二度目の人生で、Vtuberになりました。   作:SANO

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24:ドッキリサプライズ

「……ぅぅ、普通に緊張してきた」

 

 

 ある人の配信画面を見つつ、脇にあるDisRoadの画面を横目に見やる。

 そこには、あと1クリックすれば相手と音声通話ができる所まで操作が済んでいる画面があり、自分がこれから何をするのかを嫌でも分かる。

 

 こういう事は出来ることならやりたくはないのだが、既に相手のマネージャーと桃瀬さんの間で話が纏まっており、俺も提案された当初は深く考えずに同意してしまったのだが、時間が経つにつれて事の大きさが分かってしまった今はドタキャンしたい気持ちで一杯な状態だ。

 となれば、桃瀬さんに断りの―――

 

 

 ピコンッ

 

 

 桃瀬さんに連絡するためにキーボードへ手を置いた瞬間というタイミングで、通知を知らせる電子音が聞こえたかと思うと、待機状態のチャット画面に桃瀬さんからのメッセージが表示された。

 

 

【逃げちゃダメですよ?】

「……先手打たれた……ぅぅ」

 

 

 彼女から先手が打たれたためにドタキャンは不可能になり、諦めて配信画面へと向き直す。

 ここで、相手のマネージャーへと連絡をしようとは考えないのは、単純に知り合い以下のレベルの付き合いしかない人と話したくないからという情けない理由である。

 

 

『ありがとー!』

 

 

 そして、タイミングよく仕掛けるのに絶好の条件が整ってしまった。

 ここで躊躇してタイミングを逃せば、次に良いタイミングが訪れるまで相手の配信画面を緊張しながら見続けなくてはならなくなるので、「男は度胸!」と心の中で叫びながら最後のクリックを行った。

 

 画面から通知音が聞こえたので慌ててミュートにするとともに、念のためにとミュートにしていたマイクのスイッチを入れる。

 

 

『あっ、もしもし?』

 

 

 両マネージャーより俺だと分からないようにアカウント名を変更してあるので、一言も声を出していない此方が誰であるか分からないからか、若干ながら緊張した声で相手が応答する。

 まあ、この専用サーバーに知らない名前の人が入ってくるとか、少し怖いよな。

 

 

「もっ、もしもし?」

『……え、嘘!?』

 

 

お?

ん?誰?

あれ、この声

誰?

あっw

 

 

 俺の第一声に相手は気づいたようで、驚きの声を上げている。

 ミュートにしている相手の配信画面のコメント欄は、俺と分かったようなコメントをする人がチラホラと居て、自分の知名度が意外とあることに少しの嬉しさと、普段の配信で見に来てくれている人以上の知らない人の前で話をしなくてはならないという緊張感で、事前に決めていた話内容が一瞬で吹き飛んでしまう。

 

 とはいえ、最近は気負わずに言えるようになった挨拶はできるので、少しでも真っ白になった頭を再起動させる時間を稼ぐために、軽い咳払いの後に“いつもの挨拶”を……する前に、来た目的を果たすべく“心を込めた”言葉を紡ぐ。

 

 

「収益化おめでとうございます」

『ありがとう!―――って、やっぱりユキだよね!?』

「ですです」

 

 

マジかw

誰やねんw

すっごw

え?

 

 

『あっ、と……混乱している人もいるようだから、自己紹介をお願いします』

「はい……皆さん、こんゆき~。サンステージ所属Vtuber、冬空ユキです」

『凄いびっくりした。来てくれてありがとう!』

 

 

他企業やんけw

何この声、ゾクゾクするんだが

他企業のロリ枠?

ゆいママ、他企業のVに祝われるとかスゲェw

 

 

 サプライズは成功し、ゆい友の人たちからも概ね歓迎されているようでホッと一息付けた。

 

 さて色々と濁して……いや、最後の方もう固有名詞を普通に言ってるから、すべての人は分かりきっている事だろう。

 

 

 収益化を記念した凸待ち配信をしている夏波結へ、突撃する冬空ユキ。

 

 

 これが、今回の目的である。

 一応だが、サンステージで他企業との初コラボをするという称号は、既に水原カレンが持っている。(“あるてま”という企業別を括りとするなら、俺が一番だが)

 それでも俺は二番目となるので、驚く人は多いだろう。自他ともに認めるコミュ症なのだから……。

 

 

『最初、変なアカウント名の人が来てビックリしたよ』

「あの、ね。驚かせようと、思って……ご、ゴメン」

『全然!ビックリしただけだから、それより来てくてた事の嬉しさが上だよ』

「よかった。ありがとう、ゆいママ―――ぁ」

『ちょっ、ママじゃないってば!』

 

 

ゆいまま、他でも娘をつくっていたなんて!

速報 ゆいままに二人目の娘が!

これはひどいw

草w

 

 

『ちょっと、違うからね!?ユキは娘じゃないから!!』

「え?」

『ユキ!?』

「ぴぃ!?すみませんすみません少し調子に乗りました!」

 

 

 少し場の空気に慣れたから、ゆい友に合わせて少しやりすぎてしまった。

 

 

認知してあげなよ

黒猫より幼そうだし、親離れはまだ早いよ

というか、この子が娘だと、黒猫が姉になるんじゃね?

淫猫が姉とか草

草www

 

 

『ああ、そうだ。ユキの立ち絵を用意しないと』

「え?あるの?」

『マネージャーから貰ってるんだよ。意味が分からなかったけど、この時用だったんだね』

 

 

 なるほど。

 というか、他企業の立ち絵をマネージャーから送られても、意味が分からないだけで済ますとか天然かな?

 あとは、時期的に忙しいから疑問は後回しにされたかな?

 

 

『はい』

「おお~……」

 

 

は?3D?

3D可愛いな

というか制服姿のロリとかヤバいなw

↑わかるw

 

 

 カレンとオフコラボした際に、上半身だけの3D化された時の冬空ユキが、後ろ手に組んで小首を傾げながら微笑んでいる姿が表示される。

 

 

私以外に娘がいるって聞いてない黒猫燦✓

姉がいたw

おっと、これはw

おっと~

 

 

『いや、だから違うって―――』

「……燦お姉ちゃん……?」

『ユキ!!』

「ぴぃ、すみません!言ってみただけです!」

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