銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)   作:甘蜜柑

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第六十七話:熱狂の果ての治安出動 宇宙暦795年10月~796年2月 イゼルローン方面辺境星域

 対帝国戦以前の同盟軍は来るべき帝国との対決に備えて鍛えられていたとはいえ、あまり輝かしい存在ではなかった。ダゴン星域会戦以前の国防白書が宇宙海賊と分離主義者に対して多くのページを割いて、帝国に関しては形式的な記述に留まっていたことからも伺えるように、国内の敵に備える治安軍の性格を強く帯びた軍隊であった。

 

 アーレ・ハイネセンの長征に従ったグループが建国したバーラト星系共和国と、銀河連邦から分離したロストコロニーにルーツを持つ一二の星系共和国の連邦として発足した自由惑星同盟は、当初から中央集権派と地方分権派の対立に悩まされてきた。各地に散在するロストコロニーの参加、中核一三星系の植民星の正規加盟国昇格によって、加盟国が増加するにつれて、両派の対立も深刻になっていく。

 

 指導的な地位を独占してきたバーラト星系共和国に反発して、連邦からの離脱を望む星系も後を絶たなかった。そんな中で同盟軍は常に中央政府の側に立って、地方と対立した。正規艦隊は頻繁に治安出動して、自治権拡大や分離独立の動きを押さえ込んだ。建国からダゴン星域会戦までの同盟拡大期は黄金の一世紀と言われるが、絶え間ない分裂の危機を高度経済成長によって辛うじて乗り切った内紛の一世紀であったと指摘する歴史家も少なくない。

 

 対帝国戦争は中央集権派と地方分権派の対立に終止符を打ち、同盟軍の武力は外敵に向けられることとなった。地方に突きつけられた中央政府の剣は、帝国から市民を守る盾に生まれ変わった。市民は軍を社会の守護者として信頼しているが、地方抑圧に奔走した過去が忘れ去られたわけではない。期待と恐怖という相反する感情が市民の軍隊観を形成している。

 

 軍隊に批判的な反戦派もその例外ではない。市民の守護者たる役割を期待するがゆえに苦言を呈し、再び武力を国内に向けることを恐れるがゆえに警鐘を鳴らすのだ。対帝国戦争が始まってから、正規艦隊の治安出動が分艦隊規模の分遣に留められてきた最大の理由は予算不足であったが、市民が軍に対して潜在的に抱いている恐怖心の影響も大きい。

 

 これらの経緯を踏まえると、二個正規艦隊を動員した海賊討伐作戦「終わりなき正義」があっさり決定されたのは、驚くべきことといえる。主戦派はもちろん、反戦市民連合を除く反戦派もこれを支持した。

 

 エルファシル動乱、第七方面管区司令部陥落、帝国軍侵入に至る陰謀の衝撃は、現在の社会に安住していた人々の心を大きく揺るがせた。社会秩序に大きな一撃を加えた見えない敵がもたらした恐怖は、治安出動への忌避感情をあっさり吹き飛ばして、平時では受け入れられないような大規模作戦の実行を可能にした。極限まで追い詰められた者に残された選択肢は、必死の反撃以外にはない。テロリストと宇宙海賊は勝ち過ぎたのだ。

 

 

 

 宇宙暦七九五年一〇月一四日。自由惑星同盟はフェザーン方面航路とイゼルローン方面航路に巣食う宇宙海賊を掃滅べく、「終わりなき正義」作戦を発動した。宇宙戦力としては二個正規艦隊二万六三〇〇隻、地上戦力としては八四個師団。後方支援要員と合わせて六〇〇万を越える将兵が動員される。治安出動としては、ダゴン星域会戦以降では最大の規模となる。

 

