ありふれた能力世界最強(リメイク版)   作:コロンKY

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37話『ミュウの経緯』

 

 

ミュウから話を聞いた結果、話された内容は、ハジメたちが予想したものに近かった。

 

すなわち、ある日、海岸線の近くを母親と泳いでいたらはぐれてしまい、彷徨っているところを人間族の男に捕らえられたらしいということだ。

 

そして、幾日もの辛い道程を経てフューレンに連れて来られたミュウは、薄暗い牢屋のような場所に入れられたのだという。

そこには、他にも人間族・・・の幼子たちが多くいたのだとか。

そこで幾日か過ごす内、一緒にいた子供達は、毎日数人ずつ連れ出され、戻ってくることはなかったという。

少し年齢が上の少年が見世物になって客に値段をつけられて売られるのだと言っていたらしい。

 

いよいよ、ミュウの番になったところで、その日たまたま下水施設の整備でもしていたのか、地下水路へと続く穴が開いており、懐かしき水音を聞いたミュウは咄嗟にそこへ飛び込んだ。

汚水への不快感を我慢して懸命に泳いだミュウ。

幼いとは言え海人族、そこはなんとかなったらしい。

通路をドタドタと走るしかない人間では流れに乗って逃げたミュウに追いつくことは出来なかったと言う。

 

しかし、長旅と誘拐という過度のストレス、不味い食料しか与えられず、下水に長く浸かるという悪環境に、遂にミュウは肉体的にも精神的にも限界を迎え意識を喪失した。

そして、身を包む暖かさに意識を薄ら取り戻し、気がつけばハジメの腕の中だったというわけである。

 

 

「客が値段をつける……ねぇ……オークションか。それも人間族の子や海人族の子を出すってんなら裏のオークションなんだろうな」

「……ハジメさん、この子どうしますか?この中で保護者枠は見た目的に私かティオさんかハジメさんしかいませんよ?」

 

「……そうだな、俺はこの子を保安署に届けるのが普通だと思うがオークションの奴らとグルになっている可能性もないことは無い……と、なると……直接親御さんまで届ける、って言うのが一番最善だろうな。」

 

「ボクもそれが良いと思う!」

 

「!お兄ちゃんたちがママのところまで連れてってくれるの?」

と、ミュウは目を輝かせてハジメに聞く。

 

「あぁ!連れてってやるよ。」

と意気込んでハジメは答えた。

 

「いいか、ミュウ?これから、お前の家まで連れて行く。時間は掛かるだろうがそれは我慢してくれよ?」

 

「……ハジメお兄ちゃんたちは?」

ミュウが、ハジメの言葉に不安そうな声音で二人はどうするのかと尋ねる。

 

「悪いが、そこでお別れだな。」

「やっ!」

「いや、やっ!じゃなくてな……」

 

「ハジメお兄ちゃんやカービィお姉ちゃんたちがいいの!一緒にいるの!」

 

思いのほか強い拒絶が返ってきてハジメが若干たじろぐ。

ミュウは、駄々っ子のようにティオの膝の上でジタバタと暴れ始めた。

今まで、割りかし大人しい感じの子だと思っていたが、どうやらそれは、六人の人柄を確認中だったからであり、信頼できる相手と判断したのか中々の駄々っ子ぶりを発揮していた。

 

 ハジメたちとしても信頼してくれるのはいいのだが、途中で『大火山』という大迷宮の攻略にも行かなければならないのでずっとミュウを連れて行くつもりはなかった。

なので、「やっーー!!」と全力で不満を表にして、一向に納得しないミュウへの説得を諦めて、ハジメが抱きかかえる。

「お兄ちゃんやお姉ちゃんたちは……ミュウのこと嫌いなの?」

幼女にウルウルと潤んだ瞳で、しかも上目遣いでそんな事を言われて平常心を保てる男はほとんどいない。

流石のハジメも、「うっ」と唸り声を上げ、ミュウを腕から降ろしてから、旅には連れて行けないことを説明しようとした。

 

 

と、その瞬間、

 

ドォガァアアアン!!!!

 

 目の前で爆発が起き、黒煙が上がった。

そして煙が晴れると……

 

「ハジメさん!ミュウちゃんがいません!それにこんなものが!」

 

シアが手渡してきたのは、一枚の紙。そこにはこう書かれていた。

 

〝海人族の子を死なせたくなければ、白髪の兎人族を連れて○○に来い〟

 

「ハジメ、これって……!」

「どうやら、あちらさんは欲をかいたらしいな……」

 

 ハジメは、メモ用紙をグシャと握り潰すと凶悪な笑みを浮かべた。

おそらく、連中はミュウとハジメ達のやり取りを何らかの方法で聞いていたのだろう。

そして、ミュウが人質として役に立つと判断し、口封じに殺すよりも、どうせならレアな兎人族も手に入れてしまおうとでも考えたようだ。

 

そんなハジメの横で、シアは、決然とした表情をする。

 

「ハジメさん!私!」

「みなまでいうな。わーてるよ。こいつ等は俺たち家族に手を掛けようとした俺の……いや俺たちの敵だ!全部ぶちのめして、ミュウを奪い返すぞ!」

「はいですぅ!」

「うん!」

「ん!」

「はい!」

「おうなのじゃ!」

 

今回、相手はシアをも奪おうとしている。

それはハジメの〝家族〟に手を出そうというのだ。

つまり、〝敵〟である。

遠慮容赦一切無用。

彼等は、ハジメの触れてはならない一線に触れてしまったのだ。

 

 ハジメたちは武器を携え、化け物を呼び起こした愚か者達の指定場所へと一気に駆け出したのだった。




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