ISD《インフィニット・SD》 -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs- 作:龍牙
これは、SDガンダム達と共に闇の化身と戦う司とは別の世界に存在する、もう一人のガンダム達の力を宿した少年の物語……その始まり。
「はぁ、はぁ……」
息を荒げている黄金の巨神『黄金神スペリオルカイザー』。その眼前には何かの“物体”が転がっていた。
「何を考えてるんだ、このアホ神は?」
「全くだ」
スペリオルカイザーの言葉に同意するのは金色の不死鳥『
司の世界にガンダム達を送った帰り道、今後の対策や各々の立場からのサポートについて他のガンダム達の世界の守護神達と話し合おうとした時に、暇潰しで人間を死なせて別の世界に転生させた神に遭遇。あまりの身勝手に頭に来て全力で叩きのめしたわけである。
……結果、多少手間取ったがスペリオルカイザーの完勝。この神は『古代神バロックガン』よりも弱かったようだ。
「しかし、このアホのせいでとんでもない事になった」
「ああ。闇の化身の別働隊が転生させた人間を自らの媒介に選ぶとは……」
その事に気づいたのは、本来生まれるはずだったと言うのに転生者に肉体を乗っ取られ消える筈だった魂の為に肉体を再構成……その際に思考を読んでしまって、禄でもない考えで思わず殴ってしまったせいで著しく転生者のスペックが低下してしまったのは全面的に放置した。
その時に本来の肉体である転生者の肉体のデータをベースに新たな肉体を再構築した際に、転生者に闇の化身による一種の目印がつけられていたのに気付いたのだ。
内心で『これに比べたら、まだバロックガンの方が神としてまともなのでは?』と頭を抱えたくなるスペリオルカイザーだった。
「どうする、既にガンダム達は彼の世界に送ってしまった」
「私達の力では世界さえも危険だ。力自身を託す相手は見付かっているが……どうす……っ!?」
そんな時に
「これは……そうだ!」
「此方にも居る。恐らく他の世界の神の所にも残っているはずだ。あの世界に迎えなかったガンダム達が」
「彼等に任せるしかない」
「ああ。『闇』のガンダム達に」
そして、スペリオルカイザーと
四つの世界の神の願いと共に送られた五人の勇者の名は、
古代神に力を与えられ操られながらも、己の意思を取り戻し弟と共に戦った天使族からガンダムへと転生した騎士『騎士エピオン』
呪われし“剣の逆星”の宿星を宿しながらも、その立場から命を賭して『逆星暗黒神』と戦った武者『
孤高の仮面の戦士『マスクコマンダー』
死の名を背負いし闇の竜の戦士『
呪われた闇の血を背負いながら、息子を守る為に修羅の道を歩む事を選んだ武者『抜刀武者 逆伐』
妙に安堵感と不安が混在している面々な気がするがそれは置いておこう。まあ、そんな彼等と共に戦っていく少年は彼等に影響されて成長していくこととなる。……良い意味でも悪い意味でも。
★☆★☆
黒い仮面のガンダム『マスクコマンダー』は眼下にある施設へと視線を向ける。だが、その外見はSDタイプでは無くリアル体型と呼ばれる姿をしていた。
「警告はした。消えろ、貴様等の下らない研究と共に」
バックパックから打ち出す大陸間弾道MS『ICBMハンブラビ』を射出し跡形も無く消滅した施設を一瞥するとその場から飛び去っていく。
この研究所……正確にはこの研究所にある“ある物”の中に潜んでいた闇の化身の配下も倒しているので、確実にICBMハンムラビの直撃で完全に焼滅できた事だろう。
「任務完了……ってな」
『……何故だ? 何故か一度も聞いた事も無いはずなのに、その台詞は弟がよく言っていた気がするのは?』
心の中に響く騎士ガンダム『騎士エピオン』の言葉を黙殺しつつ彼は通信が入っている事に気づく。
「……束姉……」
『そうだよ~、しーくんのアイドル束さんだよ~!』
弾んだ事で話しかけてくる女性の顔を見て溜息を吐く。通信に映った相手の顔を見た瞬間溜息を吐くのは如何な物かと思う。
束と呼んだ相手は彼、『織斑 四季』にとって色んな意味で存在自体を黒歴史に葬ってしまいたい相手だ。だが、今はそれなりに嫌っているが何気に初恋の相手な上にこうしてお世話になっている相手なだけにどうしても嫌いになりきれない相手でもある。
付け加えるなら、何気に向こうも好意が有ったらしく嫌い始めてからは、妙に嫌いきれない元初恋の相手(両思い)と言う妙な関係が付け加えられてしまった。
「何のようだよ?」
『知ってる~、いっくんと……あいつが……ISを起動させたんだって! これで『2』人目と……『3』人目の……男性操縦者だね!』
