【跡地】GBN総合掲示板   作:青いカンテラ

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1話2000~3000字(字数オーバー)。タイトルに『断片』とある通り、これは切れ端のお話。



―――ガンプラバトルを通じて繋がるもの。
―――それはきっと初めての……。


GBN断片:サイドダイバーズ/クオン編【ギャンとの遭遇】3/5

 ◆◆◆

 ◇◇◇

 ◆◆◆

 

 夢を見ていた。

 暗く、寒々しい夢。

 

 そこで久遠は、走っている。追いすがるものから、逃げようとしている。わき目もふらずに、後ろを振り返らずに。ただ走る。走る。走る。

 

 だが背中から追いかけてくるものは、嗤いながら彼女を追いつめるのだ。逃げても無駄だと、走っても無駄だと、そう言いたげに耳障りな高笑いを上げながら、久遠を追いつめるのだ。

 

「あっ……!」

 

 そして久遠は、躓いて、倒れ伏す。逃げなければ、逃げなければいけないのに、足が動かない。ならばと腕だけで体を前へと進める。苦悶の表情を浮かべながらも、歯を食いしばりながら、久遠はただ前だけを見て。

 

 だがそんな彼女を嘲笑うように、追跡者は彼女に追いつくと、肩を掴んで力任せに仰向けにする。果たしてそこにいたのは、闇に溶け込むようなローブを着た怪人物。闇に浮かび上がるような白いドクロの顔が、カタカタと歯を打ち合わせて嗤っている。それは死神だった。久遠の魂を連れて行かんとする、あの世からの使者。

 

「まだだ……まだ……私は……」

 

 まだ死ねない。

 

 久遠は死神を睨みつける。それが今の彼女にできる精一杯の反抗だった。そんな彼女のささやかな反抗を無駄だと言うように、足掻くな運命を受け入れろと言うように、死神は嗤いながら白い骨の腕を伸ばす。

 

 その指先が久遠に触れようとした瞬間、()()()()()()()()()()。それはジェット機のエンジン音に似て、しかしまったく別のもの。同時に、久遠の頭に中にも声が流れ込んでくる。

 

 ―――うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

 

 翡翠の瞳を輝かせ、背部バックパックのスラスターをフル稼働して死神を吹き飛ばしたのは、白亜の装甲を持つ人間大の人型ロボット。()()()()()赤い光を放つサイコフレームから淡い緑色の光を放っているその機体は、見間違えるはずがない。他でもないユニコーンガンダムだった。

 

 なぜユニコーンガンダムが? と唖然とする久遠をよそに、ユニコーンガンダムは彼女を守るように、黒い死神と対峙する。

 

 ―――ここから、

 ―――ここから、出ていけぇぇぇ!

 

 原作におけるユニコーンガンダムのパイロット、バナージ・リンクスが袖付きのMS『クシャトリヤ』を押し出した時のように、ユニコーンガンダムは死神を久遠の夢の中から押し出していく。翡翠の光を尾のように靡かせて、白いガンダムと黒い死神は、やがて共に姿を消したのだった。

 

 ………

 ……

 …

 

 窓から月明かりが差し込む病室で、久遠ははっと目を覚ました。ベッドの上で上半身を起こして、サイドテーブルに備えられているデジタル時計を見る。時刻は深夜の2時頃を指していた。

 

 夢。夢を見ていた。己の終わりが近いことを察してから、毎晩見るようになった、暗く寒々しい悪夢だ。暗闇に包まれた荒野をひた走る。背中から追いすがる死神から逃れるために。しかし結局は追いつかれて、死神の手で……というところで目が覚める。息苦しさと寝汗の気持ち悪さで起きるのだ。

 

 けれどその悪夢の内容は、今日は違っていた。途中までは同じだったが、最後に来るはずの無い助けがやってきたのだ。

 

「ユニコーン……君が助けてくれたのか……?」

 

 呟いて、久遠は飾ってあるユニコーンガンダムへと視線を向ける。白い装甲をその身にまとう可能性の獣は、ただ黙して何も語らない。装甲の間から見えるサイコフレームの色も、夢の中で見た淡い緑色ではなく、元の赤色のままで。

