仮面ライダージオウ RE:ファイナルステージ   作:ホッケ@ががばばの謎

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EP.EX4「2019:最低最悪の魔王」

「『正化30年』······馬鹿げている!!」

ゲイツはそう厳しく返す。

しかし、おそらくはアナザージオウの耳には届いていないのだろう。

今や、自分は時の支配者ーー己自身がルールなのだから。

 

 

 

「う、ううん···」

「ハッ、目を覚ました!?···ウォズ、ツクヨミ!?」

どうやら、ツクヨミとウォズの二人は意識を取り戻したようだ。

ジオウとゲイツが二人にそばに駆け寄る。

「う、うーん、私は······一体···」

「···なるほど、どうやらあの男···『加古川飛流』に操られていたようだね···」

「『加古川飛流』!?」

ウォズは相変わらずの超速理解力で事態を察しているが、ツクヨミは反して混乱している。

「ツクヨミ、赤ウォズに『我が女王』って呼ばれてたよ?」

「私が女王!?!?」

「···やってくれるね」

ジオウが赤ウォズの真似をしてみながら語ると、ツクヨミが再び驚き、ウォズは呆れとも怒りとも区別できない声色で吐く。

「おそらくは、奴の力によって私達二人、その複数の時間軸が入り乱れ···その混乱に漬け込まれた、というところだろう?」

「···確かに、このウォッチには時間軸を混線させる力がある······だが、それが分かったところで何になる?」

ウォズの考察に賛同しつつも、アナザージオウは三度嘲笑う。

「『複数の時間軸』···」

「おそらく、ツクヨミくんもライダーとなって闘った時間軸もあるんだろう···『仮面ライダーツクヨミ』という存在が、何よりの証明だ」

「···ソウゴ、ゲイツ···とにかく私達のせいで······ごめんなさい」

「我が魔王···私とした事が······恥ずかしい限りだ」

ツクヨミは頭を垂れ、ウォズは俯いてしまった。

「ううん···悪いのはアイツだ」

「ああ···そうだな」

二人は快く了承する。

今の状況において、必要なのは誠心誠意を込めた謝罪ではない。

「必ず飛流を止める」という意思だ。

その方法を探ろうとした時だった。

「······我が魔王、これを」

ウォズがジオウに差し出したのは、黄緑色のウォッチ。

「これは···」

「あの男が私を操ったときに生み出したウォッチだ······私に『赤ウォズ』という記憶と人格を植え付けたときに、分離させた本来の私······」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ア、ガァァァァァァ!!!」

ウォズは頭を手で抑えつける。

あまりの激痛で、声と言える声が出なくなりつつある。

「クッ······こうなったら·········!」

 

そう言うと、懐から何も描かれていないウォッチを取り出した。

ウォッチを強く握りしめると、両腕から黄緑色の閃光がウォッチへ流入してゆく。

その光が最大にまで輝いたとき、ウォッチの表面に時計の指針が現れ、一周したと同時にウォズは地面に伏した。

 

そしてウォッチの形が変化し、黄緑色に染まった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「······その力がこのウォッチに···

 

···元々、『仮面ライダーウォズ』としての力は未来からやってきたものだ」

 

「つまり···厳密には平成ライダーではないから、飛流と闘えるってことか!」

 

ジオウは持ち前の直感で、ウォズの考えを読めたようだ。

「さすがは我が魔王!······実に素晴らしい理解力だ」

ウォズも家臣として、ジオウを最大限に褒め称える。

「······それにしても、ウォズのウォッチかぁ···」

ジオウは小さく呟く。

 

 

そう!!!

その呟きが聞こえたのか、ウォズが声を張り上げる。

あまりの大きさに、その場にいた全員がウォズの方を向いた。

ウォズはまくしたてるが如く語り出す。

 

 

 

これはまさに私の我が魔王への思いそのもの!

 

我が魔王への祝福に他ならない!!

 

 

 

「······分かった、やってみる!」

「みすみすやらせるとでも思っているのか!!」

アナザージオウはジオウへ剣を振りかざしながら向かうが、突如飛んできたジカンデスピアによって押し戻されてしまう。

 

無礼者!

