ISD《インフィニット・SD》 -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs-   作:龍牙

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ってな訳で完成版です。


第一話《クラスメイトは、全員女-2》

(うわ、マジで帰りたい……)

 

 協力者である束の依頼でこうしてIS学園に入学したわけだが……入学試験も受けた訳でもないのに入学している理由はなるべく考えないようにしている。多少マトモになっているとは言えいろんな意味で常識外の人物なので……。

 

(……そう言えば、一度一緒に雑兵を倒した事も有ったっけ……生身で)

 

 その時の一件を考えると……生身で雑兵とは言え闇の化身の部下を倒した束も人外だが、それ以上に七星天剣流の技で五、六体纏めてなぎ払った四季もそれ以上に人外だろう。

 

 内心周囲から向けられる好奇の目は……四季が表向きは三人目と成っている男性IS操縦者と言う所じゃないだろう……。主に、顔に着けているISマスクコマンダーの待機状態であるマスクコマンダーの仮面が原因だ。

 

 制服姿なのは普通だが、仮面を着けている生徒と言うのはどう接して良いのか、普通の学校でも判断に困る。一応、常に身に付けておくことが一種の義務らしいので身に付けているが……仮面の場合はどうするべきなのだろうか? と疑問に思うが、普通は仮面を選ばないだろう。だが、仮面の無いマスクコマンダー等タダのコマンダーなので仕方ないだろうが、

 

 ぶっちゃけ、仮面を被っているその姿は妙に威圧感があり、全員が全員遠巻きに見ていた。マスクコマンダーの仮面自体結構人が着けていたら威圧感あるのだし。

 

 内心で溜息を吐きながら片腕に着けているブレスレットへと視線を向ける。束からの入学祝として渡されたもう一機の専用機『黒蘭』。束曰く、愛情たっぷりの彼女と四季の共同で解析した……ガンダム達の力の一部を宿した事で進化したISマスクコマンダーの機能と、束が開発した第四世代機の理論を投入した意欲作らしい。

 小学生のランドセル処か……手作り弁当感覚で世界でも希少な代物に、何処の国からも喉から手が出るほど欲しいであろう代物まで乗せた物を渡されても本気で困るのだが。

 まあ、飛行能力を持たないガンダムに変身した際の飛行ユニットにもなるそうなので喜んで受け取っておいた。

 

「全員揃ってますねー。それじゃあSHR(ショートホームルーム)を始めますよ」

 

 丁度このクラスの副担任である『山田真耶』の姿が目に入る。

 

(めんどくさい)

 

 表には出さず心の中で溜息を吐く。そもそも、学校に通う事については束からの依頼だけでなく、魁斬と騎士エピオンの二人からの強い勧め故でもある。

 そして、此処IS学園と言う場所は専用機、量産機含めてそれなりの数のコアが有り、コアネットワークの中に潜むコンピューターウィルスとなった闇の化身とその配下が何時現れても可笑しくない場所だ。

 束からの依頼である一夏と(心底イヤだが)箒の二人の闇の化身からの護衛、二人のガンダムからの勧め、出現する敵の迎撃と言う三つの目的の面で効率的に動ける場所だ。

 

「織斑秋津です。皆さん、ISに関しては何も知らないので宜しくお願いします」

 

 内面知らない奴には爽やかな好青年と言った印象を感じさせる表情で無難に自己紹介する転生者こと、織斑秋津。実際には何を考えているかは想像したくもない。

 

「織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

 それに対して無難ではなくどちらかと言えば簡潔すぎる自己紹介をする兄弟の長兄である、この世界の中心人物の織斑一夏。兄弟である二人の自己紹介は全面的に聞いていない四季だが、

 

「……くん」

 

(……そう言えば連中に感染するコアってどちらかと言えばイリーガルな場所にある物が殆どだよな……。流石は病原菌じゃなくて知的生命体……表ざたに出来ない場所で誕生して存在を隠すなんてな……。だけど、そうなると此処にあるコアが感染する可能性は低いのか?)

