起きたら『グルド』になったので、取り敢えず歯を磨く事から始めようと思う   作:ヘルメット助教授

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誤字脱字ありましたらスイマセン


7話、気のコントロール

 

修行3日目、夜明け前のカメハウスにて

 

「う~む…」

 

グルドこと俺は、波打ち際に座り込んで思案に暮れていた

 

原因は矯正用のインナーではない、くそ熱いサウナスーツでも、多種多様なサプリメントや、毎日チェックしてる体重でもない

 

体重は毎日1キロ程は順調に落ちているので、そっちは良いのだが、問題は

 

「戦闘力の上げ方か…」

 

DBの世界で戦闘力を上げる方法、それは種族関係なしに長い期間での修行による地道な底上げと、サイヤ人に代表される死の局面から復活すると戦闘力が格段に上昇する方法の二種類

 

先天的に戦闘力が高かろうが低かろうが、修行をすれば何とかなるのがDBの世界である

 

怠れば直ぐに戦闘力がヤムチャ化するので、修行をサボる=ヤムチャになるのでそれは嫌だ

 

闘いの最中に気をコントロールする事で、一時的に戦闘力を爆発的に上昇させる方法がある

 

サイヤ人・ラディッツとスカウターの登場は、これまでのDBと違って、相手との強さを数字化する事で読者に分かりやすく『強者』と『弱者』を明確化させた

 

しかし戦闘力を一時的に上げる事で互角に、もしくは弱者が強者の戦闘力を上回る事も可能になる

 

重りを脱ぐ、ピッコロの魔貫光殺砲、悟飯の底力などでラディッツはスカウターの数字の変化に振り回され、尻尾を鍛える努力も怠っていたが為に強戦士族の面汚しのような実の弟への必死な命乞いで、その場はなんとか乗りきる事は出来たが、結局は悟空と共に死んだ

 

300ほどの悟空とピッコロが約4倍の、1300のラディッツを倒したのだ

 

スカウターがないから分からんが、現在で戦闘力1万の俺が、5倍のリクーム達を相手に出来る可能性もあるので、気のコントロールは相当に魅力的だ

 

また戦闘力の一時的な変化は勝つ為の常套手段であり、相手を驚愕させて闘いを有利にされる精神攻撃にもなりうる

 

口臭改善はもとより、戦闘力の底上げ(最低5万)と気のコントロールは、この地球への武者修行中で絶対に身につけたい

 

ただ気のコントロールは激しい肉体的な訓練よりも、心を静かにし己の内面と向き合う精神的な修行、つまり瞑想から得られるモノと俺は考えている

 

ピッコロみたいに滝の側でフワフワ浮かびつつ座禅を組んだり、悟空が神様の神殿で座禅を組むのが印象に残るが、今の俺の環境も決して悪くない

 

夜明け前は静かで、暑くもなく、波の音は耳に心地よい

 

…落ち着く

 

「気のコントロール、か」

 

俺は人差し指の先に体内の気、体内エネルギーを集めてみる

 

ポウッ、と淡い光が指先に生まれた

 

集まった気にエネルギーを更に注いでいけば、光はより大きく、より輝きを放つ

 

豆電球ほどだった気の玉がピンポン玉くらいになり、次に野球ボールほどの大きさになる

 

まだまだ体内エネルギーには余裕があるので、その気になればもっと気の玉を大きくできるかも

 

まぁフリーザ様がバーダックもろとも惑星ベジータを花火にした時のような、巨大な気の玉は作れはしないだろうが

 

しかしこれでは、何かが違う気がしてならない

 

ただエネルギーを無駄に、外に外に流しているだけのような…

 

「…外に?じゃあ…中に中にエネルギーを集めていったらどうなる…?」

 

ボソッと呟いて指先に出したエネルギーを体内に戻し、砂浜に胡座をかいていた俺は立ち上がる

 

ダラリと全身の力を抜いて自然体になるとそのまま目を瞑り、体の中心にエネルギーを集めるイメージをしてみる

 

それが心臓の位置でも、へそや腹筋でも、へその下の丹田でも何でもいい

 

集めやすい場所にエネルギーを…

 

………ん?………なんだか、体が熱くなってきたような

 

いや、でも…これも違うな

 

ただ気を集めただけ、さっきの指先に集めたのと大して変わりは無い

 

もっとこう…体の底から沸き上がるような、原作風に言うと額に血管が浮き出るような『力』が感じられない

 

沸き上がらせつつ、体からエネルギーを漏らさずに、留める?