 

 ユニコーンをそっと手に取り、壊さないように優しく抱きしめる。悪夢の中で見たユニコーンガンダムがなんだったのかはわからない。もしかしたらあれは、胸の中に抱いているユニコーンのガンプラに込められた想いが起こした、ちょっとした奇跡だとか、そういう類の、不思議な現象なのかもしれない。わからないけれど、助けられたのは事実で。だから、

 

「……ありがとう……」

 

 感謝の言葉を。

 

 私は、まだもう少し生きられる。そんな気がするから。

 

 枕元にユニコーンをそっと置いて、久遠はベッドに横になると目を閉じた。ほどなくして規則正しい寝息が聞こえてくる。悪夢は、もう見ない。

 

 窓から差し込む月明かりを反射して、枕元に置かれた希望の可能性たるユニコーンガンダムの双眸は静かに翡翠の輝きを放っていた。

 

 ◆◆◆

 ◇◇◇

 ◆◆◆

 

 ガンダムベース・シーサイド店。

 

 版元である財団Bの直営店であり、歴代ガンダムシリーズのグッズやガンプラが販売されている他、休憩所兼ガンダム作品にちなんだメニューが楽しめる『G-CAFE』が併設されている複合施設。

 他にここでしか買えない『ガンダムベース限定ガンプラ』があったり、いま大流行しているGPDの筐体も設置されているため、休日はもちろんのこと平日でもそれなりに人の入りが多く活気に満ちている。

 

 そしてここは、零の実家である『ヨノモリ塗料』がガンプラ製作に欠かせない要素の一つであるプラスチック用塗料を卸している店舗でもあった。

 

 今日零がここにやってきたのは、病室で久遠にも言ったとおりGPDデビューをするためである。上は胸元に青いリボンを付けた半袖の白いシャツに、サンドブラウンのノースリーブジャケット。下はオリーブ色のハーフパンツと編み上げブーツという、漫画『機動戦士クロスボーンガンダム』1巻の『ベルナデット』をイメージした服装をし、長い銀髪はことまとめにして帽子の中に仕舞い込み、藍色の瞳を隠すように色付きメガネを掛けた零はエールストライクの立像を見上げて「よし」と気合いを入れると、肩掛けバックの位置を直して店内へと足を踏み入れた。

 

 休日ということもあり店内には客が多い。新発売のガンプラを手に持って財布の中身と相談しているもの、ガンプラコーナーであれやこれやと談笑しているもの、道具の補充をしているもの、製作ブースで黙々とガンプラを組み上げているもの、併設されているG-CAFEでガンダム談義に花を咲かせているもの。

 

 皆それぞれ、思い思いにガンダムベースを楽しんでいる。彼らの多くは新たに入店してきた零に気を払ったりしない。それでも何人かはドアの開閉音でちらりと一瞥をくれたりもしたが、すぐに自分の目的へと戻っていく。

 

 そのことに少し安堵して、零は今日の目的を果たすべくインフォメーションカウンターへと足を向ける。そこではエプロンを着けた恰幅のいい壮年の男性が、口髭の形を整えていた。アニメ『機動戦士(ゼータ)ガンダム』に登場する『ヘンケン・ベッケナー』と同じ形の口髭をしている彼は、ケンさんの愛称で親しまれるシーサイド店の店長マツムラ・ケンだった。

 

「こんにちわ、ケンさん!」

「はい、こんにちわ。今日はどんなご用件で?」

 

 取引先の娘でありお得意様でもある零に、マツムラ店長は柔和な笑みで応える。

 

「今日はじーぴーでぃーでびゅーをするために来たのです!」

「へぇ、GPDを。いま流行ってるからねえ」

 

 GPDに興じて熱く盛り上がっている人たちを思い浮かべているのか、しみじみとマツムラ店長は言いつつ現在の筐体の利用状況を確認する。シーサイド店には1対1の標準的なタイプの筐体が3台、3対3のチーム戦ができる大きいサイズの筐体が1台の、計4台の筐体が設置されている。それでも休日ともなればバトルを求めてファイターたちが集まり、数十分単位の待ち時間が発生することもざらだ。

