それではどうぞ!
『グリューエン大火山』恐らくたぶんきっと五十層、それくらい……。
それが、現在、ハジメ達のいる階層だ。
なぜ〝たぶん〟なのか。
それは、ハジメ達の置かれた状況が少々特異なので、はっきりと現在の階層がわからないからである。
具体的には、ハジメ達は宙を流れる大河の如きマグマの上を例の潜水艇に乗って流されているのだ。
ハジメ達はマグマの動きが強く阻害されている場所に『静因石』は大量にあるはずと推測し探した結果、確かに大量の『静因石』が埋まっている場所を多数発見したのである。
マグマの動きに注意しながら、相当な量の『静因石』を集めたハジメ達は、予備用にもう少しだけ集めておこうと、とある場所に向かった。
そこは、宙に流れるマグマが大きく壁を迂回するように流れている場所だった。
そして、流されるままにマグマの上を漂っていると、いつの間にか宙を流れるマグマに乗って、階段とは異なるルートで『グリューエン大火山』の深部へと、時に灼熱の急流滑りを味わいながら流されていき、現在に至るというわけだ。
いざ、洞窟内に突入するハジメ達。
しばらく順調に高度を下げていたマグマの空中ロードだが、カーブを曲がった先でいきなり途切れていた。いや、正確には滝といっても過言ではないくらい急激に下っていたのだ。
「またか……全員振り落とされるなよ!」
「ちっ、やっぱり出たか」
ハジメは舌打ちすると同時にドンナーを抜き、躊躇いなく引き金を引いた。周囲に轟く炸裂音。それが三度響くと共に三条の閃光が空を切り裂いて目標を違わず撃破する。ハジメ達に、襲いかかってきたのは翼からマグマを撒き散らすコウモリだった。
「こちこちスプリンクラー!」
「ありがとなカービィ。」
「うん!」
勢いよく数十メートルを登ると、その先に光が見えた。洞窟の出口だ。
「掴まれ!」
ハジメ達が飛び出した空間は、かつて見た『ライセン大迷宮』の最終試練の部屋よりも広大な空間だった。
「……あそこが住処?」
レムユエが、チラリとマグマドームのある中央の島に視線をやりながら呟く。
「階層の深さ的にも、そう考えるのが妥当だろうな……だが、そうなると……」
「最後のガーディアンがいるはず……じゃな?ハジメよ」
「ショートカットして来たっぽいですし、とっくに通り過ぎたと考えてはダメですか?」
ハジメの考えをティオが確認し、僅かな異変も見逃さない鋭い視線を周囲に配る。
そんなハジメ達の様子に気を引き締めながらも、シアがとある方向を見ながら楽観論を呟いてみた。
ハジメたちが、シアの視線をたどると、大きな足場とその先に階段があるのが見えた。
壁の奥から続いている階段で、おそらく、正規のルートをたどれば、その階段から出てくることになるのだろう。
しかし、いくらマグマの空中ロードに乗って流れてくることが普通は有り得ないことだとしても、大迷宮の最終試練までショートカット出来たと考えるのは楽観が過ぎるというものだ。
シアも、そうだったらいいなぁ~と口にしつつも、その鋭い表情はまるで信じていない事を示している。
カービィはコピー能力アイスの限界をそろそろ感じていた。
そしてハジメ達の警戒が正しかった事は、直後、宙を流れるマグマから、マグマそのものが弾丸のごとく飛び出してくるという形で証明された。
「むっ、任せよ!」
ティオの掛け声と共に魔法が発動し、マグマの海から炎塊が飛び出して頭上より迫るマグマの塊が相殺された。
……-しかし、その攻撃は唯の始まりの合図に過ぎなかった。
ティオの放った炎塊がマグマと相殺され飛び散った直後、マグマの海や頭上のマグマの川からマシンガンのごとく炎塊が撃ち放たれたのだ。
「ちっ、頼めるかルティ、カービィ?」
「やってみるよ!」
「はい、やってみます。」
「スーパー能力スノーボウル、スノータックル!」
「ギガトンスノーハンマー!」
カービィが大きな雪玉になって流れるマグマの上を転がりながらどんどんマグマを冷やしていく。
そしてルティがさらに魔力で生成したハンマーでマグマを叩くとカービィによって冷まされたマグマは凍ってしまった。
そして何も起きない内にその場からハジメたちが離れようとしたその瞬間!
