夜桜奏は落としたい〜天才音楽家たちの恋愛重奏戦〜   作:にゃんぱらりん

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めんどくさい二人〜前夜〜

 

〈side夜桜奏〉

 

 

大地さんとの通話が終わり僕は千花さんに連絡した

 

「もしもし、千花さん?」

「……はい、私ですよ?」

「なんで疑問形なのさ?」

「特に意味はないです。それで何か御用ですか?」

「うん、大地さんから映画の許可がとれたからその連絡をと思って」

「本当ですか!? 明日が楽しみですね〜」

「そうだね、時間帯はいつがいいかな? 僕は午前中は用事があるから午後からの方がありがたいんだけど……」

「じゃあ午後2時くらいに駅前に集合でいいですか?」

「うん、大丈夫だよ」

「遅刻せずに来てくださいね」

「もちろんだよ」

「じゃあまた明日〜」

「あ、そうだ」

「どうしました?」

「今夜は冷え込むらしいから風邪を引かないように暖かくして寝てくださいね」

「………………」

「千花さん?」

「っ! なんでもないです。心配してくれてありがとうございます。じゃあおやすみなさいっ!」

 

ガチャ

 

え、

なんかガチャ切りされた……

変なこと言ったかな……

嫌われてなきゃいいけどなあ……

 

でもさっきの間はなんだったんだろうか

思ったこと言っただけなんだけど……

これはやってしまったやつなのか? 

うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁあああ

明日会うのが気まずくなってきた……

急に恥ずかしくなってきたし……

 

はあ〜うじうじしてても仕方がない

明日はおしゃれしてかないと……

 

あ、あの二人のこと忘れてた

変な事起きないといいけど……

絶対起きる気がするよ……

トラブルに巻き込まれたくないよ……

 

まあ、仕方ない

切り替えていこう! 

 

明日は早いしもう寝よう……

 

 

─────────────────────

 

 

〈side藤原千花〉

 

 

一方その頃、藤原千花は……

 

 

あれ? 奏くんから電話がきてる……

 

 

「もしもし、千花さん?」

 

 

はあ〜本当にいい声してますね奏くんって

この声なんか落ち着くんですよね……

 

って返事しなきゃ! 

 

 

「……はい、私ですよ?」

「なんで疑問形なのさ?」

 

 

それは私にも分からないです

なんか焦ってこうなってしまったので

強いて理由を挙げるとするなら奏くんの声が良すぎて聴き入っていたから、でしょうか

 

 

「特に意味はないです。それで何か御用ですか?」

 

 

って本人にそんなこと言えないよ……

さすがに恥ずかしいですし……

 

 

「うん、大地さんから映画の許可がとれたからその連絡をと思って」

「本当ですか!? 明日が楽しみですね〜」

 

 

お父様から許可をとれるなんて……

言い方悪いですけどとれると思ってなかったので……

 

その場は誘われて許可とってくれるって言ってくれて嬉しくてはしゃいじゃいましたけどお父様はそういうところ厳しいから半分くらい諦めてたんですよね

 

だから明日が楽しみです! 

 

 

「そうだね、時間帯はいつがいいかな? 僕は午前中は予定があるから午後からの方がありがたいんだけど……」

「じゃあ午後2時くらいに駅前に集合でいいですか?」

「うん、大丈夫だよ」

「遅刻せずに来てくださいね」

「もちろんだよ」

「じゃあまた明日〜」

「あ、そうだ」

 

 

へ? なんでしょうか? 

 

 

「どうしました?」

「今夜は冷え込むらしいから風邪を引かないように暖かくして寝てくださいね」

 

 

…………………………。

 

なんでそういうこと無自覚に言えるのかなあ……? 

奏くんのそういうところが私は……

でも奏くんは私のことなんて……

あの許嫁契約もご両親に言われてしたものですし……

私は嬉しかったんだけどな……

 

 

『僕は一生かけて千花ちゃんを幸せにする!』

 

 

またあの言葉が聞きたいな……

あれいつ言ってくれたんだろう……

幼稚部の時かな……

初等部4年の時に解消した契約だから

 

なんか涙出てきちゃった……

なんでだろ……

やだなあ……もう奏くんは私のこと好きな訳ないのに……

 

 

「千花さん?」

「っ! なんでもないです。心配してくれてありがとうございます。じゃあおやすみなさいっ!」

 

 

ガチャ

 

 

はあ〜びっくりしました

あ、電話切っちゃいました……

 

……泣いてたことバレてないですかね? 

 

明日が楽しみなんですけどなんか気まずいです……

 

まあ、切り替えていきましょう! 

せっかく奏くんがお父様から許可とってくれたんですから……

 

……はあ、涙止まんないなあ

 

 

コンコン

 

 

「千花、入るよ」

 

 

っ! 

 

 

「ちょっと待ってください、お父様!」

 

 

ガチャ

 

 

「千……花……? どうして泣いてるんだい?」

「なんでもないです。早く出ていってください!」

「でも何かあったんだろう? どうしたんだ?」

「いいから早く出ていってください!!」

「分かった、分かったからクッションを投げないでくれ!」

 

ちょっと待って欲しいって言ったのに入ってきたお父様が悪いんですよ

 

「悩んでることがあったら誰かに相談するんだよ、千花」

「……じゃあお父様じゃなくてお母様に相談します」

「ああ、誰かに頼ることも大切だからね」

「……分かってますよ」

「うん、じゃあおやすみ千花」

「おやすみなさい、お父様」

 

バタン

 

誰かに頼ることも大事……

そんな当たり前のこと分かってたはずなのになんでしなかったんだろう

誰かにこのことがバレてしまうことが怖かったのかな……? 

 

こんなに臆病な人間を好きになってくれる人なんているんだろうか? 

 

……ネガティブな考えは止めよう

今度、お母様にこのことを相談する

そして少しでもいいからこの思いを知って欲しい

共感してくれなくてもいいから

慰めてくれなくてもいいから

この思いを

 

 

 

何かしら頼る人が欲しいな……

 

 

 

今はそれより明日のことを考えないと

どんな服で行こうかな? 

 

すごく楽しみで、それでいて少し恥ずかしい

 

奏くんはどんな服を着てくるのかな? 

 

もうすぐ日にち変わっちゃう……

寝ないと……

 

 

───────────────────────

 

 

〈side夜桜奏〉

 

 

朝6:30

 

ピピピピピピピ、バシッ

 

ふあぁ〜

よく寝たな……

 

今日は忙しい

 

千花さんとの事も楽しみだがあの二人のことも忘れちゃいけない

……忘れたいけども

 

ともかく、集合時間までは時間があるからちゃんと準備しよう

しかし四宮はどれだけの人員を秀知院に送っているんだろうか

さすがに早坂さん1人ではないだろう

もしそうなら早坂さんの仕事量えげつないからな

 

……四宮ならやりかねないところが恐ろしい

 

そんなことよりあの二人のことだ

絶対に上手くいかない

断言してもいいくらいだ

それを何とかしなきゃいけないんだよな

 

何もしてないのにもう疲れたのはなんでだ? 

 

はぁ……

 

 

 

 

上手くいってくれたらいいんだろうが、心の底からそれを願えない僕は……

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

今回の勝敗……次回に続く

 

 

 

───────────────────────

 

 

更新が遅れて大変申し訳ない

 

期末の結果が悪くスマホが没収されていまして…

 

今週はまた土曜ぐらいに更新しますので気長にお待ちください

 

 

次回はside早坂愛となります

奏と千花の絡みは次々回となりますのでよろしくお願いします

 

 


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