 

「織斑四季くん!」

 

「っ!?」

 

 行き成り大声で呼びかけられて驚いて其方を向く。もっとも、表情は仮面で隠してあるから気付かれないだろうが。

 

『四季、自己紹介はお前の番だぞ』

 

(……考え事してて気付かなかった)

 

「あっ、あの……。お、大声出しちゃってごめんなさい。お、怒ってる? 怒ってるかな? ゴメンねゴメンね!」

 

「いえ」

 

 魁斬が先程大声で呼びかけられた理由を四季に説明すると、真耶が四季の顔を覗き込んでいる。

 

「でもね、あのね、自己紹介、「あ」から始まって「お」の織斑君達なんだよね」

 

 まあ、三人揃って『織斑』なのだから問題は無いだろう。内心では面倒でも苗字を変えるべきだったと後悔している。……転生者との縁を切ると言う意味でも、だ。

 

「だからね? ゴメンね? 出来れば仮面も取って自己紹介してくれるかな?」

 

 そう言われて顔を覆っていた仮面を横にずらす。丁度顔の横に耳に被らない様に固定する。

 

「……織斑四季だ。字は『春夏秋冬』の意味での『四季』、あと苗字からも分かる様に前の二人と……認めたくないが兄弟だ。以上」

 

 その瞬間音響兵器と思うほどの物凄い歓声が上がった。流石に騒がしいが向けられているのは敵意では無い以上、排除しようなどと言う考えは持たない事にしている。そして、丁度四季の自己紹介が終った後に担任である『織斑 千冬』が入って来た。

 

(チッ!)

 

 彼女の姿を見て四季は内心で舌打する。思わず顔に出てしまいそうになったのは仮面がないことに直前に気付いて止められた。

 

 その姓から分かる様に一夏、秋津、四季の三人の姉である。長い事(束の元に居て闇の化身の配下と戦っていて)失踪していた四季の姿を見て、驚きと嬉しさが入り混じった表情を向けてくるが、四季から向けられている意思は『嫌悪』の感情だった。

 

 彼女、千冬の事は心底嫌っている四季である。……どちらかと言えば七割方転生者のとばっちりでは有るが。基本、敵意を向けてくる相手以外は敵と判断しない四季ではあるが、何気に問答無用で嫌っている例外だったりする。ある意味ではこの人も被害者の一人である。

 

(一年間どうしてこうも嫌いな奴等の顔を眺めなきゃならない……)

 

『運が悪かった、としか言いようが無いな、これは』

 

 四季の言葉にそう答えるガンキラー。

 

(ヴァルキューレが担任か……教師の免許持ってたと言うのも初耳だけどな……)

 

 単に興味が無いだけと言うだけだが、姉とさえ呼ばずに『ヴァルキューレ』としか呼んでいない相手だ。敵意と無関心が絶妙なバランスの上で立っているのが、四季の中での織斑千冬と言う人物だ。

 正しくは『ブリュンヒルデ』なのだが、敢えて戦乙女(ヴァルキューレ)と呼んでいる。どう言う意図が有るのかは四季しか分からない事だ。

 

 そんな形で自己紹介も終わり授業も終った。……電話帳レベルで分厚い教科書を一夏が振るい電話帳と間違えて捨ててしまったと言う笑えるエピソードが有ったりと授業中にトラブルはあったが、概ね問題はなかった。

 四季にとっては持ち歩くのも面倒なので予め内容は暗記している。……元々は転生者が望んだ最高峰のスペックの体、分厚い教科書を持ち歩かないでする程度には感謝している。……コンマ一秒で忘れる程度だが。

 

 まあ、授業内容のISの運用についての説明はある意味四季にとっては一番縁の無い話しだ。

 ISマスクコマンダーも黒蘭も個人所有の、好き勝手に法等一切無視して運用している身の上なのだ、そんな物を守る気もないので試験の為に覚えておく程度のレベルだった。

 

 幼馴染の箒に連れられて出て行く秋津、クラスメイトに囲まれている一夏に対して四季の周囲には誰も居ない。仮面の威圧感で近付き辛い雰囲気を発していたためだろう。

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

「ん?」

 

