遠山キンジの追う女   作:/\三瀧/\

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 お久しぶりです。

 数ヶ月ぶりの更新にお気付き頂きありがとうございます。

 ここ数ヶ月部活の大会やら色々ありまして、非常に多忙で執筆疎かにしていました。

 オフシーズン到来したので、ここから投稿ペースは上げていきますので、どうかご容赦お下さい。


憂鬱な週明け

 ジリリリ!

 

 部屋中に響き渡る目覚まし時計の鳴き声で目が覚める。

 

 本日週明け月曜日。憂鬱なことこの上なし。

 

 ……いや、そーじゃなくて。

 

「荒れてるね、この部屋。」

 

 二段ベッドが二つあるこの部屋は足の踏み場がただでさえ無いのに、何やらあまり見覚えのないオシャレな服が散らかっているせいで、布地踏むこと不可避だ。

 

「ふーむ。昨日の事がさっぱり思い出せない。なんなら一昨日もだね。」

 

 記憶はキンジとどこに食事に行こうか話したところで終わっている。

 

 まさか、お持ち帰りされたりしたのだろうか。

 

「……いやいやまさか、あいつに限ってそれは無いか。」

 

 なに、別に大したことは無いだろう。

 

 しょうがない。ゆっくり思い出そう……。

 

 

 

 

 

 まず、土曜日。

 

 結局サイゼリアで安く済ませた後、本屋で、

 

「これ面白そうだね。」

 

とか、

 

「これ絶対駄作じゃん。」

 

とか楽しく過ごした。

 

 うん。ここまでは普通だ。特に何も無かった。強いて言うならキンジがよそよそしかった程度。

 

 帰りだって上機嫌な私が若干キンジを圧倒してたくらい。

 

 ……その時点では楽しい一日だった。そんだけ。

 

 帰っても上機嫌で、珍しくちゃんとした料理をしたり買った本を読んだりしていた。

 

 充実とはこの事を言うのだと思っていた。

 

 問題はその翌日である。

 

 さて問題です。

 

「この服にあってる?」

 

 だとか、

 

「もっと褒めて!」

 

とか彼氏でも無い男子に聞いたらどうなるか。

 

 まぁ、理子ならやるんだろうけど、私みたいな陰キャには到底不可能である。

 

 その不可能をハイテンションで押し通した私は、赤っ恥を通り越して生涯最大の汚点とかした。

 

 もう、思い出すだけでも赤面状態。顔に火ついてんじゃないの?みたいな勢い。

 

 最早キンジと顔合わせなど不可能だ。いっその事飛び降りてしまおうか。とすら思った。

 

 しかし、そんなことで死ねる程向こう見ずな性格ではないから、思いとどまる。

 

 何かをしなきゃ落ち着かないから料理洗濯掃除その他諸々家事に勤しんだ。しかし、効果無し。

 

 その時たまたまあった……というか置きっぱなしだったオシャレな服を着てみた訳だ。

 

 もちろん楽しかった。ただ、誰かに褒めて欲しくなって、昨日を思い出して、服は結局脱ぎ捨てた。

 

 後はふて寝して今に至った。

 

 

 

 

 

「……記憶は相変わらず完璧だね。はぁ、今回ばかりは憎いよ、この記憶力。」

 

 思い出して得か損かと聞かれれば大損だったが、状況の把握は武偵の最重要事項だ。

 

「選択肢は二つ。キンジから逃げて登校するか、学校をフケるかだね。」

 

 もちろん楽しく一緒に登校は既に不可能に近い。

 

「恨むべきは理子だね。そろそろ写真奪還戦にでも乗り出すしかないのかね。」

 

 ブツブツ独り言を呟きながら学校の支度をする。

 

 武偵校の教師は私がズル休みしたと分かれば体罰の域を超えた暴力をふるうこと間違いなしだ。はなっからフケるなんて選択肢は成立してなかったりする。

 

 昨日作りすぎたハヤシライスをとポテサラを胃に収め、洗面所で洗顔歯磨きを済ませる。

 

 時計を見れば既に出なければならない時間だ。

 

 多分キンジは今日も下で待っている。しかしながら、私は非常に会いたくない。

 

 秘密がバレたあとの親くらい会いたくない。

 

 だが、背に腹はかえられぬ。

 

「拳銃よし。ナイフよし。」

 

 記憶という回避攻撃共に超有利を取れる最終兵器があるのだ。

 

 ちゃんと武装すれば追い払えるだろう。

 

「では、任務遂行しますか。」

 