「ゴォアアアアア!!!」
「ッ!?」
そんな腹の底まで響くような重厚な咆哮が響いたかと思うと、氷の地面を突き破り、宙を飛ぶハジメの直下から大口を開けた巨大な蛇が襲いかかってきた。
本来ならこの蛇は全身にマグマを纏わせているがルティとカービィによって纏っていたマグマは冷やされ頑丈な鎧となってしまっていた。
しかしここで言う頑丈は一般的に頑丈と言うことであった。
カービィはコピー能力アイスに戻ってプラチナソードを装備して『きり上げスラッシュ』を放った。
そして音を立てて凍った地面に落ちた。
だが、それだけではなかった。
カービィたちの目には、ドガァッと音を立てながら次々と出現する巨大な蛇の姿が映っていた。
「これはそろそろ終着点のようじゃの。通りたければ我らを倒していけと言わんばかりじゃ」
「でも、今さりげなくハジメさんが撃ったあの蛇、普通に再生してますよ?カービィさんとルティさんと……恐らく氷魔法が使えるレムユエさん以外倒せるんでしょうか?あっ、私もドリュッケンのフレンズ機能で凍らせられますね。」
遂に二十体以上の巨大な蛇がその鎌首をもたげ、ハジメ達を睥睨するに至った。
最初に、ハジメからさりげなく銃撃を受けた巨大な蛇も、既に再生を終え何事もなかったかのように元通りの姿を晒している。
シアが、眉をしかめてその点を指摘した。
ライセン大迷宮のときは、再生する騎士に動揺していたというのに、今は、冷静に攻略方法を考えているようだ。
それを示すようにウサミミがピコピコと忙しなく動き回っている。ハジメは、随分と逞しくなったものだと苦笑いしつつ、自分の推測を伝えた。
「おそらく、バチュラム系の魔物と同じで、身体を形成するための核、魔石があるんだろう。マグマが邪魔で俺の魔眼でも位置を特定出来ないが……それをぶち壊すしかない」
ハジメの言葉に全員が頷くのと、総数二十体の巨大な蛇が一斉に襲いかかるのは同時だった。
巨大な蛇達は、まるで、太陽フレアのように噴き上がると頭上より口から炎塊を飛ばしながら急迫する。
そして巨大な蛇たちが「「「「「ゴォアアアアア!!!」」」」」と吠えると鎧が砕け、足場の氷は砕け散り、マグマを再び纏うと二十体による全方位攻撃を始めた。
普通なら逃げ場もなく大質量のマグマに呑み込まれて終わりだろう。
だがティオがそうはさせなかった。
「久しぶりの一撃じゃ!存分に味わうが良い!」
そう言って揃えて前に突き出されたティオの両手の先には、膨大な量の黒色魔力。
それが瞬く間に集束・圧縮されていき、次の瞬間には、一気に解き放たれた。
それはかつて、カービィのドラゴストームでなんとか相殺した恐るべき威力を誇る。
その黒色の閃光は、ティオの正面から迫っていたマグマ蛇を跡形もなく消滅させ、更に横薙ぎに振るわれたことにより、あたかも巨大な黒色閃光のブレードのようにマグマ蛇達を消滅させていった。
一気に八体ものマグマ蛇が消滅し、それにより出来た包囲の穴から、ハジメ達は一気に飛び出した。
流石に、跡形もなく消し飛ばされれば、魔石がどこにあろうとも一緒に消滅しただろうと思われたが、そう簡単には行かないのが大迷宮クオリティー。
ハジメ達が数瞬前までいた場所に着弾した十二体のマグマ蛇は、足場を粉砕しながらマグマの海へと消えていったものの、再び出現する時には、きっちり新たなマグマの海と共に二十体に戻っていた。
「おいおい、魔石が吹き飛んだ瞬間は確認したぞ?倒すことがクリア条件じゃないのか?しかも凍ったマグマまで?」
ハジメが、訝しげに表情を歪める。
ハジメは、ティオのブレスがマグマ蛇に到達した瞬間から〝瞬光〟を発動し、跳ね上がった動体視力で確かにマグマ蛇の中に魔石がありブレスによって消滅した瞬間を確認したのである。
