ありふれた能力世界最強(リメイク版)   作:コロンKY

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41話『メルジーネ海底遺跡』

 

 

 

あれから三日。

準備を万全にしたハジメたちは、遂に、『メルジーネ海底遺跡』の探索に乗り出した。

ミュウをレミアに預けて全員で行くことになった。

 

ミュウが手を振りながら「お兄ちゃん、いってらっしゃい!」と気丈に叫ぶ。

そして、やはり冗談なのか本気なのか分からない雰囲気で「いってらっしゃい、む・す・こ♡」と手を振るレミアだった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

『海上の町エリセン』から西北西に約三百キロメートル。

そこが、かつてミレディ・ライセンから聞いた七大迷宮の一つ『メルジーネ海底遺跡』の存在する場所である。

 

ハジメたちはここまで来たのと同じように潜水艇のアーティファクトを使って水中をスイスイと進む。

 

 

ハジメ達は、じっくり調べるため、最初に発見した紋章に近付いた。激流にさらされているので、船体の制御に気を遣う。

 

「まぁ、五芒星の紋章に五ヶ所の目印、それと光を残したペンダント……つまりこれは」

 

ハジメとレムユエ、カービィとシアは既視感を覚えた。

 

「……ってことはここを攻略する為に別の大迷宮を攻略する必要があるってことですよね?」

「ボクもそう思った。」

「ん、私も」

 

ここも樹海と同じく後回しにしなくてはならないと言うことであった。

つまりそれはもうこの街にハジメたちが留まる必要が無いと言うことである。

 

こうしてハジメたちは再び『海上の町エリセン』へと戻った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

その日の晩、夕食前にハジメ達はミュウにお別れを告げた。

それを聞いたミュウは、着ているワンピースの裾を両手でギュッと握り締め、懸命に泣くのを堪えていた。

しばらく沈黙が続く中、それを破ったのはミュウだった。

 

「……もう、会えないの?」

「……また会えるさ。まだここの大迷宮を攻略してないからな」

 

「……お兄ちゃんたちは、ずっとミュウのお兄ちゃんでいてくれる?ルティお兄ちゃんやカービィお姉ちゃん、レムユエお姉ちゃんにシアお姉ちゃん、ティオお姉ちゃんもずっとミュウの兄妹でいてくれる?」

 

ハジメは、ミュウの両肩をしっかり掴むと真っ直ぐ視線を合わせた。

「……ミュウが、それを望むなら」

それに続いてカービィたちも言葉を続ける。

「もちろんだよ!」「ん、当たり前。」「もちろんですぅ。」「もちろんじゃ。」「うん。」

 

と、カービィ、レムユエ、シア、ティオ、ルティが同時に言った。

 

そう答えると、ミュウは、涙を堪えて食いしばっていた口元を緩めてニッと笑みを作る。

その表情にハッとしたのはレムユエ達だ。

それは、どこか困難に戦いを挑む時のハジメの表情に似ていて、一瞬、本当の親子のように見えたのだ。

 

「なら、いってらっしゃいするの。それで、今度は、ミュウがパパたちを迎えに行くの」

 

「迎えに……ミュウ。俺は、凄く遠いところに行くつもりなんだ。だからしばらくは……」

「でも、お兄ちゃんが行けるなら、ミュウも行けるなの!だって……ミュウはお兄ちゃんの家族だから」

 

ハジメの妹たる自分が、出来ないことなどない。

自信有りげに胸を張り、ハジメが会いに来られないなら、自分から会いに行くと宣言するミュウ。

 

ミュウは、ハジメがカービィと神殺しをした後にレムユエと世界を越えて自分の故郷に帰ろうとしていることを正確に理解しているわけではない。

まして、ミュウが迷宮を攻略して全ての神代魔法を手に入れ、世界を超えてくるなど有り得ないことである。

だからそれは幼子の拙い発想から出た実現不可能な目標だ。

 

だが、一体誰が、彼女の意志を馬鹿馬鹿しいと切り捨てられるのだろう。

出来はしないし、してはならない。

ミュウは、短い時間ではあったが、それでもしっかりハジメ達の背を見て成長してきたのだ。

手放していいのか?そんな事できるわけがない!

していいわけがないのだ。

 

だからこそ、ハジメは決断した。

今、ここでもう一つ誓いを立てようと。

 

「ミュウ、待っていてくれ」

「ハジメお兄ちゃん?」

先程までの、どこか悩んだ表情は一切なく、いつもの力強い真っ直ぐな眼差しがミュウの瞳を射貫いた。

 

「他の迷宮攻略を終わらせたら、なるべく早く、必ず、ミュウのところに戻ってくる。みんな連れて、ミュウに会いに来る」

「……ホント?」

 

「ああ、本当だ。俺たちがミュウに嘘吐いたことあったか?」

ハジメの言葉に、ふるふると首を振るミュウ。

 

「戻ってきて片付いたら、今度は、ミュウも連れて行ってやる。それで、俺の故郷、生まれたところを見せてやるよ。きっと、びっくりするぞ。俺の故郷はびっくり箱みたいな場所だからな」

「!お兄ちゃんの生まれたところ?みたいなの!」

 

「楽しみか?」

「すっごく!」

 

ピョンピョンと飛び跳ねながら喜びを表現するミュウ。

ハジメとまた会えるという事に不安を吹き飛ばされ満面の笑みを浮かべるミュウは、飛び跳ねる勢いそのままに、ハジメに飛びついた。

しっかり抱きとめたハジメは、そのままミュウを抱っこする。

 

「なら、いい子でママと待っていろよ?危ないことはするな。ママの言うことをよく聞いて、お手伝いを頑張るんだぞ?」

「はいなの!」

 

ハジメは、そんな二人のやり取りを微笑みながら見つめていたレミアに視線で謝罪する。「勝手に決めて済まない」と。

 

それに対し、レミアはゆっくり首を振ると、しっかりハジメと視線を合わせて頷いた。

「気にしないで下さい」と。その暖かな眼差しには、責めるような色は微塵もなく、むしろ感謝の念が含まれていた。

 

そんな家族とママのアイコンタクトに気がついたのか、ミュウがハジメとレミアを交互に見つつ、ハジメの服をクイクイと引っ張る。

 

「お兄ちゃん、ママも?ママも一緒?」

「あ~、それは……レミア?」

「私だけ仲間はずれなんて言いませんよね?だって私の大事な家族ですからね?」

 

「いや、それはそうだが……マジ、こことは〝別世界〟だぞ?」

「あらあら。娘と息子が行く場所に、付いていかないわけないじゃないですか。うふふ」

 

「……連れて行くの?」

「反対か?」

 

レムユエの質問に、ハジメがそう返すと、レムユエは首を振った。

 

「……ん、ミュウは既に私たちの家族。ハジメが言うなら文句はない。」

 

 

再会の約束をしたとはいえ、しばらくのお別れであることに変わりはない。

ミュウ最後の夜は精一杯甘えることにしたようだ。

 

 

そしてその翌日、ハジメ達は、ミュウとレミアに見送られ、海上の町エリセンを旅立ったのだった。

 




これにてこの章は終了です。
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