「で、どんな話だったんだ?」
一段落ついた所で問いを投げてきた。
「結構前だから覚えてないが……お前の元気な時や先賢と共に一緒に策を練っていたりだな」
「家族生活を聞かされたのか」
「嫌……という程ではないが、少し長めに話していた」
「……なぁ」
「ん?どうかしたか?」
「本題は?」
完全に忘れていた。
「そうだな。じゃあ少し飛ばして、襲撃3分前の話からで良いか?」
「結構端折るなおい……長話か?」
「いや」
少し呆れ始めている時練に対して、私は首を振った。
「なるべく簡潔的に話す」
「まぁそれなら……」
「良し。なら話すぞ」
敵の存在に気付いていた先賢は付近に展開していた私達の部隊に偵察を指示。私達はその謎の部隊の偵察を行っていた時の事だ。
「……
「報告」
「敵数は確認した所では3部隊。リーダーと思われる異名使いが後衛で指揮」
「おそらくは
「分かった……
「「「
『こちら
「民間人?」
『はい、怯えている様で敵対している意思はないと断定』
「……そちらで保護し、避難誘導を優先せよ」
『了解』
安全性の為に避難誘導を指示したが……それが過ちだった。
『そうだ……ゆっくr……待て!寄るn』
ドガァァァァァン!
「ッ!?……Phi部隊、応答せよ!繰り返す!応答せよ!」
『……ちらPhi部隊……ルス……ビ……ップだ……ちらに……てる……』
Phi部隊との連絡は途絶え、雑音しか聞こえなくなった。
「少佐、先程の爆発音は!?」
私は直様無線を切り替え、叫んだ。
「Decipherから全部隊へ!敵の襲撃だ!総員警戒せよ!」
……通信を切ったと同時に各場所で銃声、爆発音、断末魔が聞こえた。
戦場であった森林は炎に包まれ、火の粉が漂う中に倒れた死体が視界に入る。他の仲間達は援護に向かわせ、私は先賢達に状況を報告する為に駆けていた。
「(急げ……一分一秒も無駄にするな……!)」
仲間が敵か分からない焼け焦げた死体を踏み越え、やがて先賢達の部隊キャンプに到着した。
「
「ハクさん!」
「ハクちゃん!大丈夫!?」
「なんとか……それより先賢は!?」
「待て……了解、各部隊の損害は最小限に抑えろ」
通信機を置いて私に向き直る。
「状況報告を」
「民間人を使った
「そんな……」
「なんの罪もない奴に爆弾を取り付けるとは……」
「ここは各部隊に撤退命令を出した方が良いかと」
「ふむ……そうだな。急な戦闘によって展開に時間が掛かる。ここは撤退を……」
と言った瞬間、突然通信機に応答が入った。
『
「なっ!?お前何を言っているんだ!?」
『こっちはRho部隊と共に交戦しているが予想以上に相手が強いんだよ!」
「一体何を言って……今すぐ戻れ!」
先賢が叫ぶが、落ち着いた様に応答する。
『隊長……俺達は隊長が居たから戦えたんだって思うんだよ。各部隊の仲間達も同じ事を思ってるぜ。だからここで隊長が死んだら、俺達は今まで何のために教えてもらったんだって考えちまうんだ』
「……」
『だから我儘だと思うけどよ……隊長。嫁さんとお子さんと共に逃げて、暖かい人生を持って生きて欲しい』
「馬鹿野郎が……死ぬんじゃねぇぞ」
『へへっ……生きる可能性は低いけど、なるべく死に抗ってやるぜ!Beta部隊から全部隊へ告ぐ!隊長達の撤退の時間稼ぎの為に全力で応戦せよ!今まで教えてもらった感謝の気持ちを込めて……敵の侵入を許すなよ!』
『『『『『了解ッ!』』』』』
各地で銃声の他に雄叫びが聞こえ始める、
「嫌……そんな……」
「……」
「本当に……お前らは……」
烏は膝から崩れ落ち、息子は背を向け、先賢は壁を殴る。私は彼らの最期を心に仕舞い決意した。
「行きましょう。彼等の為にも……明日の為にも……」
「嗚呼……そうだな。合奈、時練、行くぞ」
「母さん……行こう」
「……えぇ」
彼等の
「ハク、前方はどうだ?」
「敵影なし。反応もありません」
「私の烏達にも動きはないわ」
