マジでこの会社やめてやろうかな   作:ナイン

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いい性格してるよな

 テキサス。この名前を聞いて人が連想するものは主に二つ。

 

 ひとつは龍門の厄介者、ペンギン急便のトランスポーターであり、前に出て敵を切り裂くループスである女。

 

 そしてもう一つはかつて隆盛を極め、既に滅びたテキサス家だ。

 

 テキサス、その名前はあいつの出身地、クルビア──特に、シチリアマフィア共にとっては畏怖の対象だ。詳しいことをテキサスから聞いたわけじゃねぇ。だが、そんな俺でも知っている名前だった。

 

 

 クルビアという地域は、この世界にしては珍しく鉱石病に対する偏見や差別がない。それどころか、源石を武器に利用するようで、代表的なものでいうと、テキサスの持つ源石剣がそれだ。

 

 テキサス家は大きな一家だ。シチリアマフィアを震撼させ、世界を股にかけた商人の一家。表のアレコレから裏のヤクまで、一時期は大層な一家だったようだが……当主の暗殺をもって、何者かによって崩壊させられた。

 

 いや、正確には当主だけではない。()()()()()()()()()。こういった方が正しい。テキサスを遺した全員が殺され、家は焼かれ、会社は乗っ取られ……。テキサスが生き残ったのは運が良かったとしか言いようがない。本当ならとっくの昔に殺されてんだ。テキサスは。

 

 そして、遺された者がなにを考えるか……テキサスが考えたのは、復讐だった。

 

 詳しいことは本人から聞いたわけではないから知らないが、相当()()()()していたらしい。違法カルテルは皆殺し、復讐の相手に関する情報を持っている人間が居れば尋問した上で殺し……。相棒が()()()()()()()だったのもあるが、今のテキサスとはかけ離れている。

 

 そんなテキサスと出会ったのは、まだおれとモスティマしか居なかった頃……ボスに命令されてのことだった。

 

 

 

 

 

 

 

「おいタナトス、お前最近起きてる事件については知ってっか?」

「おいおいボス……龍門が問題抱えてないこととかねぇだろうが。どれの話してんのか明確にしてから話せよ。……ああ、すまん。クソペンギンには物事を整理するだけの頭もねぇんだったな、配慮が足りなくて申し訳ない」

「てめぇそこを動くんじゃねぇ……ドタマかち割ってやる!」

 

 のしかかってきたボスを適当にいなして対面に座り直させる。互いに本気じゃないから流すのも楽だったな、ただ、ボスが煽りにキレるのはともかく、軽い武力行使に出るとは珍しい。

 

「……ったく、どうせ分かってんだろうが教えてやる。ここ数日、ギャングが大勢死んでやがる。それもシラクーザのな」

「シラクーザってのは初耳だがだいたい知ってる通りだな」

 

 当時、龍門で起こっていた面倒事といえば、シラクーザマフィアの惨殺事件だった。もちろん、龍門で殺人はご法度だ。どんな犯罪より、麻薬密売より重い罪に課せられる。龍門近衛局はまだ今のスリートップが台頭してすぐの話だ。権力が移行する時ってのは、周囲が調子付く。先手を打っておけば交渉の主導権(イニシアチブ)を握れると思い込んでる。まったく、とんだ勘違いもいいとこだ。

 

「……で?」

「あ?」

「あ? じゃねぇわ。なにが言いたい」

「解決のために動け」

「正気か? 誰を対応させんだよ、うちの配達員はモスティマしか居ねぇんだぞ」

 

 相手がボスなのも構わず()めつける。殺人鬼、ってことはどうせロクな相手じゃない。遺体の検死をした結果、アーツの痕跡も認められたようだ。鉱石病のリスクがあるのにうちの大切な人員(モスティマ)を危険に晒す訳にはいかなかった。

 

「俺はいつでも正気だ。それに、こいつはウェイの坊主に頼まれたやつだ。お前もヤツには借りがあるだろ、悪いことじゃねぇ」

「いいや、悪いね。テメェの借り返しに人を使うなんて言語道断もいいとこだろうが。それに、ウェイの旦那よりモスティマに対する借りの方が大きいんでな……悪いが、この話は降りさせてもらうぞ」

 

