1人と1匹   作:takoyaki

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百七話です。


検索した事無いのに何故か予測変換にある言葉ってありますよね?
私はiPod touchで小説を書いているのですが、「宙に」と書きたいのに何故か予測変換で一発目に「厨二」がで出来ます。
色々言いたい事はあるのですが、何故、調べた事のある「中二」では無く「厨二」なのでしょうか?





………Siriちゃん、君大丈夫?



てなわけで、どうぞ


能ある鷹が爪を剥く

「マーロウさん……」

ホームズは、じわりと手に汗をかくのを感じる。

マーロウは、顔しかめるとキセルを口から外す。

「あー、くそっ!やっぱり雨の中で、キセルなんて吹かすもんじゃねーな」

マーロウは、忌々しそうにそう言うとキセルを懐にしまう。

「それで、何してんだお前ら」

「……それは、こっちのセリフです」

ホームズは、汗を流しながら尋ねる。

「ガイアス王に言われてんだよ、ここを守るようにな。

四象刃(フォーブ)の連中がやられた時の保険だそうだ」

腕を組んでジロリと睨みつけるマーロウ。

その瞳は、悪戯っぽいが宿っているのは敵意だ。

マーロウに明確な恐怖を抱いているホームズとは対照的にミラは凛として一歩前にでる。

「マーロウ、そこを退け」

張り詰めたような迫力のミラにマーロウは、やれやれと情けなくため息を吐く。

「そいつは出来ない相談だ。

おめーらが、俺らに協力しない以上、通す義理はない」

マーロウは、そこで言葉を区切ると目を向ける。

「今は戦争中。敵を通す訳ねーだろ」

「聞いて、マーロウさん」

今度はジュードが説得にかかる。

「ガイアスが手に入れようとしているのは、クルスニクの槍なんだ。

それが、ガイアスの手に渡れば人と精霊が……」

「不幸になんだろ、知ってるよ。ホームズから聞いたしな」

マーロウは、そう言ってキセルを咥えようとするが、先ほどの事を思い出ししまう。

「だがよ、そいつを手に入れれば少なくともこの戦争、ア・ジュールの勝ちだよな」

ジュードの言葉を遮ってマーロウは、簡単な事のように言う。

「なっ!!」

余りに自然に言うのでジュードは、言葉が続かない。

「そうすりゃぁ、ア・ジュールの連中は、それ程死なずに済む。

だとしたら、通すわけには、いかねーよな」

「自分の国の人以外どうなってもいいの!!」

レイアは、我慢出来ずに叫ぶ。

あんなに自分達の為に尽力してくれたマーロウが、まさかこんな事をするなんて思いもしなかったのだ。

裏切られたという気持ちが強く残る。

マーロウは、やれやれという風に首を振る。

「そんな事言わねーさ。俺だって、人が死ぬのはやだし、精霊にだって死んで欲しくない……だがよ」

そう言ってマーロウは、ラ・シュガル兵の腰掛けから、立ち上がる。

 

 

 

 

 

 

「俺の知り合いが死ぬのは、それ以上にごめんなんだわ」

 

 

 

 

 