 

 とはいえ、その待ち時間を利用してガンプラや道具を買ったり、あるいはG-CAFEで時間を潰す客がいるのも確かで、そういった層の人たちが店の売り上げを伸ばしているのだった。

 

 そして、今日は珍しく筐体が1つ空いていた。

 

「ちょうど3番が空いてるね。筐体の利用料は掛からないから、行っておいで」

「うん、ありがとうケンさん!」

「初めてのガンプラバトル、楽しむんだよ」

 

 小さく手を振って、ガンプラバトルブースへと駆けていく零の背中を見送るマツムラ店長の目はどこまでも優しいものだった。

 

 ………

 ……

 …

 

「……今日は随分と調子がよさそうだ」

 

 ところ変わって、場所は市内にある総合病院。その一室で、久遠は担当医のファリドの診察を受けていた。その結果は良好そのもので、ファリドはふっと笑みを浮かべた。

 

「それは、悪夢を見なくなったからかもしれませんね……」

「悪夢を? ……ふむ、悪夢を見ることで受けていた心的ストレスが、その原因である悪夢を見なくなったことで軽減されたのかもしれないな」

 

 あの夜以来、久遠は暗く寒々しい悪夢を見なくなっていた。夜毎に背中から追いすがる死神から逃げる必要はなくなり、そのことが、知らずのうちに掛かっていた彼女の精神的な負担を軽減することに繋がったのである。

 

 慈しむような優しい手つきで、日課となったユニコーンガンダムの手入れをしながら久遠は声に耳を傾ける。

 

 ―――大丈夫だよ。

 

 ユニコーンから聞こえる声は、どこまでも穏やかな声だった。

 

 ―――悪い夢は僕が追い払うから。

 ―――もう夜に怯えなくてもいいんだ。

 

 陽光を反射してユニコーンの翡翠の双眸が輝く。物には心が宿る。昔はこの才能(ちから)がキライだった。周囲の人を遠ざけ、自分を孤独にするこの才能(ちから)が。けれど、いまは少しだけ好きになれた。

 

 大好きな姉が、零が「とってもすごい才能(ちから)」だと言ってくれたから。こんな自分を受け入れてくれたから。

 

 そして今も、(おねーちゃん)と一緒に組んだガンプラに、励まされている自分がいる。

 

 ありがとう。

 

 感謝の言葉を口には出さず、心の中で。

 

 君のおかげで、私はもう少しだけ生きられる。

 

 …

 ……

 ………

 

 GPDの筐体。それは二本のコントロールスティックとセットしたガンプラをスキャンし、プラネットコーティングを施す装置が向かい合うように配置されている半円形のバトルシミュレーションマシンである。

 零が3番の筐体に着くと、向かい側には緩くウェーブの掛かった亜麻色の髪の少女が既にスタンバイしていた。彼女は零に気づくと、ふんっと鼻を鳴らして神経質そうに右手で髪をかき上げる。

 

「あら、あなたがわたくしのお相手かしら? せいぜい、わたくしを楽しませてくださいな」

 

 そういうと、少女はさっさと自分のガンプラを筐体にセットする。その態度に零は「感じ悪いなあ……」と内心むっとしたものの、表情には出さずにカバンから出した保存容器のふたを開け、ガンダムAGE-2を包んでいた緩衝材代わりの柔らかい布を取り同じく筐体にセットした。

 

 英語のシステム音声と共にセットされたガンプラがスキャンされていき、プラネットコーティングが施される。これにより普段は動くことのないガンプラは、GPDの筐体の中という限られた空間の中で縦横無尽に動き回るのである。

 

「エヴァンジェ・ホロウ。ギャン・ランサー、目標を貫きますわ!」

「夜ノ森零……ガンダムAGE-2。行きますっ!」

 

 ガンダムAGE-2のツインアイが力強く輝き、筐体内のシミュレーション空間へと打ち出される。バトルフィールドは……無数の星々が煌めく漆黒の宇宙。それもデブリなどの遮蔽物がほとんどない、ただただ広いフィールドだった。

 

「よっ、ほっ」

 

