1人と1匹   作:takoyaki

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九十九話です




九のゾロ目だぜ?ふふふふ………


てなわけでどうぞ


塞翁が猫

「………ホームズ、ちゃんと待機してるかしら?」

「………ローズ、それ、もう十回目」

チラチラと後ろを確認するローズにレイアは、呆れ顔でそう言う。

「心配なら戻る?」

レイアの言葉にローズは、顔を真っ赤にする。

「ばばばばか言ってんじゃないわよ!

心配なんてするわけないでしょ!あんな奴!!」

全力で否定するローズをレイアは、しらっとした目で見つめる。

「なによ!その目は!!」

「いや、通常運転だなって思って」

「二人とも漫才してないで……」

ジュードは、呆れ顔で二人を止め、辺りを見回す。

「思ったより、視界が悪いね……敵が何処にいるか全然わからないよ」

「やっぱり、ホームズとヨルを連れてきた方が良かったんじゃねーの?」

アルヴィンは、ジュードの言葉にそう言う。

確かに、ヨルの霊力野(ゲート)探知能力があれば、敵の大まかな位置ぐらい察知する事が出来る。

ローズは、腰にある刀の柄をトントンと二回叩く。

「………ないものをねだっても仕方ないわ。

どうするの?迂回して安全なルートを行くの?」

「ううん、直線に駆け抜けようよ。それが一番早い」

『僕たち死んじゃうかもねー』

不吉なことを言うティポに頬を引きつらせるローズとレイア。

「だ、だいじょうだよ……ジュードが言うんだから」

言葉とは裏腹に声が上ずるレイア。

「………それにほら、私たち悪運強いし」

『一番悪運が強いホームズがいないんだけどねー!』

「……………」

ローズは、自分の励ましを潰されてしまい、言葉につまる。

しかし、何とか絞り出す。

「えぇーっと、ほら、私だっているし大丈夫よ。

悪運はないけど、マーロウさん仕込みの剣術があるもん」

『声を震わせながら言ってもなー』

「………………」

今度こそ返す言葉がない。

「恐れるな」

そんな二人にミラがそう声をかける。

「今、最も恐れるべきは、人間と精霊の命が脅かされることだ」

「ミラ、かっこいい!!」

レイアは、にっこりと笑い賞賛する。

「行こう、みんな」

ジュードの言葉に皆は頷き、走り出す。

 

 

 

 

 

そんな矢先にミラ達の前にア・ジュール軍が立ちふさがる。

 

 

 

 

 

 

「止まるな!!」

 

 

 

 

 

ミラの声を聞くが早いか、ローズは腰の両刀に手をかける。

 

 

 

 

「当たり前でしょっ!!」

 

 

 

 

 

ローズは、抜いた刀で兵士に斬りかかる。

鎧に当たり、ガチンという音がなる。

「……だったら!」

刀を持ったまま握り拳を合わせる。

「獅子戦哮・氷牙!!」

獅子をかたどった氷の闘気が兵士を襲う。

雨が降っているため氷の獅子は、更に牙を剥く。

ア・ジュール兵は、倒される。

「もういっちょっ!」

そう言ってローズは、身体を捻るとその勢いのまま別の兵士に当てる。

「フレアボム!!」

「三散華!!」

ジュードもミラも応戦をする。

「流石!!」

ローズが褒める。

そんなローズを兵士が後ろから襲いかかる。

「ローズ!!」

エリーゼの声にローズは、刀を一本兵士に向ける。

「省略!フォトン!!」

光の球が弾け向かってきた兵士を吹き飛ばす。

「追撃、行くわよ」

そして、二刀を足下で交差させる。

「豪雨で来い!聖なる光!」

しとしと雨が降る中、ローズは、詠唱を続ける。

「レイ!!」

 

雨に混じって光が兵士達に降り注ぐ。

 

 

 

「グァアアアアァァァ!」

ローズの精霊術を喰らい、攻撃の手を緩める、ア・ジュール兵達。

(今が、チャンス!!)