 フェザーン方面はシトレ派の重鎮として知られる第一艦隊司令官ネイサン・クブルスリー中将が担当する。宇宙戦部隊と地上部隊の統合運用に長けていて、帝国軍相手の正規戦、海賊相手の非正規戦の両方に豊かな実績を持っている。ノブレス・オブリージュの意識が強いシトレ派らしく、軍人が民間人や捕虜を苦しめることを何よりも嫌っていて、対海賊作戦に不可欠な地域住民の支持も期待できた。そんなクブルスリー中将の起用は、誰もが順当と認めるところだろう。

 

 イゼルローン方面の担当は同盟軍で最も勢いがある提督と言われる第一一艦隊司令官クレメンス・ドーソン中将だ。憲兵司令官を務めていた時に示したリーダーシップから、治安に強い指揮官と評されている。今年二月のティアマト星域会戦の活躍によって、実戦指揮能力に対する評価も高まった。官僚組織の動かし方を熟知していて、地方政府及び警察との連携にも不安はない。対海賊作戦は未経験だが、適性は十分といえる。

 

 俺は第一一艦隊に所属する第一分艦隊の司令官フィリップ・ルグランジュ少将の行政担当副参謀長として、イゼルローン方面の作戦に従事していた。分艦隊の参謀長は准将もしくは大佐と定められていて、准将が参謀長を務める時のみ大佐の副参謀長を置く。大佐である俺が副参謀長になるのは順当な人事と言えるが、行政担当という呼称が付くとそうは言えなくなる。

 

 この分艦隊には、作戦担当副参謀長も置かれていた。正規艦隊だって副参謀長を二人も置いたりはしない。まして、副参謀長が置かれないことも多い分艦隊に、二人も副参謀長が置かれるというのは異例の人事であった。

 

 第一分艦隊司令官ルグランジュ少将は、第一一艦隊の副司令官でもある。同盟軍の将官には珍しく、どの派閥にも属していない。大佐から将官に至る狭き門を突破するには、並外れた能力に加えて派閥の後押しが不可欠となる。しかし、ルグランジュ少将の実力は誰もが認めざるを得ないものだった。指揮官としても参謀としても高い適性を持ち、どんなポストを任せても抜群の結果を出してきた。有能な人物は能力に比例してプライドも高くて、とかく周囲と摩擦を起こしがちな傾向があるが、ルグランジュ少将は誰とでもうまく付き合える協調性を持っていた。

 

 このような人物なら、派閥の色が付いてない分だけかえって使いやすい。どの派閥の実力者も競ってルグランジュ少将を助っ人として迎え入れて、重要な仕事を任せた。身内びいきが強いドーソン中将は、第一一艦隊に四つある分艦隊の司令官も全員仲間で固めようとしたが、ルグランジュ少将だけは交代させなかった。

 

 同盟軍では司令官が参謀を指名するシステムになっている。無派閥でありながら広い人脈を持つルグランジュ少将は、第一分艦隊の参謀を自分の腹心で固めていた。選びぬかれた逸材が揃う最強チームに呼ばれた俺は、腰が抜けるほどに驚いた。しかも、現職の副参謀長を作戦担当にして、二人目の副参謀長にするというのだ。ルグランジュ少将と俺は、面識がないに等しい。第一一艦隊の参謀を務めていた時も接点は無かった。

 

 ルグランジュ少将ほどの人に指名されるというのは光栄なことだ。しかも、わざわざ俺のために席を作ってくれたという。普通の人間なら手放しで大喜びするところだが、悲しいかな俺は小心者である。ルグランジュ少将が俺の何を見込んで指名したのかわからずに困惑してしまった。期待に応えられなかったらどうしよう、司令部の参謀達と仲良くできなかったらどうしようと、ネガティブな事ばかり考えてしまう。返事を保留して、いろんな人に相談した。

 

「なぜ即答せんのだ。任務であれば、どこにでも赴くのが軍人の気概というものだろう。まして、望まれて行くのだ。これ以上の名誉がどこにあるか」

 

 クリスチアン大佐には一喝された。俺が幹部候補生養成所を受験するか、兵役満了後に下士官推薦を受けるか迷った時に、「迷うのは時間の無駄」と叱咤されたことを思い出した。