 宇宙空間は地上と違って足場がないため、操作に慣れないうちは機体を安定させるのが難しい。そういう意味では、今日がGPD初体験となる零にとってかなり不利な状況であった。

 

≪トーシロ丸出しの動きですわね! アナタのガンプラ、()()()いましてよ!≫

「っ! どこから!」

 

 突然通信機から対戦相手の少女……エヴァンジェの声が聞こえ、零は周囲を警戒する。レーダーにエネミーであることを示す赤い光点がぽん、と光る。それは猛スピードで姿勢制御もままならないガンダムAGE-2へと向かってくる。

 

「速い……!」

 

 果たしてそれは、右腕に巨大な実体槍を構えた一機の赤いMS……疑似GNドライヴを搭載したギャン・クリーガーのカスタム機、ギャン・ランサーだった。背中から深紅の粒子をまき散らしながら、大型実体槍……GNランスでガンダムAGE-2を貫かんと迫る。

 

≪貰いましたわ!≫

「なんのっ!」

 

 ギャン・ランサーの槍がAGE-2に届く直前、零は直感的にコントロールスティックを動かして左腕のシールドでGNランスを殴りつけた。それにより穂先の狙いが逸れ、AGE-2の胴体に大穴を開けるはずだった一撃は腰部アーマーを抉り飛ばすに留まる。

 

「あっぶない……なあっ!」

 

 そのまま後方へと通り過ぎていくギャン・ランサー。零はその場でAGE-2を反転させるとハイパードッズライフルのトリガーを引く。独特の射撃音をさせながら、D.O.D.S.(ドッズ)効果で貫通力を増した高出力のビームが一条の光の矢になって宇宙を切り裂いた。

 

≪はっ! そんな見え見えの攻撃当たりませんわ!≫

 

 しかしエヴァンジェもさるもの。最小限の動きで襲い来るビームをかわすと、機体各部に装備されているGNスラスターを使い速度を落とすことなく反転。再びガンダムAGE-2へと襲い掛かる。

 

「正面から向かってくるなんて!」

≪遅い!≫

 

 右へ左へと機体を揺らし、狙いをつけさせないようにしていたエヴァンジェは、GNランスに内蔵されているGNバルカンの射程距離に入ると同時に斉射。赤い粒子ビームがハイパードッズライフルを貫き、次の瞬間には爆発した。

 

「や、やばっ……」

 

 判断が遅れたことで、ハイパードッズライフルの爆発に巻き込まれた右手が使い物にならなくなる。ダメージを受けたことで鳴り響くアラート。それは零の精神を揺さぶり、動揺させ、致命的な隙を生む。

 

≪これで! 終わり! ですわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!≫

 

 まずい! と思った時には既に遅く。必殺の間合いまで踏み込んだギャン・ランサーの赤い槍の切っ先が、AGE-2のコクピットを貫かんと突き出される。その光景がスローモーションのようにゆっくりと見えて……。

 

 ―――まだだ! こんな所じゃ、終われねぇ!

 

「っ!」

 

 咄嗟に機体を操作し、上体を捻る。再び逸れた穂先は左肩アーマーを貫き、左腕ごともぎ取って、必殺の一撃をかわされたギャン・ランサーは距離を取るべくまたも通り過ぎて行く。

 

 なんとか撃墜を免れた零は、詰まっていた息を吐き出す。右手は吹き飛び、無事だった左腕も破壊された。MSは人型をしている以上、機体に直接備え付けられているもの以外の武器は手に持って使用するのが普通である。つまり、両手が使い物にならなくなったいまのAGE-2は、撃墜されるまでの時間を少しばかり伸ばしただけということになる。

 

 状況は最悪に近い。だが、バトルはまだ終わっていない。勝負の行方とは、どちらかの体力が0になるまではわからないものだ。生きている限りは負けではないのだから。

 

 ぺろり、と零は唇を舐める。チャンスは一度。それを逃せば、あとは宇宙の塵となるだけ。赤い粒子を尾のように引きながら、ギャン・ランサーが三度目の正直とばかりに突撃体勢に入る。

 

≪いい加減に、堕ちなさいな!≫

 

 エヴァンジェの声に呼応するように、ギャン・ランサーのモノアイが怪しく光る。零は赤い槍を正面から見据えながら、心の中で数を数える。

 

 3……。

 

 2……。

 

 1……。

 

 今!