ローズは、リリアルオーブを光らせる。

「アルヴィン!!」

「任せろ」

リリアルオーブを光で繋ぐ。

二人は、刀と大剣を前方突き出し、突進し、そして交差する。

 

 

 

地面には、二人の軌跡のバツ印が刻まれている。

交差し終わった二人は地面を叩く。

 

 

 

 

 

 

 

「「衝破十文字!!」」

 

 

 

 

 

 

漢字の十をかたどった傷から衝撃波が発生し、兵士を襲う。

 

 

 

 

「続けていくわ!!」

 

 

 

ローズは、刀を再び足下で交差させる。

「貫け、氷の刃!!フリーズランサー!!」

衝破十文字により、中に浮いている兵士達に氷の矢が放たれる。

雨の中、放たれる氷の矢は更に威力を増し、兵士に襲いかかる。

そして、それを確認するとローズは、更に踏み込み、リリアルオーブをエリーゼと繋ぐ。

「お次は、エリーゼ!!」

『任せろー!』

二人は呼吸を合わせ、共鳴術技(リンクアーツ)を発動させる。

 

 

 

 

 

「「『ティポ・ザ・ビースト!!』」」

 

 

 

獅子よりも更に大きなティポをかたどった紫色の闘気は兵士達を襲う。

 

 

 

「ふふん!どうよ、ティポ!わたしの実力!」

ローズは、ない胸を張って自慢する。

しかし、ティポはふよふよと浮かびながら答える。

『まだまだだねー』

「なっ!!」

ローズは、キッとエリーゼを睨む。

エリーゼは、半眼で返す。

共鳴術技(リンクアーツ)なので、ローズだけの力じゃないです」

ごもっともな意見にグゥの音も出ない。

「わかったわよ、そんなに言うなら見せてあげるわ」

ローズはそう言うとレイアとアルヴィンに顔を向ける。

「そんな訳で、レイア、アルヴィン!時間稼ぎ、任せた!」

そう言って刀を足下で十字に交差する。

「どんな訳だよ……」

「ホームズといい、ローズといい、エリーゼと真剣に張り合わないで欲しいな………」

レイアとアルヴィンはため息をついて、向かってくる敵に駆け出す。

 

 

 

 

 

「精霊達に命ずる……」

 

 

 

 

 

 

相変わらず上から目線のローズの詠唱が始まる。

 

 

 

 

アルヴィンは、大剣を振り抜き兵士を吹き飛ばす。

兵士の量は減らない。

「だったら………」

アルヴィンは、剣と銃を合体させる。

「見せてやるよ」

そう言って地面に合体させた件を刺す。

瞬間地面に青白い光の円陣が展開される。

「守護氷槍陣!!」

アルヴィンを中心とし氷の槍がア・ジュール兵を襲う。

「ま、ホームズだけじゃねーんだよ」

「凄いよ、アルヴィン君!」

 

 

 

 

「霊光よ、遥か彼方より現れ……」

 

 

 

 

 

レイアは、そう言うと棍を構える。

そして、三連続の棍の攻撃。

「三散華………」

普段ならここで終わりだ。

けれども、アルヴィンのせいで碧い目をした垂れ目の男が脳裏をよぎる。

レイアは、棍にもう一度力を込め、おまけにもう一撃くらわせる。

「……追連!!」

合計で四つの攻撃が兵士を襲う。

四連撃を食らった兵士は、後ろに吹き飛ぶ。

しかし、兵士は減る気配がない。

それどころか、兵士はローズに向かって剣を持って飛びかかってきていた。

「ローズ!!」

 

 

 

 

「集束せよ。そして……」

 

 

 

 

ローズは、詠唱をして防ぐ気配はない。

(なんで……!?)

レイアは、疑問が脳裏をよぎる。

しかし、最初に言われた言葉を思い出し、直ぐに答えに至る。

 

 

 

 

 

『レイア!アルヴィン!時間稼ぎ任せた!!』

 

 

 

 

 

 

(本当に任せてるんだ、わたし達に!!)