 

恥を知れ!

 

「なんだと!?」

 

「···我が魔王の継承の儀···ましてや私の力を受け継ぐというのだ!

 

···それを邪魔するなど、

 

烏滸がましいにも程がある!!

 

「「······」」

「はぁ···」

「フフ···!」

ウォズは邪魔しようとしたことに非常に怒り心頭らしい。

その怒声にゲイツやアナザージオウは一瞬固まり、ツクヨミは呆れ、ジオウは少し嬉しそうに微笑する。

「我が魔王!」

「···ああ!」

ジオウはウォッチを起動する。

 

《『ウォズ』!》

 

ドライバーに装填し、そのユニットを一回転させる。

すると、水色の「ウォズ」の文字がドライバーから射出された。

 

《アーマータイム!》

 

何処からともなくホログラムが「投影」される。

それはまるでウォズの使うウォッチーー「ウォズミライドウォッチ」にも似たものだった。

その中に黄緑色の人影が現れる。

 

···いや、正確に言うなら人影というにはあまりにも不自然な体型ーーまるで鎧のような形をした何かだった。

その鎧が右腕を勢いよく上へ振り上げると、突如身体の四肢と胴体がバラバラになる。

バラバラとなった鎧はジオウの周囲を回り、やがてジオウの脚から胴体までを覆う。

そして顔が鎧に覆われると、鈍い銀色のストールのような何かが首に巻き付く。

そして戻ってきた「ウォズ」の文字が顔に装着され、輝きを放つ。

そしてドライバーが、過去と未来をしろしめす預言者を象るその姿の名を告げた!

 

 

 

《『仮面ライダーウォズ』!》

 

 

「ーー祝え!

ウォズが、先程の鎧と同じように右腕を振り上げ、自身の力を受け継いだジオウを称え、祝う。

 

 

「過去と未来をしろしめす、

 

 

時の王者が令和の世に放つ、新たなる姿!!

 

 

その名も

 

 

仮面ライダージオウ ウォズアーマー』!

 

 

 

······ぅんん···素晴らしい!

 

 

まさに祝福の化身!」

 

 

「···加古川飛流!」

ジオウは、その勢いあってかウォズの様な口調でアナザージオウの真名を呼ぶ。

 

 

「俺たちの『平成』は、俺たちが絶対に守り抜く!」

 

 

「やれるものならやってみろ!」

「行くぞみんな!」

「ああ!」

「おう!」

「うん!」

アナザージオウとジオウが同時に駆ける。

しかし、アナザージオウの前にゾンジスとザモナスが躍り出る。

瞬間、今度はゲイツとツクヨミがジオウの前に躍り出た。

「ジオウ!···加古川飛流のことは任せたぞ!」

「行って、二人とも!」

「頼むよ、ゲイツ、ツクヨミ!」

「言われずとも分かっているさ、二人とも!」

ジオウとウォズはアナザージオウと対峙した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーー「ツクヨミ、とっととケリをつけてジオウのところへ!」

「分かってる!」

ゲイツは二手に分かれ、ゾンジスとザモナスをそれぞれ打とうとする。

 

ゲイツはザモナスへリベンジでも行ないたいのだろうか、ザモナスを真っ先に殴る。

時空エネルギーを極限にまで圧縮した拳がザモナスを微かに掠める。

しかし、その掠めだけでも十分な威力なようで、ザモナスは大きく蹌踉めいた。

 

「フッ···前に闘った時の方が厄介だったぞ···!」

 

ゲイツがそう呟くのが気に入らなかったのか、ザモナスは再びボウガンを取り出し光弾を放つ。

光弾はゲイツに直撃し大爆発を起こし、爆炎が晴れるとゲイツの姿がなかった。

ザモナスは安堵したのか、ボウガンを降ろした。

 

 

 

 

「何処を撃っている?」

 

 

 

 

直後、頭上から声が響いた。

見れば、再び蒼き姿となったゲイツがその爪先をザモナスの頭頂部にトンとおいているではないか。

ザモナスはあ然としているようにも見えたが、すぐさまボウガンを頭上へ向ける。

だが、その数秒があれば今の姿のゲイツはあっと言う間に百どころではない拳を飛ばせる。

事実、ザモナスは気付かぬ間に地に伏せていた。

「遅い」

ゲイツは降り立ち、ザモナスを見据える。

ザモナスは最期の抵抗にと、ボウガンから光弾を連射する。

しかし、その光弾はゲイツの光弾をすり抜けーー実際には、残像が発生するレベルの超加速によって避けているに過ぎないのだがーー全く当たらない。

 

 

「これで決める!」

 

《POWERED TIME!