 

「勉強するつもりで行ったらいいんじゃない?名将の仕事ぶりを間近で見れる機会なんて滅多にないよ?」

 

 今年から統合作戦本部の人事参謀部に転じたイレーシュ中佐は、いかにも教育指導のプロらしい意見である。

 

「あんな人に呼ばれるなんてすげーじゃん。派閥を越えて認められてるってことだろ。すげーなあ、ほんと」

 

 エルゴン星域会戦の功績で准将昇進が内定しているアンドリュー・フォークは、自分が指名されたかのように喜ぶばっかりで、俺がどうするべきかについての意見は言ってくれなかった。

 

「呼ばれたことがないから分からんのですが、ありがたいことなんでしょうなあ」

 

 亡命者のハンス・ベッカー中佐はピンと来ない様子だった。彼は参謀だが、呼ばれたことがないということだった。コネが無いおかげで、適任者が見当たらないポストの穴埋めにしかい起用されない参謀は少なくない。申し訳ない気持ちになり、必死で謝った。

 

 他の人にもいろんな人に聞いたけど、みんなに引き受けろと言われた。ダーシャには、こんなことで悩んでると知られるのが恥ずかしくて聞けなかった。結局、悩んだ末に五回コイントスをして引き受けることに決めた。

 

 

 

 海賊は数隻から数十隻の小集団単位で行動する。総勢数百隻に及ぶ大組織でもまとまって行動することはほとんどない。民間船は機械化が進んでいるため、巨大な船でも乗員は少ない。数十隻もあれば、どんな大船団でも制圧するには十分な戦力である。軍隊相手なら駆逐隊にも対抗できないが、そもそも宇宙海賊は民間船を狙うものだ。軍隊と戦ったところで金になるわけでもない。だから、民間船を制圧するには十分で、なおかつ軍隊から逃げるのに有利な小集団での行動が合理的となる。エル・ファシル動乱のように数百隻単位の集団で艦隊戦を挑んでくることは珍しい。

 

 小集団で移動して民間船を襲撃する機会を伺って、軍隊を発見したら全力で逃げる。いなくなったら、また民間船を襲撃する機会を待つ。そんな集団を相手にするには、帝国軍相手の正規戦とは異なる用兵が求められる。

 

 まず、作戦範囲となる宙域を細かく区切って、一つの区域ごとに一二〇隻前後の駆逐艦からなる駆逐群、あるいは三〇隻前後の巡航艦からなる巡航群を配備する。それだけの戦力があれば、海賊と戦って敗北することはまずない。複数の宙域を担当する遊撃部隊も用意する。宙域担当部隊が海賊を捕捉したら遊撃部隊を呼び寄せて、方面巡視艦隊や星系警備艦隊と協力して包囲網を作って潰していく。

 

 海賊の行動範囲は拠点を中心とした円の範囲とほぼ重なっている。どんなに優秀な艦艇を使っていても、整備や補給を受けずに動き続けることはできない。数隻や数十隻程度で行動する海賊は、小惑星、無人惑星、過疎の有人惑星など、人目につきにくい場所に最低限の機能を備えた拠点を作る。小さい組織でも数か所、大組織になると数十か所の拠点を持っているのが普通だ。その他、複数の組織が共同で使用する海賊都市のような大拠点も存在する。

 

 艦艇部隊で戦力を削るのと同時に、地上部隊で拠点を潰して行動範囲を狭めていく。そうすれば、海賊は逃げ場を失って追い詰められていくという寸法だ。

 

 このような作戦では、何より地元の協力が不可欠となる。広大な宙域を正規艦隊の戦力のみで抑えるのは不可能だ。方面巡視艦隊や星系警備艦隊と連携しつつ、海賊を包囲していかなければならない。広大な宇宙に身を潜めている海賊との戦いで最も大きな力になる情報を得るには、地元の警察や住民を使うのがベストだ。海賊の協力をあぶり出す際も、地元住民は大きな戦力となる。トラブルを起こして反感を買えば、どれだけ強大な戦力を持っていても、海賊に傷一つ付けられなくなる。将兵の行動を厳しく取り締まって地元に迷惑をかけないこと、不祥事を起こしたらすぐに謝罪や補償を行うこと、地元の官憲と友好関係を築くことなどを徹底する必要がある。