そう言ってマーロウは、レイアを指差す。

「何がいらないって話じゃない。何が大事って話だ」

マーロウは、そう静かに言い放った。

「あなたは………正しくないです」

エリーゼの言葉にマーロウは、自嘲する様に笑う。

その通り、エリーゼにすら看破されてしまう理屈だ。

褒められたり、尊敬されるようなものではないだろう。

しかし、マーロウにとってこれは、何者にも譲れない、揺るぎない信念なのだ。

だからこそ、ここにいる。

「そりゃ、そうだろ。戦争に関わった連中なんて、全員正しくないさ」

とはいえ、マーロウだって負けていない。

面倒臭い親子の側にいたのだ。

屁理屈なら負けていない。

「酷いねえ、おたく。裏切ったのかよ」

アルヴィンは、自分の事を棚に上げてマーロウを軽白に責める。

「おいおい。そりゃあ、ないだろ。

ア・ジュールの民がア・ジュールの為に働いてんだからよ」

マーロウは、心外そうに否定する。

そして、マーロウはローズを指差す。

「むしろ裏切ってんのはお前だ、ローズ」

そう、ローズだけア・ジュールの人間なのだ。

自分の国にクルスニクの槍を使われたくない。

旅を始めた理由は、それだ。

だとしたら、マーロウに着くのも間違いではない。

ミラ達は一斉にローズを見る。

ローズは、思わず一歩後ろに下がる。

自分の手が震えているのが分かる。

しかし、覚悟を決めねばならない。

本当は、ずっと分かっていたことだ。

この戦場に来た時からずっと目をそらしていた問題だ。

もう一歩下がろうとする足を止め、ローズは、マーロウの方を向く。

「私は、ア・ジュールの人間。それは否定しません……でも!」

そう言って刀を抜く。

「私は、今、ミラ達の味方。

人と精霊を守る、ミラ・マクスウェルの味方だ!!」

ローズの迷いのない言い方に、マーロウは、深くため息を吐く。

「四十点ってところだな」

マーロウは、そう言って両手を組む。

「まあいい。それよりも、だ……ローズ、お前刀を抜いたな」

「………だから?」

「強気だな」

「えぇ。気持ちで負けるなと言ったのは、貴方ですよ。師匠?」

「ほんと、いい度胸してるぜ」

マーロウは面白そうに笑っている。

「別に。武器がなければせめて五分にぐらいは、持ち込んで見せるわ」

「へぇ………頼もしいな」

そう言って組んでいた手を解く。

「まずい!!下がりたまえ!!」

ホームズの叫びに構わずマーロウは、

 

 

 

 

 

左の掌から、刀の柄を出した。

 

 

 

 

 

 

「!?」

ローズは、突然目の前で起こった出来事に頭が追いつかない。

しかし、目の前で起こっている現実は、変わらない。

左手に光る陣の中から刀の柄が現れている。

そして、マーロウは刀を右手で掴み刀を引き出した。

「………武器がなけりゃ、五分だったか?」

マーロウは、引き抜いた刀を引きづりながら、ローズへの距離をじりじりと詰める。

「だったらよう………」

「くっ!!」

そこで言葉を切り一瞬でローズに切りかかった。

刀の斬撃は、防げども勢いだけは消すことが出来ない。

そのまま後方に飛ばされた。

「俺に武器を持たせたら、その時点で負けだな」

マーロウは、飛ばされたローズを見下ろしながらそう告げる。

「ローズ!!」

ホームズがローズを気にかける。

 

 

 

 

 

「余所見してる場合じゃねーだろ」

 

 

