仮面ライダージオウ RE:ファイナルステージ 作:ホッケ@ががばばの謎
EP.EX1「時の女王·2019」
何もない真っ暗な空間。
何もないはずの空間に、巨大な時計盤と、一人のシルエット。
時計盤を背後に、旅人のような出で立ちの青年が佇む。
彼は手に持つーー歯車の装飾が施され、「逢魔降臨歴」と題された本をパラパラと捲り、口を開いた。
「ーー···この本によれば、
『普通の高校生だった『常磐ソウゴ』。
彼には大魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた。
そんな彼の前に現れたのは、醜い平成を『無きもの』にしようとする『もう一人のソウゴ』であった。
『常磐ソウゴ』はこの私ーー『ウォズ』の裏切りすらも乗り越え、真の王としてこの世に君臨するのであった』」
本をパタリと閉じる。
「···すなわち、これは···
青年ーーかつて歴史の管理者として「もう一人のソウゴ」に仕えていた預言者「ウォズ」はそう締め括った。
【コツ···コツ···】
ゆっくりと、その空間内に入り込む者が一人。
「彼」はフードを被っている。
フードの中は何もないように見えた。
「···ん?······君は!?」
しかし、ウォズだけには見えていた。
その憎悪に歪んだ顔を。
その殺意を現した眼を。
「彼」の手には、ストップウォッチのようなものーー「ライドウォッチ」が握られている。
そのベゼルを回し、上部のボタンを押し込む。
その瞬間、ウォズの頭に激痛が走る。
さながら、急に様々な事を思い出した記憶喪失患者のような。
『我が魔王!』
『黒ウォズ!』
『我が救世主!』
『白ウォズ』
『祝え!』
『我が女王!』
『赤ウォズ!』
ウォズの意識が一時的に落ちる。
ふと、彼は落ちる瞬間に声を聞いた。
「ようやく······あいつに···!」
ひどく怒りに満ちた声であった。
《『アナザージオウ』!》
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーー「···ん···あ、アレ······?」
白いドレスとマントを羽織った少女が目を覚ました。
彼女の名は「ツクヨミ」。
時を「止める」能力を持った少女で、「最高最善の魔王」を目指す少年「常磐ソウゴ」の仲間。
···しかし、重要なのはそれではない。
「···ここ、何処?」
···まずは、ツクヨミの周りを取り巻く暗闇が何であるかを知ることだ。
「一寸先は闇」とはよく言うが、ここまで暗闇で何も見えないと笑えなくなるだろう。
それくらいに深い暗闇であった。
「手も見えないし···」
そう愚痴った瞬間だった。
【コツン···コツン···】
「!?···誰!?」
突如響いた足音らしき音。
辺りを見渡すが、何もいない···否、見えない。
···それが、命取りだった。
「ウッ!?」
突如、身体中に強烈な電流が走るような苦しさが襲った。
身体をガクガクと揺らしながら、ツクヨミは地に伏した。
「あ···ああ······!?」
頭に直接何かが流れ込むような、形容しがたいほどの苦痛。
そして響く自分によく似た声。
『私が···私こそが『時の女王』よ···!』
ふと、朧げながらに背後を見た。
暗闇の中にぼんやりとシルエットが浮かぶのみだが、黒いローブを羽織った何者かーーツクヨミは知る由もないが、ウォズを襲った「彼」と同じように見えるーーは、懐から何かを取り出して、ツクヨミの身体にかざした。
ツクヨミの身体から白い光が迸り、その何かーーウォッチに流入していく。
やがてウォッチの表面に時計の指針が現れ、一周した。
そのウォッチはツクヨミの纏う服装のように純白に染まっており、見たこともない顔のようなものが描かれている。
そう仕向けた本人の顔が、また朧げに見えた。
先程とは違う。
愉しげに嘲笑っていた。
《『アナザージオウ』!》
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーー「ねぇゲイツ!!」
「ん···どうした?」
朝日さす家の中で、二人の若者が呼び合う。
一人は「カジュアルな若者」といった出で立ちで、もう一人は黒と赤のスーツとハーネスを着ている。
彼らこそが···「常磐ソウゴ」と「明光院ゲイツ」。
最高最善の魔王を目指す時の王者と、その友として最高最善の未来を歩もうとする救世主である。
彼らがそんな運命を持つことになった経緯はかなり複雑怪奇であるので、ここでは省略させてもらおう。
そんな彼らが住む家兼時計屋「クジゴジ堂」で、彼らは朝に似つかわしくなく騒いでいた。
「ゲイツ、ゲイツ!」
「落ち着け落ち着け、一体どうした?」
「何何、何の騒ぎ?」
騒ぎを聞きつけて台所からやって来たのは、常日頃から温和そうな雰囲気を纏う老齢の男性「常磐順一郎」。
ソウゴの父親代わりとして育ててきた人で、当の本人からすると叔父に当たる人物である。
···何気に時計や家電、果てにはタイムマシンすら修理できる物凄い人物でもある。
何を言っているか分からないと思われるだろうが本当のことである。
閑話休題。
「そうそう、叔父さんも聞いてよ!
