1人と1匹   作:takoyaki

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祝百話です!!

番外編をカウントせずにって奴ですが……
早いな……本当に……いつの間に……

というか、本当にここまで続くとは思いませんでした……



うん、ここまできたら最終回まで書き切りましょう!

てなわけで、どうぞ


善のために急げ

「何ですと……!?」

ローエンは、驚いて目を向く。

「ラ・シュガル戦略要点の破壊など絶対にさせん!!」

驚いているローエンに構わず、ラ・シュガル兵が襲いかかってきた。

「くっ……結局、ラ・シュガル兵とも戦うのか………」

ジュードは、歯噛みをしながら構え、向かい討とうとする。

しかし、ラ・シュガル兵は、ジュードではなく、ローズに襲いかかってきた。

「ローズ!!」

ローズは、ジュードの声で我に帰るとギリギリでかわそうとする。

「ぐっ!」

しかし、かわしきること叶わず腕をラ・シュガル兵の剣がかする。

「大丈夫!?ローズ?、今、治療を」

近寄ろうとするジュードをローズは手で制する。

「かすっただけよ。

それに、それどころじゃないわ」

ぐるっと自分達を囲んでいるのは、味方の筈のラ・シュガル兵だ。

「ま、ラ・シュガルの兵器をぶち壊しに行くんだ。こうなって当然だろ?」

「そうね」

アルヴィンの言葉にローズは、苦笑いを浮かべた。

「ねぇ、ミラ、ホームズは……」

「後にしろ、ローズ。

今はこの場を切り抜けるのが専決だ」

そう言われローズは、周りを取り囲む兵達を見る。

ローズは、二刀をぎゅっと握りしめた。

「…………分かった」

そう言って刀を構える。

「要はとっとと突破すればいいのね」

ローズは、そう言うと精霊術師に斬りかかる。

「ぐっ!」

一気に斬り伏せると振り向きざまに兵を薙ぎ倒す。

そして、直ぐに別の兵をターゲットにする。

「行くぞ、ローズに続け!」

ミラの声に続き、他の面子も敵兵を倒しにかかる。

ローズの一瞬にして無駄のない戦いぶりを見ていたレイアは、そうもらす。

「………ローズって本当、ホームズが絡むと性格変わるよね」

「ですね」

エリーゼもコクリと頷く。

「よし!私達も行こう!」

レイアとエリーゼも駆け出す。

「援護します!」

そう言って、エリーゼはティポを構える。

「ティポ戦哮!!」

ティポから、紫の球体が発射される。

それに兵士が押された瞬間に、レイアの棍が襲う。

「ローズ!ローエン!頼むぞ!」

ミラの言葉にローエンとローズはコクリと頷く。

「アルヴィンさん!ジュードさん!援護頼みます」

二人に指示を飛ばすと今度はローズに指示をする。

「この際、過程は問いません。

先程の精霊術を前方にお願いします」

「タイミングは?合わせるの?」

ローズは、ローエンに背中を預けながら尋ねる。

「その方が良いでしょう」

「でも、私の詠唱長いわよ」

心配そうに言うローズにローエンは、大丈夫と言う。

「私が合わせますから」

ローズは、それを聞くとふふふと笑う。

指揮者(コンダクター)が言うと説得力が違うわね」

ローズもそう言って刀を足元で交差させ、詠唱を始める。

 

 

 

 

「精霊達に命ずる……」

 

 

 

 

「さて、ジュード君。いっちょやろうぜ」

アルヴィンは、そう言って大剣を構える。

「うん、なんとかしよう!」

ジュードは、そう言って拳を突き合せる。

 

 

 

 

 

「霊光よ。遥か彼方より現れ……」

 

 

 

 