ハジメが迷宮攻略の方法に疑問を抱いていると、カービィが中央の島の方を指差した。
「ハジメ!あの岩壁が光ってるよ!」
「なに?」
言われた通り中央の島に視線をやると、確かに、岩壁の一部が拳大の光を放っていた。
オレンジ色の光は、先程までは気がつかなかったが、岩壁に埋め込まれている何らかの鉱石から放たれているようだ。
ハジメが『遠見』で確認すると、保護色になっていてわかりづらいが、どうやら、かなりの数の鉱石が規則正しく中央の島の岩壁に埋め込まれているようだとわかった。
中央の島は円柱形なので、鉱石が並ぶ間隔と島の外周から考えると、ざっと百個の鉱石が埋め込まれている事になる。
そして、現在、光を放っている鉱石は9個……先程、ティオが消滅させたマグマ蛇とその前に倒した巨大な蛇の合計と同数だ。
「なるほど……このマグマ蛇を百体倒すってのがクリア条件ってところか」
「……この暑さで、あれを百体相手にする。……たしかに迷宮のコンセプトにも合ってるのじゃ」
ただでさえ暑さと奇襲により疲弊しているであろう挑戦者を、最後の最後で一番長く深く集中しなければならない状況に追い込む。
大迷宮に相応しい嫌らしさと言えるだろう。
確かに、ハジメ達もまぁまぁ精神を疲労させている。
いや、カービィのコピー能力アイスおかげでまぁまぁで済んでいるのだが……。
しかし、その表情には疲労の色はなく、攻略方法を見つけさえすればどうとでもしてやるという不敵な笑みしか浮かんでいなかった。
そうして全員が、やるべき事を理解して気合を入れ直した直後、再び、マグマ蛇達が襲いかかった。
マグマの塊が豪雨のごとく降り注ぎ、大質量のマグマ蛇が不規則な動きを以て獲物を捉え焼き尽くさんと迫る。
ハジメ達は再び散開し、それぞれ反撃に出た。
ティオが竜の翼を背から生やし、そこから発生させた風でその身を浮かせながら、真空刃を伴った竜巻を砲撃の如くぶっ放す。
風系統の中級攻撃魔法『砲皇』だ。
「これ妾で9体目じゃ!今のところ妾が一歩リードじゃな。ご主人様よ!妾が一番多く倒したらご褒美のアイスとやらを頼むぞ!もちろん『タワーアイス』とやらの方じゃ!」
10体目のマグマ蛇を吹き飛ばし切り刻みながら、そんな事をのたまうティオ。
呆れた表情で拒否しようとしたハジメだったが、カービィとシアがそれを遮る。
「なっ!ティオさんだけずるいです!私も参戦しますよ!ハジメさん、私も勝ったらアイスを奢りですぅ!」
「えっ!?アイス!?ボクもアイス食べたーい!……よーし、頑張るぞ!コピー能力クリエイト!からのフレンズ能力!ブリザギガトンハンマーの完成!」
そんな事を叫びながら、シアは、跳躍した先にいるマグマ蛇の頭部にドリュッケンを上段から振り下ろした。
インパクトの瞬間、淡青色の魔力の波紋が広がり、フレンズ機能により次いで凄絶な氷の衝撃が発生。
頭部から下にあるマグマの海まで一気に爆砕した。
弾けとんだマグマ蛇の跡にキラキラした鉱物が舞っている。
『魔衝波』の衝撃により砕かれた魔石だ。
さらにカービィはコピー能力クリエイトによってフレンズ能力をギガトンハンマーに付与した『ブリザギガトンハンマー』を無数に生成し、次々ともはや息を吸うかのように撃破していく。
「おい、コラ。お前ら、なに勝手……」
「……ん、なら私はキンキンに冷えたアイスを……じゅるり」
「な、なら僕もアイスをお願いします!頑張りますから!」
「南雲、アイスを作れるってことだよな?多く撃破すればアイス貰えるんだよな?」
ハジメは、ティオとシア、カービィの勝手な競争にツッコミを入れようと口を開いたが、それを遮ってレムユエ、ルティ、光輝も討伐競争に参戦の意を示した。
「いや、おい
レムユエは楽しみという雰囲気を醸し出しながら、しかし、魔法についてはどこまでも凶悪なものを繰り出した。
