ありふれた能力世界最強(リメイク版)   作:コロンKY

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8話『ヒュドラ』

 

全ての準備を終えたハジメとカービィとレムユエは、階下へと続く階段へと向かった。

 

その階層は、無数の強大な柱に支えられた広大な空間だった。

 

二百メートルも進んだ頃、前方に行き止まりを見つけた。いや、行き止まりではなく、それは巨大な扉だ。全長十メートルはある巨大な両開きの扉が有り、これまた美しい彫刻が彫られている。特に、七角形の頂点に描かれた何らかの文様が印象的だ。

 

「大きな扉だね」

「……これはまた凄いな。もしかして……」

「……反逆者の住処?」と、レムユエは呟いた。

 

 

「ハッ、だったら最高じゃねぇか。ようやくゴールにたどり着いたってことだろ?」

 

「……んっ!」

 

「ようやくここから出られるんだね!」

と、三人は喜んだ。

 

 

 

 

 そして、三人揃って扉の前に行こうと最後の柱の間を越えた。

 

 

その瞬間、扉と三人の間三十メートル程の空間に巨大な魔法陣が現れた。

赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。

 

「ハジメ、これって!」

 

「あぁ……」

 

カービィとハジメは、その魔法陣に見覚えがあった。

忘れようもない、あの日、二人が奈落へと落ちた日に見たトラップの魔法陣と同じものだ。

 

 

だが、ベヒモスの魔法陣が直径十メートル位だったのに対して、眼前の魔法陣は三倍の大きさがある上に構築された式もより複雑で精密なものとなっている。

 

「おいおい、なんだこの大きさは? マジでラスボスかよ」

 

「……大丈夫……私達三人は、負けない……」

 

「うん!いくよ、二人とも!」

 

「あぁ!」

「ん!」

 

 

 魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにする三人。

光が収まった時、そこに現れたのは……

 

 体長三十メートル、六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物。ヒュドラだった。

 

「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」

 

 不思議な音色の絶叫をあげながら六対の眼光が三人を射貫く。身の程知らずな侵入者に裁きを与えようというのか、常人ならそれだけで心臓を止めてしまうかもしれない壮絶な殺気が三人達に叩きつけられた。

 

「ランディアよりも首が多い!?」とカービィは驚く。

 

ランディアとはポップスターから離れた……と、言うより別次元にあるハルカンドラと言う星に住む守護者である。

 

また、今は滅びたハルカンドラの技術は凄まじく、判明している物だけでも聴く者の心に音が流れるオルゴール(『メタナイトと銀河最強の戦士』より)や『天がける船ローア』と言う次元を超える船、さらには銀河を飛ぶ機械仕掛けの星『大彗星ノヴァ』、夢を産む不思議なアイテム『スターロッド』、無限の力を秘めていると言う『マスタークラウン』(『星のカービィWii』より)など物凄いアイテムばかりである。

 

 

そして同時に赤い紋様が刻まれた頭がガパッと口を開いた。

カービィは危険を察知してコピー能力を急いで使う。

 

「コピー能力ミラー!ミラーぶんしん!リフレクトフォース!」

カービィはコピー能力ミラーを発動し、自身の数を増やしてハジメとレムユエを庇って攻撃を反射した。

 

あまりの威力にヒュドラは数十秒動きを止める。

 

ハジメは驚いたように「どうなったんだ?」と呟きながらこの間のたくさんカービィがいたアレは夢ではなかったのだと確信する。

 

「攻撃を跳ね返したんだ!今のうちにだよ!」とカービィは呼びかける。

 

「わかった。」

「んっ!」

 

 

ドパンッ!

 

「〝緋槍〟!」

 

「コピー能力スナイパー!スナイプショット!マジカ・スターアロー!スカイショットシャワー!」

カービィはミラーでは効率が悪いからと思い能力をスナイパーに切り替える。

するとカービィの服装はいつもの帽子といつもより少し大きめの弓を装備していた。

 

「〝緋槍〟! 〝砲皇〟! 〝凍雨〟!」

 

ドパァン!ドパァァァン!!