ローズが詠唱を始めるとラ・シュガル兵がそれを止めようと群がってくる。

「こんのっ!!」

ジュードは、近づく兵を右手を握りしめ武器が届くより速く殴り飛ばす。

そのジュードの後ろに兵士が槍を持って突撃を仕掛ける。

「おっと!」

アルヴィンは、それを体の回転を加え大剣をカウンターの要領でぶつける。

その兵を倒したのは良かったが、ジュードを助けようとした為、代わりにローズ達から離れてしまった。

ラ・シュガル兵は、そんな二人に近づく。

「アルヴィン!!」

「安心しろって……俺だって成長するんだぜ」

そう言って銃口を上空に向ける。

そして、未だにホームズに『ひどい不意打ち』と言われる技の名前を告げる。

 

 

 

 

 

「レインバレット!!」

 

 

 

打ち上がった弾丸は、上空で拡散し前のように降り注ぐ。

しかし、ローエンとローズには一切当たらない。

「なんで?」

「言ったろ、優等生」

アルヴィンは、そう言って大剣を掴む手に力を入れ、弾丸の雨で怯んでいる兵士に大剣をお見舞いする。

 

 

 

 

「『俺だって成長するんだぜ』ってな?」

 

 

 

アルヴィンは、ニヤリと笑ってそう答えた。

ジュードもそれに吊られるように微笑む。

 

「集束せよ、そして……」

「虚空より出でし霊光よ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ローズの詠唱もいい感じになっている。

アルヴィンは、大剣を上空に向かって振り上げる。

「虎牙破斬!!」

そして最後に叩きつけられるラ・シュガル兵。

「掌底破!!」

掌から衝撃を放ち鎧の内部にまで響き渡る。

 

 

 

 

 

 

「全てをぶち抜き、全てを蹴散らせ!」

「万物を討ち払わん!」

 

 

二人の前に光が集束していく。

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「「ディバインストリーク!!」」

 

 

 

 

 

 

 

二人から、光の大砲が放たれる。

その二つの光は、降り注ぐ雨を押し抜け、兵士達を吹き飛ばして進む。

 

ローズの精霊術は前方に、そして、ローエンの精霊術は、後方に向かって放たれた。

 

 

 

光の大砲が消えると、あんなにいた、ラ・シュガル兵は、ほとんどいなくなっていた。

「よし、今の内に進むぞ」

ミラの言葉にローズは、信じられないという顔をする。

「ま、待って、戻るんじゃないの?!」

しかし、既に走り出しているミラには届かない。

「ローズ、早く!!」

立ち尽くすローズをジュードが急かす。

ローズは、状況が飲み込めないまま、後を追うように走り出した。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「ミラ、ミラ、ミラってば!!」

敵兵のいない地点まで走っていると、ローズが後ろからミラを呼んでいた。

「何だ?」

ローズの言葉にミラはようやく足を止めて答える。

「何だじゃないわよ!戻るんじゃないの?」

ローズは、顔を険しくさせする。

「何故だ?」

ミラの言葉にローズは、更に顔から血の気が引くのがわかる。

「何故って、ホームズよ!

私たちがラ・シュガル兵に襲われているように、ホームズだって……」

ホームズとヨルもご多分に漏れず襲われているだろう。

「しかし、戻れば、クルスニクの槍を使われてしまう可能性が上がってしまう」

ミラの言っていることはどこまでも正しく、正論だ。

しかし、正論を必ずしも受け入れられるかといえばそんな事はあり得ない。

現に、ローズは、納得出来ていない。

拳を握りしめる。

「私には、使命を果たさねばならない。

戻ることは愚か、立ち止まることもゆるされない」

「………だから、戻れない?」

ローズは、震える声で尋ねる。

ミラは、静かに頷く。

「……冗談でしょ?貴方、自分が言っている言葉の意味がわかってるの?

それは…………」

震える声でローズは、ゴクリと唾を飲む。

 

 

 

 

 

 

 

「ホームズの事を見捨てるって言っているのと同義語よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉に、エリーゼとレイアは、息を飲む。

ローエンとアルヴィンは、現状がわかっているため渋い顔をする。

無理なのだ。

実際ホームズを助けに戻るなど。

そして、国の政に関わったことのあるローエンなら、更にその先の判断も下せる。

ホームズ一人の命とリーゼ・マクシアの人間と精霊の命。

天秤にかけることすら、おこがましい。

ジュードは、慌ててローズを止める。

「待って、ローズ。そんな言い方ないよ!