 

「そういうわけで、市警察の要求に応じて速やかに犯人を引き渡すべきでしょう。こちらで犯人を処罰しようとしたら、隠蔽しようとしていると勘ぐられかねません」

「軍務中の犯罪は軍に優先的な裁判権があるのだぞ。軍人の不始末は軍が付けるべきであろう」

「ケースバイケースです。軍に優先権はありますが、それを放棄することは認められています」

 

 俺がいくら説明をしても、司令官のルグランジュ少将、参謀長のエーリン准将、作戦担当副参謀長クィルター大佐らは首を傾げている。警備任務中に非協力的な民間人を殴り倒した軍曹の処遇について、市警察に引き渡すように主張する俺と、あくまで軍法に則って処罰すべきというルグランジュ少将らの意見が分かれているのだ。

 

「しかし、この場合は軍法に照らした方が処罰は重くなる。加害者がより重い処罰を受けた方が満足すると思うが」

「誰が裁くかが問題なのです。地元で起きた事件は地元で裁きたいと言うのが住民感情なのです」

「我らが裁いて軍規の厳正を明らかにして、初めて信頼が得られるのではないか」

 

 彼らは加害者の軍曹をかばっているわけではない。むしろ、軍規を厳しく適用して、非行を許さない姿勢を軍として示すべきという立場だ。軍人としての立場では、それは正しい。しかし、地域社会が絡んでくると話は違ってくる。治安戦は軍と警察と住民が三位一体となる総力戦だ。軍人としての筋を通すだけではうまくいかない。

 

「この戦いは我々だけの戦いではありません。地元の官憲や住民と一体となった戦いです。何もかもこちらの一存で進めてしまえば、彼らは疎外感を抱いてします。作戦は全員参加が原則というのは、皆さんには言うまでもないでしょう。彼らを友軍として扱ってください」

「なるほど、友軍か。友軍への配慮と言うのであれば、フィリップス大佐の言う通りだ」

 

 ルグランジュ少将がそう言うと、他の参謀達もうなずく。第一分艦隊には疑問があれば、解消するまで徹底的に話し合うというルールがあった。話し合いによって情報の共有をはかり、お互いの信頼を深めていくべきというのがルグランジュ少将の考えだった。部署ごとの対立もこの部隊では少ない。話し合いによって他部署の立場を理解することで、部隊全体に視野を広げることができる。

 

 イゼルローン遠征軍で上官だったアレックス・キャゼルヌ准将も会議好きだったが、彼の場合は自分の考えを理解させるための会議だった。ルグランジュ少将の会議は、部下と一緒に部隊を作っていくための会議である。

 

 全員で一緒に考えようという上官に出会うのは初めてだった。ルグランジュ少将が名将と言われるのも納得である。どんなつまらないことを言っても馬鹿にされずに聞いてもらえると思うと、やる気が出てくる。また、他人の意見を聞いて自分自身の見識を磨くことができる。そうやって、部下の中から忠誠心と能力を引き出していくわけだ。

 

 前の歴史で読んだ本では、ルグランジュ少将は中将に昇進した後にヤン・ウェンリーと戦って敗死している。勝敗が定まってからも配下の将兵は頑強に抵抗して、ヤンを困らせたという。本を読んだ時には良く理解できなかったが、今ならわかる。ルグランジュ少将が指揮をすれば、部下は喜んで命を差し出すだろう。

 

 つくづく俺は上官運に恵まれている。ドーソン中将、キャゼルヌ准将、ビューフォート准将、そしてルグランジュ少将といずれも名将ばかりだ。仕えているだけで勉強になる。

 

