起きたら『グルド』になったので、取り敢えず歯を磨く事から始めようと思う   作:ヘルメット助教授

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誤字脱字ありましたらスイマセン

今回は視点は全て定点です 


22話、少年達の拳と超能力戦士

【エビフリャー共を一瞬で倒しおったか】

 

「……」

 

壁にめりこんだり天井に突き刺さったりしたままの凶暴戦士に、目もくれないラディッツは獣以下に成り下がった弟を見据えており、その眼光は非情なものであった

 

後ろからブルマが喚いたり、ウーロンが怒鳴ったり、アラレちゃんが則巻博士を探しに笑いながら走り去って行っても、ラディッツは視線の先を決して変えない

 

自らを捕縛せんと強襲してきたキシーメやミソカッツン、そしてエビフリャーを瞬く間に葬ってもだ

 

 

 

「ふぅ、殺すか…」

 

サイヤ人から獣になった弟を抹殺しようと腕組みを解き、一歩だけ脚を進めた姿に弟カカロットは獣の本能だけで動いている分、目の前の男が放つ強烈な殺気を敏感に感じ取るや尻尾を弱々しく丸め、怯えた様子で引き下がろうとする

 

逃がさんともう踏み込もうとするが、さっと横からクリリンが前に割って入り待ったをかける

 

「ラディッツさん、私は悟空とは同門の出です

ここはどうか私に任せて下さい」

 

悟空を元に戻そうとクリリンが強く直訴すると、ラディッツの額に大きな青筋が浮かび上がった

 

敵に洗脳される奴はサイヤ人の面汚し、バーダックの血族だろうと許す訳にはいかない

 

「どけ」

 

「どきません」

 

「貴様も殺すぞ」

 

「……っ、どきません!」

 

ラディッツは本気だが、クリリンも譲らず

 

サイヤ人は頑固だがクリリンとて、目の前で苦しむ修行仲間を見捨てられはしない

 

するとまたもスピーカーが邪魔をする

 

【けひゃひゃひゃひゃ!猿の相手はそこのパチンコ頭にさせてやればよかろう

ラディッツと言ったな、貴様にはワシを遙かに超える科学者が生んだ最高傑作を用意してやったわい!】

 

Dr.コーチンがそう言うとラディッツ達の広間が激しく揺れ、真っ黒い二足歩行の巨大ロボットが壁を突き破ってラディッツに襲い掛かった

 

頭部に人間の脳味噌を溶液に浸し、造形は二足歩行の虫を彷彿とさせる何ともグロテスクなロボットが、両手でラディッツを掴み取った

 

2㍍に迫る高身長のラディッツを両手で掴むロボットは、そのまま天井に開けられた穴から外へと飛び出して行く、そのサイズは10㍍以上か

 

「ラディッツさん!

あ、待て!悟空!」

 

ラディッツが巨大ロボットに捕まったのを見た悟空は、これ幸いと逃走を図ったが目の前にクリリンが立ちはだかった

 

「ぐるがぁあ!!」

 

「甘い!」

 

悟空が飛び掛かり首筋に牙を突き立てようとするが、クリリンはサイドステップからの正拳突きを悟空の顎先めがけて打ち抜き、脳が揺れてガクンと膝が抜けた悟空に対して連打を入れていく

 

打ち込まれた箇所の痛みからか、そこを庇うだけの悟空はサンドバッグ状態、相手の攻撃を捌くという武術の基本的な教えすら忘却の彼方なのかとクリリンは悲しんだ

 

打ち込めば打ち込む程、あの悟空は居なくなってしまったという現実に少年の目にはいつしか涙が溢れて視界が歪む

 

追い詰めている、あの悟空を追い詰めている

 

修行の時いつも先を行っていた悟空を

 

なのに、こんな形で追い詰めて嬉しい筈が

 

「泣くなクリリン!お前の気持ちは悟空に届いておるぞ!」

 

背後からの武天老師の叱咤にクリリンは気付く、サンドバッグ状態だった悟空が打たれる前、避ける動作がよりコンパクトになってきている事、そして攻撃がただの引っ掻きから爪撃のような格好になり始めた事に