 

風船みたいにか?

 

「ぬんっ……!」

 

俺は体中からエネルギーを放出させつつ、それを体から漏らさず、力一杯に留める

 

「かぁぁぁぁ~!!」

 

溢れ出ようとするエネルギーをギリギリの所、体を覆う皮膚で抑制するイメージ

 

「ぬぐぐぐっ…こうっ、か!」

 

上手くいったら、またエネルギーを放出し、皮膚で抑制

 

それを繰り返す

 

ぐっ!なん、か!

いつもより…力が、増したような気がするぜ!

 

『ゴゴゴゴゴゴゴ…』

 

「……っ!、……っ!」

 

いいぞ…もっとだ、もっとイケる

 

俺の気が高まる、溢れる…!

 

もっとエネルギーを絞り出せば…更に

 

「……!!」

 

『ボカン!』

 

「あたっ!」

 

突然、頭を殴られて我に帰った

 

そこには寝巻きの亀仙人とバイオレットが、必死の形相で立っていた

 

なぜ寝巻き?なぜそんな必死の形相を?

 

あり?これが本日の初顔合わせだったか?

 

ってことは

 

「……あ、おはようございます」

 

『ズル!』

 

2人が盛大にズッコケた

 

バカモン!と怒る亀仙人

 

なぜ?と俺が問えば

 

寝ていたらいきなり大地震が発生、2人は飛び起きて避難しようと俺を探したら、今回の地震の震源地が波打ち際で轟々と気を放つ俺だった、と

 

ひょいと辺りを見回せば、確かに夜明け前の静けさから一変

 

地震が空気を振動させ、空は黒雲が発生して遠くでは雷が鳴り、厚い雲に呼ばれた風は舞って波はうねる

 

天変地異の様だった

 

「お主はもっと自分の力を知れ!

ワシらを殺す気か!」

 

「う、うす……すいやせん」

 

そんなこんなで朝から、かなりガチ目の説教を受ける俺であった

 

 

 

 

 

さて修行である

 

マスクは呼吸がしづらいし、サウナスーツは相変わらず熱いが、俺は早朝に覚えた『なんちゃって気のコントロール』をやりながら朝の配達をしてみると、我ながら驚いた

 

まだまだコントロールが練習不足なので、長い時間は続きはしないが、動き易さは段違いなんだ

 

今までのようにただただフルパワーで、出さなくても良い箇所からエネルギーを無駄に流すより、動かす箇所のみに放出を厳選、消費された分を体に溜まったエネルギーで補うので無理なく、姿勢よく走れる

 

これかもな

 

これが、気のコントロールに繋がる修行なのかもな

 

……しかし

 

「腹減った…」

 

俺達は朝飯を食べずに海を渡り、2つの配達を終える

 

空腹もそろそろ限界だ

 

そして高い崖の上で亀仙人から、ある物を見せられた

 

なんの変哲も無い石に『亀』と書かれたモノである

 

「2人とも、今のを見たの?」

 

「は、はい見ました」

 

この石、この崖、まさか…

 

「ひょーーーい」

 

ポーンと石を崖下の森に投げた亀仙人、全盛期のイ○ローを彷彿とさせる見事なレーザービームで石は飛び、緑の中へと消えて行った

 

嗚呼…この後の展開が読めたよ

 

「2人とも、今の石を取ってまいれ

でなければ朝飯は抜きじゃ」

 

「「ええええ!?」」

 

やっぱりか、ちきしょー!

懐かしいな!くそっ!