ーーツクヨミとウォズ、何処に行ったか分かる?」
そう、二人が見当たらないのだ。
しかし、我々は二人がどうなったか知っているが、ソウゴたちは知る由もない。
「うーん···僕が起きた時には見かけなかったねぇ···」
「俺もだ」
順一郎とゲイツは呟く。
この朝明けまでに二人も攫う「彼」とは何者なのか?
三人が考えているところで、いきなりクジゴジ堂の戸が勢いよく開かれた。
「あ、いらっしゃいま···」
「それどころじゃないですよ!順一郎さん!」
近所でもよく見かけていた人と気付くのに、そう時間はかからなかった。
「どうしたんですか?」
「ーーか、怪物だよ···!」
「「!!」」
すぐさま何かを察した二人がクジゴジ堂から飛び出そうとする。
「えっ、えっえっ?···二人とも?」
「ごめん叔父さん、すぐ戻ってくる!」
気づいたときには既に二人とも消えていた。
「あっ···行っちゃった······まあ、大丈夫···だよね···?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーー《『G』!》
街中に突如アナザーライダーが現れた。
黒く染まったタキシード服のような羽織物を裂くように血管のようなラインが走り、いうなれば人を無理やり虫に近づけたような顔をしている。
そして、胸には巨大なーーまるで爆破痕で描かれたようなーー「G」の文字、腰に据えた割られたワインボトルのようなもののラベルには「2019」と筆記体で描かれている。
そのアナザーライダーーー「アナザーG」は唸り声を上げ、今にでも辺りの人間を襲ってきそうだ。
「そこまでだ、アナザーライダー!!」
「何故こんなところに?」
そこに颯爽と駆けつけた二人。
懐から妙な機械ーー「ジクウドライバー」を取り出し、腰に叩きつけた。
《ジクウドライバー!》
ドライバーがバンドによって腰に括られ、同時に彼らは「ライドウォッチ」を握り、ドライバーに装填する。
そして彼らの後ろに時計盤が現れる。
一方はアナログ式で、もう一方はデジタル式だが、どちらとも
ドライバーの上部にあるボタンを押し込み、腕を構える。
同時にある言葉を叫ぶ。
時空をを越えて受け継がれてきた「あの言葉」を!!ーー
「「変身!!」」
ドライバーのユニットとともに、世界が廻る。
《ライダータイム!》
《RIDER TIME!》
すると、背後の時計盤からマゼンタの「ライダー」、黄色の「らいだー」の文字が飛び出す。
バンドのようなものが全身を囲い、その姿を変えていく。
バンドが弾け飛んだ直後、「ライダー」と「らいだー」の文字が顔に嵌め込まれる。
そして、ドライバーが彼らのその姿の真名を告げる!
《仮面ライダー『ジオウ』!》
《KAMEN RIDER『GEIZ』···!》
ーーそう。
彼らは···仮面ライダーである。
ソウゴが変身した、さながらアナログ時計のような顔に「ライダー」の形の複眼のライダー。
「仮面ライダージオウ」
ゲイツが変身した、デジタル時計のような顔に「らいだー」の形の複眼のライダー。
「仮面ライダーゲイツ」
「駆けつけたみたはいいものの、今までのどのアナザーライダーにも似つかないな」
「ああ···朝起きたらツクヨミやウォズも居なかったし、何か大変な事が起きている気がする···!」
そう、彼ら二人が消えてからいきなり現れたのだ。
何かの鍵を握っていることには間違いないだろう。
ーーそれが始まりであるとも知らずに。
アナザーGが襲いかかる。
ソウゴ/ジオウとゲイツは衝突寸前で回避し、すかさず後ろ蹴りを同時に叩き込む。
「ガァァァァ······!」
が、何事も無かったかのように振り向き、巨大な剣ーー見様によってワインナイフにも見える武器を取り出し、ワインレッド色の斬撃を繰り出す。
「武器持ち!?」
「だったらチャンバラ勝負に持ち込むだけだ!」
《ジカンギレード!
