムチャとブルマを、遠くの病院まで緊急搬送していたのだ

 

もとより試合に間に合うかどうかの瀬戸際だったが、ブルマの心情を察したバイオレットは試合用のエネルギーを使ってまでヤムチャ達を搬送

 

なんとか試合には間に合ったものの、結果は敗北

 

無茶な舞空術でエネルギーを浪費した状態と万全の状態、違うのは当たり前である

 

「っ!」

 

「な、なにぃ!?」

 

一気に距離を詰めたバイオレットが桃白白もろとも、ホテルの窓の外に飛び出した

 

飛散する窓ガラスと共に、取っ組み合ったまま落下する両者

 

「貴様!相討ちを狙うとは気は確かか!?」

 

ホテルの高さは百メートル以上、そこからの紐無しバンジーを選択したバイオレットに、桃白白は想定外で面食らう

 

取っ組み合った両者の体勢は桃白白が下でバイオレットが上、力ずくで体勢を逆転させたいがバイオレットは譲らない

 

このままでは地面に激突してしまう。舞空術を使えない桃白白は焦る

 

(くっ!小娘め、なんという握力だ!

不味い、不味いぞ!舞空術はまだ兄者から習っておらん!

こうなればホテルの壁で失速を…な!?)

 

意識をホテルに向けた桃白白、そこでバイオレットがまたしても予想外の行動に出る

 

バイオレットは桃白白の腹に蹴りを放って離れると、直下降のスタイルになり、舞空術と落下と重力で一気に桃白白を追い抜いたのだ

 

自由になった桃白白がホテルの壁に平泳ぎで到達、落下するバイオレットを必殺の『どどん波』で狙う

 

(何を考えているのかは知らんが、これで貴様は終わりだが落下死など許さぬ、手加減なしのどどん波で死ぬが良い)

 

バチバチと、桃白白の人差し指が光を放つ

 

その気を背後に感じながらもバイオレットは、静かに気を高める

 

落下しながらとなるが、バイオレットには『たかが百メートルの世界』

 

舞空術に慣れ、カリン塔を毎日昇り降りしていた彼女はこの程度の高さ、この程度の落下では決して慌てない

 

(…来た!)

 

軌道を変えた直後、一閃が体を掠める

 

(また来る!)

 

避け続ける。先程の光より細い一閃が、幾重にも通り抜けていく

 

相手は焦っている。そう睨んだバイオレットは空中で急停止し、今度は急上昇を開始した

 

「舞空術だと!?馬鹿な、なぜ亀仙流の貴様が鶴仙流の舞空術を使える!?」

 

(か)

 

「いや、この際どうでもよい…向かってくるなら餌食にするまでよ!」

 

(め)

 

「小娘!この桃白白と、どどん波をなめるな!」

 

どどん波を乱射する桃白白

 

(は)

「ぐっ!あぅ!」

 

バイオレットの体に無数のどどん波が命中するも、彼女は決して速度を落とさない

 

「はははははは!

死ね、死ね、死んでしまえ!」

 

(め…!)

 

尚も上昇をする間に三発、彼女の体にどどん波が命中するが、バイオレットは止まらない

 

どどん波を乱射する桃白白に本来の殺傷力はないが、それでも威力は凄まじく、バイオレットは意識を手放さないよう、高めた気を下げないよう、命懸けで向かっていく

 

そして我慢比べにバイオレットは勝利した

 

「こ、小娘!」

 

「せーーの、波ぁぁぁぁぁあああああ!」

 

一蹴、最大限に気を高めた状態で桃白白をホテルの壁から夜空に蹴り飛ばすや、バイオレットは亀仙流の奥義『かめはめ波』を放つ

 

どどん波より太く、長い光が夜空に尾を引いた

 

「そんな馬鹿なぁぁぁぁぁぁ!」

 

光に呑まれる桃白白

 

すると、かめはめ波によって桃白白が隠し持っていた手榴弾が暴発、夜空に一発の花火が上がったのである

 

 

「私…勝ったの?…痛っ」

 

激しい痛みを感じ、自分の体を確認するバイオレット

 

紫のドレスは穴だらけでボロボロだが、それを凌駕する位に体の方も傷だらけ

 

(酷くやられちゃった…血も随分ながれ…あ、あれ…?)

