ありふれた能力世界最強(リメイク版)   作:コロンKY

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19話『ブタ男とキャサリンの手紙』

 

その後、すぐに片付けて、街に着いたハジメたちは現在ブタ男に絡まれていた。

 

ブタ男は、ハジメ達のテーブルのすぐ傍までやって来ると、ニヤついた目でレムユエとシア、カービィをジロジロと見やり、シアの首輪を見て不快そうに目を細めた。

そして、今まで一度も目を向けなかったハジメに、さも今気がついたような素振りを見せると、これまた随分と傲慢な態度で一方的な要求をした。

 

「お、おい、ガキ。ひゃ、100万ルタやる。この兎を、わ、渡せ。それとそっちの金髪と、桃髪はわ、私の妾にしてやる。い、一緒に来い」

 

 

ブタ男はカービィとレムユエに触れようとする。

彼の中では既にカービィとレムユエは自分のものになっているようだ。

その瞬間、その場に凄絶な殺意と威圧が降り注いだ。

カービィたちはそれにビクともしなかったが、周囲のテーブルにいた者達ですら顔を青ざめさせて椅子からひっくり返り、後退りしながら必死にハジメから距離をとり始めた。

 

 

 

「ひぃ!?」と情けない悲鳴を上げると尻餅をつき、後退ることも出来ずにその場で股間を濡らし始めた。

 

 

「レムユエ、シア、カービィ行くぞ。場所を変えよう」

 

席を立つハジメ達に、リシー(店員)が「えっ? えっ?」と混乱気味に目を瞬かせた。

リシーがハジメの殺気の効果範囲にいても平気そうなのは、単純にリシーだけ〝威圧〟の対象外にしたからだ。

 

リシーからすれば、ブタ男が勝手なことを言い出したと思ったら、いきなり尻餅をついて股間を漏らし始めたのだから混乱するのは当然だろう。

 

 

だが、〝威圧〟を解きギルドを出ようとした直後、大男がハジメ達の進路を塞ぐような位置取りに移動し仁王立ちした。

ブタ男とは違う意味で百キロはありそうな巨体である。

全身筋肉の塊で腰に長剣を差しており、歴戦の戦士といった風貌だ。

 

その巨体が目に入ったのか、ブタ男が再びキィキィ声で喚きだした。

 

「そ、そうだ、レガニド!そのクソガキを殺せ!わ、私を殺そうとしたのだ! 嬲り殺せぇ!」

「坊ちゃん、流石に殺すのはヤバイですぜ。半殺し位にしときましょうや」

 

「やれぇ! い、いいからやれぇ! き、金髪と桃髪は、傷つけるな! 私のだぁ!」

「了解ですぜ。報酬は弾んで下さいよ」

 

「い、いくらでもやる! さっさとやれぇ!」

どうやら、レガニドと呼ばれた巨漢は、ブタ男の雇われ護衛らしい。

 

「おう、わりいな坊主。俺の金のためにちょっと半殺しになってくれや。なに、殺しはしねぇよ。まぁ、嬢ちゃん達の方は……諦めてくれ」

 

「お、おい、レガニドって〝黒〟のレガニドか?」

「〝暴風〟のレガニド!? 何で、あんなヤツの護衛なんて……」

「金払じゃないか?〝金好き〟のレガニドだろ?」

 

ドパァン!ドパァン!ドパァン!

 

とハジメは撃った。

 

(坊ちゃん、こりゃ、割に合わなさすぎだ……)

そしてレガニドは死んだ。

 

容赦のなさにギルド内が静寂に包まれる。

誰も彼もが身動き一つせず、ハジメ達を凝視していた。

よく見れば、ギルド職員らしき者達が、争いを止めようとしたのか、カフェに来る途中でハジメ達の方へ手を伸ばしたまま硬直している。

様々な冒険者達を見てきた彼等にとっても衝撃の光景だったようだ。

 

 誰もが硬直していると、おもむろに静寂が破られた。

ハジメが、ツカツカと歩き出したのだ。

ギルド内にいる全員の視線がハジメに集まる。

ハジメの行き先は……ブタ男のもとだった。

 

「ひぃ!く、来るなぁ!わ、私を誰だと思っている!プーム・ミンだぞ! ミン男爵家に逆らう気かぁ!」

 

「……地球の全ゆるキャラファンに謝れ、ブタ野郎が」

 

 

ハジメは、ブタ男の名前に地球の代表的なゆるキャラを思い浮かべ、盛大に顔をしかめると、尻餅を付いたままのブタ男の顔面を勢いよく踏みつけた。

 

「プギャ!?」

 

「おい、ブタ。二度と視界に入るな。直接・間接問わず関わるな……次はない」

 

「ブッブヒィーー!」

 

 

 ハジメは、どこか清々しい表情でカービィ達の方へ歩み寄る。レムユエとシア、カービィも、微笑みでハジメを迎えた。

きっと清々しい気分だったのだろう。

そして、ハジメは、すぐ傍で呆然としている案内人リシーにも笑いかけた。

 

「じゃあ、案内人さん。場所移して続きを頼むよ」

「はひっ! い、いえ、その、私、何といいますか……」

 

 

「あの、申し訳ありませんが、あちらで事情聴取にご協力願います」

 

ハジメはどこかを向いて誤魔化そうとした。

「そうは言ってもな、あのブタが俺の連れ(家族)を奪おうとして、それを断ったら逆上して襲ってきたから返り討ちにしただけだ。それ以上、説明する事がない。そこの案内人とか、その辺の男連中も証人になるぞ。特に、近くのテーブルにいた奴等は随分と聞き耳を立てていたようだしな?」

 

