トルメキアの第五皇女   作:デュアン

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気分転換で書いてたらなんか筆がのったので初投稿です


本編(原作開始)
ペジテ攻略作戦


ーーー埃と煤に塗れた薄暗い空。暗然たるそれの下では、活気に欠けた人々が日々の暮らしを送っている。

 ここは王都トラス。旧世界の巨大都市に寄生する様に造られた、トルメキア王国の王都である。

 

 その一角に存在するこれまた巨大な塔。その屋上に建築された古めかしい宮殿がある。ヴ王の住まう空中宮殿である。

 その一室の窓際に座る肥満体型の男の前に、1人の少女が跪いていた。

 

 

「して、何用だ」

「ペジテについてで御座います」

 

 

 彼女は王族が着るにはやや質素な服を身にまとった、美しい金髪の少女である。

 その右眼は眼帯で覆われており、本来ある筈の母親譲りの藍眼を隠していた。

 

 

「住民は全て殺すという指令、あれを撤回して頂きたいのです」

 

 彼女が言っているのは、つい昨日に第三軍に下された指令にある。

 

 先日、ペジテにて巨神兵が発見された。それも腐海によく見られる様な化石ではなく、セラミックの殻のみの物だ。

 しかも、その殻は成長し始めたのである。巨神兵の胎盤らしき黒い石の溝に謎の石を入れると、次の日には殻に肉と心臓が付いていたのだ。

 その石ーーー秘石を外すと成長は止まったが、未だに巨神兵の心臓は動いているのだという。

 

 ここまでが、発見した職人達の中にいた密告者によってもたらされた情報だ。

 これを受け、王はすぐにその巨神兵、及び成長に必要不可欠であろう秘石を奪取する事を決め、それをクシャナ率いる第三軍に命じたのだ。ここまではまだ良い。

 

 

ーーー『秘石の事を知っている可能性のある者は、全て排除せよ』、指令の中の一文である。これは、事実上の虐殺命令であった。

 「ペジテの誰が秘石の事を知っているか分からないから、その時街にいた住民は全て殺せ」、こう言っているのだ。

 

 情報がもたらされてから、すぐに秘石は極秘扱いになった。決して土鬼等には知られてはいけないのだ。密告者はその場で殺された。

 

 ここにいる少女ーーーナサニアは、それが許せなかった。

 

 

「ペジテの職人は世界トップクラスの実力を誇ります。それが失われるとなれば世界の損失。どうか、ご再考を」

「フン、いつもは余の言う事にはただ首を縦に振るだけの貴様が、珍しいではないか。クシャナと違って、多少は利口になったと思っていたのだがな」

「陛下!」

「くどいぞ、下がれ。命令は覆らん」

 

 しかし、懇願は一蹴される。彼女は、暗い顔のまま部屋を出ていった。

 

 

「フン……狐め」

 

 

 彼女が出ていった扉を見ながら、彼は小さくそう呟いたのだった。

 

ーーーーーーーーー

 

「殿下、まもなくです」

「……」

 

 トルメキア西部に位置する腐海、その上空を六隻の船が白い雲をひきながら飛んでいる。

 その中の一際小さな四枚羽根の船に座る女に、装甲兵がそう告げた。

 告げられた女ーーークシャナは、無言で窓の外を見つめていた。

 

 この船団はペジテ攻略の為に編成された第三軍所属の小支隊である。その兵力は、船の乗組員などを除けば300人。少ない様に思えるが、ペジテには大した戦力は無く、これでも十分過ぎる程だ。

 唯一の懸念はガンシップだが、こちらは先制攻撃で最初に破壊する手筈となっている。

 

 作戦は上手くいく筈だ、それなのに彼女の中では妙な胸騒ぎが止まらなかった。

 

 

「見えました。ペジテです」

「……よし、作戦通り各艦は着陸し兵を展開、本艦はガンシップを破壊する」

「了解」

 

 眼下の地上には、砂漠の中に煙を吐き出す街が見える。世界有数の工業都市ペジテである。

 五隻の大型汎用輸送艦バカガラスが高度を下げていく中、彼女の乗る装甲コルベットのみはペジテのガンシップを破壊すべく、飛行場目指して加速する。

 

 ここまでは順調だった。そして、これからも、その筈だった。

 

 

「殿下、商船が離陸しようとしていますが」

「破壊しろ。街からは誰も出すなとの命令だ」

「了解しました」

 

 見ると、飛行場にいた二隻のブリッグ(貨物船)のうち、塗装されていない灰色の船が滑走路を駆けていた。

 街からは誰も出してはいけない。何処の紋章も付いていないのを見るに、恐らくは偶然立ち寄っていただけの船なのだろうが、それも例外ではない。

 

 コルベットはそれを撃沈すぺく降下したーーーだが、

 

「なっ、速い!?」

「何?」

 

 その船はブリッグとは思えない程の速度を出し、あっという間に離陸してしまう。

 離陸中に攻撃しようとしていたパイロットは虚をつかれる形となったが、そこは精鋭第三軍。すぐに機体を持ち直して機首を船へと向ける。そして、

 

「発射!」

 

 機首下部に装備された四連装ロケットランチャーから四発のロケット弾が発射される。

 それは飛び立った直後のブリッグへと一直線へと向かいーーー

 

 

「ーーーなっ!!?」

 

 

ーーーブリッグは巧みな操艦でそれを躱すと、商船にあるまじき加速力で加速し、雲の中へと入っていった。

 

「そ、そんな馬鹿な」

「ペジテの紋章を付けたブリッグとガンシップが離陸しました!!」

「な、な、」

 

 有り得ない事態に狼狽えるパイロット。そんな中、残っていたブリッグとガンシップが飛び立ち、腐海方向へと逃げていく。こちらのブリッグは至って普通の速度であった。

 

「(あちらは、追えないか……)」

 

 クシャナは、無紋章のブリッグはもう追跡が不可能だと判断した。

 地上の街では、トルメキアの装甲兵が一方的に蹂躙している。

 

「……チッ、ガンシップは無視する。今飛び立ったブリッグを追跡する。兎に角一旦着陸せよ」

「は……りょ、了解!」

 

 

 その後、今回雇っていた蟲使いの蟲に黒い石に付着していた秘石の匂いを覚えさせ、腐海方向へと飛び立ったブリッグを追跡する。

 その先で墜落したそれを見つけ、埋葬されていた少女に秘石の強い匂いを嗅ぎつけるものの、それは既に何者かによって持ち去られていた後だった。

 そこで付近の集落ーーー風の谷へと向かう事にする。

 

 

「(秘石はこちらの船が持っていた……)」

 

 目的の物は追跡していた船が持っていた。その事に少し安心する彼女。しかし、

 

「(あの船は、一体……)」

 

 コルベットの攻撃を避け、ブリッグにあるまじき速度で逃げ去った所属不明の船。その謎は深まるばかりであった。

 

 

 その後、到着した風の谷にて秘石を持っていると推測される風の谷の姫、ナウシカと出会うも、発生した一騎打ちによって兵士が1人倒された為に撤退を余儀なくされる。

 彼女は、コルベットを見送る風の谷のガンシップを見ながら、1人思考を巡らせるのであった……。




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