 しかしながら、ルグランジュ少将も完全無欠というわけではない。さっきの話し合いからもわかるように、視野が軍事の視点から一歩も出ていない。しかし、その非政治的な性格ゆえに派閥抗争から超然としていられるのも確かである。政治がわかる軍人はたくさんいるが、ルグランジュ少将ほどの戦闘のプロはそうそういるものではない。政治がわからないというのは、非難されるべきことではないだろう。誰かがその欠点を補えばいい。

 

「私は政治が分からないのだ。治安をやるのに政治がわからなくてはいかんだろう。だから、貴官を呼んだ」

 

 まったく付き合いのない俺を行政担当副参謀長に指名した理由を聞いた時、ルグランジュ少将はそう答えた。

 

「小官の他にも政治がわかる人はいくらでもいるでしょう。閣下は顔が広いですし」

「治安戦の教本に信頼関係が大事だと書いてあった。政治や治安がわかる者は、人間関係に難がある者が多い。そういうわけで人と対立したことがないと評判の貴官がふさわしいと思った。ドーソン提督と連絡する時も貴官を通せばやりやすいしな」

 

 俺の知っている政治ができる軍人を思い浮かべて納得がいった。ドーソン中将、ベイ大佐などは政治や治安に強いが、彼らは強引なことができるがゆえに有能たり得る人物だ。俺はどちらとも親しいが、それでも癖が強すぎるとは思う。ロボス元帥の下で政治家との折衝を担当しているアンドリューは例外だが、彼は治安がわからないから、今回の作戦では適任ではない。

 

 それはともかくとして、ここまで見込まれたら、無能な俺でもできるかぎりのことをせずにはいられない。そういうわけで第一分艦隊では、柄にもなく他人に真っ向から反対意見を言う役割を負っているのだ。

 

 

 

「終わりなき正義」作戦の開始から四ヶ月。第一一艦隊はドーソン中将の指揮のもと、イゼルローン方面航路から海賊を排除していった。フェザーン方面のクブルスリー中将率いる第一艦隊も目覚ましい戦果をあげている。

 

 両艦隊の優れた作戦計画もさることながら、海賊討伐が圧倒的な世論の支持を得ていたことも大きい。市民は先を争って海賊情報を通報した。赦免を条件に海賊を裏切る協力者も続出している。百四〇億の市民の監視によって丸裸にされた海賊など、単なる烏合の衆でしか無い。

 

 テレビでは毎日のように、捕虜となって連行される海賊、軍艦に追い立てられて撃沈される海賊船、海賊の拠点に突入する地上部隊の映像が流れた。二年前のタンムーズ星域会戦以来、快勝を経験していなかった同盟市民は、第一一艦隊と第一艦隊の活躍に大喜びした。

 

 マスコミはドーソン中将とクブルスリー中将を並べて、「ウッド提督の再来」と讃えた。気の早い者は、「統合作戦本部長シトレ元帥と宇宙艦隊司令長官ロボス元帥は任期満了を前に勇退し、クブルスリー提督とドーソン提督に地位を譲るのではないか」「次期統合作戦本部長はクブルスリー提督、次期宇宙艦隊司令長官はドーソン提督に内定か」などと騒ぎ立てている。

 

 しかし、対海賊戦の圧勝は思わぬ余波をもたらしていた。連戦連勝におごった前線では軍規の弛緩が甚だしく、不祥事も多発している。噂では降伏した海賊をその場で処刑した者、無実の民間人を海賊の協力者と決めつけて殺害した者などもいるらしい。

 

 追い詰められた海賊の一部がアスターテ星系に集結して、イゼルローン回廊の帝国軍と連絡を取っているという情報が入っていた。帝国軍の侵攻が間近に迫っていると判断した政府は即座に三個艦隊を動員して、イゼルローン方面に向かわせている。

 

 熱狂と緊迫をよそに、俺の所属している第一分艦隊は、アンシャル星系の宇宙海賊掃討を終えようとしていた。


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