『ケン』!》
《ZIKAN SAX!
『OH,NO』!》
対する彼らも、大きく「ケン」と描かれた剣ーー「ジカンギレード」、同じように「おの」と描かれた斧ーー「ジカンサックス」を取り出し、放たれた斬撃を受け止める。
弾き飛ばした勢いで駆け出し、土手っ腹に刃を突き立て、切り裂く。
表面に火花が咲く。
「グウウウ···」
アナザーGが唸り声を上げる姿を見て、ジオウは冗談めいてゲイツに問いかける。
「久しぶりの闘いで、身体なまってんじゃないの?」
「馬鹿な事を言うな!」
突っ込んできたアナザーライダーを拳で殴りながら声を荒げる。
「お前こそ、調子に乗るな!」
「俺は『最高最善の魔王』の力を手に入れた!
······今の俺に、敵はいない!」
再び突っ込んできたアナザーGにカウンターパンチを叩き込む。
「ただまあ···これから立派な王様になるためにも、いっぱい勉強しないといけないけどね!」
「フッ、それでこそジオウだ···一気に決めるぞ!」
「ああ!」
《フィニッシュタイム!》
《FINISH TIME!》
ウォッチとドライバーのスイッチを連続で押し込み、ユニットを回転させる。
瞬間、アナザーGの周りにマゼンタの「キック」の文字が囲み、そして黄色い「らいだー」や「きっく」の文字が伸びる。
同時に二人が飛び上がりそれぞれ右脚と左脚を伸ばして蹴りを叩き込む!
《タイムブレイク!》
《TIME BURST!》
ジオウは収束したマゼンタの「キック」を纏い、ゲイツは黄色い「らいだー」と「きっく」をレールが如く辿りながらアナザーGの胸部を貫く。
アナザーGは爆散し、同時にウォッチが地面に落ちる。
「ん?···なんだコレ?」
ジオウがライドウォッチを拾い上げる。
《『G』!》
ウォッチには、先程のアナザーライダーに似た雰囲気を持つ顔が描かれている。
記されている年号は「2009」。
「何このライドウォッチ?···『G』、って言ったような···」
「見たことない種類みたいだな···」
「まだまだ手に入れてないウォッチが、沢山あるってこと?」
「仮面ライダーの数だけライドウォッチが存在する···となれば、俺たちの知らないウォッチがあってもおかしくはない」
彼らが扱うアイテム「ライドウォッチ」には、時代を駆け抜けたライダーの記憶や力が秘められている。
「俺たちの知らないライダーのウォッチってことかぁ······じゃあ、そういうライダーのウォッチも、これから集めないとね!」
「まだ集めるつもりか?」
「んーだってさぁ?俺たちの知らないライダーがいるって···なんか悔しいじゃん?」
「またコイツは突拍子もないことを···」とゲイツが頭を抱えようとした時だった。
《『BURST MODE』》
背後の地面に煙が立ち込める。
どうやら何処かから銃弾が飛んできたようだ。
「え?なんだ?」
「新手か?」
彼らの背後から悠然と歩く人影が現れる。
その姿は···
「「···ツクヨミ?」」
白いワンピースとマントを纏った少女ーー彼らの仲間であるはずのツクヨミだった。
手にしている「ファイズフォンX」から煙が出ていることから察するに、恐らく彼女が撃ったのだろう。
では何故彼女は背後から襲って来たのか?
