遠山キンジの追う女   作:/\三瀧/\

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そんなまさかね……

 賑やかだった私の部屋は、現在二極化している。

 

 私のソファーにはりょう。

 

 キンジのソファーには白雪。

 

 お互いが牽制し合っている。いや、お互いがと言ったら少し語弊がある。白雪が私を、りょうがキンジを睨んでいる。

 

 なかなか厳しい局面だ。そんな仲良くない人に睨まれ続けたら単純に疲れるし。

 

 キンジもキンジでどうすればいいのか分からずにいる。

 

 これは困ったな……。中立の理子ならどうにかできそうなんだけど、私の部屋の探索に夢中だし。

 

 こんなに居心地の悪い自室はそう無いんじゃないか?

 

 キンジの奴対策可能とか一ミリも出来てないじゃん。最悪だよ。全く……。

 

 

 十分の沈黙の後、ついにその時が来た。

 

「喉乾いた!お茶頂き!」

 

 探索しても何も出ないから戻ってきたらしい。

 

 勢い良くお茶を入れたコップに手を伸ばし、掴む。だが、掴み方が悪かった。

 

「うぉぉぉ!ごめん!キーくん!」

 

 ツルっと手を滑り、キンジにお茶がぶっかかる。

 

「おい!ふざけんな!」

 

 白雪が近いせいで避けられず、モロにかかる。

 

「ごめぇん!今きりりんが拭くもの持ってくるから!」

 

「私?理子散々探検してんだから分かるでしょ?」

 

「そんな普通なもの探してないぜ!さぁ、頼んだ!」

 

 これだから!居座ってる割に何もしてくれないな。りょうは腹抱えて笑ってる。白雪は拭けるものを持ってなくて、ワタワタしてる。

 

 しょうがないから、洗面台の方に雑巾とタオルを取りに行く。正直ありがたいけど、面倒だ。

 

 あの空間から抜け出せただけでも嬉しいのはそうだけど。実は理子は気が利く?

 

 洗面台の下の引き出しにタオルが入ってる。はずなのに見当たら無い。十枚ほどのストックが一枚残らず消えている。雑巾はあるけど。

 

 おかしいな……。もしかして、探索組の嫌がらせ?白雪か、理子か。りょうは無いと信じたい。

 

 一応周りの場所も探してみるけど、見当たらない。どーゆーことよ。

 

 

 事情聴取のために部屋に戻ると、キンジと理子が消えてた。

 

「何でよ……。」

 

 白雪がついてかなかったのが意外だな。

 

「聞いてよきーちゃん。あいつら遅いからタオル買ってくるってさ。人を顎で使っといて酷いね。」

 

 コンビニが近所にあったっけ。

 

「それは良いとして……。うちのタオルが神隠しにあったんだけど、知らない?」

 

 白雪の方を見ながら聞く。りょうと白雪だったら白雪の方が絶対にある。

 

「わ、私は知らないよ。そんなに下らないことしないよ。」

 

 えっ?私?って顔をしている。割と素でだ。

 

「じゃあ、りょう?」

 

「そんな訳無いじゃん。きーちゃんを私が困らせると思う?」

 

 結構困ってるけど。言ったらややこしくなりそうだから黙っておく。

 

「えぇ……。じゃあ、理子?……それはそうと、何で二人で行ったのさ。」

 

 絶対白雪がついてくと思ってたのに。いつも見てる限り白雪は甲斐甲斐しく世話をやいてるから。

 

「理子ちゃんが一番お金持ってるから行くって。私、今日財布忘れちゃったの。きんちゃんあまり大人数で行きたくないんだって。」

 

 惜しいことをした、て顔をしてる。確かにそれなら納得だ。キンジの女嫌いは

 

「はぁ……。まぁ、良いや。」

 

 どうせ暇だし理子の後処理にかかる。ここ数日常に理子がいるから掃除が大変で仕方ない。全く。帰ったら小言でも言ってやろうかな。

 

 

 コンビニで理子と買い物をしている。

 

「くふふ。キーくんとコンビニデートだぁ!」

 

「そうか。良かったな。」

 

 ハイテンションな理子をいなしながら、タオルやらワイシャツを買い漁る。

 

