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メアシュタット水族館を出て昼食も食べた後、ハジメとカービィ、レムユエ、シア、ティオ、ルティは、迷路花壇や大道芸通りを散策していた。
シアとレムユエの腕には、露店で買った食べ物が入った包みが幾つも抱えられている………訳ではなくこの間貰ったマジックバッグのおかげで楽な買い物が出来ている。
カービィとハジメ様々である。
そんなカービィはハジメとルティを連れて露店の食べ物を買い食いしていた。
今は、バニラっぽいアイスクリームの大食いチャレンジを攻略中だ。
ちなみにティオとカービィは大食いチャレンジを3店目で出禁になった。
ティオはカービィに誘われて大食いチャレンジ達成数を競っていたがカービィは出禁に、ティオは満腹になった。
そしてハジメとルティ、シアとレムユエは未だに一店目のアイスクリームチャレンジに手こずっていた。
そして三人はようやくアイスクリームチャレンジを達成しようとしていた。
「カービィはともかくルティやシアはよく食べるな……そんなに美味いか?……って言うかルティ、急いで食べると頭痛くなるぞ?」
「あむっ……はい!とっても美味しいですよ。流石、フューレンです。唯の露店でもレベルが高いです」
「……ハジメさんの言う通り頭がいたくなりました。でもひんやりしてて美味しいですね。それに残したら2倍の値段なのでしっかりと食べます。」
「……みんな、食いすぎて太るなよ」
「……ハジメさん、それは女の子に向けて言ってはいけないセリフですよ……まぁみんなと言ったので私は許します。」
その後、レムユエとシアはハジメの言葉に一瞬、食べる手が止まるものの、「後で運動するし……明日から少し制限するし……」などブツブツと言い訳しながら再度、露店の甘味を堪能するレムユエとシア。
そんなシアに苦笑いしながらなんとか食べ終えたハジメは、突如、その表情を訝しげなものに変え足元を見下ろした。
それに気がついたカービィが「どうしたの?」とハジメに尋ねる。
そしてシアも気付いた。
「どうかしましたか、ハジメさん?」
「んー?いやな、気配感知で人の気配を感知したんだが……」
「常時気配感知なんて使っていたんですか?」
「あぁ。基本は常時展開してる」
「う~ん?でも、何が気になるんです?人の気配って言っても……」
シアは周囲を見渡して「人だらけですよ?」と首を傾げた。
「いや、そうじゃなくてな……俺が感知したのは下だ」
「下?……って下水道ですか?えっと、なら管理施設の職員とか?」
「だったら、気にしないんだがな。何か、気配がやたらと小さい上に弱い……多分、これ子供だぞ?しかも、弱っているな」
「「「「「!?」」」」」
「た、大変じゃないですか!もしかしたら、何処かの穴にでも落ちて流されているのかもしれませんよ!皆さんで追いかけましょう!」
「あぁそうだな。いくぞカービィ、レムユエ、シア、ティオ、ルティ!」
「うん!」
「ん!」
「もちろんですぅ!」
「もちろんじゃ!」
「はい!」
全員で地下をそこそこの速度で流れていく気配を追う。
ハジメは町の構造的に、現在いるストリート沿いに下水が流れているのだろうと予想し、一気に気配を追い抜くと地面に手を付いて錬成を行った。
紅いスパークが発生すると、直ちに、真下への穴が空く。
そして躊躇うことなくそのまま全員で穴へと飛び降りた。
ハジメがさらに錬成を行うと斜めに設置されている格子が出現し、流されてきた子供は格子に受け止められるとそのままハジメ達の方へと移動して来た。
そのままカービィがキャッチし、そのまま通路へと引き上げた。
「この子は……」
「まぁ、息はあるし……取り敢えずここから離れよう。臭いが酷い」
引き上げられたその子供を見て、ティオとシアが驚きに目を見開く。
ハジメも、その容姿を見て知識だけはあったので、内心では結構驚いていた。
カービィとルティは何故ハジメたちが驚いているかは分からなかった。
ハジメたちは場所が場所だけに、肉体的にも精神的にも衛生上良くないと場所を移動する事にする。
そのまま開けた穴からストリートに出ることが躊躇われたハジメは、穴を錬成で塞ぎ、代わりに地上の建物の配置を思い出しながら下水通路に錬成で横穴を開けた。
そして〝宝物庫〟から毛布を取り出すと小さな子供をくるみ、ハジメが抱きかかえて移動を開始した。
その子供は、見た目三、四歳といったところだ。
エメラルドグリーンの長い髪と幼い上に汚れているにも関わずわかるくらい整った可愛らしい顔立ちをしている。
女の子だろう。
だが何より特徴的なのは、その耳だ。通常の人間の耳の代わりに扇状のヒレが付いているのである。
しかも、毛布からちょこんと覗く紅葉のような小さな手には、指の股に折りたたまれるようにして薄い膜がついている。