「···ツクヨミ!心配したんだよ!?」
「待てジオウ!何時もと雰囲気が違う···」
そう、何処か違和感がある。
ゲイツはハッと気が付く。
「···ツクヨミ、何故お前が『ジクウドライバー』を持っている?」
「え?···あっ、確かに!?」
何故か、彼女は本来ジオウ達の持つ二基しか存在しないはずの「ジクウドライバー」を身に着けている。
その疑問についての彼女の答えはーー
「気安く私の名前を呼ばないで!」
「え?···どうしたの?」
「······私は『時の女王』···!」
ーー敵意。
彼女は懐から、彼らにとって馴染み深いものを取り出す。
「ライドウォッチ!?」
「そのウォッチは何だ!?」
彼女は両手で包み込むようにしてベゼルを回し、起動する。
《『ツクヨミ』!》
ドライバーの左側にウォッチを装填し、ドライバーの上部のスイッチを両手で押し込む。
ドライバーからテクノチックな音声が流れ始め、両腕で柔らかにユニットを包む。
すると、彼女の背後に満月のような光を放つ時計盤が現れ、時を遡り始めた。
ユニットを回転させて、言葉を放った。
「変身!」
《ライダータイム!》
重厚な鐘の音が鳴り響き、時計盤が三日月状に欠ける。
指針は2:00を指し示し、三日月状に歪む金色の「ライダー」の文字が飛び出して、彼女の周りでバンドのような輪が収束する。
バンドが弾けると、姿が変わった。
何処と無く、ジオウにも、彼女本人にも似た、美しい姿だった。
シルクにも勝るとも劣らない純白のマント、女性的なラインを描くスーツ。
額から伸びる指針は、同じく2:00を指している。
飛び出した「ライダー」の文字が顔に装填され、複眼となる。
そしてドライバーから、賛美の歌が流れる!
《仮面ライダー『ツクヨミ』!
ツ·ク·ヨ·ミ!》
「仮面ライダーツクヨミ」がここに降臨した。
「変身した!?」
「お前が『女王』?···どういうことだ、説明しろツクヨミ!」
「だから気安く名前を呼ばないでって言ってるでしょ!」
暖簾に腕押しとはこういうことだろうか。
ツクヨミはジオウとゲイツに狙いをつけて銃弾を撃ちまくる。
放たれた銃弾の衝撃が、彼らの表面に火花を灯す。
「何するんだツクヨミ!?」
ジオウが声を荒げる。
その瞬間だった。
《ライダータイム!
仮面ライダー!
『ザモナス』!》
《ライダータイム!
仮面ライダー!
『ゾンジス』!》
またしてもライダーが現れた。
一人は、昆虫のような生物的質感のある素体の上に革のような質感のバンドとマントを纏う者、「仮面ライダーゾンジス」
もう一人は、素体の半身が赤と蒼で塗り分けられ、同じく革バンドと肩マントを纏う者、「仮面ライダーザモナス」
そして、ジオウとゲイツは知っている。
「『クォーツァー』か!?」
「クォーツァー···」
「
襲いかかるライダーを何とかいなしていく。
彼らは元々、「歴史の管理者」こと「クォーツァー」のメンバーであった。
彼らの目的は唯一つ。
「『平成』という醜き時代の修正」
彼らの野望は、ジオウが受け継いだ「最高最善の魔王」の力で叩き潰したはずなのだが···。
「もしかして、ツクヨミは彼らに操られているんじゃ!?」
「『操られている』?」
第三者が介入する。
「『我が女王』を愚弄するのは辞めてもらいたい···」
「彼」は、赤い軍服のようなものを纏っているが、ソウゴとゲイツにとっては見慣れた顔であった。
「ウォズ!?」
「待てジオウ!」
ゲイツはジオウの肩を掴み、忠告する。
「ウォズに見えるが···
『ウォズじゃない気がする』!」
「···うんそれ俺の台詞!」
ゲイツらしからぬボケーーご丁寧にポーズまでとってーーに突っ込むソウゴ。
正直、今の状況を考えると凄くカオスだ。
「でも、確かに赤い···」
二人はよく観察する。
「『赤ウォズ』、遅いじゃない!」
「···『赤ウォズ』?」
顔を見合わせる。
「これは失礼した、我が女王···」
「いやいやいや、『我が女王』って!
ウォズ、何冗談言ってるの?」
思わず突っ込むジオウ。
赤ウォズは真正面に左腕を伸ばし、言葉を紡いだ。
「ーー祝え!
この閉塞した世界を新時代へ導く時の女王!
その名も
『仮面ライダーツクヨミ』!
さぁ···平伏せ!
