マジでこの会社やめてやろうかな   作:ナイン

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金の使い道くらい考えてほしいんですけど

「タナトスはんタナトスはん! おはよーさん!」

「おはようクロワッサン。おめぇが朝イチで来るなんて珍しいな」

「タナトスはんが真面目すぎるだけやって! ほら、エクシアはんも一緒やろ?」

「そら、お前ら二人はうちの問題児筆頭だしなぁ……」

 

 他の二人は大人しくしてるからなぁ。いや、あの二人も朝イチで来るかと聞かれれば微妙なところではあるんだが。

 

「うぅ……納得いかへん……」

「いや今の要素で納得出来ない要素あったか? 順当なとこでは?」

「……そうや! それよりも……タナトスさんに相談が……」

「金なら貸さねぇぞ」

「そんなんちゃうちゃう。……というか、なんで真っ先に金の貸し借りの話が出てくるん……?」

 

 いやだってお前、その手の話題を一回たりとも口に出したことはないけど言ってきそうじゃん……?

 

 そういう問題を起こさないからボスに気に入られてるんだろうけど。

 

「うちなぁ、新しい装備が欲しいねん。そのためにええもん集めて商売してるの、タナトスはんも知ってはるやろ?」

「うんまぁ……そうな……」

 

 嫌な流れだなこれ。帰りてぇな。……帰れねぇわ業務時間中だわ。うわぁ……ニンマリいい笑顔を浮かべてらっしゃる……。面倒なやつだろこれ。

 

「それだけじゃちょっと足りんくてなぁ……タナトスはん、なんかええ仕事あらへん?」

「ああ、そういうことな。安心したわ面倒なことじゃなくて」

「えっ、ウチって面倒なやつだと思われてるん……?」

 

 気のせい気のせい。それにしても仕事かぁ……荷物配達がこいつの主な仕事だからなぁ……。

 

 クロワッサンの種族、フォルテは力が強いことで有名だ。その中でも彼女はフォルテの中で屈指の力持ちだ。片手は数十キロのハンマー、もう片方はそれ以上の盾を持ちながら軽々と戦場で戦う。

 

 そういった特筆才能の持ち主だからこそ、運輸業の手伝いをさせたいんだが……この都市の人間は他所の事業が自分たちの巣を跋扈(ばっこ)するのを良しとしない。特にうち(ペンギン急便)はもうどこから恨みを買ったのか分からない。おそらく恨みを買っていない相手を数えた方が早い。

 

 負けることはまずないだろうが……油を注いで損害を被りたくない。

 

 なにより、今龍門は膠着状態だ。不気味なほどに荒事や情報伝達の仕事がない。嵐の前の静けさというやつだろうか、帳簿のことを考えると身震いする。

 

 そう考えると……。

 

「お前に渡せる仕事って現状ねぇんだよなぁ……」

「そんな! ウチの明日のご飯どうしたらええねん!」

「いやそこまで浪費するお前が悪くねぇか……?」

 

 絶対俺悪くねぇだろ。いやまずそこまで来たら誰かにたかれよ。良いことではねぇけども。

 

 んー、勝手に野垂れ死にされんのも後で面倒が増えるな……かといってなにもせずに与えるだけってのも今後の関係に影響が出るだろう。

 

「あ、そうだ。クロワッサン。俺の仕事手伝う気は……」

「書類仕事以外ならええで!」

「殺すぞお前」

「なんでや!」

 

 なんでおめぇら誰一人として積極的にこういう面倒な業務やってくれねぇんだよ! おかげで俺は胃薬必須だっての!

 

 もうちょっと真面目に働くとか出来ねぇんですかねぇ……いや、普段の現場での仕事は至極真っ当なものだし評判もいいのは間違いないから強くは言えねぇんだが……あーあ。これで書類仕事もやってくれたらなんも文句ねぇんだけどな……。

 

 つかボスが悪いよボスが。ペンギン急便が一回仕事する度にどんだけの書類が待ってると思うんだよ。同業者から邪魔されたりそもそも依頼がヤバかったりするせいで俺が何度龍門近衛局に足を運んだと思ってんだ。あそこ空気重くて嫌いなんだよ……特にあのクソ真面目な隊長。出来れば会いたくないのに行く時毎回居やがる。

 

 あの女を相手にするくらいだったらまだ長官を相手にした方が心穏やかだっつうの。

 

 今度ストライキ起こしてやろうかな……普通に解雇されるだけな気がしてきたな。

 

「はー、めんどくさ。勝手に野垂れ死ねばいいんじゃね?」

「そんなこと言わずに!」

「他に仕事とか……ん……?」

 

 ねぇよ、とか言おうと思ったけどそういやロドスから依頼が入ってたような……?

 

「……ロドスから依頼入ってるな。二日後だけど」

「ホンマか!? でも二日後かぁ……うぅ……二日も美味しいもん食べれへんのは堪えるなぁ……」

「やっぱお前、俺の仕事手伝った方が……」

「あ、それは無理や」

「お前、仕事の選り好み激しすぎねぇか……」

 

 それでも仕事は入るからお前のそこはすごいと思うわ。だからそこに俺に対する思いやりも前向きに考えてもらえないですかね。……いや無理だわ。出来たら俺は胃を痛めてない。

 

 なるほど。これがブラック企業ってやつか。

 

 ……ペンギン急便ってそもそも黒い仕事にも手を出すヤバい企業だし今更だったなこれ。

 

 結局、ロドスからの報酬を先払いにしてもらうことで解決したが、先方には迷惑がかかっただろうな。ごめんなロドス。ひいてはロドスの経理担当。お前の苦しみは俺も少しは分かるからな……頑張ろうな……。

 

 後日、うさ耳の子が訪ねてきてもう少し早めに言っておいてほしいと言われたことはまた別の話。




 自分でも驚くくらいに更新ペースがいい……アークナイツヤバい。

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