RE·V·I·VE!

GOURETSU!

『剛烈』!》

 

《FINISH TIME!》

 

それどころか、紅き姿となってザモナスへ駆ける。

そしてドライバーを操作して跳躍する。

ザモナスはより早く連射するようになるが、ゲイツのその超装甲を穿けない。

やがて鋭い「らいだー」の文字がザモナスへ突き刺さり、連続したその文字を辿ってゲイツが紅い閃光を纏う脚をその胴体に突き刺す!

 

《−ICHIGEKI−TIME BURST!》

 

「ハァァァァァァ!!」

あわれザモナスは爆発四散し、背後から上がる爆炎をゲイツがゆっくりと見つめていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーツクヨミはゾンジスの途轍もない力に圧倒されながらも何とか食らいついている。

紅き姿のゲイツに匹敵するだろうその堅牢な皮膚と、屈強な身体の繰り出す拳撃が地面を抉る。

「逃げてちゃダメ······何とかしないと···!」

ツクヨミはゾンジスに手をかざし、祈りを込めた。

 

 

すると、手から純白の光剣が飛び出し、矛先がゾンジスに突き刺さる。

 

 

ゾンジスは大きくのけ反る。

「······!」

瞬間、ツクヨミの脳内に電撃が走った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「貴············な···はい·········!」

掠れるように、僅かばかりに聞こえる声。

「貴···た····よ···な···う···はい······い!!」

それは、やがて大きくなり、次第に自分のような声をしていることに気づく。

「貴方···よ···なお···はい···ない!

 

 

 

 

 

 

貴方のような王はいらない!」

 

 

何かを貫く感覚。

そして吹き飛ばされる感覚。

皮膚が焼けるような感覚。

ふと垣間見たのは、嘗て自身があれほどならせてはなるまいと誓った姿。

 

ーー「オーマジオウ」の姿。

「(そうなのね······)」

ふと思う。

自分はあの時、悔いなく動けただろうか。

自分はあの時、他の選択が取れただろうか。

自分はあの時······

 

そして再び目を開くと、目の前には黒い服の男。

黒いオーラを放ち、悶え苦しんでいる。

「······!」

ああ、彼は嘗ての家族。

唯一の家族。

最低最悪で······最高最善になりたかった者。

そして、右には黒く眩い黄金のオーラを纏うオーマジオウーー常磐ソウゴがいた。

 

 

「(······ちゃんと、できたかな···世界を良くする王様に···ならせてあげられたかな······)」

 

 

ーーこの時間軸においては、ソウゴは(オーマジオウ)であることを拒み、新たなる未来(NEXT TIME)を掴む道を進みだした。

 

でもそれは、自身が消してしまった未来を思ってのことだった。

そうだ、彼は······

口から声が出る。

その声が、重なる。

 

 

「『···この世界を······貴方に託すわ』」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「···そうよ」

ツクヨミは立ち上がる。

自分は、立ち止まってはならない。

自分は、託し、託されたのだ。

少し素直でないけど、いつもそばにいてくれた少年に。

 

少し夢見がちだけど、自分に夢を見せてくれた少年に。

 

少しやかましいけど、情熱を持って支えてくれた青年に。

 

 

なにより···

 

 

少し弱いけど、未来を見届ける強い意思を持つ少女に!

 

 

「ハァァァァ!!」

光剣を振りかざし、ゾンジスを切り裂く。

今度は蹌踉めく。

「私は見たい!」

再び振りかざす。

「みんなの築く未来を!」

そして今度は大きく吹っ飛ぶ。

かつてないほど固いその意思が、身体を動かしている!