そんなホームズにマーロウは、既に間合いまで入っていた。

ホームズは、盾を使って防ぐ。

金属のぶつかる高い音が鳴り響く。

マーロウの渾身の横薙ぎをホームズは、飛ばされずに踏ん張って耐えた。

マーロウは、そう言ってホームズを見る。

よく見るとホームズからは赤い蒸気が吹き出ている。

「剛照来してやがったとはな……道理で一人だけ、俺に文句を言ってないわけだ」

「相変わらずですね、その空間系の精霊術……」

ホームズは、忌々しそうにそう言う。

「まあ、色々と面倒な制限があんだがな」

マーロウが、そう笑っている間にミラとジュードが後ろから攻撃を仕掛ける。

マーロウは、まずホームズに腹に力一杯の蹴りを入れ距離を取る。

「っつ!!」

マーロウの渾身の蹴りを食らったホームズは、そのまま意識と共に後ろに飛んで行った。

ホームズを倒すと手に持っている刀を振り向きざまにミラに向かって投げた。

慌てて躱すミラ。

その隙をついて、マーロウは再び手を組み、今度は籠手を出現させ、身につける。

「行くぜ、一発」

マーロウは、そのまま身体を捻る勢いでジュードを殴りつける。

「カハッ……」

腹に貰い、ジュードは嘔吐する。

身体に力が入らない。

意識がブラックアウトしていくのを感じていた。。

「ジュード!」

「どいつもこいつも、余所見してんなよ」

そう言ってマーロウは、そのままミラに向かって拳を向ける。

しかし、その瞬間マーロウを囲むようにナイフが落ちてきた。

そして、そのまま陣が炸裂し、マーロウを拘束する。

「なるほど……だが!」

マーロウは、踏ん張って赤い蒸気を吹き出す。

「剛照来!!」

マーロウが剛照来を発動させた瞬間ローエンの陣は、弾け飛んだ。

「次行くぜ!!」

マーロウは、今度こそミラに拳を放った。

刀を構え何とか防ぐが、マーロウの拳は刀を壊し、ミラに放たれた。

「ぐっ!!」

マーロウに殴られたミラは、地面を転がる。

「レインバレット!」

アルヴィンの銃弾が雨となってマーロウに降り注ぐ。

「なら、こいつはダメだな」

マーロウは、それを見てポツリと言うと籠手を捨て、再び手を組んで陣を発動させる。

 

 

 

今度引っ張り出した武器は、大剣だった。

手より遥かに大きな幅の大剣を引き抜き、頭上に掲げ銃弾の雨を防ぐ。

「………なんでもありかよ」

アルヴィンは、忌々しげに言って大剣を振りかぶった。

マーロウも片手で持つと遠心力を乗せてアルヴィンに振りかぶる。

(重っっってぇ!!)

片手で振ったとは、思えない大剣の重さにアルヴィンは、何とか斬撃だけは防ぐ。

しかし、体制が崩れた。

「やべっ!」

体制の崩れたアルヴィンをマーロウの大剣が襲う。

「瞬迅爪!!」

その瞬間、レイアが攻撃を仕掛けた。

マーロウは、慌てて迫り来る棍をかわす。

お陰でアルヴィンに大剣が振り下ろされる事はなかった。

マーロウは、レイアの棍を見ると大剣を捨てかわしながら、手を組む。

そして、今度は棍を出現させた。

レイアは、それを見ながら思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

───あの人、大抵の武器ならなんでも使えるわよ。もちろん、格闘技も────

 

 

 

 

 

「………どうして、ホームズ達の周りには、普通の人っていないのかな」

 

 

 

 

 

思わず声に出してしまった。

マーロウは、それを聞くとガハハと面白そうに笑う。

「苦労してそうだな」

「本当に……」

レイアは、そう言って棍を振り被る。

マーロウもくるくると棍を振り回しレイアに向ける。

そして、レイアの棍の間を縫って真っ直ぐに突きを放つ。

放たれた棍の先端は、一部の狂いもなくレイアを捉える。

「うっ!!」

思わず意識が飛ぶ。

レイアは、そのまま後方に吹き飛ばされた。

そこをアルヴィンが銃弾を撃ち込む。

しかし、マーロウは、棍を振るって銃弾を弾いた。

そして、一直線にアルヴィンに棍を撃ち込む。

「ぐっ!」

予想以上の衝撃にアルヴィンは、思わず膝をつく。

着々と詠唱をする間も無く倒れていくミラ達。残るは、ローエン、エリーゼ。

 

 

 

エリーゼとローエンは、自然と武器を持つ手に力が入る。

 