「ふむ」
仲間達が時間稼ぎをしているおかげだろう。
「……ハクさん」
「ん?どうした?」
時練が急に話しかけてきた。
「こんな時に聞くのも何ですけど……どうして入隊しようと思ったんですか?」
「ちょっと時r「大丈夫ですよ」……!」
合奈が静止しようとしたが、私はそれを止めた。
「……ごめんなさいね。ハクちゃん」
「いえ……それで時練は、何故この部隊に入ろうと思ったと聞いたね?」
「えっ?はい、そうですけど……」
一瞬、時練が困惑した。地雷でも踏んだかと少し怯えた表情をしている。
「私が『力』を持っているからとでも言いたい……が、実を言うと恩を返す為に入ったんだ」
「恩を返す……?」
「元々放浪者として各地を淡々と移動していたのだが、ある日、君のお父さんと出会って助けてもらったんだ。その恩を返す為に私はこの部隊に居る」
「そうなんですか……はぁ……」
安堵のため息を吐く時練。
「旅も楽しいものだが、やはり私は此処に居る方が落ち着く」
「そりゃどうも。と言いたいが……」
「……?」
長矢の目が鋭くなり先を見ている。何か居るのだろうか……?
そのまま前衛に立ち、私達に小声でこう言った。
「3つ数えたら真っ先に走り続けろ。良いな?」
言葉で私と合奈は理解した。
「でも貴方が……!」
「俺の事は良いんだ」
その顔に涙はなく、後悔もない。ただ目の前の
「行くぞ……1……2……」
ポケットから何か取り出して構え始める。
「……3!」
私達は目の前一直線に駆け始めたと同時に、長矢は上に何か投げた。
その瞬間、バンッ!と閃光と発光する物体が長矢の辺りを照らし続ける。
「……照明弾」
「振り返るな!行け!」
一斉に駆け出し、
「……ッ!」バッ!
「「合奈/母さん!?」」
何故か合奈が踵を返し、長矢の方へ戻ったのだ。
「一体何をして!?」
「行って!時練!ハクちゃん!」
「戻ってよ!母さん!」
時練の叫びに、母は首を振った。
「母さんの我儘だけど、あの人と最期まで一緒に居たいの……勿論、時練と最期まで居たいけど……このまま亡くなったら駄目かなって。ごめんね、こんな母さんで……」
「……!」
「それとハクちゃん、時練をお願い……貴方に息子を守って欲しいの。平穏で……暖かい生活を教えて欲しいの……」
母はそう言うと私と時練に笑顔を見せた。背を向けたままだが、父もサムズアップを示した。
「絶対に生きてね……」
「死ぬんじゃねぇぞ」
「……健闘を祈ります」
私は2人に敬礼し、時練の手を引こうとするが……。
「……」
「ちょっ……!?」
意気消沈しており、足に力が入っていない。不味い、このまま時練を放っておく事はできない……だったら!
「ちょっと失礼する!」ガシッ!
私は咄嗟に時練を横抱きに、その場から撤退した。
「そして別地点で動いていた部隊と合流しお前を保護。一時的に意識を失っていた間に私はお前の親の捜索に向かった」
「そして俺は父親の死亡を……そんな事があったのか……」
俯く俺に、ハクは腕を組みながら口を開く。
「……が、少々疑問があるんだ」
「そういえば言っていたな。で、その疑問とは?」
「嗚呼……実はな……」
ハクがその疑問について話した……。
「……分かった。この事は誰か知ってるのか?」
「鎌太刀は知っている。霧霜についてはまだだ」
「了解……教えてくれてありがとうな。ハク」
「別に構わないさ、では私は帰宅するよ」
「嗚呼、お疲れ」
一瞬にして姿を消すハク。
「……まさか……な」
名前
誕生日 9月17日
好きな食べ物 甘味
嫌いな食べ物 野草
趣味 ケア、時練のお世話
桃色の長髪に赤色の瞳。精鋭部隊『Forest delete』の元軍医。野鳥の対話及び野鳥視点を見ることが出来る。また指示を行う事から『
時練の母親。謎の部隊の襲撃により時練とハクを逃がす為に応戦し戦死とされているが、実態は死体の確認が出来ない為不明となっている。