小説版 仮面ライダークウガ&アギト ~超越~   作:Nameless Abyss

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第五話 一会

 

    ―2003年 6月26日 午後1時 警視庁―

 

かつて未確認生命体事件再発の対策として結成され、それすら越える驚異であった超越生命体(アンノウン)と戦い抜いたG3ユニット。彼らは再発した未確認生命体事件解決のため現在長野へ向かう準備をしていた。

 

「念のために確認よ。今回用意するのはG3-X及びその装備一式、そしてガードチェイサー。何か意見があったら言ってほしいわ。」

 

G3ユニットの班長にしてブレインの小沢澄子(おざわ すみこ)が言う。直後に同じくG3ユニットのメンバーである尾室が訊ねる。

 

「あの、G3も持っていった方が良いんじゃないんですか?」

「それは考えたのだけれど、残念なことに今後結成されるG5ユニットのメイン戦力にするためのテスト運用中。というわけで今私でも自由に扱えないのよ。」

「なら、せめて神経断裂弾をもっとたくさん用意しても良いんじゃないんですか?」

「残念なことに、アンノウンとの戦いで神経断裂弾の有効性が認められなかったために多数が廃棄されてしまったそうよ。警視総監は反対したそうだけど、それでも万が一の時に即使用できるように6発、サンプルとして更に6発、併せて12発しか残らなかったわ。今使えるのは、この銃に込められた分だけよ。」

 

警察幹部の選択を失策と思ったのか、珍しく苦虫をかみつぶしたような顔になる小沢。物珍しげに見る尾室であったが無理もない。

確かに神経断裂弾はアンノウンに対して有効ではなかった。そのため、G3専用のより強力な弾頭をG3ユニットで開発したのは事実だ。しかし、皮肉にもそのせいで一般の警官でも使用できる、対未確認の切り札がほぼ喪われてしまったのだ。なんとも皮肉な話である。

 

「神経断裂弾はG3-Xがなくとも使用可能よ。だから私たちではなく、長野県警の人に渡そうと思ってるわ。未確認には尋常でない回復力があるからG3-Xの火器がどこまで通用するかはわからないから注意してね、氷川くん。」

「分かりました。それと、僕からもひとつ意見があります。」

「何かしら?」

 

注意を促した小沢に対し、氷川が意見を言う。

 

「使用はできませんが…。僕としては、G4を持っていってほしいんです。きっと、何かの役に立つ気がするんです。」

 

G4。かつて自衛隊が小沢から設計図を盗みだし、開発してしまった禁断のGシリーズ。現在は自衛隊の暴走を抑える目的もありG3ユニットで保管・管理しているそれを、氷川は持っていくべきと言っているのだ。

 

「そんなの無理に決まってるでしょ、氷川さん!あれは装着者を死に至らしめる呪いのシステムですよ!」

 

氷川の無茶な提案に対し、難色を示す尾室。氷川としても、実は明確な理由はなかった。自分の意見は恐らく却下されるだろう、そう思っていた。しかし、小沢からの返事は意外なものであった。

 

「『きっと』とか『何となく』とか、そういう言葉はあながち馬鹿に出来ないわ。いいわ、持っていきましょう。」

「あ、ありがとうございます!」

 

予想外の小沢の言葉に驚きながらも氷川は礼を言う。

そんな彼の提案もあり、小沢にはある考えが思い付いた。

 

(使うことはないと思うけど、お守り代わりに『あれ』を持っていくとしますか…)

 

二人には隠して小沢はあるシステムを用意するよう指示した。

準備が完了すると、元城南大学生であり、無二の優等生だったと言われる警視総監から激励を受け、G3ユニットは長野へと向かった。

 

 

 

   ―2003年 6月26日 午後5時 長野県警―

 

「G3ユニットの方々ですね。警備課所属の一条薫警部補です。」

「管理官だからって、そんなに堅苦しいあいさつは結構よ。G3ユニット班長小沢澄子よ。」

「同じく氷川誠。」

「尾室隆弘です。」

 

互いにあいさつを済まし、一条はG3ユニットのメンバーを未確認生命体第48号対策本部へ案内した。

 

「こちらが対策本部です。」

 

10分も歩かないうちに対策本部へ着くと、氷川と尾室はすでに座っていた警官にあいさつし、各々がそれぞれの席についた。続いてお互いの情報を出し合うことになり、まずG3ユニット側が現状の戦力について説明した。

 

「我々が持ち出したものはこちらです。G3-X及びその装備一式、あとはガードチェイサー。G3-X用の装備についてはお手元の資料を参考にしてください。以上です。」

 

小沢はG4及び秘密裏に持ち出したシステムについては語らなかった。そもそもG4を持っていく事を提案した氷川もG4を使うつもりはなかった。G4ほど深刻ではないがもう片方のシステムにも問題があり、実践投入は不可能と判断したからだ。そんな『お守り』程度のものを仰々しく伝えることもないと小沢は考えたのだった。

 

「ありがとうございます。では、今度はこちらがつかんだ情報について発表します。」

 

謝辞を延べ、今度は一条が長野県警が捜査して得た情報を伝えた。

 

「被害者はすでに3人に増えており、場所もバラバラ。ただし、共通点が見つかっています。まず、被害者は全員女性であり、死因と一酸化炭素中毒で同じ。更にもう一つ、被害者は全員が同じ薬局で処方された薬を受け取っています。」

 

判明した共通点について一条は冷静に話す。しかし、それだけでは犯行を突き止めたとは言いがたい事は一条も自覚しており、一条は続ける。

 

「ただ、それだけでは奴の犯行方法が特定できていない。今までにはこんなやり方で犯行を行う未確認は確認されていない…。」

「一つ、いいかしら?」

「はい、何でしょうか?」

 

一条の説明を聞き、小沢が質問をする。

 

「今までの未確認には装飾品を武器に変化させる個体もいたのよね?なら、人間社会に潜入し、48号が薬に細工して服用した瞬間に一酸化炭素に変化させたとは考えられないかしら?装飾品を武器に変える能力を応用すれば不可能ではないわ。」

「なるほど…。よし、薬局を調べてみるぞ!」

 

小沢の推理の下、捜査が再開された。

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