 

原作でもやっていた『亀』と書かれた石を探してこい修行、まさか3日目で来るとは!

 

「行くぞバイオレット!」

 

「うん!」

 

俺達は岸壁を伝って降り、広大な森の中から、手分けして探し出すのであった

 

 

 

一時間後、森の中で何とか石を見つけ出した俺達は崖の上で朝食を取っている

 

「それにしても、割りと早く見つけ出したのぉ」

 

「はい、グルドがこっちだ、こっちだって手を引いてくれたんですよ、そしたら直ぐに石が見つかりました」

 

バイオレットが亀仙人に説明している

 

俺の4つの目は視力に優れているので、石の飛距離はバッチリ抑えていたからな

 

途中で熊や狼、虎に猪やらに邪魔されたが、威圧の意味で気を体内で凝縮、それを一気に爆発させて衝撃波を放ってやったら、猛獣はみんな退散したっけ

 

爆発波、とでも言うかも

 

それにしても、今回は割りと簡単な修行だった

 

森の中で石を探すより、崖の登り降りの方が時間が掛かった位だし、バイオレットはクリリンと違って、修行仲間である俺を蹴落としてやろうとしないからな

 

「ふ~む、これでは今一つ修行にならぬの

では明日から石に『亀』と刻印するとしよう、そしてグルドは、これから目隠しをしながら修行をするのじゃ!」

 

『ぶはっ!』

「ゲホッゲホッ!」

 

「大丈夫?はい、お水」

 

咳き込む俺にすかさず水を渡してくれたバイオレット、それに対して、なんちゅー事を言うのかこの爺は!?

 

「ひょっひょ!視界に頼りきったお主には、ちょうど良い修行となろうて!」

 

……ぬ?

 

あ~成る程、目以外の感性を育てる、そういう修行か…

 

やっぱり武天老師は伊達じゃない

 

「では明日から目隠しをしながら修行に…」

 

「何を言っておる、今からじゃよ」

 

ほれと手渡された黒い布

 

「え~っと、つまり、目隠しをしながら修行と生活しろと?」

 

「無論じゃ」

 

サラッと何、とんでもないこと言うとんじゃい!

 

「凄いねグルド…、私も早くそれくらいの強さになりたいな…」

 

…バイオレットちゃん、もしかして天然か?

 

だがまぁ、亀仙人の言い分も最もだ

 

やれやれと布で視界を塞いだ俺は、もてる触感と嗅覚と聴覚をフル活用し、恐る恐ると朝飯を食べるのであった

 

その後の修行は、いつもより何倍も疲れたと言っておこう

 

道路工事のアルバイトでは危うく自分の足にツルハシを落とす所だったし、真っ直ぐ掘れないので進行は遅い

 

目隠ししながらの昼食は、バイオレットが作ってくれた食べ物を1つも落とすまいと気合いが入るし

 

湖で鮫に追われながらの十往復の水泳では、何度も鮫に噛まれたり、岩にぶつかったりもした

 

体中に痣や瘤を作って帰ると、今度は亀仙人とのバイオレットのシャワーシーン防衛戦が始まる

 

だがバイオレットの入浴を見んとする亀仙人のエロパワーは凄まじく、視界を塞がれた俺は一方的にやられ、バイオレットの肢体は無念にも亀仙人によって拝まれてしまった……無念

 

俺は今までに、どれだけ視力に頼っていたのか痛感する

 

どうにかしないと、このままでは…

 

俺は晩飯を食べ、シャワーを浴び、体重を記録、歯磨きをしたら、今度は夜這い防衛戦である

 

寝静まった夜、俺は毎晩のようにバイオレットの部屋の前に陣取る

 

負けられない闘いが、カメハウスにある

 

……来たか

 

俺は律儀に目隠しをしたままだが、準備はしてきた

 

サイコキネシスで出来た、目には見えない糸『サイコ・ウェブ』を廊下に幾重にも張り巡らせ、敵の到来を読み取った

 

