乙女アイドル ~久川家の三つ子の弟~   作:アンセンブル

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第4話 乙女達のお着替えイベント

初レッスンの日、俺となー姉は事務所のプロジェクトルームに集合していた。プロデューサーの部屋に入ると柚さんもいた。

 

「よし、じゃあ初レッスンというわけで早速着替えてレッスンルームに集合。レッスン終わる頃には立ち寄るから。じゃあ柚頼んだな」

 

「ラジャー!」

 

レッスンの付き添いとしてまたしても柚さんが同行するらしい。昨日の事務所案内も柚さんだったし、俺たち新人アイドルの教育係なのかもしれない。

 

*****

 

レッスンが始まる前、早速第一の試練が立ち塞がった。ずばりそれはお着替えだ。事務所の更衣室はもちろん男用もあるがはー姉に成り済ましているので入るわけにもいかず、なー姉と柚さんと一緒に女子更衣室に入る。

 

「ロッカーは自由に使ってねー。あとスマホとか財布とかは手元にあった方が楽だから持っていった方がいいよ」

 

柚さんはそう説明しながら服を脱ぎ出す。なー姉は俺に目潰ししようとするがそういうわけにもいかない。安全に着替えるためにはなー姉の協力が不可欠だからだ。

 

はー姉に成り済ます際、女の子と着替えるという状況は想定できた。だから俺となー姉はどうやって切り抜けるか事前に決めていたのだ。

 

まず俺と他のアイドル、今日の場合俺と柚さんとの間になー姉が入り俺の体を隠す。そしてなー姉が柚さんの気を引き、その間に着替えるという単純なものだ。

 

「見てください柚さん。これが徳島の流行最先端の下着です」

 

「わー……ってそれちょっと前に流行ったやつじゃない?」

 

「徳島ですので」

 

「徳島馬鹿にしていない!? もっと地元に愛を持とうよ!」

 

よし、今のうちに……。俺は服を抜いでささっとレッスン着に着替えた。ちなみに今日はスポブラである。

 

「およ? 颯チャンもう着替え終わっちゃったの?」

 

「うん! レッスンが楽しみだから!」

 

「ざんねん、本物の徳島の最先端を見たかったのに」

 

「さりげなく凪を偽物扱いしましたね」

 

こうして無事着替えることに成功した俺たちはレッスンルームに向かうのだった。

 

*****

 

「本日お前たちのレッスンを担当することになったトレーナーの青木だ。まずはお前たちのポテンシャルを見せてもらおう」

 

まずはボーカルレッスン。柚さんをお手本にして音程をとる練習だ。

 

「あーーー」

 

「久川姉はもっと声を張り上げろ、お腹を意識しろー」

 

「あーーー」

 

「妹は声は出てるが音程が取れてない」

 

「つまり?」

 

「音痴だ」

 

うげっ、初っ端から厳しくないですかね……。はー姉を意識しているから音痴に聞こえるだけで本気を出せば……

 

「元からじー君は音痴ですよ」

 

「まじ?」

 

小声でなー姉に突っ込まれてしまった。くすん。

 

*****

 

「怒った顔! 悲しい顔からの〜、とびっきり笑顔!」

 

「わ〜! 柚ちゃんすごーい!」

 

「こんな風にアイドルは様々な表情ができるようになる必要がある。今から言われた表情をするように。まずは久川姉から!」

 

「怒った顔……ぷんすか。悲しい顔……しくしく。最後にわっはっは」

 

「すごーい。なーってば上手ず〜!」

 

「え? 凪チャン全然表情変わってないような……」

 

「姉妹にしか分からないやつだな……まあいい、次は妹!」

 

「おこ顔! 泣き顔! 最後に笑顔! ニコッ」

 

「颯チャン上手〜かわいい〜!」

 

「流石ははーちゃんです……」

 

「初めてにしては上出来だな。でもなんか違和感を覚えるんだよな……演技感が強いというか……お前猫被ってるのか?」

 

