俺も作戦としてアメリア相手に序盤超必殺はやったけど、その時とは状況が違う。
ウルトクリスタルは確かに7回目の超必殺の発動と同時に出現するが、ソレによる超必の発動抑止も俺に取っては意味はなく、特にペンシルゴンはウルトクリスタルなんて運ゲーに頼る気はない…………はず。
つーかあの野郎何投げやがった!?
「個で勝てないのなら物量で勝てば良いのだよ君達ィ!」
逃げるだけならばどうとでもなるとでも言うように、ペンシルゴンが手榴弾もどきで追手を妨害しつつ走り去る。いや、今注意すべきなのは奴だ!
「当てるだけで割合ダメージ入るとか最高じゃん」
「当てられなければ意味はない!」
ぶっちゃけ、ペンシルゴンを気にしながらノリに乗っているらしいカッツォのウルトを防ぐのはキツイ。
もっかい鬼ごっこをするのも願い下げだが、1基落されるよりかはマシだ。
だが、ここでペンシルゴンの“強制解析”が意味を成した。
「物量ってそういう……………じゃまぁぁぁあ!!!」
俺と対面するまでの間にペンシルゴンがしていたことは、爆弾の確保なんて緩いことじゃない。
「くっ………このゲームでトレインなんてするやついたんだ!?」
「トップディスプレイってそういうあれじゃねぇからぁぁぁぁぁ!!」
口ではそう言っているものの(ウルトのために)銃を使えない分カッツォよりも俺の方が強い! じゃあ俺も逃げるわ不発してしまえ!ふはははは!!
「強制解析って、機械郡にはバレるらしいんだよね☆」
さっきとは違う車に乗り、テヘペロを噛ましながら走り去っていく花形自爆野郎には殺意が……………まぁじ!?
「ウルト中に本気で銃を捨てるのか!」
「ステータス差があってもそう簡単には負けないよ、サンラク!!」
最強の弾丸を装填してしまったがためにこの状況では使いにくくなってしまった銃を捨てたカッツォが軽々と機械群を飛び越え殴りかかってくる。
いや理解はできるけど納得がいかねぇ! 俺なら確実に迷った挙げ句時間もウルトも無駄にするだろうと自分で考えてしまう所が特に納得いかねぇ!! 迷えよ!!
「くっ………!?」
機械群の上からポンコツ銃でチクチク削ってくるの腹立つ。
「このまま削りきれそうだけど大丈夫かいサンラク!」
「遠距離から削ってんじゃねーよ、凡庸魚類ぃ!」
「誰が凡庸魚類だよ」
ウザいだけで大したダメージにならないのは分かっているのか、焦ったような顔をしながらも飛び降りてきたカッツォに合わせるように飛び蹴り。
保険として光の道を作っておくことで次へと繋げれば、
「遅い遅い!! 俺も!お前も!!」
「まだクライマックスじゃないんだよなぁ……」
急に気の抜けたような声と顔をしたカッツォが
「え、マジ?」
「マジもマジ、まだ26秒だよ」
「うっっそだぁ!」
アメリア戦での一回を真似とかマジ? 習得早すぎでは??
「右手は撃鉄、左手は弾倉………」
「お前まさかセリフまで……!?」
ブラックなヒストリーになるやつだぞそれはお前…………
γガンマ鯖秘伝、 最終手段ならぬ最終
「
「ぐぅ………」
俺の体に灰色の弾丸が当たった。
問題は肉体的ダメージじゃない。精神的ダメージだ。やめてくれマジで…………。おいまて魚類。お前何そのにやけづら…………
「審判の刻だ、神に祈るか? 悪魔に縋るか?
条件が達成され、俺に食い込んだ二発の弾丸が光を放ち………
膨れ上がった光は柱の如く立ち登り、光の十字架を生み出して弾けた。
マジで普通にアレが全国放送だってことが俺の心に罅を入れる………テンションの産物だったんです許して………。
「うーわまだ生きてる、ゴキブリじゃん」
「マジかぁ………まだ戦わせるのか………」
ミーティアスの残り体力は1割を切っている。だが、生き残った。
えぇ…………このまま戦ってもただボコられて死ぬだけだからいっそリフレッシュさせてほしかった。
失意の底であっても戦闘は続く。何処かに逃げやがったペンシルゴンの事を一旦忘れ、大量に集まった機械群の頭上で覆面の悪魔憑きと光るヒーローは対峙し、
「あっ、どっかのデコトラを思い出すね」
「えっ」
「隙ありぃ!!(2回目)」
「ずりぃぞケツ男ぉぉぉおおお!!!!」
余りにも容赦のない魚類によってミーティアスは沈んだ。
◇◇
ピロン♪と愉快そうな音が鳴り、サンラク死亡のお知らせが届いた。
「うーわ、カッツォ君無双じゃん」
そこは彼女に取って最高のロケーション。
変態挙動する外道の片割れの残基を対価に、思いついたストーリーを走り切るための準備を完全に終わらせたペンシルゴンは、ニコリと笑う。
「ワタシの舞台へようこそ、カッツォ君?」
「どうやってんの?ソレ」
「んー……秘密☆」
「うーわ」
今のペンシルゴンの姿はカースドプリズンに近い。大量の未だ壊れていない機械群へとハッキング、動きを制御することで彼女のアーマーとして使っているのだが…………いくらディスプレイと言えどココはゲーム。そんなバランスブレイカーな能力は存在しない。
実際は何処ぞの墓守との戦闘時にオイカッツォがした“ロデオ”の模倣なのだが………今はそのことは関係ない。
ガシャリガシャリ………ドコ、ガキ、ガキン! とスマートとは程遠い音を立てながら迫るペンシルゴンにカッツォは銃を構え───
「さぁさぁ! ボコボコにしてくれよう!」
「やってみなよ花形モデル!」
───動き出した。
先手を取ったのは悪魔憑きの銃使い。ペンシルゴンの元へ辿り着くまでに確保していた銃を構え、撃つ。
だが所詮は豆鉄砲。少しの被弾には目を瞑る、とばかりに走り寄った機械を無理やりに纏うテレビ女は腕に繋がる鉄線を引くことで機械の腕を振り上げ……………振り下ろした。
「まぁじぃ!!?」
「ボコって上げるって言ったよね!!」
「嘘でしょ気合いで吹き飛ばしなよ機械群!!」
何故か頭上のペンシルゴンよりも自身を狙う機械群に悪態を付き、カッツォはガンガンと振り下ろされる拳を必死に避ける。
「仕っ方ないなぁ!!」
「何その銃。豆鉄砲?? もしかしてサンラク君に壊されちゃった?」
あぁもう仕方ない!と叫んだカッツォはペンシルゴンの煽りを無視し、懐から善と悪の銃を取り出す。
「見せて上げよう! サンラクからトレースしてしかもグレードアップした…………ガンズ・ダンス・デュエルを!!」
「カッツォ君さっきからサンラク君トレース多いねぇ」
「…………見せて上げよう!!」
……………何処かでカボチャのヘルメットを被る男が「みょぉぅ!?」と謎の悲鳴を上げた。
「要は弾切れしなければ良いのさ……!」
真打ちの侍は未だ戦場へ至らず(油を売り)、クソテレビが機械を纏い(凡庸魚類を見下し)、銃使いが銃を投げた(色々と匙を投げた)。