 

「続けろ!」

 

「はいっ!」

 

泣きそうだった顔が引き締まり、呼吸と心が整うとクリリンは望みを乗せた拳を悟空に向けるのだった

 

「どういことなのよ亀ちゃん!孫くんはもう記憶が無いんじゃないの!?」

 

ブルマの目にも悟空が獣から少しずつ人に近付いて来ている事が分かるのだろう、理由を武天老師に問う

 

「たとえ記憶は無くとも身に染み付いておるのじゃ、何千何万回と体に覚えさせた技が

正念場じゃぞ…クリリン」

 

「でりゃあぁ!!」

 

最初、変わり果てたその姿を見たとき激しく動揺し、続いて噛み付き引っ掻き体当たりを駆使する獣の動きに対応するのが難しかった

 

しかし迷いも涙も断ち切った。悟空の動きが獣から戻ってきているのだから

 

「ジャ、ンケン…グー!」

 

悟空が育ての親であり武天老師の弟子である孫悟飯に教えられた技【ジャン拳】のグーこと、拳骨がクリリンにヒットした

 

「おぐっ、な、んだよ悟空、やればできるじゃないか」

 

「グ…?あ、あああ、うぅ…」

 

一撃、これまでノーダメージだったクリリンの顔面に確かな一撃が入り後ろに吹っ飛ぶ

 

カウンター気味に貰ったが、クリリンは笑って悟空を褒めるが打ち込んだ本人は訳が分からない様子で頭を抱えてもだえ始めた

 

「孫くん!しっかりしなさいよ!」

 

「悟空さん!帰ってきて下さい!」

 

「皆さん、賑やかですね~」

 

「悟空!」「悟空さん!」「悟空!」

 

ブルマ、ウパ、ランチ、ヤムチャ、プーアル、ウーロン

 

記憶が戻る前兆なのかは誰にも分からない。しかし悟空を悟空に戻す為に自分達が出来る事は声を張り上げてあの少年に呼びかけるのみ

 

武天老師は万が一に備えて体内の気を静かに溜めている

 

【所詮、急造の出来損ないではこの程度か】 

 

「はぁ!?ふざけんじゃないわよ!」

 

Dr.コーチンの嫌味にその場のブルマを筆頭に全員から猛烈な抗議が飛ぶが、己の研究の為に価値観が狂った人間にその抗議は全く届く気配もなく。Dr.コーチンは急造のバイオマンを追加してブルマ達に襲わせた

 

「コレはちと多いのぅ…」

 

武天老師が対処できない程の数の暴力が、ブルマ達に迫る

 

「「ひぃい!!」」「ヤムチャ様ぁ!」

「来るな!来るんじゃねぇ!」

「く、さっきの傷が……」「亀ちゃん、アンタなんとかしなさいよ!」「あらあらあら~」

 

「こ、こい!守り人ボラの息子ウパが相手だ!」

 

手斧を持ったウパが最前線に出て構えるが、あまりにも無茶が過ぎる

 

クリリンも加勢したいが、悟空の反応が良い方向に傾いているので、ここで止めればどうなるか分かったものじゃない

 

「こんな時にグルドは一体なにしてんのよ!孫くんが大変な目に遭ってるって連絡したってメッセージを送ったのに、あのイボイボエロ宇宙人!」

 

 

 

「呼んだか?」

 

ブルマの怒号にグルド本人が飛来して応え、同時にサイコキネシスで一帯のバイオマンを吹き飛ばした

 

「またせな…って、ぐぇ!?」

 

「「「遅い!」」」

 

ブルマ、ウーロン、ヤムチャのトリプルキックに歓迎されたグルドであった

 

その後は早かった、時間を止めた状態で悟空の口の中に仙豆を食わせて満腹にさせ、テレパシーで【悟空、寝る時間だぞ】とメッセージを送るや、あっさりと洗脳を解いてしまう

 

「これでよし」

 

腹が満たされた悟空は呑気に大の字で寝息を立てており、とても先程まで獣同然だったとは思えない

 

