戦姫絶唱シンフォギアMX   作:仲人

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OTONA×タスクマスターまでは書きたいです


プロローグ

特異災害対策機動部二課、そのモニターに映し出されている光景に誰もが驚愕を隠せずにいた。

 

「どういう事だ、翼が圧されているだと?」

 

モニターを食い入るように見つめていた風鳴弦十郎は、苦々しく言葉を漏らす。

視線の先には白いフード付きのマントを身に付けた男と刃を交わす自身の姪である風鳴翼の姿。

傍目から見れば接戦とも取れる戦いだが、弦十郎から見ればその差は歴然だった。

 

「あの身のこなし、相当な手練れなんだろうが…一体何者なんだ?」

 

モニターには未だ打ち合う二人が映し出されていた。

 

 

 

 

 

事の起こりは数分ほど前までに遡る。

市街地にて発生したノイズ出現の報せを受け出撃した翼。

難なく撃退した後帰還すべく事後処理を行っていた時、突然その男は現れた。白いフード付きのマントを纏い、顔面は骸骨そのもの。片手には両刃剣を携え、もう一方の腕には円形の盾を取り付けていた。

 

「民間人…ではないようだな。」

 

その出で立ちからして逃げ遅れた人でないことはおろか、手にした得物を見れば明らかに敵意のある事は間違いない。

対峙したのも束の間、先に動いたのはフードの男だった。

地を蹴り飛び出したかと思えば上段から剣を振り下ろす。それを受け止めた翼は思わず歯を喰いしばる。

 

(…この膂力、人間ではないのか!?)

 

ギアを纏った上で尚、身体が仰け反る程の衝撃に驚きが隠せない翼だったが、切っ先を逸らせ剣を受け流すと返り様に横薙ぎの一閃。

ノイズであれ一太刀のもとに一刀両断にできるほどのそれを、男は手にした盾で受け止めたのだった。

 

「なん―――っ」

 

相手が人である以上、多少なり加減はしたとはいえ容易く受け止められるとは思っていなかった為、驚愕しているとその隙をついて男は無防備な腹部へと蹴りを放つ。

防ぐこともままならず蹴り飛ばされれば、身を翻し着地。同時に駆け出せば負けじと刃を構え男へと肉薄、激しい打ち合いへと雪崩れこんでゆく。

初めの内は圧倒していた翼だったが、打ち合う内に男は剣で受ける事より盾で受けるように、盾で受けることから回避へと動きを変えてゆく。終いには回避と同時に反撃にまで転じてゆき、形勢は逆転の一途を辿る。

 

(この男、只者ではない。本気で戦わねばならないのか?だが、防人たる私が仮に人を殺めるなどあっては…!)

 

翼は思考を巡らせ状況を打破すべく策を練ろうとするが、一瞬の気の迷いが命取りだった。

刀を振り上げたタイミングに合わせて柄へと盾を打ち付けられ、刀を弾き飛ばされてしまう。

 

「くぅ!!」

 

無手となった翼に止めをささんとする男は、手にした剣の切っ先を向ける。そして、一歩踏み出した瞬間…

 

 

―――Croitzal ronzell Gungnir zizzl

 

 

翼の耳に、聞こえるはずのない歌が聞こえた。

 

まさかと思うも、本部からの藤尭と弦十郎の通信によりそれは確実な物となる。

 

『アウフヴァッヘン波形確認!これは…!』

 

『ガングニール、だとぉ!?』

 

直後、男と翼を隔てるようにして頭上から白色の槍が突き立てられる。それはかつて、翼の前で散っていった友のアームドギアだ。

 

「誰を遣わせるかと思ったが、まさかお前が来るとはな…カナデ」

 

今まで一言も発する事が無かった男が不意に口を開く。そのまま槍が降って来た方へと視線を向ければ、そこにはガングニールのギアを纏った天羽奏の姿があった。

 

「久しぶりの再会だってのにつれないなぁ、師匠は。」

 

言いつつ建物から飛び降りた奏は着地すると、事も無げに槍を引き抜き男へと穂先を向ける。

 

「で、二対一だけどまだやりあおうって?」

 

挑発的な笑みを浮かべて言葉を投げかけると、男は剣から弓へと持ち替え即座に鏃の膨らんだ矢を三本つがえる。間髪入れずに放たれた矢は唖然とする翼へと向かい、一直線に飛んで行く。

そうはさせじと奏が槍を振るい矢を防げば、鏃が爆ぜて煙幕が張られてゆく。

 

「ま、馬鹿正直にやりあうわけないか。」

 

煙幕が晴れた先には既に男の姿は無く、奏はがしがしと頭を掻いて空を見つめるのだった。

 

 

 

 

先ほどまでの喧騒が嘘のように静まり返った市街地にて、翼はマネージャーである緒川から手当てを受けていた。

その姿を眺めながら奏は不意に翼へと語りだした。

 

「こっちの翼はあたしと同じ装者だったのか、結構無理してるみたいだけど大丈夫なのか?」

 

その言葉に翼はびくりと肩を跳ねさせる。その反応に奏は小さく微笑むと立ち上がり、翼を優しく抱きしめる。

 

「大雑把にだけど、事情は把握してる。辛かったな、でも…無理してちゃだめだぞ翼。」

 

その言葉を聞いた瞬間、心の内から溢れる涙を堪えきれず泣き出してしまう翼。そんな翼を変わらず抱きしめたまま奏はひとしきり落ち着くまで頭を撫でてやるのだった。

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