「キーくん冷たい!今回会計するのはりこりんなんだぞ!タカる以上なんかしらの恩返し求む!」

 

 駄々っ子理子がごねる。

 

「後で払うから良いだろ?恩返しって何だよ。」

 

「うーん。きりりんとの馴れ初めとか教えてよ!」

 

 馴れ初めって。確か武偵殺しの模倣犯の時だったよな。

 

「たまたま探偵科で会って、任務を手伝ってもらったんだよ。」

 

 そんなこと言えないから嘘をつく。

 

「えぇー?ほんとー?キーくん知らない女の子と関わるもの?」

 

 こいつ。確かにそうだけど。りょうと言い何で皆知りたがるのか。

 

「どうでもいいだろ?それより早く会計済ませるぞ。」

 

「分かったよ。……あれれぇ?おかしいなぁ。」

 

 小さな名探偵みたいな事を言って体中をまさぐってる。胸元やらスカートの中ゴソゴソしてるから、思わず目をそらす。

 

「ど、どうしたんだよ。」

 

「財布忘れた!帰る!」

 

「あ、おい!帰って来いよ!」

 

 あいつ恩着せがましいく言っといて財布忘れてやがったのか。危ない危ない。武偵三倍刑で即務所送りになるとこだった。

 

 

 雑誌を立ち読みしながら理子を待つ。

 

 しばらくすると、チビのツインテールがコンビニに駆け込んでくる。

 

 しかし、金色では無い。ピンクだ。入店するなりいきなり天井に白銀のガバメントをぶち込む。

 

「注目!ここには爆弾が仕掛けられてるわ!さっさと騒がず出て来なさい!」

 

 確かあいつは神崎・H・アリアだったか。桐未と初めて会った時に助けられた奴だ。って!

 

「どういうことだよ!説明しろ!」

 

 店内の客はパニックを起こしている。とてもじゃないが綺麗なやり方では無い。

 

「二度言わせるない!さっさと出ないさい!じゃないと死ぬわよ!」

 

 その言葉で恐怖をさらに煽られた客達は我先にとコンビニを出ていく。

 

 店内に残されたのは俺と神崎だけ。

 

「あんたも逃げないの?」

 

「俺は……。一応手伝ってやる。お前一人でやりたか無いだろ?」

 

 理子が来ればさらにありがたい。ここのコンビニはよく使うから爆破されたらたまらない。

 

「しょうが無いわね。あんた弱そうだけと、探すのくらいは出来そうね。」

 

 見下した態度のアリアは、早速爆弾を探し始める。

 

「しっかし、今回のターゲットは誰なの……?」

 

 小声でアリアが呟く。今回?ターゲット?何を言ってるんだ。こいつは。

 

 

 これは好機だ。桐未とキンジを引き剥がすには持ってこい。正直何かしらをジャックしたかったけど、そんなことをする余裕が無いくらいにキンジと桐未が仲良くなっていた。

 

 完全に計算外だ。アリアとキンジの二人をくっつけないと、私は理子になれない。四世のままだ。

 

 だから、お茶でHSSを抑制する成分を洗い落とし、桐未と引き離した。そして、分かりやすく電波を出してアリアを呼び寄せた。

 

 後は、キンジのHSSを発動させて、私が変装して分かりやすく負けるだけ。

 

 そうすればアリアはキンジを離さないはず。全ては計画通りに行くはずだ。

 

 桐未の存在は予想外もいい所だ。邪魔で仕方ない。しかし、ここで殺したとしてもキンジの武偵へのヘイトは上がる一方だ。

 

 なら、桐未を生かしながらアリアとくっつけるしか無い。

 

 

 「あの人」の推理にも出てこなかった桐未。一体何者なのか……。このままじゃイ·ウーに胸を張って帰れない。

 

 自分のためにも組織のためにもここで失敗する訳にはいかない。

 

 お母様、見ててね。きっと私がリュパン家を取り戻して見せるから。

 

 それまで、もう少し待ってて。お母様からもらった名前で生きていくために。四世を抜け出すために……。

 




 ストックが尽きてしまった……。投稿ペースは週一を目指して書いていきます。
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