ありふれた能力世界最強(リメイク版)   作:コロンKY

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47話『アンカジ公国での異変』

 

 

 

 

 

 

青年は、意識は取り戻したもののハジメの一撃でまともに立つことも出来ない状態だった。

砂漠の気温も相まって相当な量の発汗をしており、脱水症状の危険もあったので潜水艇内に招き入れ水を飲ませてやる。

 

 青年は、潜水艇を船と馬車を合わせたようなものだと無理やり納得したものの、潜水艇内の快適さに違う意味で目眩を覚えていた。

しかし、自分が使命を果たせず道半ばで倒れたことを思い出し、こんなところでのんびりしている場合ではないと気を取り直す。

そして、自分を助けてくれたハジメ達と互いに自己紹介をした。

 

「まず、助けてくれた事に礼を言う。本当にありがとう。あのまま死んでいたらと思うと……アンカジまで終わってしまうところだった。私の名は、ビィズ・フォウワード・ゼンゲン。アンカジ公国の領主ランズィ・フォウワード・ゼンゲン公の息子だ」

 

「ボクはカービィだよ。よろしくね。」

 

アンカジはエリセンより運送される海産物の鮮度を極力落とさないまま運ぶための要所で、その海産物の産出量は北大陸の八割を占めている。

つまり、北大陸における一分野の食料供給に置いて、ほぼ独占的な権限を持っているに等しいという事であはり。

つまり、単なる名目だけの貴族ではなくハイリヒ王国の中でも信頼の厚い屈指の大貴族である。

 

ビィズの方も、ハジメ達の冒険者ランクを聞き、目を剥いて驚愕をあらわにした。

そして、これは神の采配か!

我等のために女神を遣わして下さったのか!

といきなり天に祈り始めた。

この場合、女神とは当然カービィの事なのだが、当の本人はキョトンとしている。

シアやレムユエ、ティオからはビィズに「こいつ……ロリコンか。」と向けられるがお構いなしだったのでハジメが少し威圧しながら事情説明を促すと、ビィズは冷や汗を流しながら咳払いしつつ語りだした。

 

 ビィズ曰く、四日前、アンカジにおいて原因不明の高熱を発し倒れる人が続出した。

初日だけで人口二十七万人のうち三千人近くが意識不明に陥り、症状を訴える人が二万人に上ったという。

直ぐに医療院は飽和状態となり、公共施設を全開放して医療関係者も総出で治療と原因究明に当たったが、進行を遅らせることは何とか出来ても完治させる事は出来なかった。

 

そうこうしているうちにも、次々と患者は増えていく。

にもかかわらず、医療関係者の中にも倒れるものが現れ始めた。

進行を遅らせるための魔法の使い手も圧倒的に数が足りず、なんの手立ても打てずに混乱する中で、遂に、処置を受けられなかった人々の中から死者が出始めた。発症してから僅か二日で死亡するという事実に絶望が立ち込める。

 

そんな中、一人の薬師が、ひょんなことから飲み水に〝液体鑑定〟をかけた。その結果、その水には魔力の暴走を促す毒素が含まれていることがわかったのだ。

直ちに調査チームが組まれ、最悪の事態を想定しながらアンカジのオアシスが調べられたのだが、案の定、オアシスそのものが汚染されていた。

 

当然、アンカジのような砂漠のど真ん中にある国において、オアシスは生命線であるから、その警備、維持、管理は厳重に厳重を重ねてある。

普通に考えれば、アンカジの警備を抜いて、オアシスに毒素を流し込むなど不可能に近いと言っても過言ではないほどに、あらゆる対策が施されているのだ。

 

一体どこから、どうやって、誰が……首を捻る調査チームだったが、それより重要なのは、二日以上前からストックしてある分以外、使える水がなくなってしまったということだ。

そして、結局、既に汚染された水を飲んで感染してしまった患者を救う手立てがないということである。

 

ただ、全く方法がないというわけではない。一つ、患者達を救える方法が存在している。それは、『静因石』と呼ばれる鉱石を必要とする方法だ。この『静因石』は、魔力の活性を鎮める効果を持っている特殊な鉱石で、砂漠のずっと北方にある岩石地帯か『グリューエン大火山』で少量採取できる貴重な鉱石だ。

 

しかし、北方の岩石地帯は遠すぎて往復に少なくとも一ヶ月以上はかかってしまう。また、アンカジの冒険者、特に『グリューエン大火山』の迷宮に入って『静因石』を採取し戻ってこられる程の者は既に病に倒れてしまっている。

生半可な冒険者では、『グリューエン大火山』を包み込む砂嵐すら突破できないのだ。

それに、仮にそれだけの実力者がいても、どちらにしろ安全な水のストックが圧倒的に足りない以上、王国への救援要請は必要だった……と。

 

「父上や母上、妹も既に感染していて、アンカジにストックしてあった静因石を服用することで何とか持ち直したが、衰弱も激しく、とても王国や近隣の町まで赴くことなど出来そうもなかった。だから、私が救援を呼ぶため、一日前に護衛隊と共にアンカジを出発したのだ。その時、症状は出ていなかったが……感染していたのだろうな。おそらく、発症までには個人差があるのだろう。家族が倒れ、国が混乱し、救援は一刻を争うという状況に……動揺していたようだ。万全を期して静因石を服用しておくべきだった。今、こうしている間にも、アンカジの民は命を落としていっているというのに……情けない!」

