遠山キンジの追う女   作:/\三瀧/\

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 エタらないように気をつけます!リアルの忙しさに拍車がかかってやがる!


うちの娘はやらん!!

 何の変哲もない授業の後。昼休みだ。

 

「きーちゃん。私決めたよ。」

 

 いつになく真剣なりょうの態度に、少し緊張感が走る。

 

「な、なに?そんなに大事なこと?」

 

「そう。決めた。私ね……。」

 

 少し間を置いてたりょうが放ったのは……。

 

「やっぱりアイツも交えてご飯食べるよ。」

 

 さして大事な事でもなかった。さっきまでの緊張感は何だったのか。

 

「そう。良かったよ。」

 

 そのくらいの感想しか出てこない。いや、確かに今までの態度を見たら、意外だけど。それ以上でもそれ以下でもない。

 

「反応薄いね!まぁ、良いさ!早くアイツを呼んでよ!」

 

 何故唐突に歓迎ムードになってるのか。なら、名前で呼んてあげなよ。

 

 謎だらけだが、最早分からないことが日常みたいなものだ。気にしない。というか、気にしてられない。

 

 隣のクラスまで、キンジを呼びに行った。もし昨日と同じところに行かれたら面倒だし。

 

 

「とりあえず挨拶からだ。私はきーちゃんの親友のりょうだ。君が遠山キンジ君かね?」

 

「あ、あぁ、そうだ。」

 

 私達の教室でキンジを交えて食事が始まる。開口一番、りょうは、「お前に娘がやれるか!!」とでも続きそうなオヤジスタイルの台詞を、椅子にあぐらかいて言い放った。

 

「なんで、うちのきーちゃんに拘るんだ?うちの子が必要な理由はなんだ?」

 

「いや、それはだな……。」

 

 キンジが言い淀む。流石にHSSのことは言えないだろうからな。だが、それが気に食わなかったらしい。その瞬間、りょうが、バンっ!と机を叩き、

 

「誰でも良いんだろう!!そんな奴にきーちゃんはやれん!」

 

ホントに頑固オヤジみたいなことを言い始めた。しかし、机を殴った衝撃で、りょうのコンビニ弁当がベチャッと音を立てて地に落ちる。

 

「あぁー!私の昼が!!」

 

「ふざけるからだよ。ほら、今なら平気な部分もあるから。」

 

 さっきまでの演技はどこへやら。いつものりょうに戻って、大慌てで弁当に飛びつく。

 

 完全に一人芝居だな、もう。慣れないことするから直ぐボロが出るし。ほら、キンジもポカーンとしてるよ。

 

 

 急いで昼飯をレスキューして、再びりょうは席に着く。流石の武偵でも、弁当を救う依頼はなかなか無いものだ。かなり時間がかかったな。そのせいで、さっきまでの勢いはない。完全に茶番だ。

 

「……それで、きーちゃんに何で近づいたの?」

 

 綺麗な所を拾い集めたぐちゃぐちゃ弁当をリスみたいに頬張りながら、今度は普通に尋ねる。

 

「それはだな、前も言ったろ?優秀な探偵科の味方が欲しかったんだよ。」

 

「それなら理子ちゃんで良くない?」

 

 りょうの指摘は的確だ。もしかしたら、武偵らしく自分で探したのかもしれない。

 

「うっ……。アイツは報酬が厄介だから、出来れば関わりたくないんだよ。」

 

「ふぅむ……。確かに情報通りだけど。」

 

 やばい。これはキンジが負けかねない。いつになく冷静かつ知的なりょうは案外手強いぞ。

 

「しっかし、きーちゃんである必要が無いよね……。」

 

 考える人みたいなポーズで考え始める。だが、今の台詞は、少し引っかかるな。

 

「ねぇ、一ついいかな、りー。」

 

「ん?なーに?」

 

「別にさ、人と関わるのに理由なんて無いでしょ。」

 

 今回は理由ありまくりだけど、流石にりょうが少し必死すぎる。

 

「それはそうだけど……。」

 

「別にりょうが私に話しかけたのだって、何か理由がある訳じゃないでしょ?」

 

「えっ……?それは……。」

 

 りょうが口ごもる。何だろう。完全に覚えが無い。

 

「あ、もしかして、元々は私の記憶力目当てだったりして?」

 

「違うよ!そんなことないよ!」

 

 これまた違う。割と有力だと思ってたけど、強く否定される。

 

「じゃあ何よ。」

 

「そ、それは言えないな……。」

 

 今度はりょうが黙秘する番だ。しかし、その反応が欲しかった。

 

「これで分かったでしょ?そんなに問い詰めたって解決しないことはあるんだよ。」

 

「確かにそうだけど……。」

 

 未だに納得してない顔だ。何が気に食わないのか分からないが、これ以上言い返されはしないだろう。

 

「きーちゃんどうしてそこまでコイツを庇うのさ。」

 

 どうして、か。そりゃHSSについてはバレたくないし。その流れで私のことも色々バレるのも嫌だ。

 

「庇うも何も、秘密もへったくれも無いんだよ。ね?分かるでしょ?」

 

「絶対嘘だ!そーゆーの分かっちゃうんだよ!」

 