「それは分かっていますが、ギルド内で起こされた問題は、当事者双方の言い分を聞いて公正に判断することになっていますので……規則ですから冒険者なら従って頂かないと……」

 

「当事者双方……ねぇ」

 

「あれが目を覚ますまで、ずっと待機してろって?被害者の俺達が?……いっそ都市外に拉致って殺っちまうか?」

 

「何をしているのです?これは一体、何事ですか?」

 

 そちらを見てみれば、メガネを掛けた理知的な雰囲気を漂わせる細身の男性が厳しい目でハジメ達を見ていた。

 

「ドット秘書長!いいところに!これはですね……」

 

「話は大体聞かせてもらいました。証人も大勢いる事ですし嘘はないのでしょうね。やり過ぎな気もしますが……まぁ、プーム・ミンが死んでいませんし許容範囲としましょう。取り敢えず、彼らが目を覚まし一応の話を聞くまでは、フューレンに滞在はしてもらうとして、身元証明と連絡先を伺っておきたいのですが……それまで拒否されたりはしないでしょうね?」

 

 

「ああ、構わない。そっちのブタがまだ文句を言うようなら、むしろ連絡して欲しいくらいだしな。今度はもっと丁寧な説得を心掛けるよ」

 

 

 

「ふむ、いいでしょう……〝青〟ですか。向こうで伸びている彼は〝黒〟なんですがね……そちらの方達のステータスプレートはどうしました?」

 

カービィとシア、レムユエの方を向く

 

「いや、レムユエもシアも……こっちの彼女達もステータスプレートは紛失してな、再発行はまだしていない。ほら、高いだろ?」

 

「ボクは持ってるよ?ほら?」

 

「そちらの方も青ですか…」

 

さらりと嘘をつくハジメ。

二人の異常とも言える強さを見せた後では意味がないかもしれないが、それでもはっきりと詳細を把握されるのは出来れば避けたい。

 

「しかし!身元は明確にしてもらわないと。記録をとっておき、君達が頻繁にギルド内で問題を起こすようなら、加害者・被害者のどちらかに関係なくブラックリストに載せることになりますからね。よければギルドで立て替えますが?」

 

 

そこでカービィはハジメにあの手紙を思い出させる

「ねぇハジメ、キャサリンに貰った手紙はどう?」

 

「……ああ!あの手紙か……」

 

ハジメはブルックの町を出るときに、ブルック支部のキャサリンから手紙を貰ったことを思い出す。

ギルド関連で揉めたときにお偉いさんに見せれば役立つかもしれないと言って渡された得体の知れない手紙だ。

 

 ダメで元々、場合によってはさっさと都市から出ていこうと考え、ハジメは懐から手紙を取り出しドットに手渡した。

キャサリンの言葉は話半分で聞いていたので、内容は知らない。

ハジメは、こんなことなら内容を見ておけばよかったと若干後悔する

 

 

「身分証明の代わりになるかわからないが、知り合いのギルド職員に、困ったらギルドのお偉いさんに渡せと言われてたものがある」

「?知り合いのギルド職員ですか?……拝見します」

 

「この手紙が本当なら確かな身分証明になりますが……この手紙が差出人本人のものか私一人では少々判断が付きかねます。支部長に確認を取りますから少し別室で待っていてもらえますか?そうお時間は取らせません。十分、十五分くらいで済みます」

 

 ドットの予想以上の反応に、「マジでキャサリンって何者なんだ」と引き気味のハジメ達。

 

「まぁ、それくらいなら構わないな。わかった。待たせてもらうよ」

「職員に案内させます。では、後ほど」

 

 

ハジメ達が応接室に案内されてから、きっかり十分後、遂に、扉がノックされた。

ハジメの返事から一拍置いて扉が開かれる。

そこから現れたのは、金髪をオールバックにした鋭い目付きの三十代後半くらいの男性と先ほどのドットだった。

 

「初めまして、冒険者ギルド、フューレン支部支部長イルワ・チャングだ。ハジメ君、レムユエ君、シア君、カービィ君……でいいかな?」

 

「ああ、構わない。名前は、手紙に?」

「その通りだ。先生からの手紙に書いてあったよ。随分と目をかけられている……というより注目されているようだね。将来有望、ただしトラブル体質なので、出来れば目をかけてやって欲しいという旨の内容だったよ」

 

「トラブル体質……ね。確かにブルックじゃあトラブル続きだったな。まぁ、それはいい。肝心の身分証明の方はどうなんだ? それで問題ないのか?」

「ああ、先生が問題のある人物ではないと書いているからね。あの人の人を見る目は確かだ。わざわざ手紙を持たせるほどだし、この手紙を以て君達の身分証明とさせてもらうよ」

 

「あの~、キャサリンさんって何者なのでしょう?」

「ん? 本人から聞いてないのかい?彼女は、王都のギルド本部でギルドマスターの秘書長をしていたんだよ。その後、ギルド運営に関する教育係になってね。今、各町に派遣されている支部長の五、六割は先生の教え子なんだ。私もその一人で、彼女には頭が上がらなくてね。その美しさと人柄の良さから、当時は、僕らのマドンナ的存在、あるいは憧れのお姉さんのような存在だった。その後、結婚してブルックの町のギルド支部に転勤したんだよ。子供を育てるにも田舎の方がいいって言ってね。彼女の結婚発表は青天の霹靂でね。荒れたよ。ギルドどころか、王都が」

 

「はぁ~そんなにすごい人だったんですね~」

「……キャサリンすごい」

「すごい人気だったんだね〜」

「只者じゃないとは思っていたが……思いっきり中枢の人間だったとはな。ていうか、そんなにモテたのに……今は……いや、止めておこう」

 

……と上からシア、レムユエ、カービィ、ハジメの順に感想を言うのだった。




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