 

「……君達に、いや、貴殿達にアンカジ公国領主代理として正式に依頼したい。どうか、私に力を貸して欲しい」

 

そう言って、ビィズは深く頭を下げた。車内にしばし静寂が降りる。窓に当たる風に煽られた砂の当たる音がやけに大きく響いた。領主代理が、そう簡単に頭を下げるべきでないことはビィズ自身が一番分かっているのだろうが、降って湧いたような僥倖を逃してなるものかと必死なのだろう。

 

「わかった。ボクは手伝うよ!…ハジメは?」

全員の視線がハジメを向く。

カービィのお人好しはいつものだと皆納得している。

だから決断はハジメに任せるということなのだろうが、レムユエとティオたちもその眼差しの中に明らかに助けてあげて欲しいという意思が含まれていた。

 

もともと、『グリューエン大火山』には行く予定であった。

 

「ハジメ殿が『金』クラスなら、このまま大火山から『静因石』を採取してきてもらいたいのだが、水の確保のために王都へ行く必要もある。この移動型のアーティファクトは、ハジメ殿以外にも扱えるのだろうか?」

「わざわざ王都まで行く必要はない。水の確保はどうにか出来るだろうからな。」

「どうにか出来る? それはどういうことだ?」

 

「カービィ、頼む。」

と、言ってハジメは大きな貯水タンクを用意した。

 

「任せて!コピー能力ウォーター、ふんすいホバー!」

 

 数十万人分の水を確保できるという言葉に、訝しむビィズ。

しかしカービィのコピー能力ウォーターによってしばらく経つと貯水タンクは満タンになった。

しかもこの貯水タンクはハジメ特製で中が常に冷たくなっている仕組みである。

 

 

「す、凄い!これならしばらくは大丈夫そうです。ありがとうございます!……それと、父上に事情説明した後に、貯水池も念のためお願いします。何か異常があるかもしれません!」

 

こうしてハジメたちはアンカジ公国へと向かった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

砂漠の国でありながら、まるで水の都と表現したくなる……アンカジ公国はそんなところだった。

 

 

「……ハジメ殿たちにも、活気に満ちた我が国をお見せしたかった。すまないが、今は、時間がない。都の案内は全てが解決した後にでも私自らさせていただこう。一先ずは、父上のもとへ。あの宮殿だ」

 

 一行は、ビィズの言葉に頷き、原因のオアシスを背にして進みだした。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「父上!」

「ビィズ! お前、どうしっ……いや、待て、それは何だ!?」

 

ビィズの顔パスで宮殿内に入ったハジメ達は、そのまま領主ランズィの執務室へと通された。

衰弱が激しいと聞いていたのだが、どうやら治癒魔法と回復薬を多用して根性で執務に乗り出していたらしい。

 

そんなランズィは、一日前に救援要請を出しに王都へ向かったはずの息子が帰ってきたことに驚きをあらわにしつつ、その息子の有様を見て、ここに来るまでの間に宮殿内で働く者達が見せたのと全く同じ様に目を剥いた。

 

無理もない。

なにせ、現在ビィズは、宙に浮いている(カービィのコピー能力エスパーで)のだから。

 

どうやらビィズもカービィの薬では完全に回復できていなかったようで衰弱が再び始まり、自力で歩行するには少々心許ない有様だった。

カービィが肩を貸そうとしたところ、ビィズが顔を赤くして「ああ、女神様自ら私を…」等といって潤んだ瞳でカービィを見つめ始めたので、ハジメが、カービィに頼んでをコピー能力エスパー(青い帽子を被っている)で無理やり宙に浮かせると、そのまま運んで来たのである。

 

ちなみに、別にハジメが嫉妬したとかそういう事情はない。

家族にそんな(クソ神を崇めるような)視線を向けられて耐えられなかっただけである。

 

カービィにしがみつきながらという微妙に情けない姿でありながらも、事情説明を手早く済ませるビィズ。

話はトントン拍子に進み、執事らしき人が持ってきた静因石の粉末を服用して完治させたビィズにカービィが再び薬を飲ませると、全快とまでは行かずとも行動を起こすに支障がない程度には治ったようだ。

 

なお、治ったといっても、体内の水分に溶け込んだ毒素がなくなったわけではなく、単に、静因石により効果を発揮できなり更にその効力をカービィが強める薬を飲ませただけというだけである。

 

体内の水分に溶け込んでいる以上、時間と共に排出される可能性はあるので、今のところ様子見をするしかない。

 

「じゃあ、動くか。レムユエ、カービィ、行くぞ。他の皆はここで患者を頼む。!」

 

 ハジメは、貯水池を作るに協力したあと、そのままオアシスに向かい、一応、原因の調査をする。

分かれば解決してもいいし、分からなければそのまま『グリューエン大火山」に向かう。

そういうプランだ。

 

ハジメの号令に、全員が元気よく頷いたのだった。




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