我が女王に!」
······やはりウォズ=「祝え!」の図式が完成しつつあるようである。
閑話休題。
「ええ、女王!?」
戸惑うジオウ。
ゲイツも、声にこそ出さないもののかなり動揺している。
「私は、我が女王の覇業を達成するために···この身の全てを捧げよう···」
忠誠心を現すためか、赤ウォズは右腕を左胸にゆっくり叩きつけた。
「貴方たちが今手に入れたウォッチ···それを渡しなさい」
ツクヨミが強く命令を発する。
「このウォッチを?」
「そのウォッチは、『平成に生まれながら『平成ライダー』として言い伝えられぬライダー』のウォッチ···」
「『言い伝えられぬライダー』···」
「『平成ライダー』とは······『クウガ』から『ジオウ』までの20人のことを言うが···中にはその歴史の中で出現し、誰にも知られていないライダー達がいた···」
赤ウォズが補足説明を入れてくる。
ソウゴが手にした未知のウォッチ···いうなれば「Gライドウォッチ」は、かつてある改造人間が手にしたライダーの力が封じ込められている。
そして、その歴史は誰にも言い伝えられぬものとして存在する···。
「そのライダーたち···その十四の力を手にすることで歴史をやり直し、新たなる『新時代』の扉を開く!
···そして私はその世界で、『時の女王』として君臨するのよ···!」
今までの様子からは考えられぬ野望を抱くツクヨミに、戦慄するジオウとゲイツ。
「そして、我々はそのうちの六つを手に入れている······
さぁ、我が女王に従い···そのウォッチを渡せ···!」
「ジオウ···!」
ゲイツが問い掛ける。
「ああ、やっぱり大変な事が起こっているみたいだ
···このウォッチは·········渡さない!」
ジオウは二人の方を向く。
「ツクヨミ!ウォズ!君たちの目を覚まさしてやる!」
それに対するツクヨミと赤ウォズはーー
「なら仕方ないみたいね···赤ウォズ!」
「我が女王の、仰せのままに···!」
またしても敵意であった。
赤ウォズは右手で通常のウォッチとはまた違ったウォッチーー「ミライドウォッチ」を起動する。
《『ウォズ』!》
腰に既に装着している黄緑のドライバーーー「ビヨンドライバー」の左側レバー部に装填し、左手でミライドウォッチの上部のボタンを叩くように押し込む。
《アクション!》
すると、背後にスマートウォッチに似た時計盤が現れる。
どこからともなくレーザービームのようなものが貼り巡って、電子的なリリックが流れる。
そしてレバーに右手を添えて、言葉を放つ。
「変身!」
レバーを右手で閉じる。
《フューチャータイム!》
瞬間、時計盤から湾曲した水色の「ライダー」の文字が飛び出す。
半透明のバンドのようなものが全身を包み込み、スーツを形成する。
そして、肩部と頭部の装甲が形成され、装着する。
その後「ライダー」の文字が顔に嵌め込まれる。
そして、ドライバーから「祝福」が歌われた!
《スゴイ!
ジダイ!
ミライ!
仮面ライダー『ウォズ』!
ウォズ!》
スマートウォッチのような顔に湾曲した「ライダー」の形の複眼のライダー
「仮面ライダーウォズ」
過去と未来をしろしめす我らが預言者が敵として立ちはだかった。
「フッ···覚悟しろ···!」
ウォズはジオウとゲイツを指差し、改めて敵対宣告を発する。
「行くよ···!」
「ああ···殴ってでも目を覚まさしてやる!」
ジオウとゲイツも武器を構えた。
闘いのゴングが鳴る。
ゾンジスとザモナスが同時に動き出す。
ゾンジスはその屈強な肉体から繰り出される強烈な突進、ザモナスは取り出したボウガンによる正確無比な射撃を放つ。
ジオウはザモナスの射撃を防ぐが、意識が一瞬向いてしまったが故にゾンジスの突進で弾き飛ばされる。
「ジオウ!この!」
《『YOU,ME』!》
ゲイツはジカンサックスをゆみモードに変形させ、ザモナスに矢を放ったが···
《ジカンデスピア!