 

視界が、ぐにゃりと歪む

 

急降下からの急上昇や無茶な軌道を繰り返し、どどん波を喰らいつつ突進、そして全力のかめはめ波

 

諸々の疲労やらが一気に押し寄せ、バイオレットの意識を刈り取ろうとする

(ダメ…しっかりしなきゃ、グルドは動けないの…気絶してる暇は…)

 

意識を失わず、なんとか舞空術でグルドの居る階層に向けて上昇しようとするが、その姿はいつ落下してもおかしくない程に弱々しい

 

(…これなら一階に降りて、エレベーターを使った方が良かったかな…)

 

そんな事を考えている内にバイオレットのエネルギーが尽きた

 

「…ごめん、もう…ダメ」

 

フッと彼女の全ての力と意識が抜け、無情にもバイオレットは地面を目掛けて落下…しなかった

 

間一髪でグルドが自らの体をサイコキネシスで操り、意識の無いバイオレットを自身に引き寄せると横抱きにしたのだ

 

空中に漂ったままの二人

いまだに痺れ薬は効いているのか、グルドの体は震えたままであり、一方通行のテレパシーを送る事はおろか、声を発する事も出来ない

 

痛ましい姿のバイオレットを見、そして憎々しげにピラフ一味に招かれたホテルを睨むと、グルドは宇宙船を目指す

 

船に到着するとメディカルマシンに彼女を入れ、自らも体内の痺れ薬を除く為にマシンに入ったのであった

 

 

 

 

 

 

ツルマイツブリ山の研究所内部、広間にて闘いが行われている

 

「ほい、ほい、ほりゃ」

 

バイオマンの群れを、亀仙人が年齢を感じさせない柔軟な動きと的確な急所攻撃で、次々と敵を沈黙させていく

 

亀仙人達はウパの案内でこの地に到着するや研究所に突入、この広間に到達するまでに数えきれないバイオマンを倒したが、流石は敵の本拠地、雑兵は幾らでも湧いてくる

 

「む?クリリン、そっちに行ったぞぃ」

 

四体のバイオマンが亀仙人を無視して後ろに回った

 

「お任せ下さい、武天老師さま!

だぁぁぁぁぁあああああ!」

 

言うや剃髪の少年拳士クリリンが飛び出し、一体のバイオマンにカウンター気味に飛び蹴り、壁に吹き飛ばすと続く三体のバイオマンを相手に戦闘を開始

 

クリリンは視野を広く保ち、決して深追いせず、相手の動きを良く読み、的確に一撃一撃を入れていく

 

一体、また一体と地面に突っ伏して沈黙していくバイオマン

 

だが別のバイオマンが一体出現し、クリリンの後方に居るブルマ達に襲い掛かるのをクリリンが気付く

 

「ヤムチャさん、残りの一体を!」

 

「任せろ、狼牙…風風拳!

はああああい!はい!はい!」

 

姿勢を低く、まるで獲物に襲い掛かる狼の様になったヤムチャが己の手を、牙に見立てて爪擊を繰り出す

 

彼が野盗だった頃から使用している擬獣拳『狼牙風風拳』は、一秒間に五発を繰り出せると本人は豪語している

 

「はい!はい!はい!はい!」

 

小柄なバイオマンに対して大柄なヤムチャは、打ち下ろし気味に爪擊を繰り出す

 

手足の短いバイオマンは素早い爪擊の嵐に、前に出ることが出来ず劣勢となる

 

「いいわよ、ヤムチャ!」

 

「ヤムチャ様、頑張って!」

 

「頑張って下さ~い」

 

応援に熱が入るブルマとプーアル、そして大人しいモードのランチ、ランチの側にはウパの姿も見える

 

「調子に乗って足元掬われんなよ~」

 

とウーロンが言った所で、小柄なバイオマンがその言葉に気付いて足払いをし、ヤムチャを盛大にスッ転ばせた

 