「エリーゼさん、皆さんの治療を。

ここは、私がどうにかします」

「……分かりました!」

ローエンは、エリーゼの返事を聞くこともなく直ぐにナイフを投げる。

マーロウは、棍を捨てると手を組み、今度は、杖を出現させた。

そして、それを片手で振り回しナイフを全て弾く。

そして、杖を捨て、今度は細剣を出す。

そして、ローエンに向かって突き進んだ。

ナイフを投げた、そのほんの一瞬の隙を突いてマーロウは、細剣を突き刺す。

「ぐうっ!!」

マーロウは、細剣をローエンの肩に刺すとそのまま崖に向かって一直線に進み、ローエンをそこに打ち付けた。

そして、その衝撃でマーロウの剣は、折れた。

しかし、代わりにローエンは動けない。

動けないローエンにマーロウのボディブローが炸裂し、ローエンの意識を飛ばす。

ローエンを倒したマーロウの視線は、必然的に治療中のエリーゼに向けられる。

あっという間だった。

ナハティガルの時と違い、純粋にマーロウのみの力。

何のドーピングもしていない、素の実力だけで、こんなにも自分達を圧倒し、瞬殺している。

「さてと、ガキをいじめんのは嫌いなんだが……ま、しかたねーか」

そう言って拳を握り振りかぶった。

その時、刀がマーロウの腕を目がけて飛んできた。

マーロウは、驚いて腕を引く。

腕に当たらなかった刀は、そのまま地面に突き刺さる。

マーロウは、飛んできた方向を見る。

そこには、拳を握りしめたローズが眼前まで迫っていた。

恐らく刀を投げると同時に走っていたのだろう。

「────っらあ"ぁあっ!!」

ローズは、そのまま気合と共に全体重を乗せマーロウの顔面を殴りつけた。

「………ようやく……ようやく、一発、当ててやったわ。こんのクソ師匠」

ローズは、そう言って地面に突き刺さった刀を引き抜き、両手二刀を持つ。

「エリーゼ!こっちは、任せなさいっ!!

マーロウさんに精霊術なんて使わなくていいわ!治療に専念しなさいっ!」

「は、はい!」

ローズの剣幕にエリーゼは、思わず頷く。

マーロウは、ローズが指示を飛ばしている間に、二刀を出現させる。

「お前、師匠に勝てると思ってんのか?」

「師匠を倒すのも弟子の役目ですよ」

ローズは、精一杯の虚勢を張って笑って見せる。

武器が五分。

勝敗なんて火を見るよりも明らかだ。

けれども、引くわけにはいかないのだ。

理由としてあげるなら、まあ、お行儀のいいことを言えばクルスニクの槍を破壊する為だ。

しかし、それ以外にもローズを突き動かす理由がある。

「男にはやらねばならない時があるそうですね」

二人を囲む様に雨が降る。

雨の雫は、刀を伝って地面に滴り落ちる。

ローズの言葉にマーロウは、少し眉毛をピクリとあげる。

「負けると分かっていてもな」

「女にだってありますよ」

刀を伝う雨を払って構える。

マーロウもそれに習う。

「なるほど、そういう事か」

「えぇ。そういう事です」

 

 

 

 

 

そう、結局は単純にプライドの問題なのだ。

 

 

 

意地っ張りのローズにこれ以上の理由はない。

 

 

 

 

ローズの言葉を合図に二人は一歩踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 







揺るぎない信念のRPGですからね。


マーロウには、真っ直ぐ貫いて欲しいです。


マーロウの武器、悩みました。
何でも使えるというのは、逆に一つに絞るのが大変難しい!けれども圧倒的な強さを見せたい!
じゃあ、やっぱり武器を色々使わせよう!!
でもどうやって持ち運ぼう………
と、頭を絞った結果こうなりました。
……まあ、劣化版王○財宝(ゲート・○ブ・バビロン)みたいなものになりましたが……
手からしか出せませんからね(笑)




いいんです!全部乗せは男のロマンなんですから!!
大将軍しかり、究極のXしかり、指輪の魔法使いしかり、ロケットコズミックしかり!
ルドガー君のウェポンシフトは、最高でした。
何あれ、モードチェンジも出来て、武器は全部乗せって最高だよ!超COOLだよ!
まぁ、ボタン間違えて、どうでもいいところでウェポンシフトして攻撃食らって死ぬなんてことをやってましたが……


さて、話を変えましょう!百話越え記念を思いつきました。
いつもの如くアンケートですが、項目をテイルズキャラ人気投票など等を色々と参考にして少し変えました!
詳しくは、活動報告にて。



では、また百八話で( ´ ▽ ` )ノ


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