ホームズの事を信じてあげようよ」

「耳障りのいい言葉で誤魔化さないでっ!

助けに戻らない……それを見捨てる、切り捨てるって言うのよ!」

ジュードの言葉をローズは、バッサリ切り捨てる。

ローズのその剣幕にジュードは、思わず後ずさる。

「なら、お前はホームズを助けに戻るか?」

ミラのそのセリフに覚えのあるエリーゼは、ティポをぎゅっと抱きしめる。

「好きにすればいい。

だとしたら、お前とはここでお別れだ」

ローズは、目を向いて驚く。

思わず、エリーゼの方を見てしまった。

そして思い出す。

あの時、ティポから何かを抜き取られた時、味方できなかった自分を。

奇しくも今度は自分が同じ立場になってしまった。

思わず、ハハハっと乾いた笑いが漏れる。

「………無理に決まってるじゃない。増霊極(ブースター)もないのよ」

力無くいって俯く。

そうだ。

ローズがここにいるのは、故郷の為にもクルスニクの槍を使わせないためだ。

もちろん、ホームズの事がないとは言わないが。

とはいえ、ここにいる面子はクルスニクの槍を破壊するためにいるのだ。

クルスニクの槍が使用されればどうなるかは想像に難くない。

自分の取るべき道もわかっている。

けれども、それを取ることは何を意味しているか?

 

 

 

 

 

 

(私も見捨てるしかないの?)

 

 

 

『ローズは、もう少し頭を使おうね』

 

 

 

 

 

 

不意に姉の声が頭の中に響く。

 

 

 

 

 

『彼女達だって進んでこんな事をやりたいんじゃないよ。

それしかないからやってるんだよ、だから、『信じよう』なんて言葉が出てくるんじゃないか』

 

 

そんな事はわかっている。

ローズだってそれぐらいはわかる。

しかし、姉の声は止まらない。

 

 

 

 

 

『君のそれは、ただのワガママだ』

頭をハンマーで叩かれたような衝撃が走る。

 

 

 

 

 

『因みに言っておくとだ。

それが悪いなんて言わないよ。

ただね、ワガママには、通し方がある。

私は教えたはずだよ』

姉のニヤリといたずらっぽい笑みが思い出される。

 

 

 

 

 

 

 

 

それで一気に頭の靄が晴れる。

 

 

 

 

ローズは、思い切り自分の頬を殴る。

 

 

 

 

 

「ちょっ、ローズ?!」

隣で見ていたレイアは、驚きの声を上げる。

「………いいわ。私も戻らない」

静かにそう告げると髪を結び直す。

「その代わり、クルスニクの槍を破壊したら必ずホームズを助けに行きましょう」

ローズは、震える声を抑えながら真剣な目で言う。

そんなローズを見たミラは、うむと静かに頷く。

「当然だ」

そう言うとミラ達は、再び走り出した。

エリーゼは、ローズを見ながらポツリと呟く。

「でも、ホームズ大丈夫でしょうか?」

『腕も怪我してるのにー』

「………知らないわよ」

ローズは、そう返す。

余りに素っ気ない返事にティポが驚く。

『心配じゃないのかー!?あんなに必死だったじゃないかー!!』

 

 

 

 

 

 

ばか言ってんじゃないわよ(・・・・・・・・・・・・)心配なんてするわけないでしょ(・・・・・・・・・・・)あんな奴(・・・・)

 

 

 

ローズは、震える声を必死で抑え、誰にも顔を見せない。

そんなローズを後ろから見て優しく微笑む。

自分よりも年上の癖に、色々と子供っぽい意地っ張りなローズ。

そんな小さなローズの背中をレイアは、ポンと叩く。

「頑張ろう、ローズ」

「………当然でしょ」

ローズは、涙ぐみながらそう答えた。

 

 

 

 

 

 







記念すべき百話ですが、我が小説の主人公がいません(笑)



なんか、企画をやろうとは思っているんですが………


また思いついたら書きますね



では、また百一話で( ´ ▽ ` )ノ

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