「ありゃ?、ぐぇ!」

 

床に転がった所でマウントを取られ、お返しとばかりにバイオマンに殴られるヤムチャ

 

「ウーロン!あんたが余計な事を言ったからよ!」

 

怒るブルマが豚の妖怪の胸ぐらを掴み、ガクンガクンと揺らす

 

「な、なんで俺のせいなんだよ!」

 

「ヤムチャ様!しっかり!」

 

プーアルの声援虚しく、ヤムチャはボコボコにされ気絶してしまった

 

ヤムチャを倒したバイオマンが、照準をブルマ達に向ける

 

「「ひ、ひぃぃぃぃ!」」

 

ブルマとウーロンがくっ着いたまま叫ぶ

 

あらあら大変と、ランチは緊張感の無い反応

 

「な、なんとかしなきゃ!

あ!そうだ、変化!」

 

プーアルは体を胡椒の瓶に変えるや中身の胡椒をランチの鼻先に向けて放出、すると…

 

「は、は、は……くしゅん!

……なんだぁテメー、誰にガンくれてやがんだこらぁ!」

 

くしゃみにより凶暴化したランチは、手持ちのサブマシンガンをバイオマンに乱射

 

射ち尽くすと次に二丁拳銃を見舞い、動きの鈍った所でピンを抜いたグレネードを投擲、バイオマンを木っ端微塵にしてしまった

 

「ざまぁみやがれ!ぎゃはははは!」

 

豪快に笑うランチは中指を天に向けて御満悦、あまりの変わり様にウパは絶句している

 

 

 

『なかなかやりおるのぅ、流石は武天老師じゃわい』

 

いきなりスピーカーから、老人の声が部屋に響く

 

声の主はDr.コーチンである

 

「むっ、誰かは知らんが尻尾の生えた少年、悟空は返してもらうぞ

そちらもこれ以上、建物の中で暴れられるのは不本意じゃろうて」

 

亀仙人が穏便に事を運ぼうとするが、Dr.コーチンは聞き入れず、新たな手先を差し向けた

 

「ビガーー!キシーメ!」

「ぐふ、ぐふ、ミソカッツン!」

「ふぁふぁふぁ!エビフリャー!」

 

「な、なによ、なんなのよコイツら!

とんでもない不細工な顔、あれならウーロンの面がマシに思えるわ!」

 

一目で人間でない者達に、ブルマが反応を示す

 

小柄で緑色の肌に赤い斑点のキシーメ、巨躯でありながらもとんでもない肥満体のミソカッツン、ピンク色の肌に赤モヒカンのエビフリャー

 

『武天老師よ、ワシが作った凶暴戦士の強さ、とくと味わうが良い

やれ!』

 

号令直下、三体の凶暴戦士が亀仙人に襲い掛かる

 

電撃触手のキシーメ、超柔軟な体のミソカッツン、冷凍エネルギーを飛ばすエビフリャー

 

彼等の特殊能力もさることながら、地力の戦闘力は完全に亀仙人を上回っている

 

「なにやってんのよ亀ちゃん!、さっさと倒しちゃいなさいよ!」

 

「か、簡単に言ってくれるわい」

 

経験で勝る亀仙人は直撃こそ免れており反撃もしているが、それらは全く効果がない

 

「武天老師さま、私も加勢します!」

 

残るバイオマンを掃討したクリリンが、師匠のピンチを救おうとする

 

『邪魔はさせんぞパチンコ頭、貴様の相手はコイツじゃい!』

 

Dr.コーチンが叫ぶと、闇から誰かが飛び出し、クリリンを吹っ飛ばす

 

「痛っ…誰だ!