「そそそそんな訳ないじゃないですか!?」

 

流石トレーナーさん。はー姉の演技をしてる上で演技をしている俺に違和感を覚えている、導き出した結論は失礼極まりないが。

 

*****

 

最後にダンスレッスン。基礎的なステップを教わって問題ないと判断された俺たちは、少し難しめのステップを教わった。

 

「1,2,3,4……。難しいですね、アイドルもなかなかに馬鹿にできない」

 

「柚さーん、もう1回お手本見せて〜」

 

「いいよー、よーく見ててね〜」

 

再びステップを踏む柚さん。簡単そうにこなすとは流石は先輩アイドルである。

 

「……とまあ、こんな感じ」

 

「よし、1,2,3,4……」

 

「おー上手い上手い!」

 

「妹は体幹がしっかりしてるからターンにブレが少ないな。何かスポーツをやってたのか?」

 

「いえ、特に何も……アイドルに憧れて小さい時から踊ってたからかな?」

 

一応学校ではバドミントン部に入ってるけど……はー姉は特にスポーツやってなかったしこれでいいだろう。

 

「姉も初めてにしては上出来だ。2人は筋がいいな」

 

続けてステップを踏んだなー姉もトレーナーさんに褒められる。ダンスレッスンは特に問題なく進むのだった。

 

*****

 

全てのレッスンが終了したとき、レッスンルームの扉が開きプロデューサーが入ってきた。

 

「お疲れ様です」

 

「プロデューサー殿、打ち合わせは終わりましたか」

 

「はい。それでどうですか、うちの新人アイドル達は?」

 

「ボーカルはまだまだですがダンスの筋はいいです」

 

「なるほど、じゃあ……」

 

「はい、プラン通り月末までに仕上げることは可能でしょう」

 

プラン? 月末? いったい何の話をしているのだろう。

 

「凪、颯」

 

「は、はい!」

 

「なんでしょう?」

 

「デビューが決まった!」

 

へ? でびゅーって……debut!?

 

「え~~~!!!」

 

「わ~お」

 

「いいリアクションだね」

 

「で、デビューってもう!? 今日初レッスンなんだよ?」

 

「前々から決めてたんだよ。2人のポテンシャルが十分なら春休みのうちにデビューしておきたいって」

 

そ、そうなのか……。こんなにも早くデビューすることになるとは思わなかったな……

 

「ちなみにどうデビューするのですか?」

 

「2人には月末のイベントのゲストとして出てもらう」

 

「げすと?」

 

「月末に○○デパートで柚がトークイベントをやるんだ。そこで柚が2人の紹介をしてすこしトークしたあと最後に1曲歌う流れだ」

 

「だから柚に事務所案内とか今日みたいにレッスンの付き添いをさせたんだ」

 

「そうそう。柚にはいち早く2人と仲良くなってもらいたかったからね」

 

「契約前だったのにそこまで考えていたんだ……」

 

「それでどうかな? トレーナーさんからのお墨付きだし2人が良ければその日にデビューさせたいんだけど」

 

月末……となるとはー姉が退院してリハビリをしている頃だろうか。まだ快復には至らないだろうからきっと俺が出ることになるだろう。ただせっかくやってきたデビューのチャンスだ、ここを逃すわけにはいかないだろう。

 

「やります!」

 

「凪もはーちゃんと同じく。柚さんからファンを根こそぎ奪ってやりましょう」

 

「いきなり横取り宣言!? 会ったときから思ったけど凪チャン大物だよね!?」

 

こうしてレッスン初日、いきなり俺たちのデビューが決まったのだった。

 




女装するとき胸をどうするかよく分かっていません。調べたところ盛りブラ、胸パッド、ヌーブラという選択肢があるそうですがどれが一般的なのでしょう? 参考にしているゲームでは胸パッドをしてたのでこの小説では胸パッドを採用してます。
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