「ようやくここまで来れたのか」か「まだ3作あるぞ」か、「その3作が一番問題だぞ」かの全てを内心思っております。
実際、ド・ゴール将軍のキャラが掴めているか、と言えば無理(無知)でありますし、他二作も若干のところではあります。
ですが、ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
因みに本作、元は1000文字に満たぬ作品だったので、半ば無理矢理1000文字に届かせるべく大分加筆してあります。
故に元の雰囲気を損なった可能性は否めませんのでご了承ください。
また、今回は後書きが本編みたいなところがあります。
第二回世論型AARに関わる話なので、是非とも「第二回世論型AARを見ていた!」という人は目を通してください。
1950年代、『トルコ帝国』首都、コンスタンティノープル。
紆余曲折あり、結局解体されたオスマン帝国はアナトリアだけを保有していた。
そんな土地にロマノフスキーは居た。
なんでもこの地に、『ロマノフスキーなる男は偽なる使徒』と吹聴する男が居ると聞いたからだ。
確かに彼は『今は』使徒ではない。
只、役目を終えただけである。
そんな彼の些末なプライドは、ひとえに信ずる神への侮辱であると捉えたがゆえに傷ついた。
故に彼はこの地にて座すまた別の『使徒』と戦わんと降りたのだ。
とはいえ、本場のドネルケバブが食べたかったのもある。
それはさておき、ロマノフスキーはあるカフェに着いた。
がらり。軽く戸を開けて中に入ると、ピリリと警戒されているのがわかる。
そりゃあそうか、瀕死の帝国を植民地にし、雑に蘇生したのは我々だ。しかも、下手すれば自治国の乱立する状況になっていたのだ。
等と思いながら進むと、古い佐官程度の階級の、昔のオスマン帝国で使っていた陸軍の軍服(今のトルコ帝国の軍服はスカンディナヴィア寄りとなっている)の老人が居た。
白く長い髭、鋭い眼光、うすらと見える古い傷。
老兵か、見れば概ね察せる。
だがまあ、老兵の顔はこちらを見据えて動かない。
こちらを見定めているのだろう。
「して、貴殿の階級は中尉であったか。」
老人が語りかける。
「ああ。貴方が噂の……」
「ああ。あのような言い方をして悪かった。」
「確かに苛立ちは隠せなかった。だが、今はそんなことはいい。名は?」
「特段名乗れる名はない。貴殿の正体が解った今、我が名は陳腐となる。」
「何が陳腐か、貴方の顔は国のため、己の信じる物のために進んだ者の顔だ。そんな者が名乗るものが何故陳腐なのだろうか。」
「む、さすれば我が名は――」
「成程……」
名を聞き、考え込むロマノフスキー。
それを見かねた老人はこう言う。
「座ったらどうか。流石に私としてもそれは困る。マスター、コーヒーを。水はミルクにしてくれ。」
「勝手に頼むのか……まあいい、中佐殿、ドネルケバブの良い店はご存知で?」
その呼び名の変え方を感じた老人はこう返す。
「よろしい。中尉よ、我が半生で見つけた良い店を教えてやろう。」
「感謝します。」
「さて、この街で一番良い店はすぐ近くの通りのものだが、我々向けであり観光客には――」
二人の男は、カフェの一角で出会いとは別のことを語らい始めた。
これが後の中東情勢に大きな変革を与えるのはまた別の話。
余談ですが、この作品の『老人』はロマン・テュルク、つまりは第二回世論型AARのテュルク=地中海連合党(通称ローマ、或いはテュルクローマ)の党首、となります。
彼の裏設定としては、エンヴェル・パシャの部下の軍人で、第一次世界大戦には、コーカサス諸国やトルキスタンで独立を助けるべく、義勇兵として各地を転々としました。
その活動のエネルギーは、師にして上官であるエンヴェル・パシャの思想に自身の要素を足した、汎テュルク主義とローマ帝国復活を軸とした「テュルク=ローマ主義」を産みだし、各地の独立が確保されたあとは、各地を汎テュルク主義実現のために統合し、その後はバルカンを北進するために軍を辞めて政治の世界にうって出ました。
故に、コーカサスの人々と個人的な繋がりがあり、武器まで密輸入出来る程度には親密です。
また、愛国的なのも「スルタンと人民のため」に生きてきたからです。
汎テュルク主義も、ローマ帝国復活も、そうすることでより平和な世界を築くため、というのが本当のところです。
最も、彼のイデオロギーは民族主義と相反するうえ、タタールの軛やら、かつてのヨーロッパ諸国にとってのオスマン帝国の悪夢を想起させるため、一筋縄では行かなかったでしょう。
ですがまあ、彼は後進を教育したがっていたので、下手に連立を組んで政権を取りさえすれば荒木貞夫よろしく、文部大臣として汎テュルク主義を公教育の柱にしていたでしょう。
(ローマ帝国の方は後回しにするくらいには妥協する。君主制を護り、対仏開戦さえしてくれるなら何処とでも組もうとしたロマノフスキーと、とても似たキャラですね)
そんな彼はこの世界では夢破れ、自らをローマの使途と名乗るロマノフスキーの真偽を一目見ない限りはわからなくなる程にまで落ちぶれてしまいました。
最も、そんなことを気にするロマノフスキーではありません。
ローマの繋がりは魂レベルなのです。
SPQR!セナトゥース・ポプルスクェ・ロマーヌス!
ローマ帝国万歳!