 これまた随分と厄介な直感だ。だって、当たってるし。

 

 どうしようか……。しばらく考え込んでいると、意外にもキンジが助け舟を出してくれた。

 

「なぁ、ちょっと良いか?」

 

 会話の流れを断ち切る発言だ。ありがたい。

 

「なにさ?理由に思い至った?」

 

「いや、そういう訳じゃないんだが、とりあえず飯食わないか?」

 

 時計は昼休み終了十分前を指している。そ言えば、私と話し始めてから食べる手が止まってたな。

 

「うわぁ!時間が!あんたのせいだ!」

 

 責任転嫁したりょうが、急いで弁当をかきこむ。結局何がしたかったんだか。

 

 

 きーちゃんと帰りに合流する約束をして、教室を後にした。さっきは良いとこまで行ったと思ったのに、結局逃げられてしまった。

 

 何であんなに拘るのか。それは直感だ。きーちゃんとキンジの間には何かある。昔からこういうのは当たるのだ。

 

 今回追い詰めるために、諜報科の友達とか色々頼ってみて、作戦をノートに書き込んでいた。

 

 しかし、上手くいかない。

 

「はぁー!最悪!きーちゃん何を隠してるのさー!何で教えてくれないのさー!」

 

 不満を声に出しても、状況は変化しない。ぽっと出のキンジにきーちゃんを取られた気がしてならない。きーちゃんも必死に庇うし。

 

 考えれば考える程むしゃくしゃしてくる。

 

「くそぉ!あれもこれも全部」

 

「もう!キンちゃんが最近冷たいのは」

 

「遠山キンジのせいだ!」

 

「芦捷桐未のせいだ!」

 

 聞き覚えのある名前がすれ違った人の口から放たれる。

 

 驚いてバッと振り向く。振り向いた先では黒髪ロングの、確か白雪ちゃんが驚いた顔でこちらを見ている。

 

 さっき声が被ったのは彼女で間違い無さそうだ。

 

「きーちゃんがどしたの?」

 

「あなた、確か芦捷桐未と一緒に居た……。」

 

「りょうだよ。それで、きーちゃんがどうしたの?」

 

 まさか白雪ちゃんとも知り合いなのか?だとしたら、きーちゃんは思ったより友達が多いことになる。

 

 ……だったら、私にも紹介してくれればいいのに。

 

「キンちゃんがね、最近冷たいの。それで何かな、と思ったら、芦捷桐未って子と一緒にいるようになってたの。」

 

 髪の毛を指でクルクルしながら、俯いて喋り始める。

 

「多分、あの子が誘惑してるのよ!キンちゃんがあまりにカッコイイから!」

 

 何言ってんだろ。きーちゃんがそんなことする訳無いじゃん。キンジもカッコイイのか?

 

「それで、貴方……りょうちゃんは、どうしてキンちゃんのことを気にしてるの?」

 

「それはだね!うちのきーちゃんに手を出したからだよ!そのせいで、最近付き合い悪いんだよ!!」

 

 今度は私のターンだとばかりに不満を吐き出す。白雪ちゃんと台詞が被ってる気がするけど。

 

「そんな事ないよ。キンちゃん様はそんなことしないよ!」

 

「何を!きーちゃんだって……!」

 

 しばらく白雪ちゃんと睨み合う。空気がピリッとする。私は拳銃に手を添え、白雪は刀に手を伸ばす。

 

 完全に臨戦態勢。一つ間違えば血が出るかもしれない。

 

 ……しかし、何故だろう。馬が合う気がする。なんと言うか、同じオーラを感じるのだ。

 

「私の目的は一つ。」

 

「私もだね。一つやりたい事がある。」

 

「奇遇だね。」

 

「そうだね。」 

 

 ジリジリと距離を詰める。張り詰めた雰囲気は最高潮。

 

 バサバサ!小鳥の飛び立つ音と共に、お互いに駆け出す!そして、お互いに伸ばした右手が交差する……!

 

「別れさせよう!」

 

「芦捷桐未とキンちゃんを!」

 

 

 今、共通の目的を持った二人が、手を組んでしまった。お互いが嫌う相手を大事に思う為に。果たして、この出会いがどう物語に関わるのか。

 

 少し重い想いを抱えた二人が起こす行動はきっと、キンジと桐未の関係を大きく変えてしまうだろう……。

 

 

 探偵科で授業の準備をしている私の背中を、謎の悪寒が走る。そして、何故かキンジの方を見てしまう。

 

 キンジもなにか感じとったのか、こちらを見つめている。何か、非常に良くないモノが出来てしまった気がする。

 

 もしかして、AHSSの事が誰かに漏れたとか?それについでキンジのこともバレたとか。

 

 最悪の想定ばかりしちゃうな。しかし、気のせいかもしれない。とにかく、実害がない間は何も考えたくない。

 

 これ以上悩みの種が増えようものなら、茶髪が北海道の雪かってくらい白くなっちゃう。だったら、何も知らずに生きていたい。

 

 頼むから、これ以上悩みは増やさないで欲しいな……。




 ついにタグ詐欺を脱した!雪ちゃん満を持して登場!

 やっと役者は揃った!



 一次創作のやり直しとストック残り一話のアリア。課題山積みで目が回りそう。
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