 其方へと視線を向けるとキレイな金色の髪をした蒼い瞳の外国人が話しかけてきた。気高い気品のある雰囲気を纏っている事からそれなりに社会的地位に有る、もしくは有った家の出身である事が分かる。

 

「ああ……久し振りだな、オルコット嬢」

 

「あら、セシリアでいいですわ、四季さん」

 

 まあ、四季にとっては世界中を廻りながら闇の化身と戦っていた時の知人に当たる、『イギリスの国家代表候補生』の『セシリア・オルコット』。例外的に公な部分のコアに現れた闇の化身の配下に命を狙われていた事から、助ける事になった相手でもあったりする。協力者ではないが、自分達の事を知っている知人に当たる。

 彼女と会ったのは一度だけだが、雑兵を刀一本で薙ぎ払ったりと随分と派手な事をしたから良く覚えている。

 

(……なんか、その時から妙に熱っぽい視線で見られてるんだが……なんでだ?)

 

 彼女から向けられている意思は敵意では無く好意なので問題ないと判断しているが、彼女から向けられている意思の意味は理解できない。

 

「あの時は本当にありがとうございました。それに、四季さんとこうして同じクラスに慣れるなんて、光栄ですわ」

 

 心底嬉しいといった様子のセシリアに内心で困惑している四季。『何かしたのか、オレ?』と言った所なのだが……

 

『いや、なんて言うか良く似ていると思うぞ、一番上の兄に』

 

 と言うのが騎士エピオンの弁である。

 

 まあ、彼女と話している間に授業開始のチャイムが鳴り、残念ながら久し振りに会ったセシリアとの再会はそこでお開きとなった。妙に嬉しそうな彼女の姿に『?』マークを浮べている四季だが、騎士エピオンと魁斬、逆伐の三人はその理由を察していた。……マスクコマンダーとガンキラーは興味なしと言った様子だ。

 口で言っても教えるべきではないと判断して黙っているが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一日が何事も無く過ぎて行った……とは言い切れない一日ではあったが、転生者の視線に不快感を覚える事以外は概ね言い一日だったと言えるだろう。久し振りに会いたいと思っていた兄や一度しか会った事の無かった知り合いとも会えたのだし。

 

「さて、再来週行なわれるクラス対抗戦に出る代表者を決めないとな」

 

 HRの冒頭で千冬がそう言葉を告げる。

 

「はい、織斑君を推薦しまーす」

 

 誰かが手を挙げてそう宣言する生徒の一人-そもそも学校の生徒の三人以外全員が女子なのだから、女生徒と表現する必要も無いだろう-が推薦するとそれを切欠に、

 

「それじゃあ、誰か分からないよー。私は一夏くんの方が良いと思いまーす」

 

「それじゃあ、私は秋津君の方が良いかなー」

 

「折角唯一の男子だし、盛り上げないとね」

 

 どうも、最初の仮面のインパクトが原因なのか、四季の名前が挙がっていない。

 

「待ってください!」

 

 そう言って立ち上がったのはセシリアだった。

 

「その様な選出は認められません」

 

 何を考えて彼女がそう発言しているか分からないが、後ろを振り返って一瞬だけ転生者が妙な表情を浮べたのを四季は見逃さなかった。

 

「実力から行けば四季さんがクラス代表になるのが必然ですわ!」

 

『ガンッ!』と言う四季が机に頭をぶつける音と転生者が椅子から転げ落ちる音が二つ重なった。

 

「? どうした、秋津」

 

「あっ、何でもないです、織斑先生」

 

 そのリアクションで妙な視線が集まる転生者(秋津)。そんな転生者(秋津)を無視しつつ四季はセシリアに視線を向けると、笑顔で手を振ってくれた。

 

 それによって理解した……つまり、実力を知っている四季が選ばれ無いと言うのが気に入らないのだろう。……それだけでは50点と言った所だが、半分は正解していたりする。

 

(……仕方ない……面倒ごとはゴメンだから適当に負け『手を抜いて負けるのは許さんぞ』。全力で戦います、師匠)

 

 魁斬に注意された四季だったが、せめてもう一人巻き込んでおこうと手を挙げる。

 

「どうした、し、四季。推薦された以上、拒否権は無い」

 