「この子、海人族の子ですね……どうして、こんな所に……」
「まぁ、まともな理由じゃないのは確かだな」
「どう理由であれ親の元に届ける必要があるのじゃ。」
「うん、きっとその子のお母さんも心配してるもんね。」
海人族は、亜人族としてはかなり特殊な地位にある種族だ。
西大陸の果、『グリューエン大砂漠』を超えた先の海、その沖合にある『海上の町エリセン』で生活している。
彼等は、その種族の特性を生かして大陸に出回る海産物の八割を採って送り出しているのだ。
そのため、亜人族でありながらハイリヒ王国から公に保護されている種族なのである。
差別しておきながら使えるから保護するという何とも現金な話だ。
そんな保護されているはずの海人族、それも子供が内陸にある大都市の下水を流れているなどありえない事だ。
犯罪臭がぷんぷんしている。
……と、その時、海人族の幼女の鼻がピクピクと動いたかと思うと、パチクリと目を開いた。
そして、その大きく真ん丸な瞳でキョロキョロとハジメたちを見始める。
その後、海人族の幼女のお腹がクゥーと可愛らしい音を立てる。
再び鼻をピクピクと動かし、そしてシアのマジックバックからちょっとはみ出している露店の包みをロックオンした。
シアが、これ?と首を傾げながら、串焼きの入った包み右に左にと動かすと、まるで磁石のように幼女の視線も左右に揺れる。
どうやら、相当空腹のようだ。
可哀想に思ったシアが急いで包みから串焼きを取り出そうとするのをハジメが制止して幼女に話しかけながら錬成を始めた。
「お前の名前は?」
女の子は、シアの持つ串焼きに目を奪われていたところ、突如、地面から紅いスパークが走り始め、四角い箱状のものがせり上がってくる光景に驚いたように身を竦めた。
そして、再度、ハジメから名前を聞かれて、視線を彷徨わせた後、ポツリと囁くような声で自身の名前を告げた。
「……ミュウ」
「そうか。俺はハジメで俺の隣から順にカービィ、ルティ、ティオ、レムユエ、シアだ。それでミュウ。あの串焼きが食べたいなら、まず、体の汚れを落とせ」
ハジメは、完成した簡易の浴槽に〝宝物庫〟から綺麗な水を取り出し浴槽に貯め、更にフラム鉱石を利用した温石で水温を調整し即席のお風呂を作った。
下水で汚れた体のまま食事をとるのは非常に危険だ。
幾分か飲んでしまっているだろうから、解毒作用や殺菌作用のある薬(カービィがコピー能力ドクターで作成した)も飲ませておく必要がある。
返事をする間もなく、毛布と下水をたっぷり含んだ汚れた衣服をレムユエに脱がされ浴槽に落とされたミュウは、「ひぅ!」と怯えたように身を縮めたものの、体を包む暖かさに次第に目を細めだした。
シアがハジメの目を塞いでいるうちにカービィがレムユエに薬やタオル、石鹸等を渡していた。ティオはカービィにミュウの世話を任せて、自らはミュウの衣服を買いに袋小路を出て行った。
しばらくして、ティオがミュウの服を揃えて袋小路に戻ってくると、ミュウは既に湯船から上がっており、新しい毛布にくるまれてシアに抱っこされているところだった。
抱っこされながら、シアが「あ~ん」する串焼きをはぐはぐと小さな口を一生懸命動かして食べている。
薄汚れていた髪は、本来のエメラルドグリーンの輝きを取り戻し、光を反射して天使の輪を作っていた。
「あっ、ティオさん。お帰りなさいですぅ。」
レムユエは、ティオの買ってきた服を取り出した。
シアの今着ている服に良く似た乳白色のフェミニンなワンピースだ。
それに、グラディエーターサンダルっぽい履物、それと下着だ。
レムユエは、ミュウの下へ歩み寄ると、毛布を剥ぎ取りポスッと上からワンピースを着せた。
次いでに下着もさっさと履かせる。
その間はカービィがハジメの視界を塞いでいる。(シアの指示)
そして、ミュウの前に跪いて片方ずつ靴を履かせていった。
手をカービィが退けた後、ハジメが温風を出すアーティファクト、つまりドライヤーを〝宝物庫〟から取り出し、湿り気のあるミュウの髪を乾かしていく。
ミュウはされるがままで、未だにキョロキョロと見ているが、温風の気持ちよさに次第に目を細めていった。
「……何気に、ハジメさんって面倒見いいですよね」
「何だ、藪から棒に……」
ミュウの髪を乾かしながらシアの言葉に眉をしかめるハジメだったが、その姿こそ文字通り面倒見がいい証拠なので、シアは頬を緩めてニコニコと笑う。
何となくばつが悪くなって、ハジメは話題を逸らした。
「で、今後の事だが……」
「ミュウちゃんをどうするかですね……」
六人が自分の事を話していると分かっているようで、上目遣いで六人を交互に見るミュウ。
ハジメは取り敢えず、ミュウの事情を聞いてみることにしたのだった。
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