……え!?」

 

クリリンが体勢を立て直して着地、己を攻撃した者を見るや固まった

 

「…ご、悟空?」

 

亀仙流の道着、黒髪のツンツン頭に尻尾の生えた少年、孫悟空がクリリンの前に立っていた

 

ただし両の眼を充血させ、歯を剥き出しにしてだが

 

「悟空…お前、なんで…」

 

「ぐ、がぁぁぁぁああああ!」

 

叫び声を上げて悟空がクリリンに強襲する。その戦い方は亀仙流ではなく、四つん這いになって暴れる一匹の獣の様相

 

迫る悟空に、動揺を隠せないクリリンは防戦一方となる

 

「なにやってのよ孫くん!クリリンを忘れるなんて!」

 

「どうしたんだよ悟空、ふざけてないでさっさといつもの悟空に戻れよ!」

 

「悟空さん!やめて下さい!」

 

ブルマ、ウーロン、ウパが叫ぶも悟空は一切止まらない

 

『ひゃっひゃひゃ、無駄よ無駄、最早そやつに声は届かんよ』

 

Dr.コーチンは捕らえた悟空に洗脳装置を着けたと説明、更に性格が単純な悟空に洗脳装置は極めて有効だったとも

 

「ぐっ!」

 

友を傷付ける事を躊躇うクリリンにキツい一撃が入り、その顔を歪ませる

 

「悟空、しっかりせんか!

ぐおっ、いかん…!」

 

亀仙人も悟空に気を取られ、凶暴戦士のコンビネーションをモロに喰らい、グロッキー状態となる

 

「こ、こら亀ちゃん!勝手にやられるんじゃないわよ!あんた武天老師なんでしょ!なんとかしなさいよ!」

 

「む、無茶を言ってくれるわい…」

 

ブルマの情け容赦のない野次に亀仙人はボヤく

 

『ふむ…まぁ凶暴戦士の調整はこんな所かの

そこのパチンコ頭、もう少しその猿を追い詰めてみよ。その方が研究のし甲斐がある……むっ!』

 

Dr.コーチンが話す途中で何層もの天井を突き破った何者かが、ブルマ達のいる広間に突如として落り立った

 

「こ、こんどは何だよ!」

 

ウーロンやブルマが驚く、その粉塵の中には長く黒い髪に富士額が見え、次第に収まるとそこには眼光を鋭くしたサイヤ人・ラディッツが腕組みで立っていた

 

「ラディッツ!あんた遅いわよ!」

 

ブルマの野次にラディッツは反応しない、寧ろ怒りの表情を崩さずに実弟である悟空を睨み付けている

 

 

 

だが突然の来訪者は、ラディッツだけではなかった

 

『………………ッ!!』

 

何かの音、微かに壁の向こうから聞こえる

 

『………ーーン!』

 

ブルマ達の視線がラディッツから壁に向けられる

 

『……ーーン!』

 

「これって…何よ、今度は何なのよ!」

 

まるで飛行機が空を飛ぶ時に出す、音のようなモノが聞こえる

 

『…ーーン!』

 

「なんか、こっちに近づいて来てねーか?」

 

言いながらランチが銃を向ける

 

壁という壁を壊す音、謎の飛行音の主はすぐそこまで来ると

 

『キーーーーン!!』

 

最後の壁が破壊された

 

「んちゃ!!」

 

粉砕された壁の向こうから、帽子に眼鏡の少女・アラレちゃんが元気に挨拶したのであった

 

 

 

 

 




少し急いだ感じがしますが許して下さいませ

はい、お久しぶりでございます。秋に入り生産も残業もイライラも増え、中々投稿できませんでしたが何とか書けました!



悟空のピンチに『なんて様だカカロット』と言って現れるのは王子や十円だけじゃないって事です

バイオレットVS桃白白
亀仙人VSバイオマン
クリリンVSバイオマン
ヤムチャVSバイオマン
ランチVSバイオマン

終了したバトルの中で一番ノリノリで書けたのは、何気にランチさんだったのはここだけの話です
次点でバイオレットですかね。ヤムチャは…やっぱりヤムチャでしたが、これは修行不足だったので仕方ないですね。そのうち彼にも名誉挽回のチャンスが来る…のか?

グルドに痺れ薬が効いたのは、あの悟空ですら病気で死ぬんなら別に問題ないよなぁ?と思ったからです

ラディッツとアラレちゃん、性格は真逆とも言える二人ですが、果たして…

ありがとうございました!

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