 気分はさながら凶悪犯罪者の根城へ強襲のよう。

 

 まぁ、強襲科ではないからやった事ないけど。

 

 

 

 最近存在意義に疑問を抱いている鍵を閉め、そーっと階段を降りる。

 

 拳銃のホルスターに手をかけて辺りの様子を伺いながら寮を出たのだが、

 

「あれ?来てない?」

 

誰もいない。拍子抜けもいいとこだ。

 

 ガラケーにはメールは特に来てなかったが、どうせ後でドバっと来るんだろう。

 

 五年後くらいにはメールのラグも無くなるのかね。

 

 まぁ、とりあえず一安心だ。

 

 臨戦態勢を解いて普通に登校しようと歩みを進めようとした、正にその時。

 

「きーちゃーん?何か言うことは無いかな?」

 

 殺気に近いどんよりしたムードが背中へ襲いかかる。

 

 それが誰なのか、言うまでもない。

 

「りー。悪かったよ。でも、勝手に連れてく訳にはいかないでしょ?」

 

 黙って休日に出かけた事にへそを曲げてるらしい。

 

「でもさ、でもさ、きーちゃん私とはあんま出かけたたがらないよね?」

 

 確かにインドア派の私は普段外に出ないし、パーソナルで何も無い家には人は呼ばない。

 

 だから、自然と一人で過ごすし、りょうと遊ぶ事も少ないのだ。

 

「それはほら、学校で一緒に居るだけでも楽しくて満足しちゃってるから。」

 

 もちろん嘘ではない。一緒に居れば楽しいし、大事な友達だと思ってる。

 

 しかしながら、多少疲れるのだ。

 

 根っからの陰キャたる私は、陽キャのりょうのテンションについていけないことがある。

 

 それに、趣味だって全く違う。

 

 だから、一人で過ごす事が多いのだ。

 

「じゃあ、アイツとは一緒に居てもつまらないの?だとしたら一緒に出かけることなんてないでしょ。」

 

「それは、ほら、あれだよ……。」

 

 まずい。毎回思うのだが、キンジが関わるとりょうがなかなか引き下がらず、厄介になるのだ。

 

 嘘を吐く、あるいは誤魔化そうとすると、大抵押し負ける。

 

「じゃあさ、もっと楽しくいこーよ!」

 

「楽しく?」

 

 なかなか難解な提案に思わず聞き返してしまう。

 

「そ。来週出かけよ!一緒に!満足の向こう側へ!」

 

 そう来たか。確かに行きたくないというニュアンスには聞こえないだろう。

 

 りょうは察しが良いから分かってるかもしれないが、言われてない以上誘っても私は嫌な顔出来ないはずだ。

 

 まぁ、何より嫌ではないのだ。

 

 毎日と言われたら流石にちょっと遠慮させてもらうが、たまにならばっちこいだ。

 

「分かったよ。りょうも予定空けときなよ。」

 

「うぉっしゃー!じゃあ、昼間買い物行って夕飯はきーちゃんの部屋で食べよう!」

 

 相変わらず過剰なレベルで喜ぶな。

 

 私なんかと遊んで楽しいのだろうか。

 

 ……もちろん嬉しいけどね。

 

「しょうがないね。夕飯はハンバーグで良い?」

 

「もちろん!私も手伝うよ!」

 

 

 

 ちなみにりょうと歩きながらガラケーを開くと、

 

「体調大丈夫か?お大事にな。」

 

 と来ていた。

 

 もちろん私は快調だし、そんな情報が流れる原因はそう多くは無いだろう。

 

 そう、例えば私とキンジが一緒に行くことを阻みたい人物とかだ。

 

 今横で笑顔で話しているりょうが追い払ったのだろう。

 

 私が体調不良だから遅刻するかも、とか。

 

「ねぇ、りー。キンジ朝来てた?」

 

「ううん。来てないよ。なんで?」

 

 本当に心当たりがなさそうな表情でとぼけて見せる。

 

 こうなると、崩すのは難しそうだ。

 

 そのくらいのワガママはまぁ、許してあげようか。最近冷たくしちゃってたし。

 

 

 

 その時、桐未は気付いていなかった。後ろの影でほくそ笑む理子の姿に。

 

 キンジにデマを流した張本人の、姿に。

 

 

 




 読書の恩恵か、ずっと書きたいものを考えていたおかげか、文章が読みやすくなった気が勝手にしてます。

 エタらない宣言しておいて半ば逃走していたこと本当に申し訳ないと思います。
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