『ヤリ』スギ!》
文字通り「横槍」が入った。
ウォズのジカンデスピアが、回転しながらゲイツの矢を防いだ。
それは皮肉にも、かつて歴史の管理者であった者同士が協力し合うという光景であった。
「ここで手駒を減らされても、それはそれで困るのでね」
「くっ···」
「ゲイツ!」
「ガァァァ!」
ジオウはゲイツに気を取られてしまい、飛んできたゾンジスの拳に気付けない。
寸前で気付き、躱したのちに背面に蹴りを叩き込む。
その後もゾンジスに何発か拳や蹴りを入れて退け、今度はウォズの下へ向かう。
ウォズはジオウの攻撃を冷静に判断し、的確に捌いていく。
真正面に蹴りを入れ、ジオウを弾き飛ばす。
ゲイツはザモナスと格闘、両者はほぼ同時に拳や蹴りを入れ相殺する。
しかし、ザモナスのフェイントパンチからのボウガンによる零距離射撃で、ジオウと同じ場所へ弾き飛ばされた。
弾き飛ばされた両者は面と向かう。
「分が悪い、一旦引くぞ!」
《『ジュウ』!》
ジカンギレード·ジュウモードとジカンサックス·ゆみモードの射撃が地面を叩き、煙幕を張る。
晴れた頃には居なくなっていた。
「···面目無い、我が女王······逃げられたようだ」
ウォズはツクヨミの前で跪き、首部を垂れる。
ツクヨミは手で静止し、ゾンジスとザモナスに命令した。
「ゾンジス、ザモナス···二人を追って、ライドウォッチを奪うのです」
ゾンジスとザモナスは二人を追うために、その場を離れた。
「私たちは?」
「新たなライドウォッチを手に入れる···」
「フッ···承知した、我が女王」
ーーそれを物陰から見つめる一人の影。
「彼」はフードを被っていて、顔がよく見えない。
「······全てが···動き出した······
···ハッハッハッ···
···ハァッハッハッハッハッ!!!」
「彼」は狂気的に嗤う。
全ては「彼」の思うがままだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーー命からがら逃げ延びたジオウ/ソウゴとゲイツ。
「ハァ···ハァ···ゲイツ、無事?」
「···なんとかな···」
その顔には、戸惑いや疲れが見え隠れしている。
今自分たちを襲っている現実。
···向き合わなくては。
「···まさかクォーツァーまで出てくるとは······それにツクヨミが『女王』とは···」
「しかも、俺達を襲ってくるなんて···
···『ツクヨミは誰かに操られている』、そう考えるのが自然だよね···?」
「一体黒幕は誰だ?······クォーツァーか?
······だとするとやはり、『もう一人のソウゴ』か···?」
「
歴史の管理者「クォーツァー」のリーダー。
常磐ソウゴを替え玉とし、平成ライダーの力を集めさせた張本人。
彼は前述の通り、ソウゴが「最高最善の魔王」の力を以て倒したはずである。
となると···何故再び「もう一人のソウゴ」が現れたのか···。
ソウゴが手を叩いた。
「ジオウ、何か思い当たる節があるのか?」
ゲイツが問い掛ける。
「······赤ウォズ···
···変身しても赤くなかった!」
いきなりのトンチンカン発言でコケるゲイツ。
気持ちは分かる。
「···何を言っている?」
「えー凄くない!?
『赤ウォズ』なのに赤くないんだよ!?」
「何なんだよ今更!?
白ウォズだって真っ白になる訳じゃないし、そもそも黒ウォズも黒くないだろ!」
「ホントだー!」
ゲイツ、再び頭を抱える。
···本当に、彼は「最高最善の魔王」になれるのだろうか?
疑問は尽きない。
《『ゴライダー』!》
突如音声が鳴り響き、ソウゴとゲイツは辺りを見渡す。
···またしてもアナザーライダーが現れた。
バッタの顔に人間の頭蓋骨を埋め込んだような、何処かヘルメットを被っているかのような複雑な凹凸のある顔。
腹部に刻まれた赤い十字架。
襟広マントのように折り曲げられた翅。
全身を走るドット調の水色のライン。
右眼は赤、左眼は黄色、そして身体の所々が赤、青、黄、緑、桃と塗り分けられている。
そして右腕に「GO RIDER」、左腕に「2019」と書かれている。
アナザーライダーーー「アナザーゴライダー」は明らかに二人を狙っている。
ちなみに、ジオウの必殺技は公式では「タイムブレーク」ですが、響きが何か嫌(身勝手)なので「タイムブレイク」になっています。
ゲイツ関連の音声やらは基本的に英語表記になります。
ウォズは別に複眼の文字は「RIDER」でも良かったと思うの···(意味不)