「あー、いえ、推薦された以上はちゃんとやるまでですけど、オレはセシリアを推薦します」

 

 面倒事に推薦した本人も巻き込むと言う事だった。何より、彼女を推薦する理由も有る。

 

「イギリスの国家代表候補の専用機持ち。十二分に代表として推薦する理由はあります」

 

 その言葉に後ろで心底嬉しそうな笑顔を浮べているのには気付いてなかったりする。前を見ていたし。

 

「四季さん、ハンデは無しですわよ」

 

「全力は出すが……本気に関しては、“出さしてみろ”としか言えないな」

 

 ある程度ISマスクコマンダーの能力と四季の技を知っているセシリアのその言葉の意味は、七星天剣流を使えと言う意味なのだろう。だが、四季にとって七星天剣流を使ったときには加減が出来なくなるのだ。だからこそ、全力と本気は別物……。

 

「ええ、わたくしがどれだけ強くなったかお見せしする、いい機会ですわ」

 

 セシリアもそれでいい様子だ。

 

「そうだな。同じく専用機持ち同士の戦い、条件は五分と五分だ」

 

 

 

『ええっー!!!』

 

 

 

 四季がそう言った瞬間、クラス中から歓声が上がる。

 

「四季君、専用機持ってるの!?」

 

「うそっー!」

 

 そう言って詰め寄ってくるクラスメイト一同……その中で、転生者の視線が妙に気になるが全面的に無視する。

 

「……気付かなかったのか?」

 

 そう言って頭の横に着けている仮面を改めて被りなおす。

 

「……この仮面がオレの専用機の待機状態だ」

 

 クラス全体に流れるのは納得と言った空気。そうでもなければ教室で堂々と仮面など被っていない。……腕に着けている黒蘭の事はまだ黙っておこう……そう決めた四季だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、放課後……兄二人は千冬が勝手に荷物を纏めたらしいが、携帯と着替えに洗面用具だけと言うのは少なすぎるとも思う。

 

 四季については流石に最初から寮生活と言う事は理解していたので、必用な物は既に纏めてある。……聞いた所によると、転生者だけが女子と相部屋で一夏と四季は一人部屋らしい。

 元の歴史を知らない四季には分からない事だが、本来の一夏の立ち居地が転生者の立ち居地と言う所に当たる……とだけ言っておこう。まあ、一人部屋になるのも本来の歴史の流れなので、少しばかり流れが速くなった……その程度だ。

 

 だが、急に決めた事らしく、三人の部屋はかなり離れている。途中で他の二人と別れて真耶に教えてもらった部屋の前に立つと、

 

(人の気配がする)

 

『敵意は無いが……』

 

『開けるしかないだろう。何時までもこうしていても意味は無い』

 

(そうだな)

 

 一人部屋のはずの部屋の中に感じる人の気配。魁斬と逆伐の言葉に答えてドアを開けると、

 

「お帰りなさ……」

 

『『『『『「…………」』』』』』

 

 ナンか居た。四季は無言のままドアを閉じて明後日の方向を向く。流石のガンダム達も呆気に取られてしまう。

 

(…………一兄の所でも遊びに行くか)

 

『そうだな。少し疲れているようだ』

 

『時間潰せば勝手に帰るだろう』

 

 そう言って立ち去ろうとする四季。

 

「ちょっと閉めないでよ」

 

 そんな声が扉の向こうで聞こえてくるが無視だった。……少なくとも、行き成り部屋に居たエプロンの水着のみの女性に対する対応は、本気で困る。

 幻想的な透き通った水色の髪の美少女……とは言え、本人の真意が知れない以上、どう対応していいのか本気で悩む四季だった。

 

 まあ、セシリアと同じ経緯……闇の化身の配下との戦いに巻き込む形で知り合った人間の二人目だったのだが……。

 

 ……まあ、それが四季と彼女『更科 楯無』との再会だった。

 

 

 

 




っと言う訳で箒を除いたヒロインズから一夏のヒロインを覗いた上でのランダムでの選出で、二人だけ放浪時代の四季と知り合いと言う事になりました。
全ては闇の化身のせいなんだ。
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