summer pockets 【If Story】 〜もう一度だけ、あの眩しさを〜 作:白羽凪
まあ、漏れる作品が結構ありますが...。
展開崩壊に注意しますので、目をそらさずに読んでいただけるとありがたいです。
~羽依里side~
今日も今日とて会社に出勤する。
朝が早いため、日によってはうみの顔を拝めないわけだが、今日はダメな方だった。
ため息一つついて、朝礼に参加する。
耳に入ってくる言葉は『企業努力』だの、『健全な職場』だの。
もう何度も聞いたその言葉にまたため息をつく。
...嘘つけ。
ここまでブラックな会社そうそうない。
けれど、辞めることは出来なかった。
もしここでやめてしまった後のことを考えると、転職できない未来が怖かった。
今小学生真っ盛りの娘を残して、路頭に迷うわけにはいかないのだ。
そうして、俺は負のループに入った。
時に死にたいと思ってしまうことも、最近ではもう少なくない。
甘える相手はいないし、かかる負荷しかないのだから。
朝礼が終わり、デスクにつく。
が、今日の業務内容は確かデスクワークではない。
その時、名前も憶えたくない上司が近くに現れた。
「鷹原、今日お前外回りだよな?」
「ええ、そうですね...」
俺のいる会社はやたらと地方では大きい会社だ。
その分、多方向の業務に手を出している。それがブラックの理由の一つでもあるが。
けれど、地域信頼が高い分、地元のあちこちの企業との提携が多いのも事実だ。
だから、こうして時折外回りが。
...よく、こんな会社に入れたな。
「確か、ガーデニングの先生のところでしたよね?」
「そうそう。ちょっとばかし遠いところにあるから、昼までに戻ってくれればokだから」
「はぁ、そうですか」
そういわれて、一応時計を確認してみる。
8:50。
往復一時間かかるにしろ、割と余裕をいただけたみたいだ。
さっさと終わらせて、ゆっくり戻るとしよう。
「で、何を確認すればいいんでしたっけ?」
「うちで取り扱ってる苗とかそこら辺をもう少し買ってくれるような交渉をしてくれればいいから。あそこの奥さん、物腰柔らかい人だからな。いいか、強行的な姿勢は控えろよ?」
「分かってます」
「お前の働きはしっかり上で評価されてるよ。...だから、頼むぞ」
そう告げるなり、上司はさっさとどこかに行ってしまった。自分の仕事に戻ったのだろう。
「...昇格とか、別に考えてるわけでもないんだけどな」
そう呟いた独り言は、おそらく誰の耳にも入ってない。
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どうやら目的地への移動は、電車が必須みたいだった。
仕方なく俺は、街の駅へ行く。
「えーっと...ここから電車で30分か...。次の便までは長くないし、待つか...」
現時刻は9:00をちょうど回ったところ。
次の便は、どうやら15分後みたいだ。
そう考えてみると、今回の外回り、だいぶ休暇のようなものに感じる。
上司の粋な計らいだろうか。
...いや、たまたまだろう。
そうしていると、ホーム内で、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「たーかはら」
「げっ」
「げっ、ってなんだよ!? 僕同僚だよ!?」
「と言っても、年単位の派遣だけどな」
隣に現れたのは、東北の方から派遣された、同年代の社員だった。
名前は確か...
「...誰だっけ?」
「ひどくない!? 僕結構君と一緒に仕事してるよね!? 春原だよ! 春原陽平!」
「ああ、そうそう」
春原。
名前に陽の字が入るくらいには、明るい。
そしてうるさい。
乗り気でないときでさえこのテンションでいられるのだから、時々やってられないときがある。
...まあ、根はいいやつなのだろう。多分。
「...それで、春原は何をしに来たんだ。まさか、同じところか?」
「んー? いや、鷹原の業務内容聞かされてないから、おそらく今回は別だね。多分、たまたま乗る便が一緒なくらいかな」
「ふーん...。相手は商社か?」
「まあね。けど普通、そんな派遣人材に任せるような案件ですかね」
「人受けがいいんだろ」
それが、春原の良さでもある。
もとは人材育成のための派遣だったが、その人柄の良さから、たちまち営業部で頭角を現してきているのが春原だ。
ぼーっとしていれば、俺もあっという間に抜かされるかもしれない。
それでも、こいつは何も気にしないだろう。
いつも通りおちゃらけて、笑って、また次のステップへ進んで...。
...つくづく、その性格がうらやましい。
今の環境を、それで乗り越えられたらどれだけよかったことか。
けれど、そんなものは、願っても届かない。
「鷹原は? これからどこよ」
「結構遠くまで行ったところの、ガーデニングの先生の...」
「あー、天王寺さんのところか。なるほどね、そりゃ重大案件だ」
名前を聞くだけで春原は理解したみたいだった。
そういうところを、見えないところでちゃんと確認しているのだろうか。熱心なことだ。
「あそこ、数字だけで見たらうちの会社への貢献度、結構高いからね。落とせないよ、簡単には」
「分かってるよ。いらないプレッシャーかけんな」
少なくとも、仕事でへまするつもりは一切なかった。
失敗するなと言われたら、それはよけいなお世話だ。
駅に、電車の発着のアナウンスが響き、たちまち電車がホームに入る。
「...さて、それじゃ行きましょうかね」
「そうだな」
電車に乗り込むと、そこから二人は無言だった。
お互いの業務がこれから待っているのだ。ただ通学途中の学生とは違う。
自分の背負っているものの価値が分かっている以上、あまりうかうかはしていられなかった。
天王寺夫妻...どんな人だろうか。
というわけでクロスオーバー先コーナー。
・天王寺夫妻
この時点では名前を挙げていないので、とあるキャラのアフターとだけ今は覚えていただければ(次回名前は出します)
・春原陽平
CLANNADシリーズより。ただし、ここで言うのもなんですが、岡崎は出すつもりないですよ。今後の展開に期待。
といったところで今日はこの辺で。
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