小説版 仮面ライダークウガ&アギト ~超越~ 作:Nameless Abyss
―古代―
人を守る。それだけが
かつて
せめて贖罪をせねば。最後に彼は
彼は知るよしもなかったが、誰も傷つけぬ為にこの男が戦っていた間にリントがアマダムを見つけ、やがてグロンギと同等の存在であるクウガのベルトを開発したのは皮肉であった。
―6月26日 午後4時5分 科警研―
「はぁ。あそこも、もうすぐ閉鎖かぁ…。」
科警研の中でも未確認事件に関与した者しか知らないゴウラム研究所。4号も行方をくらまし、ゴウラムの処分が決定されお役御免と伝えられた榎田ひかりが呟く。
「確かにゴウラムには長年何も起きてないからこの処置も妥当なんだけど、なんか張り合いなくなっちゃうわ…。それにしても、『彼』は今どこにいるのかしら…?」
一人言を言いながら科警研を出ると、電話に着信がかかってきたのに気づく。確認するとかつて未確認事件の折に知り合ったジャンからだった。
「榎田サン!チョットイイデスカ?」
外国人故にやや片言な彼の言葉には驚きと喜びが入り混じっていた。
「何よジャン?勿体ぶらずに教えてよ。」
「聞イテクダサイ!実ハ…。」
「…!えっ、本当なの!?」
「今カラ来レバ間ニアイマスヨ!」
「うん!急いで行く!」
ジャンに伝えられた場所へ榎田は急いだ。
―6月27日 午前9時40分 長野県警―
「発電所襲撃については、48号の仕業と考えられる。加えてその目的もかつて46号が起こした電力不足事件同様自身の更なる強化と思われる。そして、これを見てくれ。」
警官がホワイトボードに目を向ける。そこには磁石で固定された長野県の地図に48号の行動予測ルートが記載されていた。
「我々はG3ユニットと協同で考証した結果この3ルートのどれかの可能性が高いと判断し、引いては県警を3手に分けて防衛線を―」
「待ってください!」
「何だね、一条君?」
「恐らく、どのルートにも奴は来ないと思われます…。」
「どう言うことかね?」
「説明させていただきます。」
一条はホワイトボードへ歩き、説明を始める。
「まず、今回の事件で私はずっと違和感を感じていました。まず、奴等が人の多い場所で事件を起こしていたのは獲物、つまり人が多いためであり、今回のように人気の無いところで犯行に及ぶ例はほぼありません。そして終盤に行われる事件ほど多くの人間を対象にする必要があり、このような少人数の暗殺のような手法をとる未確認はいませんでした。しかし、これを見て私は納得しました。」
一条は地図に赤い点を付け加える。
「この赤い点は48号が起こした殺人事件のあった位置です。気候や位置には共通点も何もなく私も疑問に思ってましたが、これを順番に線を繋ぐと…。」
1件目から4件目までを線で結ぶと、丁度九郎ヶ岳遺跡を中心に書きかけの五芒星が出来上がる。
「そして、5件目の犯行場所は間違いなくここになるはずです。」
一条は最後に赤い印を書き込む。印は丁度4件目の場所と発電所から一直線に繋がっていた。
警官はどよめきたっていた。そこは市街地であり、万が一48号が現れようものなら市民はパニックに陥るだろう。
「なるほど。直ちに48号が出没すると思われる市街地へ向かい、48号から市民を死守せよ!」
会議の後、一条はG3ユニットと合流し、作戦を聞いていた。
「先の戦闘でダメージが重なっててG3-Xはまだ万全と言えないわ。今回は一条くんにG1として出撃してもらい、氷川くんはG3-Xの修理が終わるまで待機してもらうわ。」
「分かりました。」
―
作戦確認が終わると、かつてB-1号が告げた言葉がふと脳裏をよぎる。確かに、戦いと言う概念を持たなかったリントと戦いになれてしまった今の人間は多いに違っているのかもしれない。だが、それでも誰かの笑顔の為に戦い、傷ついた者もいた。
