1人と1匹   作:takoyaki

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一話です
これ書いてるとき緊張しすぎて震えたんだけど……


誤字脱字はないはず!!

でもあったら教えてください…



※少し修正しました


ホームズとヨル
犬も歩けば、猫も喋れば?!


「ハイ、お茶代と茶菓子代全部で1200ガルド確かに頂きました」

そう言ってフード付きのポンチョを羽織った青年は金を薬箱の様なカバンの引き出しにしまった。垂れた碧い目が人の良さそうな印象を受ける。そして、茶髪の短髪にアホ毛が1本立っている様が幼げな印象を受ける。

「これからもご贔屓のほど宜しくお願いします。ドロッセル様」

「もちろん。これからも宜しくね、ホームズさん。それとその黒猫ちゃんもね」

ドロッセルと言われた女性はホームズの肩の上に乗っている猫に向って言った。言われた本人(本猫?)は大層不機嫌そうに尻尾をびしばしとホームズの後頭部に当てていた。

ホームズ本人は少し猫の方を透き通るような碧い目で睨んでから、ドロッセルにお願いをする。

「あの……一応ヨルという名前があるので、そちらで呼んでやって下さい」

「あ、そうだったの。いつも、尻尾を振る程喜んでいるから、気に入っているのかと思ったわ」

ドロッセルは心底驚いたように言った。そして、

「そうだわ!せっかく屋敷に来ていただいたのだから、お詫びも兼ねて、お茶でも飲みませんか?」

と、ホームズ達を誘う。ホームズとしてはせっかくだし、ご馳走になりたいところだ。しかし、ヨルの尻尾振りが、段々激しくなってきているので、断ることにした。

「すいません、尻尾が…じゃなかった、少し急ぎの用事があるので、また今度の機会にぜひ」

慎重に言葉を選びながら、断りのむねを伝え屋敷を逃げるように後にした。

 

◇◇◇◇

「ったく、少しは愛想良くしておくれよ。黒猫ちゃん」

「次その名前で呼んだら、鼻フックをして穴だか、皮だか分からんようにしてやろう」

そんな風にホームズの嫌味を低くくドスの聞かせた声で爪を光らせながら返した。

「こんな賑やかな広場でそんな物騒なこと言わないでおくれよ。楽しい気分が台無しじゃないか。非常識にもほどがあるよ。まったく……友達なくすよ」

「こんな賑やかな広場で猫に話しかけている奴に非常識うんぬん言われたくないな、まったく…友達いないのか」

「クリティカルヒットした今の。君、人を傷付けて楽しい?」

「つまらなかったらやらない」

そう、お世辞にも仲良しとは言えない会話を繰り広げているこの場所は、カラハ・シャールのなかでも賑やかな広場である。

ここカラハ・シャールは、たくさんの商人が集まる。そして、たくさんの商人が集まるということは、たくさんの、そして、様々な商品が集まるのである。

行商を生業としているホームズとしてはここいらで、商品を買っておいた方がいいのだが…

「人を傷付けて楽しんでるような奴はこうしてやる、こうしてやる!」

「イテテテ、痛ぇなオイ、ヒゲを引っ張るんじゃない!」

「ちょうどいいお仕置きだよ。いいじゃないか、減るもんじゃないし」

「よーし、お前に引き算というものを教えてやろう」

「商人の俺にそんなものを教えようとはいい度胸だね」

 

 

 

目下のところ自分を傷付けた、ヨルのヒゲを引っ張ることに忙しい。その光景は、はたから見たら、ただ猫をいじめている様にしか見えない。他の人々の自分を見る視線がどんどん冷たくなっていることにようやく気付いたホームズはヒゲを引っ張ることをやめた。そして心底恨めしそうに

「猫って得だな」

とつぶやいた。ようやく開放してもらえたヨルは苛立ったように言った。

「いいから、目ぼしい商品を探すぞ。その為に来たんだろうが」

「いや、届け物があったからだよ」

それに、とホームズは言葉を続けた。

「目ぼしい商品よりも先に、おれはエレンピオスの情報を探したいよ。母さん達の故郷のね」

左手に輝くピンク色の宝石がはめられた指輪を見ながら言った。

そんなホームズを見て、ヨルは先程引っ張られたヒゲを整えながら言った。

「本当にあるのかね、そんな国。2年間探しているけど全く見つからないじゃないか」

「君が知ってれば楽だったんだけどね……」

ホームズは呆れた様に言う。

「無茶を言うなよ。暴れるのに忙しくてそんなことを気にする暇さえなかったんだ。リーゼマクシアなんてのも、お前にあってから知ったんだぜ」

「暴れるなんて、生易しいものじゃないだろう……」

はあ、とため息を吐く。そして、気を取り直す様に続けた。

「まあ、でも母さんがあると言ったのだから、多分あるよ」

「嘘を付いた可能性は?」

「ないね」

「何故?」

「でないと母さん父さん、そして、おれに霊力野(ゲート)がない理由に説明が付かない。もしこれがエレンピオスの特徴だとしたら……」

「説明が付くということか。なるほど、確かにリーゼマクシア人には見ない特徴だな」

「そういうこと。それに……母さんがつく嘘はもっとたちが悪いからね」

「……心当たりがあるな」

「でしょ」

一人と一匹はハァ、とため息を付いて、昔のことを思い出していた。あのいまわしき日々を。その苦労の数々を。どの思い出もあまり、思い出したくないものばかりだ。

そして、ヨルはその思い出に蓋をするように言った。

「まあ、エレンピオスも気になるが、それよりも、なすべきことがあるだろう?」

「臭い物に蓋をする」

「何か言ったか?」

「別になにも。まあ、確かに一理あるね」

その言葉を最後に彼らは広場を周りながら、商品を探し始めることにした。ホームズとしては、エレンピオスという聞いたことはあっても見たことはない国を探したいのはやまやまであるが、先立つ物がなくては何も出来ない。何せ、そこに繋がりそうな手掛かりといえば、母から預かった、ジルニトラというエレンピオスの豪華客船の乗客の名簿しかないのだ。