あんなに苦労した悟空の凶暴化が、こんなにも簡単に?。ブルマ達は沸々と怒りがこみ上げグルドを囲んで状況説明がてら彼をボコボコにしたのであった

 

その顔を見ていたクリリンは床に突っ伏した。彼も限界だったのだ

 

グルドは落ち着かせたブルマから更に詳しく経緯を聞かされた瞬間、顔面に青筋を立てる

 

(バイオレットを傷付けただけじゃなく、千兵衛さんを攫い、悟空とクリリンを殺し合わせて高みの見物をしてたってか?へぇ

そもそもなんでピラフとDr.ウィローが手を組んでやがる?

つーか俺だって旅立つ前のバイオレットとの貴重な話し合いの時間を……)

「あ゛ぁ面倒くせぇ、こんなふざけた連中は全部ぶっ潰してやる」

 

何故が止まらないグルドだが、直ぐに堪忍袋の緒が切れる

 

Dr.ウィローは上空でラディッツと交戦してたのは確認済み、闘いの模様は拮抗してたので千兵衛さんを回収してからラディッツに加勢しても時間的に問題はない

 

「ブルマ!直ぐに全員を連れてこの大地から出来るだけ離れろ!もう完全にキレちまった、こんなふざけた連中も建物も、なんもかも全部ぶっ壊してやる!」

 

気迫に押されたブルマ達は直ぐにジェット機で遠くに避難し、千兵衛さんの居場所を気配で探ったグルドは一直線にピラフ達へと直行した

 

幾層もの壁やバイオマン、凶暴戦士のなり損ないを蹴散らした先に奴等はいた

 

「ほよ?オッチャン誰?」

 

「もがー!ふがー!」

 

だがピラフ達がいた部屋は既にアラレちゃんが大暴れしたらしく、ピラフ達は逃走したのか吹き飛ばされたのか不在であった

 

「アラレお腹空いたから帰るね!

出目金カエルのオッチャン、ばいちゃ!」

 

(出目金カエル…)

「ば、ばいちゃ」

 

「もがー!」

 

アラレちゃんは未だに拘束された千兵衛さんを担ぎ上げ、何層もの壁を突破しながらペンギン村に帰って行った

 

これで思う存分に暴れられるとグルドは眼下の研究所に厳しい視線を向けると、数ヶ月間に及ぶラディッツとの修行の成果の片鱗を見せる

 

 

 

不意に夜が訪れた。神龍が呼び出された時のようにいきなり夜が訪れのだ

 

ブリザードが吹き荒れる大地が漆黒の闇に覆われる

 

(天空にサイコキネシス・パネルを大幅展開、太陽光吸収開始)

 

グルドは雲の上に巨大な虫眼鏡状のパネルを作り出し、天から降り注ぐ太陽光線を己が一身に集めて収束させた強力な熱線をやろうとしている

 

(戦闘力の底上げだけでは面白くない。超能力と漫画やアニメの知識を駆使して闘えれば俺の可能性は無限大だ

黄金期世代をなめるなよ)

 

闇の中に輝くグルドは酷く目立っており、慌てたコーチンがミサイルや機関銃で迎撃するがそれは火に油

 

(よぉし、きたぜ…エネルギー充填120%だ)

「ソーラービーム、受けてみろ!カパッ!」

 

一閃。

 

グルドの口から発射された熱線は研究所を打ち抜きコーチンは一瞬にして蒸発、更に中枢部は溶解した

 

「まだまだ喰らえ。ラヴォスの日」

 

グルドは全身のイボイボの先から収束した熱線を次々と発射、先程の一閃で露わになった研究所めがけて拡散させたソーラービームを放つ

 

曲線を描いた熱線が雨の様に降り注ぎ、太陽光エネルギーが尽きた頃には研究所は跡形も無くなってしまったのである

 

 




お久しぶりです。鳥山明先生の訃報を聞き、居てもたってもいられず短いながらも書いてみました

次の話はDr.ウィロー編はダイジェストにし、グルドが地球を出発する話にしたいと思います

ありがとうございました!


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