 

 

 

 

 

「兎迅衝!!」

 

 

 

 

うさぎのような跳躍で棍と一体になり兵士を吹き飛ばす。

 

 

 

 

 

 

「………全てをぶち抜き、全てを蹴散らせっ!!」

 

 

 

 

 

 

ローズは、目を見開く。

 

 

 

 

そして、刀を自分の目の前を真っ直ぐに指し示す。

 

 

 

 

 

「ディバインストリーク!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ローズの詠唱と共に集束された光は大砲のように放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

その光は、ローズ達の目の前の兵を全てを蹴散らして一直線に進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が収まる頃にはア・ジュールの兵士は、数える程度しかいなかった。

「よくやった、ローズ! みんな行くぞ!」

ミラの言葉にローズ達はア・ジュール兵士を抜けていく。

元気よく走るローズをローエンは、不思議そうに見る。

「ローズさん、平気なのですか?」

「何が?」

ローズは、訳が分からないというふうに首を傾げる。

「あんなに、大技を連発して、大丈夫ですか?」

「あぁ、平気よ」

ローズは、首を戻す。

「私、霊力野(ゲート)がかなり大きい方なの」

そう言ってローエンは、ウィンガルとの戦いを思い出す。

確かに、剣戟だけでなく散々技を出していた。

しかし、バテている様子はなかった。

そうローエンが納得しかけた瞬間にローズは、こける。

「ぶべぇ!!」

何とも言えない表情でローズを見る面々。

ローズは、顔を赤くしてそらす。

「………まぁ、と、とりあえず、グミでも食べて、ね?」

レイアは、そう言ってグミを差し出す。

選んだグミは、オレンジグミ。

パイングミを選んでいない所を見ると、どうやらあながち見栄だけというわけでも無さそうだ。

「にしても、ローズ。ディバインストリークが出来るなら、ナハティガルとの戦いで使ってくれれば良かったのに」

ジュードの言葉にローズは、頬を引きつらせる。

「いや、だって、ナハティガルの戦いでローエンがぶっ放すのを見るまで知らなかったもの……」

「ふー…………ん?」

ジュードは、一瞬納得しかけて首を傾げる。

「待って……じゃあ、さっきのが」

「えぇ、初披露よ」

自慢も謙遜もなく、なんて事のないように、それこそ、『明日のご飯はカレーだよ』ぐらいの軽い調子でローズは、返した。

そのあまりに自然な返しに一同の顔は引きつるばかりだ。

「おたくらは、揃いも揃って……」

アルヴィンは、ホームズの事を思い出す。

ホームズも出会って大して日数の立っていないアルヴィンと共鳴術技(リンクアーツ)をやっていた。

「失敗するとか、考えなかったの?」

「いや、適当にマナを込めればどうにかなるかな?って思ってたから………」

段々と自分を見る目が冷たくなっているのにローズは、気づいた。

つまり、適当な思いつきで適当にマナを込めた為、ローズは地味に消耗してしまったのだ。

「ローズさん、ひと段落したら、私が精霊術を教えましょう」

ローエンは、呆れながらローズにそう告げた。

「ふむ。ローズには、それがいいな」

ミラも隣で聞いていてうんうんと頷くと前方を見る。

「……と、見えてきた、ラ・シュガル軍だ」

ミラ達はア・ジュールと言う敵を抜けようやく気が休まる…………筈だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危ない!!」

 

 

 

 

ミラにラ・シュガル兵が襲いかかった。

間一髪のところで、ジュードが蹴り飛ばす。

「……なにをするんだ!僕たちは、敵じゃないよ!」

「ジランド参謀副長より、全軍に指令が下った」

 

 

 

 

ラ・シュガル兵は、そう言って武器を再び構える。

一人、二人と段々と集まっていき、ジュード達の行く手を防ぐ。

 

 

 

 

 

 

「『ローエン・J・イルベルトは、敵となった、殺してでも排除せよ』とな」

 

 

 

 

 

 

 

 

突然の宣告に、ジュード達は目を向く。

ローズの脳裏に腕に包帯を巻いた昔馴染みがよぎる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は、今どこにいる。

 

 

 

 

 

 

 

いや、何処に置いてきた(・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────ヤバイっ!!」

 

 

 

 

 

 

ローズの顔から血の気が引いた。

 








ローズ、頑張ってますね……
あ、もちろんちゃんと精霊術の基本も教わっていますよ彼女。

ただ、たまの思いつきがノリなだけです。




では、また百話で( ´ ▽ ` )ノ
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