しかも、たちの悪いことに、

「名簿に乗っている人達のほとんどが、アルクノアとか言う、わけの分からん組織にいるんだよね」

「基本的に、話を聞いてもらえず、襲われているしな」

「君に怯えている様にしか見えないけどね。誰だって、喋る猫を見たら怯えるよ」

結果、収穫ゼロだけでなく、戦いで傷付いたりして、むしろ、マイナスであることの方が多い。その為、治療費などがかさみ、常に金欠状態なのだ。その現状を打破する為にもやるしかないのである。そうこうしているうちに一つの商品が目に止まった。

それは、赤い紋様が不規則に浮き出たティーカップだった。

「どう思うヨル?イフリートの紋様が浮き出たティーカップだってさ。結構良い値で売れそうだよ」

ホームズは、ヨルに小声で話しかける。

「言い値で買われちまうは、そんなパチモン」

「よく分かったね。パチモンだって」

素直に賞賛するホームズ。しかし、ヨルは得意げになる事なく、面倒くさそうに尻尾を振っている。

「あんな、堅物がそんな模様の物を作る訳ないだろう。」

そんな会話を小声でしていると、その店の店主が不機嫌そうにホームズ達に言う

「買わないんだったら、商売の邪魔だからどいてくれ」

「フン、詐欺の間違いだろう」

商人のあんまりな言い草にヨルは皮肉を込めて返した。ホームズは、バッカ、と言ってヒゲを引っ張り黙らせ、その場を逃げるように後にした。

 

 

「さっきから、逃げるように後にしてばかりいるような気がするんだけど 」

「気のせいだな」

「気のせいというか、君のせいだと思うのだけれども。」

「気のせいだな」

「そっか〜、おれの気のせいか〜………、な〜んて、んな訳あるか!!」

遂にホームズがキレた。

「ノリツッコミか…。まあ、点数でいうなら、赤点レベルの残念クオリティだな」

対するヨルはいたって通常運転である。

「うるさいよ。しかも、点数で言って無いし」

「ノリツッコミとモノマネはよっぽどクオリティ高くないと、つまらねーんだよな」

「もういいよ!いつまで、おれのツッコミに文句付けるつもりだよ!」

「だいたい、すべるノリツッコミの原因は自分で、面白いこと言ったと思っているところだよな」

「もういいっつてんだろう!!君は人を傷付けて楽しいかい?!」

「つまらなかったらやらない」

「さっきもやった、このやりとり」

ホームズは心底疲れたように、両手両膝を地面につけてボヤいた。そして、言葉を繋げた。

「君が喋るとロクなことがない。犬も歩けば、なんてことわざがあるんだから、猫も喋れば、なんてことわざも欲しいよ」

「『犬も歩けば』は別に悪い意味だけではないぞ。というより悪い意味で使っているやつをオレは余り見ないぞ。」

「そりゃあ、犬のほうが利口だからね。悪い意味だけでなく、いい意味だってあるさ」

(オレ)より、馬鹿な奴がなに言ってやがる」

ぐっ、とホームズは言葉に詰まった。そう、ヨルは最後の一言こそいらなかったが、あの商品が偽物であることを見抜いて、そして喋って、教えたのだ。

「フン、理解したようだな」

「ドヤ顔で言うのもいいけどさ、どうするの。おれ、なにも商品を仕入れてないけど」

未遂とはいえ、喧嘩を売ったところに戻るのは、少し難しい。するとヨルは、後ろの掲示板を尻尾で指しながら言った。

「そんなものより、いいものがあるぞ。見ろ」

そこには、奇妙な絵で描かれた、男の手配書が一枚、女の手配書が一枚あった。

ホームズは不機嫌そうに手配書をみて、言った。

「なんだい、賞金稼ぎでもやれっていうのかい?」

「違う、名前をみて見ろ」

ホームズは、仕方なさそうに、手配書の名前を読んだ。女のほうは名前がなかったが、男のほうには書かれていた。

「えーと、なになに…、ジュード、『マティス』?それって、確か…」

ホームズは、ジルニトラの名簿を探した。そして見つけた。

「あった…、ディラック・ギタ・『マティス』。ジルニトラに乗っている!」

偶然だろうか?いや、それよりも…

「マティスの息子と考えたほうが自然だよね」

ヨルは金色の目を光らせ、真っ直ぐにホームズを見据えるて尋ねる。もちろん、尋ねるまでもないことだが。

「どうする、ホームズ」

 

「このジュードとかいう奴を手掛かりにディラック・マティスに会いに行こう」

 

「どうやって?」

 

「まず、イル・ファンに行ってジュード・マティスの通っていた学校で実家の場所を聞き出す。犯罪者になっているくらいだから、誰か教えてくれるだろうさ」

 

「また、襲われるかもしれないぞ」

 

「他人事のように……誰のせいだと思っているんだい……」

 

「せいじゃない。おかげだろう?『猫も喋れば』というやつだ」

 

「いつも棒よりもたちの悪い物ばかり当ててるくせに、よくいうよ」

とはいえ、今回は価値のある物を当てた。おかげで、行き先がきまった。

ホームズは碧い瞳で、手配書を見る。

 

場所は

 

夜光の王都イル・ファンだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




書き上げた時は何か色々リアルの方が忙しかった……



感想、待ってます。


あ、でも、お手柔らかに………
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