 

 突き出されたGNランスを右腕を犠牲にして受ける。激突した勢いで機体が後ろへと飛んでいく。

 

≪っ、アナタしつっけぇですわね! そんな満身創痍で、いくら足掻いたところで無駄ですのよ!≫

「それは、どうかな……?」

≪はあ!?≫

 

 にひっ、と零は獰猛な笑みを浮かべる。

 

 捕まえた。

 

 AGE-2がギャン・ランサーの胴体に膝蹴りを叩きつける。もちろんそれだけでは決定打になりえない。いくら膝蹴りをしたところで、ギャン・ランサーの胴体が上下に分かれたりはしない。

 

≪自棄になりましたの!?≫

「ううん。違うよ。奥の手は最後まで取っておけってね……」

 

 そう言って、零はその機能を開放する。瞬間、ギャン・ランサーの背中から光の刃が生えた。それは、ギャン・ランサーの隠された武装だとか、そういうものではなく。零がAGE-2にこっそりと仕込んでいた奥の手(とっておき)

 

≪う、ウソでしょ……? こんなの、こんなのってあんまりですわぁぁぁ!≫

 

 膝部ビームサーベルに貫かれ、切り裂かれたギャン・ランサーが機能を停止するその間際、エヴァンジェの叫び声がバトルフィールドに響き渡った。

 

『BATTLE END!』

『Winner PLAYER2!』

 

 電子音声が、零の勝利を告げる。いつの間にか集まっていたギャラリーも「いまのすげーな」「あの帽子の子、逆転勝利しちまったぞ」「内蔵武器はロマン」とざわついている。

 そんな中で初勝利の喜びを噛みしめていた零は、自分が注目を浴びていることに気がつくと、GPDの筐体からボロボロになったAGE-2をさっさと回収してそそくさとその場を後にする。

 

「―――アナタ! ちょっと、そこのアナタ! お待ちになって!」

 

 マツムラ店長への挨拶もそこそこにシーサイド店を後にした零は、自分を呼び止める声に速足で歩いていた速度を緩めて、立ち止まる。

 

「なに?」

「はぁ……なに、ではありませんわ……はぁ……」

 

 零を呼び止めたのは、亜麻色の髪の少女。ギャン・ランサーを使っていたエヴァンジェ・ホロウだった。彼女は走ってきたのか、乱れた息を整える。そして零をまっすぐに見据えるとビシッ! と音が聞こえてきそうな勢いで右手の人差し指を突きつけた。

 

「今回は負けましたけど! 次は負けませんわよ! わたくし、負けっぱなしは性に合いませんので!」

 

 つり目がちの瞳をさらに釣り上げて、エヴァンジェはそう宣言する。零はそんな彼女の右手と顔を交互に見て、それから笑みでもって返す。

 

「……こっちこそ。次も勝つから」

「ふふふ、それでこそですわ。改めて自己紹介を。わたくしはエヴァンジェ。エヴァンジェ・ホロウですわ」

「……零。夜ノ森零」

 

 自身の胸に右手を当てて名乗ったエヴァンジェに、零もまた自分の名前を告げる。

 

「レイさんですわね。その名前、覚えましたわ」

 

 ふんす、と得意げにその豊かな胸を反らして見せる。それを見た零は自分の胸元へと視線を落とした。

 

 ……そこには嘆きの平原だけが、ただただ広がっているのだった。

 

「勝負に勝って、試合に負けた気分だ……」

「はい?」

 

 ◆◆◆

 ◇◇◇

 ◆◆◆




【夜ノ森零】
 その胸は平坦であった・・・。

【エヴァンジェ・ホロウ】
 ですわ。亜麻色の髪のお嬢様。その胸は豊満であった。

【ギャン・ランサー】
 ギャン・クリーガーに疑似GNドライヴを搭載し、武装をGNランスにしたガンプラ。あと赤い。

バトローグ

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