 

「ねらいうち!スカイショット!ジャンピングスナイパー!」

次々と攻撃がヒットする。

 

「みんな来るよ!!」

 

ハジメ、ユエ、カービィは下がる。

 

ヒュドラは再び動き出し吠えた。

 

「「「「「「クルゥァァアアン!!!!!!」」」」」」

 

 

怒り狂ったヒュドラは七つの頭でその鋭い眼光で射抜き予備動作もなく極光を放った。

極光は瞬く間に三人に迫る。しかもレムユエは魔力枯渇で動けない。

 

「だったらコピー能力ストーン!」

カービィの服装はコピー能力メタルの茶色の色違いの姿になった。

「ヘビーおしつぶし!」

カービィは空中でレムユエの前で巨大な石に変身し、攻撃を凌いだ。

 

その隙にレムユエはなんとか物陰に隠れることに成功した。

しかしあまりにも攻撃時間が長く遂に石ころへんしんは解除されてしまいヒュドラの極光を直撃してしまったのだ。

 

「「カービィ!?」」

 

 

カービィはコピー能力が解除されたがその場所から動いていなかった。全身から煙を吹き上げている。地面には粉砕された石の残骸が転がっていた。

 

「カ、カービィ!?」

「……嘘だろ!?」

 

ハジメは何で自分が前に出なかったんだ!と後悔する。

 

 カービィは答えない。そして、そのままグラリと揺れると後ろに倒れこんだ。

 

「「カービィ!」」

 

仰向けにしたカービィは容態は酷いものだった。

そして次第にカービィの全身が灰になって消えてしまった。

 

「「  」」

二人はカービィの死に言葉も出なかった。

 

だが悲しむような時間をヒュドラが待つはずもない。

今度は直径十センチ程の光弾を無数に撃ちだしてきた。

まるでガトリングの掃射のような激しさだ。

 

 

ハジメは悲しみを心に押さえ込みレムユエにカービィから貰ったあの薬無理やり飲ませ魔力と体力を回復させつつ物陰に隠れながら攻撃をした。

 

「……今度は私が助ける……」

そう決意の言葉を残し、レムユエは柱を飛び出していった。

 

「おいっ!行くなレムユエ!」

 

レムユエは少しでも状況を打開しようと、どんどん魔法を放った。

 

 しかし、

 

「えっ」

 

 思わずレムユエが声を漏らす。

確かに数が多い分一発の威力を下げてたとは一つ一つが言えそれなりの威力を持った一撃だったはずなのに、銀頭は浅く傷ついただけで大したダメージを受けた様子がなかったのだ。

レムユエの表情に絶望の影が差す。

しかし、自分が敗北すれば次に狙われるのはハジメだ。

レムユエは歯を食いしばって再び回避に徹する。

 

 だが、そんなワンパターンがいつまでも続くはずがなかった。

銀頭の眼がギラリと光ると二度目の極光が空間を軋ませながら撃ち放たれた。

光弾の影響で回避ルートが限られていたレムユエは、自ら光弾に飛び込み吹き飛ばされることで、どうにか極光のもたらす破滅から身を守る。

 

 しかし、その代償に腹部に光弾をまともに喰らって地面に叩きつけられた。

 

「うぅ……うぅ……」

 

 体が動かない。直ぐさま動かなければ光弾に蹂躙される。

わかっていて必死にもがくレムユエだが、体は言うことを聞いてくれない。

〝自動再生〟が遅いのだ。どうやらヒュドラの攻撃には毒もあるようだった。

 

 

 

 

 

レムユエはいつしか涙を流していた。

悔しくて悔しくて仕方ないのだ。

自分では仲間を守れないのかと。

 

銀頭が、倒れ伏すレムユエに勝利を確信したように一度「クルゥアアン!」と叫ぶと光弾を撃ち放った。

 

 

その時だった。

 

 

 

『ドガァァァォァァン!!!!』と突如何処からかミサイルがやって来てヒュドラに激突し爆破したのだ。

 

 

「えっ?」

 

 

そこにいたのはさっき自身を庇って死んだ筈の少女………

 

 

「「カービィ!?」」

 

「ふぅ〜。危ない所だったね……」

 

「なんで………」

 

「話は後!早く倒すよ!」

今更死にぞこないが何だとヒュドラは問答無用で再び極光を放った。

 

「スーパー能力ドラゴストーム!やぁっ!」

 

カービィのドラゴストームとヒュドラの極光がぶつかり合い、押し返した!