 正直にいうと、龍門近衛局を敵に回すようなマネはしたくないんだが……それよりもトランスポーターを失うリスクの方に天秤が傾く。ウェイの旦那の頼みとはいえ、こればかりは聞き入れられない。

 

「その言い方だとモスティマじゃなけりゃいいんだな?」

「ああ、ボスが行ってくれるなら万事解決、みんな笑顔で万々歳ってとこだな」

「ふざけんな行くわけないだろ。俺の国宝級にイケてる顔が台無しになるだろうが」

「それどころか風穴を何度も開けられてるクセによく言うな。風通しは良くなったか? 頭の回転も良くなれば言うことはなかったんだが……ふんぞり返ってる方が似合うのは違いねぇな」

 

 しかし、妙に引っ掛かる言い方をする。うちに居るのはモスティマただ一人だ。ボスは論外。……というよりは一人で行かせるとなにするか分からないからパス。それ以外に動ける人員なんて居ないだろ。

 

「お前が居るじゃねぇか」

「ボス……いくらなんでも一般事務員に任せる仕事じゃねぇよ。鳥頭でもそのくらい分かんだろうが」

 

 なにを世迷い言を口走ってんだこのクソペンギン……。書類仕事しかしてない人間に殺人鬼と会って()()してこい、なんて言ったら話にもならねぇ。殺されるのが関の山だろうが。

 

「タナトス、言っただろ? ()()()()()()()()()()()()()だ。使えるものは出し惜しみしねぇ。お前が動いても問題ないんだよ」

「建前はそのくらいにして本音は?」

「俺の稼ぎがクソ野郎に台無しにされた! 死んだヤツの中には俺が酒を卸してたヤツも居たんだよこのファッキン迷惑野郎が!」

「ボス、アンタ本当にいい性格してるよな……」

 

 龍門の危機よりお前の端金(はしたがね)かよ。その辺りでほざいてみろ、瞬く間に風通しのいい身体が出来上がるぞ……どうせその程度じゃ死なねぇだろうけど。普通は死ぬんだよ、ほんとなんで生きてんだうちのボス。

 

「お気の毒とは言ってやるが、正直こっちにはなんの関係もない話だ。龍門の平和にも、近衛局が動けない事情にも興味はねぇよ。悪いが、その話は──」

「なら仕方がねぇ。モスティマに直接交渉のして……」

「は? 殺してやろうか?」

「殺意高いなオイ!」

 

 どうせモスティマは二つ返事で了承するだろうが! もう少し自分の体大切にしろって言ったって聞きやしねぇ! あいついい加減にしろ! 堕天使に堕ちたところで身体の丈夫さは変わんねぇんだよ! 

 

「ウェイの旦那には」

「ただいま。……ん? なにか面白い話してた?」

 

 心の中で毒づいた。本当に間の悪いヤツだ。

 

「ああ、タナトスが現場に──」

「いいや、なにも話してねぇよ。エンペラー、その話、受けてやるよ。余分なことをされちゃたまったもんじゃねぇしな」

 

 モスティマには教えるな、そう遠回しに釘を刺して依頼を承認する手続きの準備を始める──とは言っても、表立った依頼ではない以上、それ専用の帳簿を作っておかないといけないのが面倒で仕方がないが。

 

「へぇ……タナトス、現場に出るの? 当然、私も同行していいんだよね?」

「俺に対する依頼だからな。たとえお前でもダメだ」

「私が居なくてもちゃんと出来る?」

 

 その言い方だとまるで、俺が手間のかかる弟みたいじゃねぇか。お前より年上だぞ。

 

「俺をエクシアと同列にするんじゃねぇ。自分のことは自分で出来る。お前の力を借りなくてもな」

「……む。その言い方をされるのは気持ちよくないな」

「悪かった……」

「ギャハハハ! モスティマ相手だとよっわいなお前!」

 

 机を大きな音が出るほどの勢いで叩きながら笑い転げる。うっせぇな。モスティマがキレることはないが、話を聞いてくれなくなると困んだよ。こういう時、エクシアくらいぞんざいに扱っても許されんなら楽なんだがな。




 間が空いたねごめんね!!

 興味本位で話題になってたカップ焼きそばのアップルパイ食べてみたけどあれ一回でいいね。匂いだけで虫歯になりそうだった。食えたけど。



 

特殊タグ導入してみたけど

  • いいねぇ!
  • 普通の方がいいな! いいな!
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