戦姫絶唱シンフォギアMX   作:仲人

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第二話

時は少し遡り、場所は二課内部のメディカルルーム。定期の身体検査を行う翼と桜井了子の姿が其処にはあった。

慣れた手つきで機械操作を行う了子の背中を見つめる翼、画面内に表示される数値等は今のところ異常は見受けられないようで、後数分もすれば解放されるであろうと思いつつ翼は了子へと声をかける。

 

「桜井女史、少しばかりお話があるのですが宜しいですか?」

 

「あら、珍しいわね。ここ最近は検査が終われば即奏ちゃんの所へ向かっていた貴女が時間を割くなんて。」

 

「意地悪は止めてください、と言うよりも…話の要はその奏の事なのです。」

 

クスクスと笑みを零す相手に少しばかり頬を膨らませてみせるも、直ぐ様表情を切り替えて真っ直ぐに了子へと視線を向ける。であればと作業の手を止めて向き直る了子は随分と真剣そうな顔つきの翼を見て背を正しつつ、話の続きを促すように首を傾げた。

 

「ありがとうございます、話と言うよりも相談…と言う方が正しいのでしょうか。あちらの世界の奏はどうにも私に対して素っ気ない気がするのです。」

 

「ふむ、それははどういった部分を指すのかしら?」

 

「例えば一緒に寝てはくれるのですが抱きしめてくれなかったり、二人でテレビを見ていても時折上の空だったりと…確かに私と出会ってたかが二カ月とは言え、こうも素っ気ないと私と言えど辛くなるのです。」

 

その話を聞いた了子はと言えば、普段からは想像もつかない翼のしおらしい姿に唖然としていた。普段からその身を剣と鍛え上げ、凛とした雰囲気の彼女が恋する乙女の如く溜息を吐いている。

確かにこちらの世界の奏が存命の頃も依存とまでは行かないものの、多少なりそういった感情を向けているのは見て取れた。だが一度失った反動故か、今の翼は以前よりもその感情が大きくなっているように感じる。

 

「なるほど、随分と奏ちゃんに対してお熱の様ね。その素っ気なさにやきもきするのもよく分かるわ、私も昔は色々あったから。」

 

腕を組みうんうんと頷く了子は年長者として、そして同性としてその気持ちを汲み取ってみせる。そんな了子に対し安堵の表情を浮かべた翼は、更なる相談事を持ちかける。

 

「桜井女史、奏のあの素っ気なさはもしや例の師匠が関わっているのではないかと私は踏んでいるのですが。」

 

「師匠…あぁ、あの骸骨マスクの男の事?どうしてそう思うの?」

 

「事あるごとに師匠師匠と言われれば否が応でも気付きます。今日だってあの男を捜しに痺れを切らして出て行ったに違いありません!私と言うものがありながらまるで放蕩亭主のように…!おのれタスクマスター、次に会った時にはそっ首叩き落してくれようか!」

 

了子の反応に気を良くしたのか、堰を切ったかのように溢れ出す感情をぶちまけてゆく翼。それはノイズ発生の警報が鳴り響くまでかれこれ二時間ほど続いた。

 

 

 

 

 

所変わってフィーネの屋敷。

地下に設けられたトレーニングルームには、屋敷の住人である雪音クリスとタスクマスターの姿があった。クリスは肩で息をしつつ床にへたり込んでおり、額からは大量の汗を滲ませている。

 

「クソッ、未だに一発も当たりゃしねぇ!おまけに息もあがってねぇなんてどういう意味だよ!?」

 

「お前のその喋り方はどうにか直さないといかんな、年頃の娘がそんな言葉遣いでは貰い手が見つからなくなるかもしれん。奴からは戦闘指南に加えて教育指導の分も追加料金でもらうとしよう。」

 

「うっせぇ!というかあたしの質問に答えやがれ、どんな絡繰りつかってやがるんだよ。」

 

「絡繰りも何もお前の戦い方は直情的すぎるからな、直線的な攻撃を躱す程度で息など上がるはずがないだろう?」

 

「ぐぅッ…腹の立つ言い方しやがって、ぜってー吠え面かかせてやるからな!」

 

悔しそうに唸るクリスを尻目にタスクマスターは今後の方針を考えていた。

基本方針としてはフィーネから借り受けたネフシュタンの鎧をクリスに纏わせ、補佐として自身がソロモンの杖でノイズを操るという物。だが、この二か月間クリスの近接戦の戦闘訓練を行った上での感想は今一つと言うところだった。

 

「こうなるとイチイバルを纏った方が効率的、とも思えてくるな。一度打診してみるか。」

 

何気なく口にした言葉を聞き逃さなかったクリス、慌てて立ち上がるとタスクマスターの胸ぐらへと掴みかかり射るような視線をタスクマスターへと向ける。

 

「あの力は絶対に使わない!だからこそ、この二カ月必死に歯ぁ喰いしばってやってきたんだ!」

 

「ふん、威勢だけで俺が引き下がると思ったのか?俺の見立てではネフシュタンの鎧であの二課の装者と互角程度、カナデが加われば勝負は目に見えている。」

 

「そんなもんやってみなけりゃ分かんねぇだろ!第一あたしはまだあんたの事信用したわけじゃねぇんだ、フィーネが言うから仕方なくだな―――」

 

「分かった、ならもう止めはしないから好きにしろ。ただし、ネフシュタンの鎧を使うなら俺が教えた動きは頭と体に叩き込め。」

 

「あー、オメガレッド…だったか?まぁ、そこだけはフィーネも納得してたから聞いてやるよ。」

 

言っても聞かないのであればと折れたタスクマスターは、溜め息交じりに言葉を漏らす。それを聞いたクリスも手を離せばふん、と鼻を鳴らしてトレーニングを再開するのであった。




一人称視点と三人称視点はどちらが読みやすいですかね?
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