 

「レムユエ、血を吸え」

静かな目、静かな声でレムユエに促す。

ハジメは飛んでくる光弾をひらりひらりと交わしながら、ハジメはレムユエをきつく抱きしめ首元に持ち上げる。

 

「……やるぞレムユエ!カービィ!俺達が勝つ!」

「……んっ!」

「うん!」

ハジメの強烈な意志の宿った言葉に、ユエもカービィもまた力強く頷いた。

 

 ハジメは見ていた。揺らぐ決意を必死に繋ぎ留めながらレムユエがだった一人で戦っている光景を。

魔法で必死に戦い、嬲られるように追い詰められていく姿を。

そして、極光が放たれ地面に倒れ伏し止めを刺されそうな瞬間を。

 

 ハジメの胸中に激烈な怒りが満ちた。

自分は何をしている?

いつまで隠れていれば気が済む?

こんな所で仲間を奪われる理不尽を許容するのか?

あんな化物如きに屈するのか?

 

否!!断じて否!自分の、自分達の生存を脅かすものは敵だ!

 

 

敵は、

 

 

「殺すっ!!」

 

 その瞬間、頭のなかにスパークが走ったような気がし、ハジメは一つの技能に目覚めた。〝天歩〟の最終派生技能[+瞬光]。知覚機能を拡大し、合わせて〝天歩〟の各技能を格段に上昇させる。ハジメはまた一つ、〝壁を超えた〟のだ。

 

 この技能でハジメは緩やかに飛んでくる光弾をギリギリでかわしているのである。

 

 やがて、レムユエが吸血を終え完全に力を取り戻した。

 

「レムユエ、合図をしたら〝蒼天〟を!カービィはウルトラソードを頼む!それまで、回避に徹しろ」

 

「「ハジメは?」」

 

「俺は、下準備」

 

「ん!」

「わかった!」

 

ハジメはドンナーを撃ち尽くすと〝空力〟で宙へ跳躍する。今までの比でないくらい細やかなステップが可能になっており、天井付近の空中を泳ぐように跳躍し光弾をかわす。

 

 いい加減苛立ったのか銀頭が闇雲に極光を放った。スッとかわしたハジメはニヤリと笑う。ハジメは看破していた。銀頭が極光を放っている間は硬直していることを。そして、リロードしたドンナーを再び六箇所に向かって狙い撃った。

 

 

 ハジメは天井にドンナーで穴を開け、空中で光弾をかわしながら手榴弾を仕込みつつ、錬成で天井の各部位を脆くしておいたのである。そして、六箇所をほぼ同時に撃ち抜き爆破した。

 

ただの質量で倒せたら苦労しないのだ。〝縮地〟で押しつぶされ身動きが取れない銀頭に接近し、錬成で崩落した岩盤の上を駆け回りそのまま拘束具に変える。同時に、銀頭の周囲を囲み即席の溶鉱炉を作り出した。その場を離脱しながら焼夷手榴弾などが入ったポーチごと溶鉱炉の中に放り込み、叫ぶ。

 

「カービィ!レムユエ!」

「んっ! 〝蒼天〟!」

「わかった。スーパー能力!ウルトラソード!!……………やぁっ!!」

 

レムユエは自身最大の魔法で攻撃をし、カービィはかつてのマホロアとの戦いのようにウルトラソードでヒュドラを何回も切った。

 

 

 

「グゥルアアアア!!!」

 

 銀頭が断末魔の絶叫を上げる。何とか逃げ出そうと暴れ、光弾を乱れ撃ちにする。壁が撃ち崩されるが、ハジメが錬成で片っ端から修復していくので逃げ出せない。極光も撃ったばかりなので直ぐには撃てず銀頭は為す術なく巨大な剣と高熱に挟み撃ちにされた。

 

ハジメの感知系技能からヒュドラの反応が消える。

 

 

 

すると何処からか例の音楽が聴こえてくる

 

『テテテテテテテッテテ〜テテテテテテテッテ〜テテテテテテテッテテ〜テテテテテテテッテ〜』

 

「なんだこの音楽……」

「……なにこれ」

 

すると突然カービィが三人に増えた。

 

「「!?」」

 

そして踊り始めた。

 

『テテテテテテテッテテ〜テテテテテテテッテ〜テテテテテテテッテテ〜テテテテテテテッテ〜』

 

そして曲の謎の強制力でハジメとレムユエの身体も勝手に踊りだした。

 

 

『テテテテテテテッテテ〜テテテテテテテッテ〜テテテテテテテッテテ〜テテッテテッテテ!』

 

「「「ハァィ!」」」

 

 

と、最後にハジメとレムユエも謎のダンスを踊らされると体力と魔力が全回復、それどころかハジメの食べられた腕すら治っていた。

 

これはカービィにじっくり『おはなし』する必要がありそうだなと思いつつハジメはカービィに寄って行ったのだった。







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