「ほほぅ、どうやら小細工を考えよったらしいが

だがそれだけで、バイオレットちゃんとの添い寝を邪魔できるかな?」

 

「させねぇ、こっちも必死なんでな」

 

サイコウェブは今のところ敵の接近を報せるだけで、敵の位置を正確に教えてくれる訳では無い

 

だがその内、映画に出てきた銀河戦士のように相手を絡め取って動きを封じた上で、エネルギーを吸い取るような技法とか編み出してみたいぜ

 

「…言い付け通り、目隠しをしたままとは誉めておこう、しかし…ワシは遠慮せんぞ?」

 

亀仙人が構えたようなので、俺も構える

 

「はっ!」

 

来た!

 

「ふん!」

 

「うぉ!?」

 

俺はサイコキネシスの波を幾重にも作り、バイオレットの扉の前で『バリア』を展開

 

亀仙人はバリアに弾かれ、元いた位置に戻された

 

「ふむ…なにやら、不思議な壁を作りおったか

だが…その壁はいつまで持つかの?」

 

「……」

 

「答えぬ所を見るに、かなりの集中力が必要な技のようじゃ

ならば、ここは籠城戦といくかの」

 

亀仙人は何処かに行ったかと思うと、何やら雑誌を持ってきて、側でゴロゴロしながら下卑た笑い声をあげ出した

 

…エロ雑誌を読んでやがる

 

「むほほっ、こっちのピチピチギャルは、ええパイパイしとるのぅ!

だがバイオレットちゃんのパイパイに比べると、張りも形も大きさも劣るが

おっと、こっちのギャルは尻がバイオレットちゃんに似とる!ほれほれ~見てみぃ~

こんな感じじゃったぞぃ」

 

こ、このやろ~

 

「おや?どうした事かの

何やら壁が薄くなってきたような…」

 

ぐっ…、意識が…

 

「もう少しで壁が消えるか

どれ…、ほい!」

 

ゴン!という音と共にバリアに亀裂が入ると、そこからは一気に霧散した

 

「ひょっひょーー!バイオレットちゃんとの添い寝は頂きじゃー!」

 

ヤバい!と、止まれ!

 

『ピタリ』

 

息を止めながら、俺は急いで思案する

咄嗟に時間停止能力を使ってしまったが、全くなんの解決方法も考えてない

どうする!?どうする!?

目隠しを取るのは負けた気分になるし、バイオレットとの添い寝はなんとしても防ぎたい!

金縛りは亀仙人に効果が無いしな…くそ!なんかねーのか!

息が…そろそろ…ヤバい頃だ

…………あれ?まだイケる?

前ならとっくに切れてる頃なんだが…って、今はそんなことじゃねぇ!

なんとかしなきゃ、俺なりのやり方で夜這いを掛けるエロ爺を…ん?夜這いを、掛ける?

……うってつけの解決法があるじゃん!

 

俺は息の続く限界まで、ある用意をすると時間停止を解除した

 

すると勢いよく亀仙人は動き出し、バイオレットの部屋の扉を開けると、ベッドに眠る彼女を目掛けてダイブ!

 

しかし…

 

『ボゴォ!』

「めがっ!」

 

掛け布団の中から飛び出した俺が、亀仙人目掛けて頭突きをして、そのまま廊下まで飛び出る

 

どっかの3代目の大泥棒が毎回毎回、どっかの泥棒猫に夜這いを掛ける時の撃退法を思い出した俺の勝ちである

 

気絶した亀仙人を居間まで引き摺り、サイコキネシスの縄で椅子に縛り上げると、漸く俺は安らかな眠りに付くのであった

 

 

 

 




気のコントロールのやり方は作者の勝手なイメージですので、どうか生暖かい目で見てやって下さい

風船みたいに体内で気を増幅させ、その貯めたエネルギーを一気に掌から噴射、強力なエネルギー波を放てる的な感じでいきます

サイコキネシスの応用技、サイコ・ウェブやバリアと言った技を考えるのは楽しいな♪

ありがとうございました!
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