12月2日なので本日2度目の更新ですわ!!!! そしてクオン編なのにクオン(レイ)ちゃんほとんど出てきませんわ!!!!!!
―――これは、ありえたかもしれない小さな出会い。
―――物語の裏側の、小さな小さなお話なのです。
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その日、愛香……
随分と薄く、軽くなった財布を握り締めながらも、愛香は絵里の新機体製作のために必要な素材……ミキシングビルドをするためのガンプラ……を探していた。絵里がGBNで使用するガンプラは『ヘイズルⅡ』。彼女が手に入れた時点では、その特徴の一つともいえるコンポジット・シールド・ブースターは欠けていたというその機体。
聖地ぺリシアでの、シャフリヤールとの邂逅の後に絵里が口にした願い。愛香の、そして『リビルドガールズ』の『目になりたい』という、彼女のその想いに応える形でヘイズルⅡを新しい姿へと
しかし、そのために必要なパーツを愛香は未だ手に出来てはいなかった。ヘイズルⅡは小説及び漫画作品
それは、ヘイズルⅡを含むAOZのキット……俗に『TRシリーズ』とも呼ばれるそのガンプラたちは、元々はプレミアム財団Bからの販売、つまりは数量限定の通販でのみ入手できるものだったということ。今でこそGPD、ひいてはGBNの追い風を受けて、プレミアム財団Bの限定キットの数々をガンダムベースサテライト店……各種地方都市及び主要都市に設置された、ガンダムベースの分店……でも販売するようになったとはいえ、全体の流通数が少ないことには変わりなく。さらにはそれらが人気の高いキットだとくれば……不当に利益を貪ろうとするものも出てくるわけで。ただでさえ品薄だと言うのに、そういった輩のせいでさらに入手は困難となり、それに比例するようにネットショップや古物店の値は上がっていくという、まさに悪夢のようなスパイラルが出来上がっていた。
もちろん一学生でしかない愛香は使える金額にも限度がある。一応バイトこそしているものの、プレミアがついて値段がつり上がっているガンプラの購入を即決できるほど懐が豊かなわけでもない。ただでさえGBNを始めてから色々と入り用で、今日も絵里の新機体製作のためにあれこれと買ったために財布の中身はかなり心許なく。ふらりと立ち寄った古物店には『ハイゼンスレイⅡ・ラー』のキットこそあったものの、当然のようにプレミアムなお値段だったために購入は断念さぜるを得なかった。
「……ここになかったら、また別の所を探すしかない、よね……」
最後の、一縷の望みを賭けて愛香はガンダムベース・アキハバラサテライト分店のドアをくぐった。ガンダムシリーズのDVDやCDの置かれているコーナーや、ガンプラ製作に必要な道具類のコーナーを突っ切って、まっすぐにガンプラの置かれている場所へと向かう。ここ、アキハバラサテライト分店でも、ガンプラは各グレードや登場作品ごとに大まかに分けられているため、お目当てのAOZのガンプラが置かれている棚はそう時間を掛けずに見つけることができた。
「あ、あった……!」
AOZの関連キットが狩りつくされている中で、奇跡的ともいうべきか一つだけぽつんと残っているキットを愛香は見つけた。それは『ガンダムTR-6ウーンドウォート』の装備バリエーションである『キハールⅡ(グリーンダイバーズ・イメージカラー)』。ようやくのことで見つけたそれを手にすべく、逸る気持ちを抑えながら最後のピースへと手を伸ばす。だが―――
「あっ……」
直前で、キハールⅡは横合いから掻っ攫われた。あと少し、もうあと数十センチもないと言ったところで、無情にも目の前で奪われた最後の
「―――ねえ、君」
声を掛けられた。女子にしては、少し低めだなと感じる声。しかし、アキハバラサテライト分店の喧騒の中にあっても、しっかりと通る声だった。
「……え? あたし?」
振り返ると、鉄華団ジャケットを着た青みがかった銀髪の少女が、 愛香のことをじっと見ていた。その右手にはガンプラの箱がいくつも重なって入っている買い物カゴを、左手には愛香が欲していたキハールⅡの箱をそれぞれ持っている。
「君……このキットが、ほしいの?」
薄い唇からそんな言葉が漏れた。その言葉の意図するところがわからず、愛香は困惑した表情を浮かべる。
「……さっき、私がこれを手に取った時……残念そうな声を出していたから……。もしかしたら、欲しかったのかなって……思ったんだけど、違った?」
「え、えっと……。ううん、違わない、けど……」
少女は視線を愛香からわずかに逸らし、あちらこちらへと彷徨わせながらも言葉を選びながらそう続ける。愛香としてもようやく見つけたキハールⅡのキットである。欲しくないといえば、それはウソになる。しかし同時に、そんなことを聞いて何になるのか? という疑問もわいてくる。
もしかしてとは思うが、キハールⅡを手にできなかった自分に煽り文句の一つでも言ってくるつもりなのか。見た目の印象からはそんなことをするようにも思えないが、悲しいかな、人は見かけによらずという言葉を愛香はGBNの魔境で既に知っている。
「……うん、うん……。なら、このガンプラは、
「……えっ、えぇ? い、いやいやいや、それはちょっと……」
少女が差し出してきたキハールⅡを前に、愛香は両手を振って受け取れないという意思表示をする。キハールⅡを手にしたということは、少女もまたこのキットを欲していたということだろう。だというのに、どういうわけか見ず知らずの自分にそのキットを譲るなどと、はいそうですかと素直に受け取れるほど愛香は図々しくはなかった。
しかし少女は口角をわずかに上げると、愛香の手にキハールⅡを押し付けるようにして持たせた。
「いいんだ……。残っていたから、手に取っただけで……買う予定はなかったし……。欲しい人が、いるなら、その人の手にあったほうが……きっと、この子も、嬉しい」
そうたどたどしく言葉を口にして。少女は愛香の顔を下から覗き込んだ。どこか淀みを感じさせる濃い藍色の瞳の中に、愛香の顔が映り込む。
「う、うん。そこまで言うなら……ありがと……」
「うん、うん……。それじゃあ、私は行くよ」
愛香にキハールⅡのキットを譲って、少女は何処かへと去っていった。何か不思議な子だったなー、という感想を抱きつつも、愛香は思わぬ幸運でお目当てのものを手にした小さな喜びを胸にレジへと向かうのだった。
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【
謎の少女A。結局名乗ることはなかった。アキハバラサテライト分店でたまたま売れ残っていた『キハールⅡ』を手にするも、気まぐれで愛香に譲り渡した。
ちなみにカゴ一杯に入れたガンプラの会計の際に結構な金額になってしまい、涙目で諭吉さんとサヨナラした。
【
フォース『リビルドガールズ』のアタッカー担当。キメ台詞は『エリィちゃんのために●ね!!』。物騒カワイイ。
今回はエリィちゃんの新機体製作のためにミキシング素材やツールを買うために電気街へと赴き、アキハバラサテライト分店で奇跡的に残っていたキハールⅡを入手する。
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