 

《フィニッシュタイム!》

 

跳躍する。

ドライバーから射出された「キック」の文字がゾンジスの胴体にへばりつく。

ゾンジスは動けなくなっていく。

辺りは闇に包まれ、三日月がツクヨミを照らす。

その脚を突き出す。

それはまさしくーー

 

《タイムジャック!》

 

ーー形は違えど、「時の女王」に相応しき柔らかで強き光。

その閃光を脚に纏い、ツクヨミは蹴りを突き刺した!

爆炎が上がる。

 

「······さあ、行きましょうか」

 

ツクヨミは小さく呟く。

仲間に支えられた自分に、今度は仲間を支える番が回ってきたのだから。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーー「ハァ!」

「フッ!」

「クゥ···おのれ!」

アナザージオウは迫りくる連撃を捌ききれなくなってくる。

原因はこの二人。

共通して黄緑色の姿であるジオウとウォズ。

一方が拳を叩き込むと、アナザージオウが振りかざす剣を横に避け、背後からもう一方が蹴りを胴体に吸い込ませる。

アナザージオウも段々と焦り始め、攻撃への防御が疎かになってくる。

 

「アアアア!!!」

我慢の限界を迎え、剣の矛先を二人に向け突き出す。

 

《ジカンデスピア!

『カマ』シスギ!》

 

しかし、虚空から現れる二本のジカンデスピアがそれを弾く。

「うっとしい槍だ···!」

アナザージオウは一人愚痴る。

ジカンデスピアを握る二人は、頷きあってアナザージオウを切り裂いていく。

黄緑色の軌跡を描く斬撃は、アナザージオウを的確に捉えている。

しかし、アナザージオウはそのうちジオウの持つ方を剣の鍔で受け止めた。

「アッ!?」

「没収だ!」

そして、剣を振り回すことによってジカンデスピアを投げ飛ばした。

その勢いでジオウの胴体に拳を叩き込む。

ジオウは僅かばかり後退した。

「ウッ!?」

すると、アナザージオウも急に前のめりに押される。

ウォズの拳が背面から叩き込まれたからだ。

「やってくれる···!」

アナザージオウは刃でウォズの表面をなぞる。

火花が飛び散る。

再び振りかざすと、剣が突然押さえられるような感覚に陥った。

見ると、矛先がジカンデスピアによって押さえられている。

 

「散々好き勝手にこき扱ってくれたからね······お返しさ!」

 

ジカンデスピアを振り回し、今度はアナザージオウの剣が投げ飛ばされる。

そしてガラ空きの胴体に回し蹴りが打ち込まれる。

 

《フィニッシュタイム!》

 

「我が魔王!」

ウォズはジカンデスピアのタッチパネルを素早くスワイプし、ジオウの方へ投げ渡した。

「よし!」

ジカンデスピアを受け取ったジオウは、こちらへ蹌踉めくように近づいていくアナザージオウを一回弾き飛ばす。

そして···

 

 

 

「···『祝え!』!

 

 

 

平成を···俺たちの生きてきた時代を!!!」

 

 

《一撃カマーン!》

 

 

ジオウは預言者譲りの「祝福」の口上とともに斬撃を放つ。

X文字状の斬撃痕がアナザージオウに刻まれる。

 

「これで決める!」

 

《フィニッシュタイム!

『ウォズ』!》

 

ドライバーを素早く操作して、全身に漲り始める力を一心に集める。

その複眼が輝くと同時に、ジオウのドライバーからーー

 

 

「な、何だ!?

 

グァァァ!?!?」

 

 

《−エクスプロージョン−タイムブレイク!》

 

 

ーー水色の「祝」の文字が現れると、ジオウはアナザージオウに向かってそれを殴りつけた!

叩き込まれた「祝」の文字が肥大化していき、アナザージオウを巻き込み高速回転。

その輝きが強くなると同時に爆ぜた!