(『アイツ』と比べたら、確かに俺の覚悟は劣るかもしれない…。)
例え見た目は赤でも、今の自分は白かもしれない。そう一条は思った。
(それでも、『アイツ』の分まで…。)
そんな思いに耽っている暇など無い。G1を装着し、トライチェイサー2000を駆る一条。
彼が置いていった携帯には椿から着信が来ていた。
―6月27日 午前10時10分 長野県警―
最後の1人、そいつが『新たな力』を試す初めての獲物になる。運の良いことに、近くにアイツもいる。ゲゲルの後で奴も始末する。やっと獲物が、狙いの場所に来た。
次の瞬間、獲物とされた桜子の目の前に赤い装飾を身に付けた48号が現れる。
「きゃあ!」
かつても未確認に狙われたことがあって、桜子は恐怖に刈られ身動きがとれなくなっていた。待っていた、と言わんばかりに嬉々として迫る48号。
「桜子さん!」
間一髪、翔一が助けたに来たことで桜子は無事だった。再び48号に相対する彼の腹部には光り輝くベルトがあった。
「変身!」
正体がバレる事など気にしていられない。空手のような構えを取り、両腰に手をかざす。すると、翔一の姿は4号にも似た黄金の戦士アギトへと変わる。一度見ていたものの、それでも桜子は驚く他なかった。
「今度は、前の様には行かない!」
48号が突進していたため、グランドフォームの格闘能力が活きる。敵をいなし、無駄のない動きで拳を何度も打ち込む。敵が怯んだところに回し蹴りを決め、48号を吹っ飛ばす。
「
48号も攻めるが、動きを既に掴んでいたアギトのカウンターを受ける。ならばと赤い装飾を1つ手に取り青い瞳の俊敏態へ姿を変えると、装飾も槍へと形を変える。
それに気づいたアギトも左腰に手をかざし、バックルからストームハルバードを取り出して青いストームフォームへ姿を変える。
「ハァ!」
48号の槍をストームハルバードの刃でいなし、反対の刃で攻撃する。続けてストームハルバードを振り回し連続で切りつける。
「はぁぁぁぁぁ…」
ストームハルバードを振り回して竜巻を起こし、ハルバードスピンを決めようとする。が、
「
48号の瞳が青から紫へと変わる。『紫の4号』に相当する、鎧に身を包んだ剛力態へ変貌した。同時に手にした槍も大剣に変わり、ハルバードスピンは剣による防御と鎧に防がれてしまった。
「っ…!?」
敵の姿に驚くものの、アギトは右腰に手をかざしてフレイムセイバーを手に取りトリニティフォームへと姿を変える。そして、ストームハルバードに風を、フレイムセイバーに炎を纏わせ48号に斬撃を加える。
―6月27日 午前10時10分 長野県内―
「くそっ、こんな時に…!」
市街地に48号が現れたと報告があった。それ故に市内は大混乱に陥り、逃げようとする人々で溢れた道路では渋滞が多発していた。そんな中に一条はハマってしまい、身動きがとれなくなっていた。
そんな中、G3トレーラーから通信が入る。
「一条君、聞いて。所属不明の警察車両が48号の元に向かっているそうだけど、心当たりはない?」
「所属不明の警察車両…?あり得ない、そんな筈は…!」
車両自体には心当たりがあった。
(まさか、お前なのか、五代…!?)
もし予想通りなら『彼』に戦わせるわけには行かない。一条は大通りを抜け、辛うじて通れる狭い道を縫うように進んでいった。
次回 仮面ライダークウガ&アギト
「五代!もういい、お前にはただ冒険だけを―」
「一条さんこそ、あの時の約束を忘れたんですか!」
「こんな奴らのために!これ以上誰かの涙は見たくない!」
「皆に笑顔でいてほしいんです!」
「だから見ててください!俺の…」
「変身!」
第十二話『変身』