「……ああ、兄さんと……『あれ』が……ね。オレの事も有るから予想はしていたけど……仕組んだ?」
『束さんが仕組んだならあいつには起動させないよ』
「ごめん」
妙に『あいつ』と言う人物の所で嫌悪感が入る二人だった。同じ相手……四季の二人の兄の一人である『織斑 秋津』に対する嫌悪感が一致しているのも、嫌いになりきれない理由だったりする。
『ねえ、しーくん、お願いなんだけど』
「IS学園に行けって言うんだろ? オッケ、束姉。オレも久しぶりに兄さんには会いたかったし……あれはどうでも良い……寧ろ、死んで欲しいけど」
『そうだね、あれには消えて欲しいけど、一応いっくんの為に用意してあげる専用機が取られないようにしーくんにあれに押し付けるガラクタを届けて欲しいんだ』
「分かった。『灰燼』の事だな」
その一言に反応する様にファンファーレがなる。正解だったようだ。
『灰燼』、大量生産されたパーツの中にも性能の差が出来る。著しく性能が低い物や、逆に一際性能の高い物。それらのパーツの中で著しく性能の低い……不良品として処分を待つ予定だった代物を組み合わせ、形を整えただけの代物である。息抜きがてらの暇潰しとしてパズル感覚で作られた機体だが、何気に世界規模で見ると高性能機に分類できるから不思議だ。呼び名は『ガラクタ』または『
「で、ガラクタの運搬だけじゃないだろ、オレの役割は」
『そうだよ。しーくんにはいっくんと箒ちゃんを守って欲しいんだけど』
「一兄の方は兎も角……束姉の妹を守るのはイヤだよ」
『あれが原因』
「そう。下手に関わったらあれにも関わるハメになりそうだからな」
そう言った後二人して溜息を吐く。二人の会話に出てくる『あれ』とは当然ながら、秋津の事である。
『箒ちゃんも何であんなのが好きになったんだろう?』
「さあ。人の趣味も色々……」
『なんでも、洗脳能力を持ってるらしいぞ。……確か、『ニコポ』とか言ったか? 変わった名前の能力だな』
二人の会話の途中で話しかけてくるのは『
「『なにそれ?』」
思わずそんな声を出してしまう二人。言うだけ言ってさっさと意識の奥に戻ってしまったガンキラーに声は届くわけもなく、二人の中に『箒=あれの被害者』と言う構図が浮かんでしまった。
「っ!? 悪い、のんびり話している暇は無いみたいだ!」
そう言って研究所の跡に向かってショットガンを連射すると、吹飛ばされた瓦礫の中から一つの黒い影が飛び出してくる。
「チッ!? やっぱり此処に有るコアも『闇のウィルス』に感染していたか!?」
この世界に於いて闇の化身達が潜んでいるのはISのコアのネットワークの中。一種のコンピューターウィルスとして存在しているのだ。意思を持って生物として活動する強大な力を持ったコンピューターウィルスの本体、それがこの世界に於ける闇の化身達だ。
コアを中心として自らの化身をウィルスの末端として送り込み、感染したコアを核として周囲の物質を無機物・有機物問わずに吸収し、本来の姿を取り戻す事で闇の化身の配下はこの世界に具現化する。
唯一の幸運は闇の化身達が具現化するには膨大な質量やエネルギーが必要となると言う点だろう。それこそ、
具現化するのはオレンジ色の鎧を纏ったMS族の騎士、
「こいつを倒したら連絡する。武者変化!」
四季の姿を灰色の鎧を身に纏った胸に逆になった『剣』の文字が刻まれた武者ガンダムへと姿を変える。
邪悪なる宿命に生きながら、誰よりも平和を願いその命を賭して敵の立場から天星七人衆を助けた誇り高き武者『魁斬頑駄無』! なお、コミックワールド等存在しなかった。どう見ても主人公よりも格好良い人であった。
『邪騎士ザクエスか。確か、ザビロニア帝国の騎士の一人……だったか?』
「そうだな」
頭の中に響く魁斬の声にそう返しながら彼の姿を借りた四季は連理剣・
「……七製天剣流」
剣を振り上げて襲い掛かってくるザクエスに対して、
「回羅旋斬!」
魁斬より教えられた七星天剣流の技の一つにして代表的な技。威力が高く使い勝手の良い回転斬りによって斬り捨てる。そのまま地面に落ちていくザクエスを一瞥もせずに魁斬はゆっくりと残心を解く。
『見事だ。十分に七星天剣流の剣士を名乗れる力量を得たようだな』
「はい、ありがとうございます、師匠」
仲間としての会話ではなく師弟としての会話。普通に生身で七星天剣流を会得している辺り、四季の人外度がよく分かる。
そんな形で『織斑 四季』と闇のガンダム達の物語が始まっていくのだった。
逆伐も仲間に加えました。魁斬はやっぱり漫画版ですよね。コミックワールド版は外道過ぎですから……。