 

爆炎から、アナザージオウ/加古川飛流が投げ出される。

「クッ···ウゥゥ······」

「よし!」

「見事だ······我が魔王」

「ジオウ!」

「ソウゴ!」

遅れて、ゲイツとツクヨミも追いついた。

 

いよいよと言った顔を見せるゲイツ、ツクヨミ、ウォズらを尻目に、ジオウは問い掛ける。

「······飛流······お前は···」

「······ハッ、『さすがは』といったところか···」

それを途中で遮り、まるで自嘲するように語り出す飛流。

 

 

 

だが、その眼に一瞬にして憎悪が入り込み、飛流はジオウに不意打ち気味に蹴りを入れた。

「ガッ···!?」

ジオウは殴られた箇所を押さえながらも飛流を見る。

「飛流···!」

「だが、俺の野望はここで潰えない!······平成を消し去りし『大魔王』の力···」

「···『大魔王』···まさか!」

即座にジオウの下から離れ、ウォッチらが嵌っている台座を取り出し、地面に置く。

そしてアナザージオウライドウォッチを取り出し、起動する。

 

 

《『アナザージオウ』!》

 

 

『新時代』を創り上げた···

 

···俺の真の力を見ろぉぉぉぉぉ!!!

 

そう宣言すると、ウォッチたちが鈍く発光して台座から外れ始める。

ウォッチたちがアナザージオウライドウォッチを中心に回ると、その力が一点に集中する。

眩く、禍々しい黄金の光が飛流を中心に放たれると、身につけていたドライバーが変化していた。

 

 

 

 

それは、黒くくすんだ金色であった。

そして、両側に豪華な装飾が施されている。

···そう、色こそ違えど、それはまるで······

 

「···!···あのドライバーって···!!」

「まさか···!!」

「嘘······!?」

「まさか、君がその領域に達するとはね······!」

 

「そうだ···俺は超える······!!

 

 

平成の遺物たる·········

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『未来のお前』もな!!

 

 

······常磐···

 

···ソウゴォォォォ!!!!!

 

飛流は激しい憎悪をその身に滾らせる。

目にも見えるほどに滲み出て渦巻く黒い感情の中で、飛流は両側の装飾をドライバーの内側に押し込む。

渦巻く黒いオーラが無数のリング状に凝縮し、飛流の周りを取り囲む。

そして、地面には巨大な時計盤のようなものが現れ、時を遡ってゆく。

その時計盤には、なんの比喩だろうか、黒く激しい炎がメラメラと燃え盛っている。

そして、憎悪を込めた眼が、声が、身体が一体となり、飛流は叫んだ···。

 

 

変······身···!!!

 

 

くぐもって禍々しい雰囲気を感じる音が鳴り響く。

刻まれた時計盤の指針が急速に廻り始め、やがて12:00を指す。

そのとき、飛流を包み込んでいたリングがドーム状に固まり、爆ぜる。

『······!!』

 

 

 

······そこから現れたのは、誰がどう見ても「魔王」と言う他ない姿の者。

 

白い皮膚の上から、金と黒のアーマーを無理やりくくりつけたような姿。

所々に薄汚れた毛のようなものが生え、黒いざんばら髪の生えた頭にある、その黒い感情で歪んだ顔はさながら皮膚という「仮面」を剥ぎ取ったような容姿。

時計のバンドのようなものが左肩からたすき掛けされ、背面には時計の指針がマントの如く広げられている。

そして、背筋部とドライバーに刻まれているのは···

 

 

「OHMA」

 

「ZI−O」

 

「2019」

 

 

そうだ。

飛流のこの姿は、他でもないソウゴ自身がよく知っている。

···人曰く、「最低最悪の魔王」。

···本人曰く、「最高最善の魔王」。

···そして本当の歴史が書き記すのは、「究極の時の王者」、「世界しか救えなかった者」、「平成の墓守」···。

 

それは、歪んでこそいるが······間違いなかった。

 

 

皆まで言うなと言わんばかりに、飛流は威風堂々と告げる。

 

「···これが······俺が手に入れた最強の力······!

 

平成を否定し···

 

令和を消し去り···!

 

新たな時代を創り上げた王の姿!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー『アナザーオーマジオウ』!

 

最低最悪の魔王の誕生を!!

 

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