マジでこの会社やめてやろうかな 作:ナイン
「被害総額どんだけになんだろーなー」
ちょっと楽しみになってきた。細かくまとめんのとか超楽しそう。詰みあがっていく書類の山、穴埋めしないといけない予算、終わらない仕事……。
おいおい、死んだわ俺。どうしようもないじゃん。多めに予算取ってはあるけど、全部消し飛ばした上で更に上乗せした被害総額叩き出してくるだろあのアホども。
もう既にアジトひとつ吹っ飛んでるし、これが初っ端とか冗談だろ。
マジでしんどい。病院行って入院してぇな。……仕事の山が一切片付いてないのが想像出来るうちの企業おかしいよなぁ。
テキサスにでも教え込んでおこうか。いや、でもなぁ……テキサスはあのまんまがいいんだよな……やっぱりエクシアのバカに手伝わせた方が早いんじゃねぇか? もしくはクロワッサン。金積めばやるだろ……その分はボスから出してもらえば解決する。
この前金で釣ってもやらなかったけど。
はー、どっかに新鮮な労働力とか落ちてねぇかな。
それにしても……。
「……ずっと扉の外に居られると気になって仕事にならねぇんだが。入ってきたらどうだ?」
「おや、これは失敬。お気付きでしたか」
スーツを着た男が扉から礼儀正しく入ってくる。……誰だこいつ。こんなやつと面識ねぇぞ。なによりこいつ、マスクしてるせいで顔が見えねぇ。
「あー、話しかけておいてすまねぇんだが、俺はお前のことを知らねぇ。だから、自己紹介といこう。俺は──」
「タナトスさんですね。お話はかねがね。私はイースと申します」
「あー……なんだ。そっちは俺のことを知ってんのかよ」
苦笑して返すとあちらも片手を上げてきた。……なるほど。敵方というわけではなさそうだな。
「しっかし、なんで俺のことを知ってんだ?」
「まぁ、私もペンギン急便の社員ではありますから」
「……俺、ボスからなんも聞いてねぇんだけど」
思ったよりうちの企業デカい組織なのか? でも他に社員居るなんて話をボスから聞いた記憶は……いやでも……。
「あの方ですから」
「うわぁ、そのひとことで説明がついちまうようなうちのボスやだなぁ……」
それで納得出来ちまうボスって上に立つ人間として致命的になんか足りてねぇんじゃねぇか? ちゃんと話しておいてくれよボス。
「すまねぇが、ひとつだけ質問をさせてくれ」
「私に答えられる範囲でしたらひとつと言わずご自由に」
「心広いなオイ。……その手のアーツユニットは?」
扉から入ってきたその瞬間から気になっていた。見覚えのある
「ああ、これですか。
「あー、やっぱりモスティマのかよ」
「おや、ご存知でしたか。私よりもこちらには居ないはずですが」
「ご存知もなにも……同族だ。ほれ」
「ああ……なるほど。そういうことですか」
自分の頭上にあるくすんだ輪を指さすと彼も納得してくれたようだ。それどころかこちらに対して興味深いと言わんばかりに視線を向けている。
あまり気分のいいもんでもないな。
「それにしても、本当にあいつが……モスティマが戻ってきたんだな……」
「おや、ボスから聞いていませんでしたか? 一人だけには話していると言っていたのでてっきり……」
「いや、聞いてた。ただ、本当に帰ってきてるのか怪しかったんでな」
あいつは雲みてぇなもんだからな。何処にでも居るくせしてこっちからは捕まえられねぇし、かといってどこにも縛られてないってわけでもない。……本当に、面倒なやつだ。
「お知り合いみたいですし、このアーツユニットはあなたが持っておいた方がいいでしょう。彼女には私から伝えておきますよ」
「は? お前が預かったんだろ預かっておいてくれよ」
人が預かったものをわざわざ俺が持つことなんてないだろ。又貸しされてるみたいで気分悪いんだが。
「いえいえ。なんとなくこの
「……初対面の相手にこういうことを言うのは失礼かもしれないが、杖をこの子とか呼ぶのは不審者にしか見えないから気をつけた方がいいと思うぞ」
「ふ……不審者……それは、不本意ですね……」
まぁ礼儀正しく振舞っている人間が不審者とか言われたらショックだろうが、そうとしか見えん。どう考えても道具に向かって話しかけてるとかやべーやつでしかねぇだろうが。
「あ、そうだ。ひとつ言っておきたいことがある」
「なんでしょう?」
「エクシアの銃の修理部品なんかを調達してくれてんのはイース、お前だろ。だから一応感謝をしておこうと思ってな。サンキューな」
こっちが注文したわけでもないのに依頼が終了した直後に部品が束で届くことが多かった。ずっと疑問だったが……他に職員が居たなら納得だった。ボスがそんなことに気を回せるような人だったら俺の仕事はこんなに多くない。
「仕事なので気にしないでください。私はまだ仕事があるので、これで失礼しますよ」
「ああ。安魂夜なのにご苦労さん」
「……なんで安魂夜なのに我々は仕事をしているのでしょう」
「そりゃ、絶賛バカどもが全力で仕事を増やしているからだろ。帳簿のこととか考えたくもねぇ」
アジトがひとつ消し飛ばされた時点で覚悟はしてるが、いったい何桁の被害総額になることやら皆目見当がつかねぇ。全部放り投げてバーで安魂夜を楽しみてぇ。飲む用のコレクションはあっちにあるんだよな。
しばらく話した後、軽く手を挙げて別れを告げると彼は満足気に頷いて事務所から出て行った。
……さて。
「こいつどうやってモスティマに渡せばいいんだ?」
イースの野郎、結局なにも言わずに預けていきやがった……。
特殊タグ導入してみたけど
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いいねぇ!
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普通の方がいいな! いいな!