最近十八番の蒼天『
ただし、熟練度が上がっているのか、同時に出現した『龍』の数は3体。
それをほぼ同時に、それぞれ別の標的に向けて解き放った。
レムユエに喰らいつこうとしていたマグマ蛇達は、逆にマグマの塊などものともしない
ルティは相変わらず『ギガトンスノーハンマー』で凍殺していく。
光輝も氷を纏った神威を放ちまくる。
その光景を見て、「やっぱり、ユエさんが一番の強敵ですぅ!」とシアが、「ユエはバグっとるよ! 絶対、おかしいのじゃ!」とティオが、それぞれ焦りの表情を浮かべて悪態をつきつつ、より一層苛烈な攻撃を繰り出し、討伐数を伸ばしていった。
「……別に、いいけどな。楽しそうだし」
ハジメは、そんな自分作るアイスが景品になっている競争に闘志を燃やす六に肩を竦めると、若干、諦めた感を醸し出しながら、背後から襲いかかってきたマグマ蛇に、振り向くことなく肩越しにシュラークを連射する。
放たれた弾丸は、マグマ蛇の各箇所に均等に着弾し衝撃を以てそのマグマの肉体を吹き飛ばした。
同時に、衝撃で魔石が宙を舞う。
ハジメは、すっと半身になって前方から飛んできたマグマの塊をかわしながら、右のドンナーでマグマの海に落ちる寸前の魔石をピンポイントで撃ち抜いた。
気が付けば、中央の島の岩壁、その外周に規則正しく埋め込まれた鉱石は、そのほとんどを発光させており、残り一個というところまで来ていた。本格的な戦闘が始まってから、まだ一分も経っていない。
「「「「「「アイスを手に入れるのは」」」」」」
「俺だ!」「ん、私!」「僕です!」「ボクだよ!」「私ですぅ!」「妾じゃ!」
『グリューエン大火山』のコンセプトが、悪環境による集中力低下状態での長時間戦闘だというハジメ達の推測が当たっていたのだとしたら、ハジメ達に対しては、完全に創設者の思惑は外れてしまったと言えるだろう。
なんせ一分足らずで全滅させたのだから。
ちなみに全員最後の一匹は同時に倒したので一位はカービィである。
「やったー!ボクの勝ち!ハジメ、アイス頂戴ね!」
こうしてハジメたちは『グリューエン大火山』を攻略した
……と思われたその瞬間
ズドォオオオオオオオオ!!!!
頭上より、極光が降り注いだ。
まるで天より放たれた神罰の如きそれは、カービィがかつて死の重傷を負った光。
いや、それより遥かに強力かも知れない。
大気すら悲鳴を上げるその一撃は、攻撃の瞬間という戦闘においてもっとも無防備な一瞬を狙って放たれ――カービィを確実に仕留めた。
【カービィの残機残り95】
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※逆にないと失踪、不定期更新の可能性もあります。皆さんの力を分けてください。お願いします!
リメイク前、更新した方がいいですか?(まだ準備はできてません)※締め切りはリメイク版がリメイク前(樹海の迷宮)に追いつくまでです
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リメイク前、先に完結させて!
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リメイク版、先に完結させて!
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同時進行して!
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自分のペースでどうぞ
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無理しなくていいよ!